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特定秘密漏えい、裏金接待、カラ手当…こんな自衛隊で大丈夫か 膨れる予算、隊員のストレスもパンパンな内実(東京新聞)
http://www.asyura2.com/24/senkyo294/msg/859.html
投稿者 蒲田の富士山 日時 2024 年 7 月 12 日 12:49:10: OoIP2Z8mrhxx6 ipeTY4LMlXiObY5S
 

2024年7月12日 12時00分

https://www.tokyo-np.co.jp/article/339555

 度重なる不祥事で12日に大量処分が予定されている防衛省・自衛隊。「特定秘密」漏洩(ろうえい)で海上幕僚長が引責辞任の意向を示しているほか、裏金作りやハラスメントも相次ぐ。単発のトラブルもあるが、組織で長く引き継がれてきた問題が目立つのが特徴だ。防衛費の急増を受け、拡大を続ける自衛隊で何が起きているのか。(山田雄之、森本智之)

◆海自、陸自、空自、統幕、背広組も…
 特定秘密のずさん運用は、陸自、空自、統合幕僚監部、背広組中心の内部部局(内局)にも広がる。3日には、潜水艦を受注する川崎重工業が捻出した裏金で海自の乗組員が飲食接待などを受けていたことも判明。複数の潜水隊員が実際は潜水していないのに手当を受け取ったことや、内局の複数幹部のパワハラ行為も明らかになった。
 10日に開かれた自民党の国防部会と安全保障調査会の合同会議で批判を受けた松本尚防衛政務官は「ご心配とご迷惑をおかけしている」と陳謝している。
 自衛隊基地のある街で注視する人たちは、不祥事の連続をどう見ているのか。

◆運転手が聞いた「いじめてやった」
 海自呉基地に加え、新たな防衛拠点計画が浮上した広島県呉市。市民団体「日鉄呉跡地問題を考える会」共同代表の西岡由紀夫さんは、「防衛費が43兆円と膨れ上がって浮かれているんじゃないだろうか。不信感しか生まれない」と憤る。
 川重からの接待問題については「上意下達の組織で、長年にわたり続いていたのは闇深さを感じる」と指摘。酒井良海上幕僚長が引責辞任の意向を示しているが、「組織を解体するぐらいの意気込みでの抜本的改革が必要だ」と訴える。
 「組織にたまっていたストレスのマグマが一気に表面化した」と話すのは、神奈川県横須賀市の市民団体「ヨコスカ平和船団」の鈴木茂樹さん。2年前まで市内でタクシー運転手をしており、海自隊員や防衛大学校の学生から「勤務がきつい」「いじめてやった」「いじめられてる」といった言葉をよく耳にしたという。「軍備増強で業務が増える一方で、人員不足が慢性化している。ストレスがたまりやすい構造の中、上手に発散ができない結果なんでしょうね」

◆そもそも、何が特定秘密だったのか
 「原子力空母の横須賀母港問題を考える市民の会」共同代表の呉東正彦弁護士も「『またか』が正直な印象だ。川重の接待や、相次ぐパワハラは組織の風通しが悪い証拠だ」とみる。「処分だけでなく、二度と起こさないよう再発防止策を講じなければならない」
 ただ特定秘密のずさん運用には、「処分の前に考えるべき問題がある」とくぎを刺す。「何が特定秘密に当たったのか、そもそも、本当に特定秘密にするべき情報だったのか。われわれには状況が分からないまま、情報統制だけが厳しくされていくのは許されるべきではない。客観的に検証できる仕組みが必要だ」

◆10人でやるべき仕事を6人で
 元海将で自衛艦隊司令官を務めた香田洋二氏は「これだけ問題があちこちで噴出しているということは、順法精神や職業倫理、部隊の規律などさまざまな面で組織が弛緩(しかん)していたと言わざるを得ない。言い訳の余地がない」と指摘する。
 香田氏は「絶対にあってはいかんことです」と繰り返しつつ、不祥事が続発する背景を推察する。「中国やロシアの艦船の活動が活発になり、そのたびに現場では、警戒監視活動にものすごい時間を割かれている。任務が増えているのに、現場では慢性的な人手不足。10人でやるべき仕事を6人でやるような状況があちこちで起きている」

◆「石を抱かされても黙る」からバレない
 その上で、戦闘指揮所に特定秘密の無資格隊員を配置した問題について危惧する。「任務を達成するのに十分な人員がいない状況で、無資格運用をやらざるを得ない状況があったのでは。規則違反で、弁解の余地はない。ただ、現場を締め上げるだけでは根本的な治療にはならない。実力以上の仕事を現場に求めない工夫も必要だろう。こうした背景の問題に手を打たないと、同じようなことは3自衛隊どこでも起きうる」
 元海上自衛官で軍事ライターの文谷数重氏は「国民の血税をないがしろにしかねない」として、潜水艦乗組員と川重の癒着疑惑を特に問題視する。
 文谷氏によると、潜水艦は修理などの際にメーカーの工場に入り、乗組員はメーカー側の担当者と付きっきりで作業をする。「どこを修理するか、どの部品を交換するかはある程度、乗組員で決められるので、メーカーが慣習的にサービスを続けてきたのでは。潜水艦乗りは、石を抱かされても秘密を守る。口が堅く、フネ(自艦)のことは他の海上自衛官にも話さない。だから長い間続いたのでは」

◆国会が閉会したタイミングで発覚
 潜水艦は川重と三菱重工業の2社が交代で受注。「当事者が限られ密接な関係になりやすい。競争性も働きにくい」と構造的な課題も指摘する。
 一方、特定秘密の問題なども含め大型の不祥事が相次いで発覚したことには「政治的な影響が少なくなるよう、国会が閉会したタイミングを狙った可能性はある」とも述べた。
 不祥事は海自にとどまらず、内局でのパワハラ事案も複数確認されている。今年6月には陸上自衛隊でパワハラ被害の公益通報内容を所属部隊に漏らされたとして、北海道の50代の男性自衛官が国に慰謝料などを求め提訴している。

◆多額の予算、組織拡大のおごり
 自衛官からハラスメント相談を受けている元自衛官で軍事ジャーナリストの小西誠氏は「この10年ほど相談は増えている。昔は下士官クラスから一般隊員へのいじめのような内容が多かったが、最近は上級幹部から下級幹部へのパワハラが増えている」と述べる。
 中国をにらんだ南西シフトによる現場の業務量の増加に加え、防衛予算の大幅な増大で現場の隊員だけでなく内局の事務作業量も膨大になっているという。「あらゆるところにひずみが出ている。抜本的な対応を取らなければ、解決しない」
 軍事ジャーナリストの前田哲男氏は一連の不祥事について「要因はさまざまだろうが、共通するとすれば、第2次安倍政権以降続いた防衛省・自衛隊の拡大に対する反動といえる」と指摘し、こう推測する。
 「川重の問題は、多額の予算が割かれ組織が拡大することのおごりがあったのではないか。南西シフトが進み、人が不足する中で現場は過剰な任務や緊張を強いられている。そういう重みが一気に噴き出たように見える」

◆デスクメモ
 「組織にたまっていたストレス」「組織の風通しが悪い」「組織が弛緩していた」—。不祥事続出に対し「組織」という言葉が並んだ。個々の行為に問題があるのは当然だが、個人への処分だけではもう解決できないということだろう。どう改めるべきか。国会での議論も求められる。(本)

【関連記事】「職場にいられなくなるぞ」口止め、もみ消し…防衛省ハラスメントの実態は 「旧軍隊のあしき体質」変われるか
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コメント
1. 維新大嫌い[630] iNuQVpHljJmCog 2024年7月13日 00:33:43 : EkOGRdV5NE : cWxrc2luSjZ1ZUU=[508] 報告
もしあの国が日本に攻めて来たら、
自衛隊の上層部は真っ先に安全な場所に逃げそうだな
2. evilspys[307] goWCloKJgoyCk4KQgpmCkw 2024年7月13日 16:07:33 : LY52bYZiZQ : aXZHNXJYTVV4YVE=[17418] 報告
防衛省218人処分の影響は? 兵庫県知事が改めて辞職否定 - 2024.07.13
時事ぽぽんぷぐにゃん
2024/07/13
https://www.youtube.com/watch?v=ZAtEd7P7H1Y
3. 蒲田の富士山[2448] ipeTY4LMlXiObY5S 2024年7月13日 20:01:32 : QJAqEihZF2 : LnRCR3QxVU1HWEk=[8] 報告
<■106行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
小西誠という人の名前、見覚えがあったので、Wikiで見てみた。
ああ、そうだった、反戦自衛官だった人。

―――以下引用(Wiki)

小西 誠(こにし まこと、1949年3月5日)は、日本の実業家。社会批評社社長。元航空自衛官・ジャーナリスト・軍事評論家。宮崎県串間市出身。著作に「反戦自衛官」など。

略歴

1949年、宮崎県串間市に生まれる。中学卒業後、航空自衛隊生徒隊(自衛隊生徒)に入隊し、修了後は佐渡分屯基地に配属される(『反戦自衛官』合同出版1970年)。
在隊中に法政大学法学部通信課程に通い、当時の全共闘と交流する。学生運動とは意見を異にしていたが、その「自己否定」などの思想的影響は受ける。この影響のなかで、自ら自衛隊内での「民主化」などの行動を決意する。
70年安保闘争を前にして、自衛隊の治安出動訓練が開始されるが、同訓練開始に反対して、佐渡分屯基地内に大量の反戦ビラを張り出すと共に、1969年10月、全隊員の前で治安出動訓練の反対を表明するとともに同訓練を拒否し、逮捕される。
1969年11月22日、「政府の活動能率を低下させるサボータージュを煽動した」として、自衛隊法第64条違反(煽動罪)で起訴される。1970年7月から新潟地方裁判所で裁判が開始され、戦後初の自衛官の政治裁判として注目された。この裁判には、全国から100人を超える弁護団が編成され、特別弁護人として憲法学者の江橋崇、星野安三郎、軍事評論家の藤井治夫、剣持一巳らが加わるなどして、自衛隊・自衛隊法の違憲性を問う憲法裁判となった。
しかし、新潟地裁は、1975年、「検察側の証明不十分」で無罪という、憲法判断を回避した判決を下した。東京高等裁判所で行われた控訴審では審理不十分として新潟地裁に差し戻したが、その差し戻し審では1981年、「小西の行為は言論の自由の範囲内」として、憲法判断を回避した無罪判決を出した。検察側は控訴せず、無罪判決は確定した。一方、小西は、同時期に「命令違反」などを理由に懲戒免職処分を受けていたため、「免職取消・原隊復帰」を求めて東京地方裁判所に提訴していたが、処分から27年たった1997年、東京地裁は小西の訴えを却下した。
この裁判の間、そしてそれ以後も小西は、自衛隊隊内で自衛隊員を組織化する運動を続け、1981年には市ヶ谷兵士委員会を立ち上げるなど、自衛隊内の「民主化」などの運動を行っている。小西は、イラク反戦運動が始まる中で「米兵・自衛官人権ホットライン」を立ち上げ、その事務局長として現在も自衛官の人権相談などに応じている。
また、小西は軍事評論家としても様々な執筆・評論をおこなっているが、1990年から出版社(社会批評社)を立ち上げ[1]、軍事問題、日本新左翼運動における「内ゲバ」の犯罪性を厳しく批判し、内ゲバを大衆運動の場から一掃することを中心とする出版活動をおこなっている。2002年に中核派機関紙「前進」は、小西の活動を「反革命」と規定し「粉砕」「打倒」を呼びかけた。最近の小西は平和問題にも力を入れ、『日米安保再編と沖縄―最新沖縄・安保・自衛隊情報』(2010年)、『サイパン&テニアン戦跡完全ガイド―玉砕と自決の島を歩く』(2011年)、『グアム戦跡完全ガイド―観光案内にない戦争の傷跡』(2011年)の執筆など、アジア・太平洋戦争の戦跡の調査にも力を入れている。また、政府による沖縄・南西諸島の要塞化計画にも言及しており、「マスコミは全滅でこの問題を一切報道しない」「平和運動関係者の関心も低い」と事実上批判している。

自衛官人権ホットライン相談室

2003年5月、イラク戦争が始まり、自衛隊イラク派遣が開始されたため「米兵・自衛官人権ホットライン」(ブログ)を東京で開設した。2010年にイラク戦争への自衛隊派兵、米軍派兵も終了したことから「自衛官人権ホットライン」として名称を変更した。
瀬戸内寂聴・いいだももなど、著名人が発起人・共同代表となっており、事務局長は元反戦自衛官の小西誠。小西の他、元自衛官・現役自衛官が、隊員たちのパワハラ・いじめ、退職強要など、隊内のあらゆる人権相談に応じている。
2004年4月には、ホットライン在イラク駐在の渡邊修孝がイラク武装勢力に人質になり、その存在が一部の人に知られるようになった。しかし、日常的には、自衛官の自殺・いじめなどの地道な相談に乗る活動を続けている。小西によると、ここ10年の自衛隊の大再編もあって、自衛隊員の自殺やいじめが大幅な増加傾向にあり、ホットラインへの相談も増しているという。その活動を紹介した著作が最近発行された『自衛隊 この国営ブラック企業―隊内からの辞めたい 死にたいという悲鳴』(社会批評社刊)である。
自衛隊内にも同じようなホットラインはあるが、小西によると、この隊内の相談機関では、隊員の相談内容が勤務先の上官に漏れ伝わってしまい、ほとんどここでは相談しなくなっている。こういう事態の中で、自衛隊とは完全に独立した、外部(市民の)の人権相談機関である「自衛官人権ホットライン」が役立っている可能性もある、と主張している。

主な著作

『反戦自衛官 : 権力をゆるがす青年空曹の造反』(合同出版、1970)
『自衛隊の兵士運動 : 反戦兵士の闘い』(三一新書「三一書房」、1978)
『反戦自衛官 : 裁かれる自衛隊』(JCA出版、1980)
『マルクス主義軍事論入門 : プロレタリア革命と軍事問題』(新泉社、1983)
『現代革命と軍隊 : 世界革命運動史の血の教訓』(新泉社、1984)ISBN 4916117220
『隊友よ、侵略の銃をとるな』(社会批評社、1989)ISBN 4916117166
『危機の認識 : 変わりゆく国際軍事情勢と国連・PKO』(社会批評社、1992)ISBN 4787762052
『新左翼運と運動その再生の道』(社会批評社、2000)ISBN 4916117409
『自衛隊の対テロ作戦 : 資料と解説 』(社会批評社、2002)ISBN 4916117492
『中核派vs反戦自衛官 : 中核派議長・清水丈夫の徹底批判』(社会批評社、2002) ISBN 4916117506
『自衛隊(秘)文書集 : 情報公開法で捉えた最新自衛隊情報』(社会批評社、2002) ISBN 4916117573
『自衛隊そのトランスフォーメーション : 対テロ・ゲリラ・コマンドウ作戦への再編』(社会批評社、2006)ISBN 4916117700
『日米安保再編と沖縄 : 最新沖縄・安保・自衛隊情報』(社会批評社、2010)ISBN 9784916117878
『サイパン&テニアン戦跡完全ガイド : 玉砕と自決の島を歩く』(社会批評社、2011)ISBN 9784916117915
『グアム戦跡完全ガイド : 観光案内にない戦争の傷跡』(社会批評社、2011)ISBN 9784916117939
『本土決戦戦跡ガイド : 写真で見る戦争の真実 Part1』(社会批評社、2012)ISBN 9784916117991
『シンガポール戦跡ガイド』(社会批評社、2014)ISBN 9784907127084
『フィリピン戦跡ガイド』(社会批評社、2016年)ISBN 4907127197
『自衛隊この国営ブラック企業 : 隊内からの辞めたい死にたいという悲鳴』(社会批評社、2014)ISBN 9784907127114
『オキナワ島嶼戦争:自衛隊の海峡封鎖作戦』(社会批評社、2016)ISBN 9784907127213
『自衛隊の島嶼戦争 資料集:陸自「教範」で読むその作戦』(社会批評社、2017)ISBN 9784907127237
『自衛隊の島嶼戦争 資料集:自衛隊の幹部用教範が定めるその作戦(PART2)』(キンドル版・社会批評社、2019』
『自衛隊の南西シフト:戦慄の対中国・日米共同作戦』(社会批評社、2018)ISBN 9784907127251
『要塞化する琉球弧:怖るべきミサイル戦争の実験場』(社会批評社、2019年)ISBN 490712726X
『ミサイル攻撃基地化する琉球列島:日米共同作戦下の南西シフト』(社会批評社、2021年)ISBN 4907127286

4. 蒲田の富士山[2449] ipeTY4LMlXiObY5S 2024年7月14日 07:21:09 : QJAqEihZF2 : LnRCR3QxVU1HWEk=[9] 報告
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「自衛隊全体が疲れ切った状態」…ヘリ衝突事故から見えた海上自衛隊の「課題」 任務が増え過ぎた理由とは(東京新聞)
2024年4月24日 12時00分

https://www.tokyo-np.co.jp/article/323130

 海上自衛隊のSH60K哨戒ヘリコプター2機が墜落し、1人が死亡した事故。潜水艦を探知する「最重要任務」の訓練中に衝突した可能性が高いとされ、異常な接近を防げなかった原因が焦点となっている。ヘリ同士の衝突事故は国内外問わず相次いでおり、通常の飛行機と異なるリスクがあるとの見方も。中国や北朝鮮への対応で訓練時間が足りないとの指摘もあるが、どのような対処が必要か。(西田直晃、山田祐一郎)

◆「通常よりも実戦に近い訓練」
 「通常よりも実戦に近い訓練をしていた」。23日午後の記者会見で、海自制服組トップの酒井良海上幕僚長はこう語った。事故は20日夜に発生。ヘリ3機が潜水艦を探知する対潜水艦戦(対潜戦)の訓練中、それぞれ4人ずつが乗る2機が空中で衝突したとみられる。見つかった1人の遺体は横須賀基地に搬送された。
 厚木基地に運ばれたフライトレコーダー(飛行記録装置)の解析では、22日時点で機器の異常は確認されていない。

◆接近時の警報システムは遮断
 注目されているのが、複数機が無線を通じ、機体の位置情報を共有したり、接近時に警報を鳴らしたりする「僚機間リンク」というネットワーク構築のシステムだ。SH60Kから導入された機能だが、衝突した2機は切られていた。
 海幕長の会見によると、このシステムは任務や状況によって活用しない場合もあるという。2機が別の任務を担っていた可能性も浮上しているが、元海自幹部で軍事評論家の文谷数重氏は「今回に関しては、互いのヘリが至近距離に入り込む形での対潜戦訓練が行われていたと思われる。警報は鳴りっ放しになるので、切断することが許されていたのでは」とみる。

◆従来の訓練より「衝突の危険性が高い」
 今回の訓練では、音波を発信し、反響音から潜水艦の位置を調べるソナーを2機が海中にぶら下げていた。文谷氏によると、以前は音を集めるソノブイを投入し、潜水艦が発する雑音を聴取する探索法が一般的だったが、1990年代以降には潜水艦が高性能化し、音を出さなくなり、今回のような手法が使われるようになっているという。
 「3機で海面に『の』という字を、渦巻き状に描いていく形だと推測される。それぞれが順番に次のポイントに移動し、ソナーを海中にぶら下げる。その際は海面に近い高さをとる必要があるので、あまり高度を変えず、僚機の脇を抜ける形となる。ソノブイを用いる訓練よりも衝突の危険性は高い」

◆夜間の超低空飛行
 2機にはそれぞれ、機長と副操縦士、2人の航空士が搭乗していた。それでも、「互いに衝突コースに位置してしまっても、気付けないケースはあり得る」と文谷氏。「夜間、しかも超低空飛行なので、操縦かんを握る機長と副操縦士は、操縦に加え、海面衝突や(方向や速度を把握できなくなる)空間識失調への警戒などで余力がなくなりがちだ。航空士も必要な作業が多く、僚機の見張りに注意力をあまり割けなかったのかもしれない」
 僚機間リンクが接続されていなかった点について、軍事ジャーナリストの清谷信一氏は「運用上の問題、整備上の問題いずれも考えられるが、防衛省は機密扱いとして発表せず、推測の域を出ない」と話す。
 事故当時は幹部が部隊の作戦遂行能力を確認、評価する訓練査閲中だったが、「定期的に行われ、普通の訓練よりも気合が入る程度のものだ」と首をかしげる。「海自パイロットは中途退役が目立ち、人手が圧倒的に足りない。規模を縮小しないと成り立たないはずなのに、実際はその逆で隊員にしわ寄せが来ている。疲労蓄積もあったのでは」
 
◆民間、軍用問わず国内外で相次ぐ衝突
 今回の事故の詳しい原因はまだ不明。だが、ヘリコプター同士の衝突事故は民間、軍用問わず国内外で起きている。
 民間機では、1996年4月、長野市で発生した山林火災で、取材のため現場を飛行していた地元テレビ局2社のヘリが接触して墜落し、6人が死亡。運輸省航空事故調査委員会(当時)の報告書で、両機が同じ現場上空にいた防災ヘリの動きに気を取られたか、その他の理由で十分な間隔を保てずに接触したと結論づけた。

◆取材や観光のヘリが…
 2007年7月には米アリゾナ州で、警察とトラックのカーチェイスを生中継していた地元テレビ局2社の取材ヘリ同士が衝突、墜落して4人が死亡した。23年1月には、オーストラリア・ゴールドコーストで観光用ヘリが墜落し4人が死亡した。
 航空評論家の青木謙知氏は「固定翼機同士よりヘリ同士のほうが事故が多いかどうかは不明」としつつ、「民間ヘリは操縦士が自分の目で確認できる有視界飛行の条件下であれば、どこを飛行するかは自由。ただ、同じ目標を目指し、現場上空に密集する場合は注意が必要だ」と指摘する。
 ヘリの空中衝突は、軍用機でも相次ぐ。米軍では、01年にハワイ州で、23年にケンタッキー州でヘリ同士が衝突する事故があり、いずれも死者が出た。国内では、02年に大分県九重町で陸自ヘリ同士が衝突して4人が死亡。21年7月には鹿児島県奄美大島沖で、今回墜落した機と同型のSH60K同士が接触、損傷した。
 これらの事故はいずれも夜間の訓練、演習で発生している。青木氏は「計器を使う軍用機も、訓練で編隊を組む際は距離が近くなる。特に夜間は、難易度は高くなる」と強調する。

◆背景に緊迫する対外情勢?
 今回の事故の背景として、近年の緊迫する対外情勢を指摘する声もある。米外交・安全保障専門誌東京特派員の高橋浩祐氏は「特に海自は、北朝鮮による相次ぐミサイル発射への対応や尖閣諸島周辺での中国船の領海侵入に対する警戒など実任務が増加している。現場の隊員からは、訓練機会や期間が圧迫されている現状を問題視する声が聞かれる」と明かす。
 米国をはじめとする他国との共同訓練も増えている。23年版防衛白書によると、自衛隊が参加した多国間共同訓練は22年度は46回で、13年度の19回の2倍以上に増えた。その一方で、海自や自衛隊全体の人員は定員割れが続き、人手不足にあえぐ。

◆「現場にしわ寄せ」の指摘も
 高橋氏は「任務増加が直接、影響しているかは分からないが、現場はしわ寄せを感じている。仕事が増えているのに人が入ってこない現状は組織にひずみをもたらす。隊員の安全確保を何より最優先すべきだ」と訴える。
 軍事評論家の前田哲男氏は「本来、自衛隊は専守防衛で外敵からの攻撃に対する『拒否力』だった。それが安保法制によって『抑止力』と位置付けられて敵基地攻撃能力も認められることになり、能力を超える任務を抱えている。自然災害の際の対応への期待も無視できず、自衛隊全体が疲れきった状態だ」と現状を言い表す。人員や予算を増やすよう求める声も上がるが、「日本全体の人口や社会が縮小する中、防衛力で中国に対抗し続けるのは困難だ」とする。
 山口大の纐纈(こうけつ)厚名誉教授(政治学)は「今回の訓練が軍事的にも政治的にも必要性・妥当性があるのか」と疑問を呈した上でこう訴える。「いたずらに国家間の緊張を高めるのではなく、恒常的な和平への道を模索・提案することで緊張関係を軽減することに全力を挙げることが必要だ」

◆デスクメモ
 遠く離れた海域で起きた事故。深海に沈んだ機体の引き揚げも容易ではない。加えて、「海の忍者」とも呼ばれる潜水艦を探知する訓練は秘中の秘だ。それでも今は捜索と原因究明に手を尽くし、結果を公開してほしい。同じ事故を繰り返さない教訓として。後進の人たちのために。 (本)

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5. 蒲田の富士山[2456] ipeTY4LMlXiObY5S 2024年7月15日 06:47:59 : QJAqEihZF2 : LnRCR3QxVU1HWEk=[16] 報告
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特定秘密「漏えい」の定義知らなかった…海上自衛隊の認識不足 一方で「秘密保護の仕組みが問題」との声も(東京新聞)
2024年7月13日 06時00分

https://www.tokyo-np.co.jp/article/339809?rct=politics

 防衛省は12日、国の安全保障に関わる「特定秘密」の不適切運用やパワハラ、手当ての不正受給などの不祥事で、最高幹部ら218人(延べ220人)を処分した。うち懲戒処分は、海上自衛隊トップの酒井良海上幕僚長ら計117人。酒井氏は19日付で退職するが、事実上の更迭とみられる。事務方トップの増田和夫次官、制服組トップの吉田圭秀統合幕僚長、陸上幕僚長と航空幕僚長、情報本部長の最高幹部計5人は内部規定に基づく訓戒となった。200人以上が一斉に処分されるのは極めて異例の事態。

 ◇  ◇

◆安全保障に関する特定秘密の漏えい・扱いの瑕疵は58件
 防衛省によると、安全保障に関わる機密性の高い「特定秘密」の漏えいや取り扱いの瑕疵(かし)は合わせて58件あった。このうち特定秘密を扱う資格のない自衛隊員を秘密を知り得る環境に置いた事案は35件。防衛省は「組織的な要因」があったと結論づけた。10年前に施行した特定秘密保護法が、現場で正確に理解されないまま運用されていたことも判明。秘密保護の徹底を目的とした同法の限界も露呈した。
 海上自衛隊トップの酒井良海幕長は12日の記者会見で、「漏えいの定義をしっかり部隊に認識させることができず、秘密保全や教育など、組織全体として問題があった」と釈明した。

◆無資格者を「知り得る状態」に置くことも漏えいに該当
 特定秘密保護法では、漏えいは誰かに漏らすだけでなく、映像や会話も含めて特定秘密を無資格者に知り得る状態に置くことも該当する。海上幕僚監部は、知り得る状態に置くことが漏えいに当たると認識しておらず、戦闘指揮所(CIC)などでの保全措置が不十分だったと認定した。
 具体的には、護衛艦の艦内にあるCICなどの区画には、レーダーやソナーによって得た周辺海域の外国船などの航行情報や、自艦の状態が表示されるモニターが複数設置されている。これらの情報には特定秘密が多く含まれるが、同法に基づき、秘密を扱うための身辺調査を伴う「適性評価」を受けた隊員と受けていない隊員が混在していた。

◆「10年間放置されたのが問題」
 防衛省幹部は取材に、「省内で漏えいの定義を組織全体に共有していれば、海自でも対策が取れた。10年間それが放置されたのが問題だ」と話す。同省は今後、再発防止策として、CICの勤務者と立ち入る可能性がある全隊員に適性評価を受けさせるとした。
 特定秘密の指定対象は防衛、外交、スパイ防止、テロ防止の4分野。2023年末時点で各府省庁が751件を特定秘密に指定し、防衛省分が6割を占める。適性評価の保持者計13万5000人の内訳は、外務省や警察庁など26機関にまたがるが、漏えい違反が確認されたのは防衛省・自衛隊だけだ。
 NPO法人「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長は「業務に支障を来すような秘密保護の仕組みがそもそも問題だ。秘密保護を優先する法律の建前と、運用現場のちぐはぐさが明らかになった」と指摘。不必要な情報まで指定されている恐れもあり、「指定の妥当性を国会などがチェックするべきだ」と強調する。(川田篤志)

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