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懲りない財務省…審査会の答申を無視して情報不開示の前代未聞 森友遺族・夫の死を巡る法廷闘争記
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/362199
2024/10/19 日刊ゲンダイ
判決は来年1月(弁護団の記者会見=撮影・相澤冬樹)
森友学園との土地取引を巡る財務省の公文書改ざん事件で命を絶った赤木俊夫さん。妻の雅子さんは真相解明のため財務省にあるはずの資料の開示を求めたが、財務省は資料があるかないかも回答せず拒否。国の情報公開・個人情報保護審査会は決定を取り消すよう答申を出したが、財務省は答申を無視して再び不開示を決めた。
行政不服審査法は、審査会の答申と異なる結論を官庁が出す場合、なぜ答申に従わないのか説明するよう定めている。だが今回の財務省の裁決は理由を一切示していない“違法”な裁決だ。これでは答申という制度自体、何の意味もないことになってしまう。これは5月31日発行の日刊ゲンダイが報じた通りだ。
この不開示を巡って赤木雅子さんは開示を求める裁判を起こし、1審では国の決定を認める判決が出て、現在、控訴審で審理が行われている。
そもそも審査会の答申と異なる決定を官庁が出したケースは過去に24件、全体のわずか0.16%しかない。では、答申に従わなかった24件はどういうケースだったのだろう? 弁護団はすべての答申と、それに従わなかった官庁の裁決書を情報公開手続きで請求した。
その結果、以下のことがわかった。
1、24件のうち7件は文書の保存期間が切れて残っていなかった。
2、5件は、審査会の答申が不開示を妥当としたのに官庁が自主的に開示に転じたものだった。
3、7件は、答申に全面的に従ってはいないが、開示の範囲を広げたか、最終的には答申に沿った決定となった。
4、3件は、答申に従わなかったが、その後裁判で負けて開示に転じた。
弁護団「1審判決の誤りは正されねばならない」
そうすると、審査会の答申にまったく従わなかったケースは残りの2件しかない。しかもこの2件は、対象となる文書が存在することは認めた上で開示しなかったものだった。ということは、今回のように文書があるかないかも認めないまま答申に従わなかったケースは、前代未聞の不当なものだったということが明らかになったのだ。
弁護団はこの調査結果を書面にして裁判所に提出。裁判の判決で不開示決定が覆ったケースがあったことを踏まえ、今後の情報公開請求への重大な悪影響を防ぐためにも1審判決の誤りは正されねばならず、裁判所の責任は極めて重大だと指摘している。
これを受けて18日、大阪高裁で控訴審の法廷が開かれた。国側は今回の原告側の指摘に何ら反論することなく、裁判は結審。判決は来年1月30日と決まった。
大阪高裁は、過去に例のない「審査会の答申無視」の財務省の決定を追認するのか、それとも1審判決を覆し、決定の取り消しを命じるのだろうか?
相澤冬樹 ジャーナリスト・元NHK記者
1962年宮崎県生まれ。東京大学法学部卒業。1987年NHKに記者職で入局。東京社会部、大阪府警キャップ・ニュースデスクなどを歴任。著書『安倍官邸vs.NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由』(文藝春秋)がベストセラーとなった。
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