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※2024年10月28日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
※2024年10月28日 日刊ゲンダイ3面 紙面クリック拡大
与党64議席減の衝撃…自民党「歴史的惨敗」の必然と今後(下)
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/362594
2024/10/28 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し
裏金議員への推薦が致命傷、“下駄雪”政党の今後
公明党の石井啓一代表もまさかの落選(C)共同通信社
「大衆とともに」あらず、権力と同衾してきた公明党は瓦解寸前だ。
先月末にトップの座を引き継いだばかりの石井啓一代表(埼玉14区)が下馬評を覆せずに落選。
日本維新の会とすみ分けることで「常勝関西」を糊塗してきた大阪では、佐藤茂樹副代表(大阪3区)を含む4人全員が全面対決で敗れた。「背水の陣」をアピールせんがため、比例代表への重複立候補を見送った小選挙区は4勝7敗とボロボロ。公示前勢力の32議席から24議席に激減した。
こうなるのは、時間の問題だった。「自公政権のブレーキ役」と言いながら、第2次安倍政権以降の軍国化路線を黙認。世間の怒りが収まらない自民党の裏金事件をめぐる対応も大甘だった。
石井は当初、非公認や比例重複なしの裏金議員について「推薦することにはならない」としていたのに、選挙区事情を優先して前言をあっさりと撤回。西村康稔元経産相(兵庫9区)や三ツ林裕巳前議員(埼玉13区)ら35人を推薦した。選挙区が隣接する石井らとの票バーターが目的なのはミエミエ。裏金推薦が致命傷となったのは言うまでもない。
下駄の雪は解けるがままなのか。
政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう言う。
「四半世紀に及ぶ自公連立の歩みを総括すれば、答えはおのずと出てくる。結党精神の『大衆とともに』に立ち返り、『平和の党』の金看板を現実感をもって掲げなければ、党勢は衰退の一途でしょう。支持母体の創価学会員の高齢化は手の打ちようがないし、池田大作名誉会長が逝去した影響は計り知れない。歴史的な背景から公明党が最重要視する都議選、それに参院選が来夏に控えている。先祖返りも含めた体制一新に動くとみています」
公明の開票センターは静まり返り、お通夜状態。当確者のボードへの花付けは取りやめ、石井は大勢判明後に予定していた記者会見も中止。前代表の山口那津男常任顧問は報道陣に「新体制をつくっていかざるを得ない」と苦り切っていた。なっちゃんのカムバック秒読みか。
自民の陰に隠れているが「ゆ党」維新も消えゆく運命
「第2自民党」と称す日本維新の会も議席減(C)日刊ゲンダイ
自民惨敗の陰に隠れているが、「ゆ党」の日本維新の会の選挙結果もお寒い限り。主要野党が全国で議席を伸ばす中、公示前の44議席から38議席へと減らした。馬場代表は「国政でしっかりと足跡を残せたかといえば、力不足というところもある」と肩を落とした。
“生誕地”の大阪府の19小選挙区は、公明候補と初対決となった4選挙区を含めて全勝。その他、福岡11区や広島4区などで議席を獲得したが、比例代表は前回の25議席から15議席と大幅減である。
「維新はまるで通用しなかった」と言うのは、今回落選した関東地方の候補だ。
「街頭で裏金批判を展開しても有権者には響かなかった。裏金批判への期待は立憲に集中していたからです。仕方なく立憲を批判したものの、誰も見向きもしない。大阪の組織は分厚いですが、他の地域は全然ダメ。大阪限定の地域政党に逆戻りした感がある」
地元・関西圏以外の有権者から見放された原因は、費用が膨れ上がっている大阪・関西万博やパワハラ疑惑で失職した斎藤元彦兵庫県知事の問題に違いない。「ガバナンスも崩壊寸前です」と言うのはある維新関係者だ。
「松井前代表が裏金自民の萩生田元政調会長の応援に入っても誰も止められないし、政界引退した足立康史前衆院議員の“維新ディスり”も抑えられない。執行部の頼りなさに皆、呆れ果てて、ヤル気を失っています」
前出の五十嵐仁氏が言う。
「前回選の躍進が異例だっただけで、今回が維新の真の実力なのでしょう。馬場代表は『第2自民党でいい』と言っていたが、過半数割れした自民に連立入りを打診されたらどうするのか。裏金自民に手を貸せば、さらに党勢が落ちかねません」
もう、この政党は消えゆく運命だ。
天下分け目の大決戦は来年夏の参院選
裏金政治に「ノー」を突き付けた民意、怒りの継続が重要(C)日刊ゲンダイ
腐敗政党・自民の歴史的大惨敗は必然とはいえ、怒りの鉄槌を下した有権者は気を緩めてはいけない。衆院で自公与党を過半数割れに追い込んでも、参院(定数248議席)では依然として自公会派が140議席を握る。自公が多数を有している状況は変わらず、今後は、いわゆる「ねじれ国会」が続くのだ。
今回の衆院選で裏金政治に「ノー」を突きつけた民意を確実なものにするには来年夏の参院選が大一番だ。参院選で自公与党に勝たせてしまったら、有権者は元のもくあみ。「直近の民意を得た」とばかりに、自民党は息を吹き返す。衆院の多数派工作は勢いを増し、敗北に動揺する野党各党を取り込み、連立組み替えに拍車がかかることだろう。
「今回の衆院選で自公与党が大惨敗を喫したことで、裏金事件に“けじめ”をつけたというムードが有権者の間に生じれば自民の思うツボです。今回の選挙結果はあくまで、自民の腐敗政治を終わらせる第一歩に過ぎません。来年夏の参院選こそが天下分け目の大決戦。立憲民主党を中心に野党も慢心せず、参院選の共闘に向け、今から協議を始めるべきです。まだ参院選まで半年以上の準備期間があるのですから、改選1人区の候補一本化は必須。その上で国民生活を豊かにし、戦争をさせない国づくりを訴えていく。参院選で国民に痛みを強いる裏金政党を絶対に復活させてはいけません」(立正大名誉教授・金子勝氏=憲法)
今回の国民の審判は、この国の政治を一変させるための通過点。有権者は来年の夏、国民愚弄の自民党政治にトドメを刺す覚悟が必要だ。
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