<■1015行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可> 高橋洋一「日本の解き方」 自民と立民が「増税路線」で同調 歩調合わせ減税に否定的、震災後の悪夢が繰り返される 財務省には千載一遇の好機≠ゥ 2024.10/19 10:00 https://www.zakzak.co.jp/article/20241019-5WEPJDBKSRITPAO67CADSNHPIA/ 金融所得課税の強化について、石破茂首相は自民党総裁選で取り上げた後で引っ込めたが、ここにきて立憲民主党の野田佳彦代表が 「25%への引き上げもあり得る」 と強調した。 野田氏は法人税も上げる余地があると述べたという。 衆院選のタイミングでこうした発言をした狙いはどこにあるのか。 石破政権はブレるので、金融所得課税については再びブレて 「課税強化」 を言いかねない。 はっきり言えば、消費税について、自民党と立憲民主党がシンクロしているのが気になる。 与野党党首は2024年10月13日のNHK番組で論戦した。 石破首相(自民党総裁)は、消費税率について 「引き下げることは考えていない」 「当面、上げることも考えていない」 とした。 減税はやらない方針だ。 立憲民主党の野田氏も消費税の減税に関し 「高額な所得者が額として一番恩恵を受ける」 と述べた。 一般的には、消費税は逆進性があるので、減税は低所得者層ほど有利になる。 だが、わざわざ額に言及して分かりにくくしているが、要は減税しないということだ。 他の野党党首は減税に言及しているのに、自民と立民は歩調を合わせて減税に否定的だ。 立民の新代表が決まった段階で危惧していたが、野田氏と言えば、民主党政権時代に消費増税という財務省の戦略にまんまと乗り、一部では 「使い勝手ヨシヒコさん」 とも揶揄されていたらしい。 石破首相も、財政緊縮と金融引き締めで有名だった人だ。 衆院選では自民党と公明党は苦戦が見込まれ、自民の過半数割れを予測する人も少なくない。 有権者の動向によっては自公で過半数割れもあり得る状況だ。 その場合、負け方にもよるが、自公と立民による 「大連立」 にならないとも限らない。 仮に 「台湾有事」 になると、大連立の大義名分ができる。 そうした話は東日本大震災の時にあった。 実際には大連立にはならなかったが、当時の野田首相と野党だった自民党の谷垣禎一総裁はともに増税志向だったので、復興増税と2度の消費増税というホップ・ステップ・ジャンプという財務省の野望が実現した。 財務省は、大連立にならなくても、この東日本大震災の後の増税路線の再来を狙っているのではないか。 歴史は繰り返すという。 増税したい財務省からみれば、自民と立民の両トップが増税志向だというのは千載一遇のチャンスだ。 しかも、立民の野田代表は、過去の消費増税の立役者なので、再び増税をやってくれそうだと期待してもおかしくない。 今回は野党なので、石破首相を誘導することも考えられる。 野田代表から金融所得課税25%や法人税増税を言い出したのも、そのための戦略ではないだろうか。 早速、石破首相は防衛増税を言い出した。 金融所得課税は金持ち優遇の是正、法人税増税は利益をため込んで吐き出さない企業へのペナルティーというキャッチフレーズだろう。 そこで増税に勢いをつけ、次には社会保障にかこつけて再び消費増税というシナリオを財務省は描いているのではないか。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)高橋洋一「日本の解き方」 石破首相が掲げた「アジア版NATO」の非現実度 日米地位協定見直しも含め…まず同盟国助けられない「憲法9条の改正」が先決だ 2024.10/18 11:00 https://www.zakzak.co.jp/article/20241018-E3LN6EODCRPCLKCBOJZXV7BG2M/ 石破茂首相は自民党総裁選の際に掲げた 「アジア版NATO(北大西洋条約機構)」 の構想について所信表明演説では触れなかった。 だが、党内に議論する新組織を設置するよう指示した。 アジア版NATOは日本の安全保障に資するのか。 現実味のある構想なのか。 石破首相は総裁選で、日米地位協定の見直しにも言及した。 アジア版NATO創設と日米地位協定見直しは、根っこのところで今の日米安保条約と密接に関係しており、更にその背景には憲法問題がある。 そこで、まずは日米安保条約の条文を振り返っておこう。 ポイントは第5条と第6条だ。 第5条では 「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処するように行動することを宣言する」 としている。 第6条では在日米軍の地位について 「別個の協定などに規律される」 としている。 第5条は 「日本国の施政の下にある領域における」 と書いてあるので、日本が攻められた時に発動するもので、米国が攻められた時ではない。 これが 「相互」 安全保障ではなく、 「片務的」 安全保障と言われる所以だ。 これを前提として日米地位協定がある。 一方、NATO条約では、第5条で 「締約国は、ヨーロッパ又は北アメリカにおける一又は二以上の締約国に対する武力攻撃を全締約国に対する攻撃と見做すことに同意する」 「従って、締約国は、そのような武力攻撃が行われた時は、各締約国が、国際連合憲章第51条の規定によって認められている個別的又は集団的自衛権を行使して、北大西洋地域の安全を回復し及び維持するためにその必要と認める行動(兵力の使用を含む)を個別的に及び他の締約国と共同して直ちに執ることにより、その攻撃を受けた締約国を援助することに同意する」 とされており、明らかに異なっている。 日米安保条約が 「片務的」 なのは、日本の憲法9条で交戦権を否定しているからだ。 つまり、同盟国が攻撃された時でも、助けるために交戦できないのだ。 要するに、憲法9条を改正しないと、日米安保条約すら 「相互的」 にできない。 ましてアジア版NATO創設や日米地位協定見直しには到底辿り着けないのだ。 逆にいえば、憲法9条を改正し、日米安保条約を 「相互的な」 ものに改定すれば、ほぼ自動的に日米地位協定も見直せる。 日米安保条約を 「相互的」 なものに改定すれば、その先の将来像としてアジア版NATOもあり得るだろう。 もっとも、アジア版NATOは米国とアジア諸国が安全保障をどのように考えるかに依存するので、日本だけが考えてもできるものではない。 こうしてみると、党内でアジア版NATOを議論しても、大した結論にはならないだろう。 他国に話をしても 「日本の憲法問題が先だ」 と言われ、現実的な政治課題にはならない。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一) 高橋洋一「日本の解き方」 衆院選で防戦一方の自民党、石破政権の政策がブレて争点にできず「政治とカネ」問題が前面に…「岸田政権の劣化コピー」とも 2024.10/16 11:00 https://www.zakzak.co.jp/article/20241016-T3XVBMVR7NOKBOI3DWZBFHVBLQ/ 衆院選が2024年10月15日に公示された。 「政治とカネ」 の問題が表に出ているが、他には何が争点になるだろうか。 本来は、外交・防衛や内政を議論すべきであるが、首相就任は今月2024年10月1日、解散は8日後の2024年10月9日、投開票は26日後の2024年10月27日といずれも戦後最短だ。 解散から投開票までの18日間も戦後2番目の短さだ。 選挙日程は、3年前の岸田文雄政権とほとんど同じだ。 石破茂政権は、首相と同様に長らく 「党内野党」 だった 「お友達」 を重要閣僚に据えたが、官房長官は岸田政権から横滑りで、副大臣と政務官はほぼ岸田政権の居抜きである。 こうしたことから政策もほとんど岸田政権を踏襲し、岸田政権の劣化コピーとも言われている。 2024年10月4日の所信表明演説では、総裁選の公約をほぼ全面的に撤回した。 その前に実施された世論調査で、内閣支持率は岸田政権の末期からは上昇したが、それでも政権発足直後では過去最低水準で、 「ご祝儀」 はなかった。 その後、石破政権の変節が明らかになると支持率は下がっているとの調査もあり、焦った石破政権は、焦点を裏金問題にすり替えた。 そこで、不記載だった12人を非公認とし、30人以上を比例重複なしとした。 この判断について 「世論に迎合した」 とも言われるが、この場合の世論というのは非自民層なので、これで自民党に支持が戻るわけではない。 この措置の結果、これまでは 「自民単独で過半数割れ」 が懸念されていたのが、 「自民と公明党の与党で過半数割れ」 も視野に入ってきているという。 そもそも検察の捜査で刑事処分がなされ、それを受けて党規約に基づき党として既に決定した処分について、新総裁が追加処分したというのは 「一事不再理」 の原則に反し不当だ。 「ルールを守る」 と強調する石破首相が自ら破っている。 また、選挙の争点を 「政治とカネ」 の問題に絞ることは、選挙戦術としてもまずい。 野党は 「処分は甘い」 と更に攻勢をかけてくるのは必至だ。 更に、これまで党内野党に対しては寛容だった週刊誌などのメディアも、閣僚のスキャンダルを出し始めた。 このため、ますます政策議論になりにくい状況だ。 実は、外交・防衛や内政を争点にするといっても、石破政権はブレブレでほとんど前言を撤回しているので話にならない。 「憲法7条による解散は違憲の疑い」 と言っていたが、解散してしまった。 「アジア版NATO(北大西洋条約機構)」 や 「北朝鮮との連絡事務所設置」 などは所信表明演説では姿を消し、 「原発ゼロ」 や 「選択的夫婦別姓導入」 も後退し、 「金融所得課税強化」 もなくなった。 「最低賃金1500円」 のように変えていないものもあるが、立憲民主党より左で、れいわ新選組並みの政策なので争点になりにくい。 能登の災害に対する措置を予備費か補正予算にするかについても、現実に 「補正予算なし」 なので、ここも争点になりにくい。 結果的に 「政治とカネ」 や 「スキャンダル」 が争点になれば、自民党は防戦一方だろう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一) 「『政治とカネ』法律家の立場からは時間の無駄」今の日本に後ろ向きの議論する時間はない 弁護士・田中善信氏 2024/10/18 15:30 https://www.sankei.com/article/20241018-G7YZXJ7CXVLBHC7O5KKLPLPW2Q/?outputType=theme_election2024 27日投開票の衆院選について、弁護士で群馬「正論」懇話会会長の田中善信氏(81)は産経新聞のインタビューに応じ、 「『政治とカネ』の問題は大事なことだが、政治資金規正法をきちんと改正すれば済む話だ」 と指摘した。 ◇ 今回選挙では、 「政治とカネ」 の問題が大きな争点とされていますが、法律家の立場から言わせて頂くと、東京地検が時間をかけて捜査した以上、更に時間を掛けても新事実が出ることはなく時間の無駄だと思う。 政治にとって最も重要なのは国民の安全と生活を守ることです。 日本周辺には中国、北朝鮮、ロシアという核を保有し核兵器の増産を続ける独裁的国家群がミサイルの矛先を日本に向けている。 備えるには、しっかりとした法制度と軍備を整える必要がある。 最大の法整備は憲法改正だ。 そのためにも与党を中心に改憲に必要な議員数を確保すべきで、選挙で最も問われるのはその点だと思います。 今の日本に後ろ向きの議論をしている時間はありません。 石破茂政権は、国民の声を聴くという姿勢を見せてはいますが、ポーズだけのように見えます。 大事なのは国民、とりわけ将来を担う若者や子供たちが希望を持てる国づくりです。 彼らが望むのは金銭的援助というより日本の明るい未来や希望ではないでしょうか。 その意味でも、党総裁選で多数の党員が支持した高市早苗・前経済安全保障担当相の政策や提言を取り入れることも大切だと思います。 その上で、石破首相には国民の安全と生活を守るための憲法改正に向け、先頭に立って頂きたい。 投票率の低下、長期低迷傾向も将来に対するビジョンを示せない政治家が多いからです。 自身の選挙の事ばかり考え、日本のためにという志をもった政治家が少なくなっていることが原因だと思います。 「政治とカネ」 の問題は大事なことですが、政治資金規正法をきちんと改正すれば済む話です。 近視眼的ではなく、もっと巨視的に日本の将来を考える政治家はいないものでしょうか。 真に将来を語れる政治家が出てくれば、投票率も自然と上がり、国民ももっと政治に関心を持つでしょう。 群馬県からは戦後、4人の首相が誕生している。 土壌はあるはずです。 ■たなか・よしのぶ 群馬県富岡市出身。 昭和49年に弁護士登録。 群馬弁護士会に所属し民事、刑事から労働問題、破産や債券回収など幅広くカバー。 特に、警察が手を付けられない事件化以前の、いわゆる民事介入暴力の第1人者として数々の事案解決に尽力。 県警察署協議会会長や県警特別講師などを務め県警特別功労賞受賞。 令和3年12月から群馬「正論」懇話会会長。 自民党、過半数割れの可能性 立憲民主党、公示前より議席上積み 日本保守党、複数議席獲得へ 報道各社、衆院選序盤情勢調査 2024.10/17 11:31 https://www.zakzak.co.jp/article/20241017-WLKH5R2JLFMA3JBPQ2QASGGTBA/ 第50回衆院選(27日投開票)について、報道各社の序盤情勢調査が出揃ってきた。 自民党は石破茂首相(総裁)の 「変節」 や、派閥裏金事件などが響き、定数465議席の過半数(233)に届かない可能性が出てきた。 単独過半数割れとなれば、2009年以来となる。 立憲民主党は公示前の98議席から議席を増やし、ベストセラー作家の百田尚樹氏が立ち上げた政治団体 「日本保守党」 は複数議席を獲得しそうだ。 共同通信によると、全289選挙区のうち、自民党(公示前256)がリードしているのは140程度で、接戦区が多い。 比例代表で前回選挙(20年)の72議席を下回るのは避けられない情勢だ。 公明党は公認候補を立てた計11選挙区の全勝は難しい情勢。 自民党との連立与党では過半数を維持する見込み。 立憲民主党は公示前の98議席を超える公算が大きい。 日本維新の会は大阪の小選挙区は堅調だが、比例の支持の広がりに欠け、公示前の43議席に手が届かない可能性がある。 共産党は公示前の10議席程度の獲得が見込まれる。国民民主党も公示前の7議席から上積みする勢い。れいわ新選組は比例で複数議席を確保できそうだ。 社民党は小選挙区の1議席死守が課題。 参政党は支持浸透が見られない。 与党過半数巡り攻防 不記載響き自民低調、立民勢い 衆院選序盤情勢 2024/10/17 5:00 https://www.sankei.com/article/20241017-AEBKGSGRPZMN7EBF43MGFUUFOI/?outputType=theme_election2024 27日投開票の第50回衆院選について共同通信社は15、16両日、全国の有権者15万6千人を対象に電話調査を実施し、取材を加味して公示直後の序盤情勢を探った。 自民党は派閥パーティー収入不記載事件が響き低調。 公明党も伸び悩む。 立憲民主党は議席増へ勢いを見せる。 定数465議席の過半数(233)を巡り、与野党の攻防が続いている。 小選挙区では投票先未定が3割近くおり、今後、情勢は変わる可能性がある。 全289選挙区のうち、自民(公示前勢力256)がリードしているのは140程度にとどまり、接戦区が多い。 比例代表で令和3年前回選の72議席を下回るのは避けられない情勢だ。 単独過半数を維持できるかどうか予断を許さない。 不記載事件に関係し、公認されなかった候補の大半は厳しい戦い。 重複立候補が認められなかった候補も半数近くが先行されている。 立民は公示前の98議席(比例含む)を超える公算が大きい。 無党派層でも支持が拡大しつつある。 前回選で39だった比例議席も増やしそうだ。 日本維新の会は地盤の大阪府の小選挙区で堅調。 だが全国的に比例の支持の広がりがいまひとつで、公示前の43議席に手が届かない可能性もある。 公明は公認候補を立てた計11選挙区の全勝は難しい情勢。 維新と争う大阪府の4小選挙区で苦戦が目立つ。 埼玉14区に出馬した石井啓一代表も激戦。 比例も伸びを欠いており、小選挙区と合わせた公示前の32議席を堅持できるか微妙だ。 共産党は小選挙区1議席を維持しそうだ。 比例次第で、公示前の10議席程度の獲得が見込まれる。 国民民主党も公示前の7議席から上積みする勢い。 れいわ新選組は比例で複数議席を確保できそうだ。 社民は小選挙区の1議席死守へ全力を挙げる。 参政党は支持浸透が見られない。 政治団体 「日本保守党」 は複数議席を得る可能性がある。 自公、全国で苦戦 「政治とカネ」国民から厳しい視線、立民躍進 衆院選序盤調査 2024/10/17 5:05 https://www.sankei.com/article/20241017-AEPDUY4J7VP3RG6G4WBNPM3FXY/?outputType=theme_election2024 15、16両日に共同通信社が実施した衆院選の序盤情勢調査では、自民、公明両党が全国で苦戦している状況が浮き彫りとなった。 「政治とカネ」 の問題を受け、自民は一部を非公認とするなどの対応を取ったが、国民からの厳しい視線は向けられたままだ。 一方、立憲民主党は躍進する見通しだが、主要野党との候補者一本化は限定的で、立民が目標に掲げる 「比較第一党」 には届かなそうだ。 ■お詫びしながら臨む選挙 石破茂首相(自民総裁)は16日、香川県内でマイクを持ち、派閥パーティー収入不記載事件について 「こういうことが2度とないように、深く国民の皆さま方にお詫びをしながらこの選挙に臨んでいる」 と述べ、自公政権の継続を訴えた。 野党は不記載事件を巡って自民への批判を強めており、立民の野田佳彦代表は16日、新潟県内での演説会で 「裏金隠し解散だ」 「有権者がペナルティーを与えるしかない」 と主張した。 衆院選の勝敗ラインについて、首相と公明の石井啓一代表は、自公政権を維持するための最低条件となる両党での過半数(233議席)獲得と位置付ける。 自民の公示前勢力は256議席で、政権を奪還した平成24年の衆院選以降、4回連続で単独過半数を獲得してきた。 だが、自民の森山裕幹事長は14日の報道各社のインタビューで 「自民単独でどうするかということをまだ考える余裕はない」 と強調。 このまま低調な状況が続けば、自民が下野した平成21年衆院選以来の単独過半数割れの可能性も見えてくる。 自民は不記載事件に関係した旧安倍派幹部ら12人を非公認とし、30人以上の比例代表への重複立候補を認めない対応を取った。 国民の理解を得るために厳しい選択をした形だが、別の自民関係者は 「非公認で出馬となれば有権者の情が沸く可能性もあるが、党公認で立候補して比例重複だけ認めないというのは分かりにくい」 「理解を得られるだろうか」 と表情を曇らせた。 ■野党は候補者調整進まず 一方、野党は不記載事件での自民批判で足並みをそろえるものの、候補者調整は進まなかった。 289の小選挙区のうち、立民、共産両党は142の小選挙区で競合。 与党公認候補と、立民、日本維新の会、共産、国民民主党の主要4野党のいずれかの公認候補が 「一騎打ち」 で争うのは、52の小選挙区にとどまる。 立民の野田氏は 「最低限の目標は自公の過半数割れ」 と息巻くが、共産は野田氏の保守的な路線に反発、候補者調整は多くの小選挙区で整わなかった。 野党乱立の構図となった今回の衆院選では、与党への批判票が分散しており、今後の情勢次第では野党の議席数の伸びの足枷となりかねない。 <主張>衆院選と経済 物価高克服への道筋競え 成長を展望できる具体論を 社説 2024/10/17 5:00 https://www.sankei.com/article/20241017-KHQMFV4RCBJKVHZLRWQHWPRCYI/ 衆院選における与野党の論戦で、有権者が高い関心を寄せているのが経済政策である。 物価高にどう対処するのか。 賃上げの動きを確かなものにできるのか。 何よりも、日本経済は長期停滞を脱して将来への展望が開けるのか。 問われているのはそのための具体的な処方箋だ。 各党はこぞって給付金や減税などの聞こえのいい政策を並べているが、具体化への道筋や実現可能性を明確に示せなければ国民の納得は得られまい。 デフレ時代に戻らぬよう経済を底上げし、豊かさを実感できる持続的成長に繋げることが肝要だ。 各党には、バラマキに陥ることなく、中長期的に経済活力を高めるための効果的な戦略を競い合ってもらいたい。 ■「デフレ脱却」を確実に 日本経済は今、歴史的な転換期にある。 食品などの幅広い品目で値上げが定着するだけでなく、賃上げの動きは中小企業にも広がりを見せつつある。 「物価も賃金も上がらない」 というデフレ下の社会通念は着実に変化してきた。 既に日銀は利上げに転じ、デフレ脱却を眼目とする異次元緩和路線の修正に踏み出した。 「金利のある世界」 の復活は超低金利下での国債大量発行に支えられた財政運営にも変革を促す。 そうした情勢も踏まえて各党の政策を見極めねばならない。 当面の経済政策で課題となるのは、物価高に伴う消費の弱さである。 8月の実質賃金は3カ月ぶりに減少し、物価高に賃上げが追いつかない状況は今も残る。 ここに効果的な手を打てずデフレからの完全脱却が遠のけば元も子もない。 これは各党に共通する認識だろう。 自民党は公約で、人や技術への積極投資で成長力を強め、その果実を国民に分配すると訴えた。 岸田文雄前政権の路線を踏襲するものだ。 石破茂首相が唱える 「コストカット型経済」 からの脱却もそうである。 だが、それで十分なのか。 衆院選後には経済対策やそれを裏付ける補正予算の編成が予定される。 自民は当面の物価高対策として低所得世帯向けの給付金を約束した。 石破首相は昨年を上回る大型補正予算を編成する意向も示した。 ならば自民が目指す経済対策の中身について、もっと多くを明示すべきだ。 そもそもデフレからの完全脱却をいつ達成できると想定しているのか。 そのため優先すべき政策は何か。 これらを明確に示すことが与党である自民、公明党に求められる責務だろう。 野党の公約で目立つのは消費税や所得税などの減税・撤廃や社会保険料の引き下げだ。 消費を促し経済成長に繋げる狙いがある。 消費税については日本維新の会や共産党、国民民主党などが減税を訴え、れいわ新選組は制度の廃止を求めている。 そこに現実味はあるのか。 ■減税の必然性どこまで 物価高が深刻といっても、リーマン・ショックや新型コロナウイルス禍の時のような危機的状況ではない。 高齢化で社会保障費が膨らむ中で、安定財源の消費税に手を付ける必然性は吟味しなくてはなるまい。 国民民主は実質賃金が安定的にプラスになるまで税率を5%にするというが、これを元に戻すときには増税となり、景気を下押しする影響もあろう。 各党は減税の詳細をもっと語るべきだ。 具体的な道筋を示さなければ無責任である。 立憲民主党は現行の消費税の軽減税率に代えて中低所得者向けの 「給付付き税額控除」 を提案するが、制度の大幅変更を円滑に進められるのか。 納得できる説明を尽くすべきである。 「分厚い中間層の復活」 を掲げる立民の公約には、最低賃金引き上げや人への投資など自民と似通う部分もあるが、違いを浮き立たせたいのか、理解に苦しむ項目もみられる。 アベノミクスの象徴である 「2%」 の物価安定目標を 「0%超」 にすると打ち出したのもそうだ。 そもそも0%超は2%も含むので目標として曖昧すぎる。 2%に縛られない柔軟な金融政策を求めたいのだろうが、プラス圏でよしとする変更の結果、賃金の大幅増に向けた機運まで妨げられないか。 そうなれば脱デフレも見通せなくなろう。 与野党には、日本経済の生産性や国際競争力を高め、潜在成長率を向上させる成長戦略についても論じ合ってほしい。 デジタル化や規制緩和などの項目を羅列するだけではなく、優先順位を付けて確実に実行に移せるかどうかが問われよう。 40日抗争と首相の天命 阿比留瑠比の極言御免 2024/10/17 1:00 https://www.sankei.com/article/20241017-4FNAJUF63FN4XK2F5S34QSTADI/?outputType=theme_election2024 「本当に40日抗争の再来があるんじゃないか」 衆院選公示当日の15日、永田町でこんな予想がささやかれていると聞いた。 選挙結果がどうなるのかはまだ分からないのだから、現時点ではあくまで一つの見立てにすぎないが、あり得る話だと妙に得心した。 40日抗争とは、45年前の昭和54年10月の衆院選での敗北と過半数割れをきっかけに、自民党主流派の大平派、田中派と反主流派の福田派、三木派、中曽根派などが40日間にわたり繰り広げた派閥間の争いのことである。 このとき、自民党は首相候補を一本化できず、大平正芳首相と福田赳男前首相の2人が首相指名選挙に出る異例の事態となった。 結局、首相には大平氏が再選されたものの組閣は難航し、抗争はさらに続いたのだった。 古い話のようだが、今回の衆院選では自民、公明両党の獲得議席が目標の過半数(233)に及ばない可能性も指摘されており、もしそうなれば衆院解散を急いだ石破茂首相の退陣を求める声が、自民内から噴き出すのは必至である。 過半数に届かない場合、日本維新の会、国民民主党、保守系無所属議員らの取り込みや、新たな連立の枠組み作りが喫緊の課題となる。 仮に与党で過半数は確保できても、自民が大きく議席を減らせばやはり石破首相の責任論に直結する。 麻生太郎内閣の農林水産相でありながら、麻生氏に身を引くよう要請したり、第1次安倍晋三内閣時の参院選で自民が大敗した際、安倍氏の責任を厳しく問うたりした自らの過去の言動が襲い掛かってくる。 また、石破首相が 「党内融和より国民の共感」 だと強調し、パーティー収入不記載事件を巡って福田派の流れをくむ旧安倍派を狙い撃つかのような二重処分を断行したことで、抗争の芽は十分に育っている。 党の判断に従って政治倫理審査会に出席しなかった議員まで、説明責任を果たしていないと決めつけて非公認にした首相のやり方は、党内に分断の種をたくさんばらまいている。 40日抗争は尾を引き、抗争翌年の昭和55年5月に野党が内閣不信任案を提出すると、自民の反主流派は衆院本会議を欠席し、不信任案は可決された。 これを受けて大平氏は衆院を解散(ハプニング解散)して初の衆参同日選に打って出たが、選挙中に心不全で急逝している。 ■「天の声にもたまには変な声がある」 抗争に負けた福田氏は抗争前年の昭和53年には、現職の首相・総裁として本命視されていた自民党総裁選に敗れてこう述べた。 この場合、天の声とは党員・党友、つまり民の声のことである。 一方、安倍氏との一騎打ちとなった総裁選を控えた平成30年夏に香川県観音寺市で大平氏の墓参をした石破氏は、今回の総裁選前に出版した著書『保守政治家 わが政策、わが天命』の中でこう記している。 「もし私などが首相になるようなことがあるなら、それは自民党や日本国が大きく行き詰まった時なのではないか」 「しかも、それは天が決めること」 「天命が降りない限り、それはありえないということでしょう」 自らの首相就任は天命によるということか。 それでは、衆院選という民の声が直接反映される場面で、石破首相はどんな天の声、天命を知るだろうか。 まさか 「変な声」 「変命」 などと愚痴り出すことはないと思いたいが。 衆院解散 産経「外交・安保の政策論争を」 朝毎東 政治とカネで自民糾弾 社説検証 2024/10/16 9:00 https://www.sankei.com/article/20241016-VSS2FRVN6JPG5PKSB4GS7655UM/ 衆院選が15日に公示された。 投開票日は27日だ。 石破茂内閣は1日に発足したばかりで、首相就任から8日後の解散、26日後の投開票は戦後最短である。 主要各紙は解散翌日の社説で、石破氏が予算委員会も開かずに解散を急いだことを 「丁寧な論議をしなかった」(産経)、 「有権者が判断する材料は不十分」(毎日) などと、いずれも批判的に伝えた。 一方、 「政権選択の選挙」 である衆院選で、何が重視されるべきかについては見解が分かれた。 国民を守ることができる外交・安全保障政策の重要性を訴えた産経に対し、朝日、毎日、東京各紙は自民党の派閥パーティー収入不記載事件を巡る 「政治とカネ」 問題を挙げ、政治への信頼回復を重視した。 産経が指摘したのは、今回の衆院選が、日本を取り巻く安保環境が極めて厳しい中で行われるという現実だ。 政治とカネの問題が 「争点の1つになるのは当然だろう」 としつつも、解散当日の国会での党首討論で外交安保がほとんど語られなかったことを嘆き、各政党と候補者に 「日本を守り繁栄させる政策を大いに論じなければならない」 と強く促した。 特に政権交代を唱える立憲民主党に対しては、集団的自衛権の限定行使の容認を 「憲法違反」 とする立場であることを危惧し、このまま政権を取れば 「日米同盟は空洞化する」 と難じた。 読売も、政治とカネの問題で迷走する自民に苦言を呈しつつ、党首討論で立民などがこの問題の追及に大半の時間を費やしたことを疑問視し、 「日本が直面している課題はそれにとどまらないはずだ」 と強調した。 少子化対策や社会保障政策の必要性と共に、悪化した安保環境への対応を 「待ったなしの課題」 とし、議論を深めるよう呼び掛けた。 朝日、毎日、東京の社説は、安保環境の現実にはほとんど触れず、政治とカネの問題に紙幅を割いた。 毎日は、 「裏金問題は、不透明なカネを使って党勢を維持し、権力の座にあぐらをかく自民の実態を浮き彫りにした」 ととがめ、この問題に各党がどう向き合うかが 「今回の衆院選の最大の焦点」 と位置付けた。 東京も、今回の解散を 「裏金解散」 と呼び、裏金議員に 「職にとどまる資格があるのか否か」 「審判を下すのは私たち有権者だ」 と力説する。 石破首相が総裁選で訴えた政策の多くを棚上げしたことも批判し、 「自民党の『中身』が変わるかどうかを見極めねばなるまい」 とした。 朝日は、衆院選の争点を 「石破政権に対する審判」 だけでなく、 「岸田(文雄)前政権の3年間の実績への評価」、 更には 「7年8カ月に及んだ安倍(晋三)長期政権の総括」 に広げるべきだとする主張を展開した。 立民など野党に対しては 「どこまで国民の心を掴むことができるか」 「その真価が試される」 とし、 「自民への失望という『敵失』頼み」 でなく、 「信頼に足る政策を打ち出せる」 ことが重要と指摘した。 立民の野田佳彦代表は 「政権交代こそ、最大の政治改革だ」 と訴えている。 だが、もしも与党が過半数割れした場合、どんな政権ができるのか見えてこない。 産経は、新たな政権の枠組みを示さない立民を批判し、枠組みが曖昧なまま 「選挙区調整だけに走るとすれば、議会制民主主義の軽視となる」 と断じた。 逆に毎日は、個別政策で異なる部分があっても、野党は候補者を一本化し、 「裏金問題についての民意が投票結果に反映される構図を作り出すべき」 だと唱えた。 産経は、論争すべきテーマとして 「国の根幹に関わる憲法改正」 も挙げた。 国民の多くが自衛隊を認め、その活動に期待している。 にもかかわらず自衛隊は日本国憲法に明記されず、未だ多くの憲法学者が自衛隊違憲論を唱えている。 産経が指摘するよう、この 「異様な状態」 を早急に改めなければなるまい。 内外の情勢は混迷を極めている。 だからこそ各党、各候補者は、現実を踏まえ、将来を見据えた政策を訴えるべきだ。 ■衆院解散をめぐる主な社説 【産経】 ・日本守り抜く政策訴えよ/政権を託せるのはどの党か 【朝日】 ・政治への信頼取り戻せるか 【毎日】 ・自民政治のゆがみ問う時 【読売】 ・与野党の力量が問われている/国難を乗り越える処方箋を示せ 【東京】 ・「裏金」に審判を下そう(いずれも10日付) <産経抄>後世に胸張れる選択を、衆院選の公示 2024/10/16 5:00 https://www.sankei.com/article/20241016-PX4FA2XQORLYPMAHTK6SAE6G3I/ 選挙結果を国民の 「肖像」 に例えたのは、大正期に東京市長などを務めた後藤新平である。 どんな政党も、 「選挙という種板(写真の原板)に採影せられたる国民の写真である」。 写りの美醜に有権者も責任を負いなさい―と。 ▼大正14(1925)年に日本で普通選挙法が公布されてから、間もない頃の発言という(『大正・昭和戦前期 政治・実業・文化 演説・講演集』日外アソシエーツ)。 それまでの納税要件が廃止になり、満25歳以上の男子が選挙権を手に入れた。 ▼女性の選挙権は戦後まで待たねばならないものの、普選の幕開けから100年となる来年2025年は1つの節目だろう。 選挙権の行使について、後藤はこうも述べた。 「その醜い写真を修正し、後世、子孫に誇り得る立派な肖像を、我が憲政史上に残す用意と覚悟がなければならぬ」 と。 ▼卓説からほぼ100年経った今も、政治不信をどう拭うかが大きなテーマであり続けているのは残念でならない。 さりとて先送りできない課題は他にも山積し、有権者の肩に食い込む荷は重い。 こちらは節目の第50回となる衆院選が公示された。 ▼世界は緊迫の度合いを高めている。 台湾情勢の行方によっては、次の政権が 「有事」 に直面するかもしれない。 国家と国民を守る覚悟を持った政治家は誰か。 有権者の眼力が、これまで以上に問われる政権選択選挙になろう。 後世に恥じることのない肖像を残したいものである。 ▼「票」 という字は、細かい火の粉が舞い上がる様を表している。 政党や候補者が論戦に火花を散らし、票を奪い合うなら大歓迎である。 少子化や社会保障などの課題も待ったなしだ。 有権者の胸にくすぶる不安と不満の火を、大事な1票に託す選挙でもある。 <主張>衆院選公示 日本の針路掲げて論戦を 社説 2024/10/16 5:00 https://www.sankei.com/article/20241016-7IBUR7K47ZPCJOOKSB7FJKVUPM/ 第50回衆院選が公示された。 石破茂首相が率いる自公連立政権の信を問う選挙である。 有権者はどの政党、候補者に日本を託すべきかを十分吟味し、一票を投じてもらいたい。 今回の衆院選は 「1票の格差」 を是正するため、小選挙区定数を 「10増10減」 するなど、25都道府県の140小選挙区で区割りが変わった。 有権者はよく候補者を確認し、訴えに耳を傾け、投票では間違いのないようにしたい。 日本を取り巻く安全保障環境は厳しい。 日本の独立と繁栄、国民の生命と暮らしがかかった政権選択選挙である。 有権者はこのことを自覚し、投票先を決めてほしい。 臨時国会では論戦の時間が短く、国民に十分な判断材料を提示したとは言い難い。 各党、各候補者は選挙戦で具体的な政策を示し、在るべき日本の針路を丁寧に論じねばならない。 「政治とカネ」 の問題が衆院選で問われている。 同時に国民を守り抜く外交安保政策に関し議論を深めるべきである。 首相は岸田文雄前首相の路線を継承する姿勢を示しているが、総裁選で掲げたアジア版NATO(北大西洋条約機構)構想の検討を自民に指示した。 首相に曖昧さがあるのは否めない。 立憲民主党は日米同盟が基軸だと主張する一方で、集団的自衛権の限定行使は 「憲法違反」 との立場を崩さず、同盟強化に逆行している。 各党は防衛力の抜本強化と抑止力向上の具体策を競い合うべきだ。 少子化対策も重要な争点の1つだが、給付拡大の訴えが中心で、財源確保策について各党は余り語ろうとしていない。 これでは無責任である。 物価高に負けない持続的な賃上げによるデフレからの完全脱却の方策についても、議論を尽くすことが求められよう。 北朝鮮による拉致問題や国の根幹である憲法改正について、活発な論戦になっていないのは残念だ。 憲法改正で与野党論議を主導すべき首相は、自衛隊明記や緊急事態条項創設の意義について国民の理解を深めるべく、もっと説かねばならない。 安倍晋三元首相暗殺で要人警護の在り方が見直されてから初の大規模な国政選挙である。 暴力による言論封じは許されない。 警備に万全を期したい。 <主張>衆院選討論会 重要政策の論議を続けよ 社説 2024/10/13 5:00 https://www.sankei.com/article/20241013-SDOHJLP4KNKB3MKF2FXZ2JKJUY/ 15日の衆院選公示を前に、日本記者クラブ主催の党首討論会が開かれた。 先の臨時国会では専ら 「政治とカネ」 の問題が取り上げられた。 今回の討論会では国内外の諸課題についても議論が展開され、有意義だった。 政治への信頼を回復する上で政治資金の問題は重要である。 同時に、実際の国政運営でどのような政策を遂行していくかを示すことは欠かせない。 有権者にとって投票の判断材料になるからだ。 ただし、理解に苦しむ場面もあった。 石破茂首相は解散前の国会論戦に関し 「有権者が判断する材料をきちんと提供しなければ無責任だ」 「私は一生懸命自分の言葉で答えた」 と語った。 予算委員会を見送ったにもかかわらず、首相の認識は世間の感覚からかけ離れている。 首相は立憲民主党の野田佳彦代表にウクライナへのロシア侵略を巡り、なぜ抑止が破綻したのか見解を質した。 これに対し、野田氏は東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議にバイデン米大統領が欠席したことを引き合いに出し、 「国際会議に米国を呼び込む外交努力はもっと大事だ」 と述べた。 抑止の破綻について正面から答えない無責任な態度だった。 立民が訴えている 「給付付き税額控除」 については、他党から過去との矛盾を指摘する声が上がった。 旧民主党の野田政権時に当時の安住淳財務相が、税額控除の申請が膨大な数に上ることが想定されるため 「難しい」 と語っていたためだ。 野田氏は整合性のある答えを示せなかった。 野党連携に関し 「対話を続ける」 と述べたが、衆院選後に想定する連立の枠組みを明らかにしなかったことはおかしい。 首相には安全保障政策で不明瞭な発言があった。 アジア版NATO(北大西洋条約機構)の構成国に中国を含むのかを問われ、 「一切の可能性を排除しない」 と述べた。 中国が構成国になり得る国に変化する場合には、アジア版NATOはそもそも要らないではないか。 憲法改正については国民民主党の玉木雄一郎代表が緊急事態条項の創設に関連し、大規模災害時などの国会機能維持について早期の改正を促したが、それ以上深まらず残念だった。 <主張>石破首相の初外遊 国際秩序の担い手となれ 社説 2024/10/12 5:00 https://www.sankei.com/article/20241012-YV3266KOENKKBGBAY5YZN6CNSM/ 安全運転の外交デビューではいささか物足りない。 石破茂首相は自由で開かれたインド太平洋、国際秩序の担い手として首脳外交を積極的に展開していく必要がある。 石破首相が就任後初めて外遊した。 ラオスで東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の首脳会議に出席し、日中、日韓などの首脳会談を行った。 衆院解散後でもラオスへ足を運んだのは妥当だ。 バイデン米大統領の姿はなく、日本の首相も不参加なら李強首相が出席する中国の存在感が高まってしまう。 石破首相の外遊はそれを防ぎ、日本がASEANと連携する意思を示す意義があった。 ASEANと日中韓3カ国の首脳会議で石破首相は、中国を念頭に 「力や威圧による一方的な現状変更の試みを許容してはいけない」 と牽制した。 日中首脳会談では 「戦略的互恵関係の包括的推進」 で一致した。 李首相に対し、中国軍の動向への深刻な懸念を伝えた。 日本人男児刺殺事件や中国軍機の領空侵犯について説明を強く求めた。 中国が拘束する邦人の早期釈放や日本の排他的経済水域(EEZ)内の中国ブイの即時撤去、日本産水産物輸入の早期再開も促した。 台湾海峡の平和と安定の重要性を指摘した。 日韓首脳会談ではシャトル外交の継続や安保協力の推進などで一致した。 石破首相はラオスで、持論のアジア版NATO(北大西洋条約機構)構想を封印した。 岸田文雄前首相の外交路線を踏襲した形で、日本の抱く懸念を李首相に直接伝えたこともあり、初外遊は無難に遂行したと見做されているようだ。 だが中国と戦略的互恵関係など築ける時代なのだろうか。 また、石破首相は自民党総裁選でアジア版NATOを不用意に掲げたため、ASEAN諸国から不安視される中でのスタートだった点を忘れてはならない。 マイナスからの出発で安全運転に徹しても存在感は示せない。 フィリピンのマルコス大統領はASEANと中国の首脳会議で南シナ海問題を巡り中国を直接批判した。 石破首相も日中の個別会談だけでなくASEAN首脳の前でも名指しで中国の問題行動を難じるべきだった。 ベトナム首相と会談したが、日越比の首脳会談を開く選択肢もあったのではないか。 <主張>政治とカネ 再発防止策も丁寧に語れ 社説 2024/10/11 5:00 https://www.sankei.com/article/20241011-DR2B2U63YFPI3ED6H4HTFQGRQA/ 事実上始まった衆院選では 「政治とカネ」 を巡る問題が争点となっている。 自民党はパーティー収入不記載事件に関連し前議員らを非公認にしたり、比例代表への重複立候補を認めなかったりする方針だ。 野党は 「不十分だ」 と批判している。 野党との対決を前に、石破茂首相による党内の非主流派潰しの様相を呈しているとの指摘も出ている。 有権者の投票判断の材料にすべき課題は他にもある。 政治資金の透明性確保と事件の再発防止の具体策だ。 立憲民主党、日本維新の会、公明党、国民民主党などは、政党から国会議員に支出される使途の報告義務がない 「政策活動費」 の廃止を訴えている。 自民は公約に 「将来的な廃止も念頭に」 改革に取り組むと記した。 首相は今回の衆院選では 「使うことはある」 と語った。 立民が先の通常国会でパーティー禁止法案を提出しながら、同党幹部らが開催していたことを想起させるものだ。 党務を預かっていた茂木敏充前幹事長は自民総裁選で、廃止は可能と語っていた。 今の自民の姿勢は有権者から見て分かりにくい。 国会議員に支給される調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の使途公開は、衆院選後の国会で直ちに関連法を改正して実現すべきだ。 政治資金を監視する第三者機関の制度設計も急がれる。 立民、維新、共産党などが唱えている企業・団体献金の禁止には賛成できない。 企業や労働組合なども民主主義社会の構成員である以上、政治活動の自由は認められるべきだ。 一般国民からの個人献金が定着していない日本で企業・団体献金を禁止すれば、世襲ではない人や、業界団体、宗教団体などの背景を持たない人にとって選挙活動は極めて不利になる弊害も出てくる。 企業・団体の幹部が分散して、個人として献金する抜け穴を塞ぐことも難しい。 却って日本の議会制民主主義を後退させかねない。 一方、外国人・外国法人のパーティー券購入禁止の議論が低調なのは残念だ。 国政が外国勢力からの影響を受けるのを防ぐために禁止は欠かせない。 不記載事件の動機は今も分かっていない。 自民は明らかにする責任がある。 <主張>衆院解散 日本守り抜く政策訴えよ 政権を託せるのはどの党か 社説 2024/10/10 5:00 https://www.sankei.com/article/20241010-KWGTCTQYKVIWLBZR4XMFA2XQJM/ 衆院が解散され、事実上の選挙戦が始まった。 解散は天皇陛下の国事行為である。 石破茂内閣は臨時閣議で 「15日公示、27日投開票」 の日程を決めた。 衆院選は3年ぶりだ。 新首相の就任から8日後の解散、26日後の投開票は戦後最短の決戦となる。 衆院選は政権選択選挙だ。 各政党と候補者は有権者の前で、日本を守り繁栄させる政策を大いに論じなければならない。 解散を前に国会で行われた党首討論で石破首相(自民党総裁)は、派閥パーティー収入不記載事件への対応を批判され防戦一方となった。 ■安全保障をなぜ語らぬ 政治資金の透明性確保や不記載事件の再発防止を進め、政治への信頼を取り戻すことは重要だ。 政治とカネの問題が争点の1つになるのは当然だろう。 ただし、党首討論は衆院選を前に、日本の将来に向けた政策を競い合う場でもあるべきだった。 ところがそうならなかったのは、全閣僚出席の予算委員会を開いて丁寧な論議をしなかったことが響いている。 石破首相の所信表明演説後、代表質問と党首討論をしただけで解散したのは残念だった。 石破首相と自民は、不記載議員らの一部を対象に非公認の数を増やしたが、有権者が評価するかは不透明だ。 党首討論では外交安全保障がほとんど論じられなかった。 日本を取り巻く安全保障環境が極めて厳しい中で信じ難いことである。 習近平中国国家主席の共産党総書記の任期の関係から、台湾有事が令和9(2027)年までにあるかもしれないと危惧されていることを忘れたのか。 「台湾有事は日本有事」 と言われる。 今回の衆院選で選ばれる議員と彼らが指名する首相は、台湾有事を抑止するため働き抜かねばならない。 もし有事になれば、先頭に立って国家国民を守り抜く重責を担う。 有権者はそれに相応しい議員を選ばなければなるまい。 全ての政党と候補者は現下の国際情勢に対する認識と、今後起こり得る危機の抑止と対処の具体策を語るべきだ。 野党第一党の立憲民主党の安全保障に関する姿勢は、極めて危うい。 日米同盟の抑止力を格段に高めた集団的自衛権の限定行使の容認を 「憲法違反」 とする立場だからだ。 立民の衆院選公約は、限定行使を認める安保関連法について 「違憲部分を廃止する」 という従来方針を踏襲した。 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の辺野古移設工事は 「中止」 すると明記した。 この政策のまま政権をとれば日米同盟は空洞化する。 旧民主党の鳩山由紀夫政権が同盟の危機を招いた二の舞いとなるだろう。 これも分からない立民の野田佳彦代表に果たして政権担当能力があるだろうか。 ■立民は政権枠組み示せ 立民は、衆院選での与党過半数割れや政権交代の実現を叫んでいる。 にもかかわらず、この目標を達成した時の新たな政権の枠組みを示していないのはおかしい。 これでは有権者の判断材料が揃わない。 目指す政権の枠組みを曖昧にして選挙区調整だけに走るとすれば、議会制民主主義の軽視となる。 選挙戦で聞きたいテーマの1つが、国の根幹に関わる憲法改正だ。 日本国民の多数が自衛隊を認め、期待する時代になった。 ところが多くの憲法学者は自衛隊違憲論を唱えている。 このような異様な状態は改めたい。 憲法への自衛隊明記は改憲に前向きな各党で意見集約が進んでおり、是非早期に実現したい。 改正のゴールは 「戦力不保持」 を定めた第9条2項の削除と軍の規定の創設だ。 そうなって初めて世界の他の民主主義国と同様に国民を守る体制が整う。 首都直下地震、南海トラフの巨大地震などの大規模災害や有事への懸念が高まる中、緊急政令を含む緊急事態条項の創設も急務である。 各党が論じるべき政策課題は他にもある。 物価高に負けない持続的な賃上げによるデフレからの完全脱却、原発を含むエネルギーの在り方、少子高齢化を背景にした人口減少などだ。 国民受けする政策だけでなく 「痛み」 を伴う改革にも真摯に向き合わなければならない。 言行不一致は国民の不信を招く。 各党、各候補者は誠実に言葉を紡いでほしい。 <主張>代表質問 安全保障の論議不十分だ 社説 2024/10/9 5:00 https://www.sankei.com/article/20241009-N3ZCWLPEKJIFNBCCPHJ3MP7ZMA/ 石破茂首相の所信表明演説への国会の代表質問が終わった。 政権選択選挙である衆院選を前にした国会である。 「政治とカネ」 を巡る問題が盛んに議論された。 その一方で、日本の独立と繁栄の基盤となる安全保障の論議が深まらなかったのは残念だ。 自民党議員は中国軍の領空侵犯や領海侵入、空母「遼寧」の接続水域航行、ロシア軍の領空侵犯を取り上げ、小野寺五典政調会長は 「国民の命と暮らし、領土・領海・領空を守り抜く」 ことを求めた。 日本維新の会の馬場伸幸代表は台湾有事について質した。 首相が最近の著書で 「『台湾有事、即日本有事』となる可能性は相当低い」 と指摘しているからだ。 馬場氏は 「対中抑止力や国民の国防意識を削ぐことになる」 と懸念を示した。 首相は 「仮定の質問に答えるのは差し控える」 とした上で 「台湾海峡の平和と安定は国際社会の安定にとっても重要だ」 と指摘した。 国防の決意と具体策をもっと語る必要がある。 物足りなかったのは野党第一党の立憲民主党である。 野田佳彦代表が首相のアジア版NATO(北大西洋条約機構)構想に関し 「日米同盟の抑止力に疑念があると思われかねない」 「非現実的ではないか」 と疑問を呈したのは妥当である。 だが、立民として日本をどう守るつもりかを語らなかった。 対中認識を含む現下の国際情勢に対する見方も示さなかった。 田名部匡代参院幹事長はロシアに侵略されたウクライナで、なぜ抑止力が効かなかったのかを質した。 ウクライナ問題を論ずるのではなく、アジア版NATOを巡る首相の言行不一致を引き出したかっただけのようだ。 安保政策を十分語らずに政権交代を迫っても、説得力は感じられない。 憲法改正については自民、立民、維新などが質問した。 首相は緊急事態条項の創設や自衛隊明記について、自民内の議論を 「後戻りさせることなく、前に進めていく決意だ」 と語った。 同時に、任期中に国会への発議を実現したいとし、憲法審査会で議論を深めるよう求めた。 ただ、それだけでは足りない。 首相や憲法改正に前向きな政党は、どの項目をいつまでに条文化したいのかを明らかにすることも重要である。 <主張>中東の戦火拡大 なぜNSCを開かぬのか 社説 2024/10/3 5:00 https://www.sankei.com/article/20241003-4YRNMLACHBI6FNK2GDIOJIQ5N4/ 石破茂首相に問いたい。 なぜ国家安全保障会議(NSC)を開催しないのか。 中東の戦火が拡大しているからである。 イスラエルがレバノンの首都ベイルートにある親イラン民兵組織ヒズボラの本部を空爆し指導者ナスララ師を殺害した。 ヒズボラの脅威を除こうとイスラエル軍はレバノン南部へ侵攻した。 ヒズボラの後ろ盾であるイランは報復と称しイスラエルに向けて大規模な弾道ミサイル攻撃を行った。 米英両軍などが協力して迎撃したが一部が着弾し、被害が出た。 イランの対イスラエル直接攻撃は4月以来だ。 どちらも中東有数の軍事大国だ。 双方に自制を求めたい。 ただし事態がエスカレートすれば 「第5次中東戦争」 になりかねない。 日本や世界のエネルギー供給にとっても、経済情勢にとっても、何より中東地域の邦人の安全にとっても、看過できない緊迫した状況である。 日本は一連の事態を遠い地域の出来事と見做すのではなく、自らの問題と捉え、対応しなければならない。 石破首相は2日、イランの弾道ミサイル攻撃を非難し 「全面戦争に拡大しないように(米国などと)連携を取りたい」 と述べた。 そうであるならば、石破首相は、NSCの4大臣会合などを開き、邦人保護や万一の際のエネルギー需給、イスラエル、イラン双方への働きかけについて協議すべきである。 国家安全保障局や外務省の幹部と面会したが、それだけでは足りない。 NSCを開催すれば、日本企業や現地の邦人に対応を促すシグナルにもなる。 石破首相が自民党総裁に当選した9月27日に、岸田文雄内閣の木原稔防衛相はレバノンからの邦人退避に備え、航空自衛隊のC2輸送機を近隣のヨルダンとギリシャへ派遣する命令を発した。 レバノンには約50人の邦人が滞在している。 政権末期でも邦人保護へ動いた岸田政権の対応は妥当だ。 退避では韓国との相互協力も進めたい。 ただし、レバノンからの邦人退避の備えは日本が為すべき対応の一部に過ぎない。 戦火が一気に拡大しかねない時代だ。 危機は政権交代の事情など勘案しない。 石破首相には内閣発足直後であろうと国民を守り抜いてほしい。 <主張>自民総裁に石破氏 保守の精神踏まえ前進を 外交安保政策の継承が重要だ 社説 2024/9/28 5:00 https://www.sankei.com/article/20240928-ZQWPFHRUFBPALP3NUGABOBDVAI/ 自民党総裁選で、石破茂元幹事長が高市早苗経済安全保障担当相を決選投票で破り、新総裁に選出された。 10月1日召集の臨時国会で首相に指名され、宮中での認証式などを経て、石破内閣が発足する見通しだ。 石破氏は当選後、 「安全安心な国にするため全身全霊を尽くしたい」 と語った。 ほとんどの派閥が解散を決めたこともあって史上最多の9人が立候補し、激しい総裁選となった。 石破氏は1回目の投票で高市氏に次ぐ2位だった。 決選投票の票差は21票で、党内基盤は強いとは言えない。 ■「挙党態勢」が問われる 政治とカネの問題で自民をみる有権者の目は依然として厳しい。 石破氏と自民は挙党態勢で国政運営に当たる必要がある。 党役員や閣僚の人事は適材適所の観点で、総裁選のライバル候補を含め起用すべきだ。 党所属国会議員は結束して新総裁を支えてもらいたい。 石破氏と自民に求めたいのは保守の精神を尊重、堅持することだ。 自民は党綱領で 「日本らしい日本の確立」 を謳い、自らを 「保守政党」 と位置付けている。 この基本線から外れるべきではない。 総裁選で論じられた選択的夫婦別姓の導入は見送るべきである。 石破氏は前向きな姿勢を示してきたが、保守政党が取り組む課題ではない。 家族や社会の根幹に関わる話だ。 片方の親と子の 「強制的親子別姓」 を意味し、戸籍制度も揺らぐ。 個人の自由の問題とは言えず、自民どころか社会の分断を招きかねない。 旧姓使用の充実で対応してもらいたい。 国家と国民を守り抜く外交安全保障は政治リーダーにとって最も重要な責務だ。 安倍晋三元首相は 「自由で開かれたインド太平洋」 構想を国際社会に示し、限定的ながら集団的自衛権の行使容認を実現した。 菅義偉前首相は米国と共に 「台湾海峡の平和と安定の重要性」 を打ち出した。 岸田文雄首相は5年間の防衛費43兆円、反撃能力の保有を決め、防衛力の抜本的強化を開始した。 石破氏は安倍氏以降の外交安全保障を確実に継承し、発展させなければならない。 中国やロシア、北朝鮮といった核武装した専制国家の脅威をどう捉えているかを語ってほしい。 ウクライナ支援の継続も重要だ。 心配なのは、石破氏がアジア版NATO(北大西洋条約機構)の具体化に意欲を示した点だ。 創設には憲法問題の解決や各国との比較的長期の交渉などに相当の年月と大きな政治エネルギーを要する。 数年先の発生も懸念される台湾有事の抑止を優先すべきではないか。 日米同盟の対処力と抑止力の強化も欠かせない。 ■男系の皇統を守り抜け 北朝鮮による日本人拉致問題の解決も急がれる。 石破氏は 「東京と平壌に連絡事務所を開設して交渉の足掛かりとする」 と唱えてきた。 家族会は時間稼ぎに利用されるだけだと懸念している。 まず、家族会などと真剣に語り合ってほしい。 千年、二千年の視野で日本を守るため、安定的な皇位継承策を確立すべきである。 自民は、男系(父系)による継承を堅持する内容の岸田内閣の報告書に賛同する立場だ。 石破氏は総裁選でこの党の方針に従うと表明した点を強調しておきたい。 自民は来年、結党70年を迎える。 憲法改正は党是であり、改憲原案の条文化を臨時国会中に完成させるべきだ。 憲法への自衛隊明記は最優先だ。 首都直下地震などの大規模災害や日本有事への懸念が高まっている。 緊急政令を含む緊急事態条項創設も急務である。 自民総裁として与党公明党の説得にも努める必要がある。 日本が抱える課題は他にもある。 物価高を上回る持続的な賃上げを確実なものとし、デフレからの完全脱却を目指してもらいたい。 少子高齢化を背景にした人口減少への対策や社会保障制度改革も欠かせない。 政治とカネの対応は引き続き重要だ。 パーティー収入不記載事件の再発防止と政治資金の透明性確保を確実にしたい。 信頼を取り戻さなければ、政策は遂行できまい。 早期の衆院解散・総選挙が取り沙汰されている。 臨時国会では所信表明演説で国家観と政策の全体像を披露すると共に質疑にも応じ、国民に投票の判断材料を示すべきである。 川口クルド人問題、突如衆院選争点に浮上「私におまかせを」埼玉2区、全く触れない候補も 「移民」と日本人 2024/10/16 12:10 https://www.sankei.com/article/20241016-M2LPK63JJZLGHB5FX4XFJEJGOQ/?outputType=theme_election2024 27日投開票の衆院選埼玉2区は、トルコの少数民族クルド人と地域住民との軋轢が表面化している川口市の大部分が選挙区だ。 「地元国会議員が動いてくれない」 との指摘も出る中、今回の選挙では突如、争点に浮上。 公示日の15日、JR川口駅前では 「クルド人問題を解決する」 と公約する候補も現れた。 川口は外国人問題で有名になった 「ルール違反の外国人問題、おまかせください!」 日本維新の会前職の高橋英明氏(61)陣営の選挙カーから、運動員の女性がこう呼び掛けた。 前回は比例復活で初当選。 今年2月の衆院予算委ではクルド人を念頭に地元の外国人問題を取り上げ、当時の岸田文雄首相に対応を求めた。 選挙カーの上でマイクを握った高橋氏は経済再生などを訴えた後、クルド人らも混じる通行人に向かって 「この川口は外国人問題で全国的に有名になってしまった」 と切り出した。 「ルールを守らない外国人は一旦国に帰ってもらって、きちんとした在留資格で来てもらう」 「支援団体もそういうことを手助けすべきだ」 と指摘し、警察官の増員などを訴えた。 ■この機会だから申し上げる 9選を目指す自民前職で前経済再生相の新藤義孝氏(66)は、選対本部長に奥ノ木信夫市長を迎え、駅前広場に自民、公明両党の県議や市議ら約25人を集めて出陣式。 150人以上の聴衆に向かって経済再生などを論じた後、 「もう1つ大事なことは治安の確保だ」 と地元の課題に話題を転じた。 「いわゆるクルド人問題」 「この機会だから申し上げるが、難民認定申請を繰り返し、10年も20年も川口にいる人たちが増えてしまった」 と、自身の選挙で初めてクルド人問題を明確に取り上げた。 新藤氏は自身の政策チラシにも 「クルド人問題の解決」 と明記。 この日の演説で、6月施行の改正入管難民法で難民申請中の強制送還停止が原則2回までに制限されたことについて 「法改正まで5年かかった」 と実績として触れ、 「ルールを守ってこその共生だ」 「川口をあやふやな出入り自由の街にはさせられない」 と声を張り上げた。 ■なぜ外国人問題に触れるのか 一方、共産新人で元県議の奥田智子氏(55)は川口駅頭で第一声を上げたが、約13分間の演説で外国人問題に触れることはなかった。 演説後、奥田氏になぜ触れなかったか尋ねたところ、 「逆に聞くが、なぜ触れるのか」 「演説の内容は私が選べる」 「触れない理由は敢えて言わない」。 地元のクルド人問題への対応については 「国の政治が悪すぎる」 「それに尽きる」 と入管政策を批判した。 立民新人で歯科医師の松浦玄嗣(もとつぐ)氏(52)も川口駅前での出陣式では外国人問題について言及しなかったが、配布した政策チラシに 「外国人労働者の処遇に明確な法整備を求める」 と掲げた。 取材に応じた松浦氏は 「外国人を労働者としてなし崩し的に受け入れるから問題になる」 「川口で起きていることは10年後、20年後、必ず国全体の問題になる」 「外国人を移民として受け入れるのか、鎖国するのか、ロボットやAIに頼るのか、政治家は国民と議論しなければならない」 と語った。 ■早く目に見える成果を この他、埼玉2区には諸派新人で不動産会社社長の津村大作氏(50)が立候補。 7月の東京都知事選にも出馬した津村氏は今回、強制送還を拒む不法滞在者の入管施設への収容を一時的に解く 「仮放免制度」 の廃止を訴えている。 クルド人の危険運転などに困っているという地元の男性会社員は 「選挙で取り上げられるようになったのは一歩前進だが、市民の間ではまだまだ『政治家は何もしてくれない』との思いが強い」 「早く目に見える成果を挙げてほしい」 と話していた。 ▽埼玉2区立候補者(届け出順) 奥田 智子55元県議 共新 高橋 英明61党県代表 維前 新藤 義孝66前経済再生相 自前 津村 大作50会社社長 諸新 松浦 玄嗣52医療法人役員 立新 政治とカネが最大の争点、有権者の声「選挙後の追加公認釈然としない」「企業献金禁止を」 2024/10/15 12:07 https://www.sankei.com/article/20241015-ULEGDW5RYVPYNDYFO3B7JOEKGI/?outputType=theme_election2024 自民の派閥パーティー収入不記載事件を受け、 「政治とカネ」 が最大の争点とされる今回の衆院選。 有権者はどのような論戦を望むのか。 京都市左京区の主婦(72)は不記載事件について 「50万円でも100万円でも脱税と言われても仕方がない」 と指摘。 自民は不記載があった候補を非公認としたり、比例代表への重複立候補を認めない措置をとったりしたが、 「選挙後に追加公認する可能性があることは釈然としない」 と述べた。 大阪市浪速区の無職の男性(71)は 「政治家は国民の税金から報酬や活動費を得ているのだから、企業献金は禁止すべきだ」 とした上で、 「約束を実行できる候補者や政党に票を投じたい」。 京都市左京区の自営業、久保元昭さん(78)は 「不記載事件については候補によって額がそれぞれ違っており、有権者の判断に委ねるべきだ」 と話した。 一方、政治とカネ以外の課題への対応に注目するという有権者も。 大阪市西成区の会社員、神野瑠璃さん(49)は 「外交・国防政策を重視している」 「台湾有事など安全保障環境が厳しい中、中国に対しきっちりとものを言ってくれる候補を選びたい」。 大阪市北区の主婦、糟谷千恵子さん(78)は 「大阪の経済対策をちゃんとやってほしい」 「物価高に関しては工夫をして何とかやっているが、大阪に必要なお金を国から持ってきてくれる候補かどうかを重視している」 と語った。 兵庫県尼崎市の阪神出屋敷駅前で候補者の街頭演説を聴いていた同市の無職、近橋保憲さん(66)も 「政治とカネの問題も大事だが、それ以上に私たちの生活を守るのが大事」 といい、 「物価抑制などの経済対策や雇用対策を有効に実行してほしい」 と訴えた。 第50回 衆議院選挙 きょう公示 2024年10月15日 5時03分 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241015/k10014609431000.html 第50回衆議院選挙が15日に公示されます。 今回の選挙は、与党が過半数の議席を確保して連立政権を継続するのか、野党が勢力を伸ばして与党を過半数割れに追い込むのかが最大の焦点となります。 第50回衆議院選挙は15日に公示され、小選挙区と比例代表、合わせて465議席をめぐって争われます。 NHKのまとめによりますと、14日までに、 ▽小選挙区で1108人 ▽比例代表単独で230人 合わせて1338人が立候補を予定しています。 政党別では、小選挙区、比例代表の順で ▽自民党が266人と76人の合わせて342人。 ▽立憲民主党が207人と30人の合わせて237人。 ▽日本維新の会が163人と1人で合わせて164人。 ▽公明党が11人と39人の合わせて50人。 ▽共産党が213人と23人の合わせて236人。 ▽国民民主党が41人と1人の合わせて42人。 ▽れいわ新選組が19人と16人の合わせて35人。 ▽社民党が10人と7人の合わせて17人。 ▽参政党が85人と9人の合わせて94人。 ▽みんなでつくる党が小選挙区のみで6人。 ▽日本保守党が4人と26人の合わせて30人。 ▽安楽死制度を考える会が比例代表のみで2人。 ▽諸派と無所属が小選挙区で83人となっています。 今回の選挙は、与党が過半数の議席を確保して連立政権を継続するのか、野党が勢力を伸ばして与党を過半数割れに追い込むのかが、最大の焦点となります。 289ある小選挙区のうち、与党側は大半の選挙区で候補者を擁立し、野党側は各党が、それぞれ党勢拡大を目指して擁立作業を進めてきました。 12日間の選挙期間中、政治とカネの問題を受けた政治改革のあり方や、物価高対策をはじめとする経済政策、厳しい国際情勢に対応するための外交・安全保障政策などをめぐり、激しい論戦が交わされる見通しです。 立候補の受け付けは ▽小選挙区は、各都道府県の選挙管理委員会で ▽比例代表は、総務省にある中央選挙管理会で いずれも、15日午前8時半から行われます。 ■村上総務相 公示にあたり談話を発表 衆議院選挙の公示にあたって、村上総務大臣は 「選挙は、国民が主権者として政治に参加する最も重要かつ基本的な機会だ」 「有権者の皆様には、積極的に投票に参加し、みずから考え、判断することによって、代表者としてふさわしいと考える方を選出されるよう期待する」 「候補者や選挙運動関係者には、選挙のルールを順守し、国民の信頼と期待に応えられるよう希望してやまない」 「今回の選挙は、小選挙区の区割り改定が行われて以降、初めての衆議院選挙で、選挙の管理執行にあたる方々は、厳正かつ公正を旨として選挙の管理執行にあたるとともに、小選挙区の区割り改定内容の周知や有権者の投票参加を促す啓発に取り組んでいただくようお願い申し上げる」 という談話を発表しました。 ■各党 声明など発表 衆議院選挙の公示にあたって、各党は声明などを発表しました。 自民党 日本をどのように守り抜くか、次の時代に向けてどんな社会を創っていくか、国民に選択をいただく重要な選挙だ。 政治の信頼なくして政策の推進はない。 厳しい反省と危機感の上に立ち、ルールの順守を徹底し、信頼回復に全力で取り組む。 今、求められているのは、確かな政策と実行力で政治を着実に前へと進めていくことだ。 皆様の納得と共感のもと『この国に生まれてよかった』と思っていただける国づくりを全身全霊で進めていく、 としています。 立憲民主党 自民党派閥の裏金事件を発端として、政治不信が極まっている中、石破総理は、能登半島を支援するための補正予算編成や、十分な国会での議論に応じることなく『裏金隠し解散』を強行した。 本気の政治改革を実現するため全党一丸となって選挙戦に臨む。 アベノミクスで広がった格差を是正し『分厚い中間層の復活』を実現する。 自公を過半数割れに追い込み、第一党となって政権交代を果たす覚悟だ、 としています。 日本維新の会 政治と金の問題で地に落ちてしまった政治への信頼を回復するため、政治改革を真に実行する候補者を選択する選挙だ。 既得権益としがらみを断ち切れない現政権に、古い政治を続けさせるわけにはいかない。 与党を過半数割れに追い込むことにより、この国のかたちを根本から変える力を与えていただくよう訴えていく、 としています。 公明党 日本経済の再生、少子高齢化対策などを強力に進め、成果を上げている自民・公明両党の連立政権を選ぶのか、政権の枠組みを示せない野党に政治のかじ取りを委ねるのか選択が問われる。 結党以来、政治腐敗と闘い実績を重ねてきた公明党が政権にいるからこそ、政治改革を前に進めることができる、 としています。 共産党 自民党政治は『表紙』を替えても政治の中身は変わらないことが明らかになっている。 国民の願いが通らないのは自民党の政治の根本に、財界・大企業の利益を優先し、日米軍事同盟を絶対視する『2つのゆがみ』があるからだ。 共産党がのびてこそ日本の政治は変えられる」としています。 国民民主党 国民のふところを豊かにする政治家を選ぶのか、自分のふところを豊かにしようとする政治家を選ぶのかが問われる選挙だ。 裏金問題に決着をつけることを訴え、国民の『手取りを増やす』経済政策を掲げて戦う。 真面目に働けば給料が上がる社会を取り戻そう、 としています。 れいわ新選組 『失われた30年』の原因は労働環境破壊と逆進性の強い消費税を不況下で何度も増税したことが大きい。 失われた30年と人間の尊厳を取り戻す。 消費税は廃止、社会保険料減免、現金給付が必要だ、 としています。 社民党 今回の選挙は『税金はくらしに!日本を立て直す選挙』であり、『自民党政治を終わりにする選挙』だ。 この衆院選はまさに平和憲法9条を守れるのかどうかの天王山の闘いだ、 としています。 参政党 『日本をなめるな!』このスローガンのもと、参政党は日本の再興に挑む。 守りだけでなく攻めの姿勢で本来自民党がやるべきだったことを、我々参政党が引き受ける、 としています。
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