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「ポスト石破」の高市早苗氏に暗雲…石破首相は選挙には負けたが安倍派には勝った 古谷経衡 猫と保守と憂国
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/362732
2024/10/30 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し
古谷経衡氏(提供写真)
これ以上ない石破首相の大敗北である。なぜ石破は「これまで明朗に言ってきたこと」を初手で実行できなかったか。「しょせんそれまでの政治家」とすればそれまでだが、敗北の原因はすべてこの一言だ。だが、石破は確かに選挙には負けたが安倍派(清和会)には勝った。
今回の選挙で、衆院安倍派は22人になり、衆院第4派閥に零落した(非公認を加味せず)。小泉純一郎政権から実に約四半世紀にわたって続いた清和会の天下は、名実ともに崩れ去った。特に9月の総裁選挙で石破と争った高市早苗氏の20人の推薦人のうち、衆院議員は11人であったが、そのうち7人が議員バッジを外した。うち1人はそもそも公認されず政界を去った杉田水脈氏だが、もう6人の谷川とむ氏、三ツ林裕巳氏、土井亨氏、高鳥修一氏、若林健太氏、鈴木淳司氏が落選した。その他にも比例重複が認められなかった安倍派の議員が落選したことにより、高市はその党内支持基盤を大いに減じたことになる。
「選挙が終われば非主流派に転じた安倍派の逆襲が始まる」と嘯かれたが、そもそも逆襲する議員が落選したので、反撃しようにも厳しかろう。総裁選で高市を支持する議員が大幅に減ったので、数の理屈では「高市総理・総裁」は遠のいたといえる。この一点を取れば石破の党内基盤は、相対的には高まった。
石破は田中角栄-竹下登の薫陶を受けた旧経世会系の出自だ。かつて経世会と清和会が激しく争った政争に「角福戦争」がある。台湾断交問題を契機に角栄と福田赳夫が対立したこの戦争では、続く大平正芳VS福田赳夫のいわゆる「四十日抗争」を経て、角栄一派の勝利で終わった。
21世紀に入り、敗者であった清和会の小泉純一郎が郵政民営化を旗印に、経世会系議員の追放と刺客を送るという郵政選挙があったが、これは「平成の角福戦争」と呼べる角福の再戦であり、知っての通り清和会が勝った。すわ第2次角福戦争と呼べる。
令和に入り、今度は石破が安倍派潰しを図った。これを筆者は第3次角福戦争と呼ぶ。保守本流とされる経世会系と、保守傍流とされた清和会との戦いは、石破によって再び角栄の遺伝子をもつ党内勢力が勝った。
よって自民党内の右傾勢力は、今回の選挙で大きく力を落とし、自民党全般にここ四半世紀瀰漫してきた「右傾化」の波には、一定程度の歯止めがかかろう。だが、それと同時に自民党自体の基礎体力も落ちたので、まさしく「肉を切らせて骨を切る」という結果に終わっている。
ネット右翼が支持する右傾化議員の本丸は、実は参議院である。ネット世論と参院全国比例は相性が良く、参院は安倍派残党の牙城となっている。来夏の参院選で同じことができれば、いよいよ安倍派は壊滅して右傾の風潮は完全に沈滞するが、そうなったときは自民党がすでに政権与党ではない、ということになろう。選挙では負けたが安倍派には勝った。そして自らも総理の座を降りる。巨視的に見ると石破らしいといえばそうだが、それを美学とみるか自爆とみるかは、有権者と後世の歴史家が判断することだ。
古谷経衡 作家
1982年生まれ。立命館大学文学部史学科卒。令和政治社会問題研究所所長。「左翼も右翼もウソばかり」「日本を蝕む『極論』の正体」「毒親と絶縁する」「敗軍の名将」「シニア右翼」など著書多数。
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