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※2024年11月26日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大 文字お越し
※紙面抜粋
※2024年11月26日 日刊ゲンダイ2面
初の日米首脳会談で安倍元首相はすぐさま密約。あれから11年…(代表撮影・共同)
103万円の壁を巡り、富裕層は除外とか、地方税はそのままだとか、さまざまな報道が飛び交っているが、なぜ、財源がないのか。船橋洋一氏が安倍晋三クロニクルを書いたが、米の言いなりで敵基地攻撃能力を約束してきて、岸田が予算をつけた裏側には改めて唖然だ。
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石破首相が総選挙で公約した昨秋を上回るバラマキは、国民民主党の抱き込みでメドがついた。物価対策はそこそこにして、総合経済対策を裏付ける約13.9兆円の2024年度補正予算案は、28日召集の臨時国会で成立する運び。焦点は「年収の壁」の解消がどこまで実現するのかに移った。自公与党は来月中旬をメドに税制改正大綱をまとめる構えだ。
現行制度では、年収が給与所得控除(55万円)と基礎控除(48万円)との合計103万円を超えると所得税が発生する。基礎控除を75万円引き上げ、控除額を計178万円にするよう求める国民民主の主張が通れば、国と地方の減収は年間7兆〜8兆円になると試算されている。所得税などに連動する地方交付税交付金を合わせると、総額5兆円程度の税収減が見込まれる地方の反発は強まる一方だ。
石破も出席した25日の全国知事会では、会長を務める宮城県の村井知事が国による補填を要求。「恒久的財源を真水でいただくというのは当然のことだと思っていまして、間違っても臨財債(臨時財政対策債)等の借金で穴埋めすることのないようにしっかり申し上げてまいりたい」と詰められた石破は、「一方だけ良くて、そのしわ寄せをどこかが受けるようなことはまずいので、丁寧に議論していきたい。自治体の行政サービスが安定的に提供できるよう、必要な一般財源の総額は確保していく」と引き取った。
それで急浮上しているのが、非課税枠の適用制限案だ。高所得層を対象から外すことで税収の減少幅を圧縮。地方税の個人住民税を国税の所得税と分離して議論し、非課税枠の引き上げにあたっては所得税より小幅にする案も出ているという。「みんなの手取りを増やす」をスローガンに総選挙で躍進した国民民主は、どう応じるのか。
確かに、この国にはカネがない。国の借金は1311兆円を超え、過去最高を毎年更新。GDPの2倍を優に上回っている。赤字国債の発行は常態化し、国家運営は借金頼みだ。終わりの見えない物価高で庶民が塗炭の苦しみをなめていても、再分配にはできる限り回さない。少子高齢化を理由に、社会保障費をどんどんカットする。けれども、米国隷従で防衛費には湯水のように使う。だから、ますます財源が不足する。それが自民党のやり方だ。
安倍元首相が交わした密約
朝日新聞(24日朝刊)に「宿命の子 安倍晋三政権クロニクル」を上梓した元主筆の船橋洋一氏のインタビュー記事が掲載されていた。安倍元首相の歴史認識に危うさを感じ、「安倍政権の政策、戦略、統治を検証しようと考えました」と言う船橋氏は、安倍が再び政権をブン投げた翌月の20年10月から、横死直前の22年6月まで計19回にわたってインタビューを重ねたほか、日米などの関係者約300人に取材したという。
森友学園や首相主催の「桜を見る会」などの疑惑をめぐるくだりも面白いが、このタイミングゆえに目を引くのが対米外交だ。船橋氏はこう語っていた。
〈12年末に再び首相になって直面したのが尖閣諸島の守りでした。その前の民主党政権による国有化で日中関係は緊張。安倍氏は翌年2月のオバマ氏との初の日米首脳会談で、同盟強化のため集団的自衛権を行使できるように「憲法解釈を見直します」と伝えています。オバマ政権は日本への信頼を深め、日本に打撃能力(敵基地攻撃能力)の保有を認めるシグナルを送り始めます。17年にトランプ氏が大統領になると保有を再三迫られ、安倍氏は18年に来日したマティス国防長官に「日本は打撃能力を持つつもりである」と伝えました〉
第2次安倍政権が集団的自衛権の行使容認を閣議決定したのは、14年7月。安保法制の関連法案が国会に提出されたのは15年5月で、成立したのは9月だった。
敵基地攻撃能力の保有を明記した国家安全保障戦略(NSS)など、安保関連3文書の改定が閣議決定されたのは22年12月のこと。手をつけたのは2代後の岸田前首相だ。あわせて、27年度までの5年間の防衛費を43兆円に膨張させることも盛り込まれた。どれもこれも、安倍がはるか前に交わした密約に基づいていたのだ。
ホワイトハウス宣言「憲法解釈を見直します」
岸田首相も安倍密約路線を突っ走った(C)日刊ゲンダイ
上下巻で1500ページ超に及ぶ「宿命の子」の記述はさらに生々しい。
〈「日本は集団的自衛権の行使ができないとの憲法解釈をしている世界で唯一の国です。私の政権は、この憲法解釈を見直します」
2013年2月22日。ホワイトハウスの大統領執務室。
安倍晋三首相はオバマ大統領に向かってそう宣言した。安倍が第2次政権で首相に返り咲いてから初めての日米首脳会談である〉
手土産を盛大に披露した安倍は、日米防衛協力指針(ガイドライン)の見直しも提案。しかし、受け流され、弾道ミサイルを探知・追尾する「Xバンドレーダー」の追加配備を求められたため、即座に了承したという。
〈と、同時に、安倍はいささか拍子抜けした。集団的自衛権を行使できるように憲法解釈を見直すとの決意表明に対するオバマの反応は事務的であると感じた。
憲法第9条の解釈変更は、戦後の日本の安全保障政策の最大の転換点にほかならない。戦後の自民党政権のどの政治指導者もそこに踏み込めなかった。そこに挑戦しようとしているのに反応が鈍い〉
「戦後レジームからの脱却」を掲げ、憲法改正を悲願とした安倍は前のめりで動き回った。米国第一主義のトランプ政権爆誕も推進力にし、核ミサイル開発を強行する北朝鮮の脅威を煽って軍拡。岸田が既定路線に沿って予算をつけた裏側には改めて唖然だ。
「安全保障化」で軍拡正当化
高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)は、こう指摘する。
「半世紀前、オイルショックなどの時代背景はありましたが、当時の大平正芳首相は総合安全保障構想を打ち出した。国家の安全保障は軍事力のみでは担保できない。外交や経済なども総動員し、国民の暮らしを安定させ、平和を維持しようという考えです。いまや、そうした見識は自民党から消え失せた。この10年余り、政権がやってきたことは脅威をバラまく『安全保障化』。平たく言うと、危なくないものを危ないと煽り、安全保障上の問題化するポピュリズム的手法です。米国しか視野に入れていない北朝鮮がミサイル攻撃を仕掛けてくるとか、中国が台湾有事の延長で侵略してくるとか、合理的ではない脅威を醸成し、米国隷従の軍拡を正当化してきた。一方、国民に多大なリスクを強いる原発や在日米軍の危険性には目をつむっています」
庶民の四苦八苦を横目に、米国には上目遣いの自民党が政権を握っている限り、防衛費だけは青天井だ。
立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)もこう言う。
「衆院選で自公与党が過半数割れに追い込まれたのは、裏金事件を反省しない姿勢に有権者が鉄槌を下したからです。石破政権の延命を許さない。国民生活を置き去りにし、米国のお先棒を担ぐ自民党を下野させる。野党が取るべき立場はそれです。国民民主党が完全に抜け駆けしようものなら、そのしっぺ返しは野党全体で負うことになるでしょう」
28日に召集される臨時国会の会期は24日間。政治資金規正法の再改正も待ったなし。問題山積だ。野党第1党の力量がこれほど問われる国会はない。
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