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※紙面抜粋
※2024年6月21日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
解散するべきだ(岸田内閣不信任決議案の趣旨弁明をする立憲民主党の泉健太代表。岸田首相=右)(C)日刊ゲンダイ
今月23日の日曜が会期末の通常国会は、21日金曜が事実上の最終日だ。20日は立憲民主党が衆院に提出した岸田内閣の不信任決議案が審議され、自民・公明の反対多数で否決された。
不信任案をめぐって衆院本会議場で繰り広げられた各党の討論を、インターネットの衆院公式ビデオライブラリーなどでぜひ見て欲しい。自民党という政党の盗人猛々しさ、厚顔無恥、開き直りに呆れるとともに、怒りが込み上げてくるはずだ。
不信任案の趣旨弁明で立憲の泉代表は、自民の派閥裏金事件は全容解明が進まず、関係議員の説明も不十分だと批判。19日に成立した改正政治資金規正法についても「不合格、落第点だ」と断じた。その上で岸田首相にこう迫った。
「資金集めばかりに熱心な自民党政権はもう変えなくてはいけない。解散して下さい。国民に信を問いましょう」
これに対し、自民党・西銘恒三郎議員の反対討論は酷かった。岸田が前日の党首討論で使った言い訳やご託をコピペし、裏金温存の「ザル法」を正当化。「『禁止、禁止、禁止』『廃止、廃止、廃止』と聞こえのいい看板を掲げ、将来に無責任な野党とは覚悟も中身も違う」とがなり立てたのだ。それに拍手する自民議員。まさに、恥を知れ、である。
解散すれば与党過半数割れ必至
世にもふざけた裏金幕引きで、自民は「一件落着」の魂胆だが、冗談ではない。
裏金づくりの温床になった政治資金パーティー券は公開基準を5万円超に引き下げたが、回数を増やせばこれまで通り匿名で資金集めができる。二階元幹事長の50億円を筆頭に、巨額の資金が使途の公開義務なくばらまかれている政策活動費は、10年後の領収書公開という事実上のノーチェック。政治を歪める企業・団体献金の廃止は議論すらされずスルー。これまでと何も変わらないどころか、「改悪法」のそしりを免れない。
超ド級の政治不信を招いておいて、裏金づくりの理由や目的、使途など実態解明も結局、テキトーにやり過ごした。
18日に行われた安倍派・元会計責任者の裁判の被告人質問で、「幹部議員がキックバックの復活を要求」「幹部協議で復活やむなしの結論に至った」などという証言が出ているのだから、岸田は今からでも再調査すべきだろう。
「火の玉となる」宣言はどうなったのか。そもそも、岸田派も裏金事件で元会計責任者が立件され、有罪が確定している。岸田自身が自らの責任について、国民の判断に委ねると言ったことを忘れてはいけない。
ザル法を成立させた岸田は、衆院を解散して国民に信を問うのが筋だ。イギリスのスナク首相もフランスのマクロン大統領も、国民の信を問うため、議会を解散した。これぞ民主主義であり、国民主権である。
しかし岸田は、衆院解散ヤルヤル詐欺を繰り返した挙げ句、結局、断念した。
政治評論家の野上忠興氏が言う。
「内閣支持率16%です。今、解散総選挙をしたら、自民党は惨敗、与党の過半数割れ必至。鈍感力と能天気の岸田首相でも、さすがにそれは分かる。選挙で負ければ政権から引きずり降ろされるわけですから。もっとも国民の側からすれば、解散総選挙は大歓迎。みな岸田首相に嫌気がさしている。世論調査で政権交代を望む声が、自公政権の継続を上回っている。国民は早く『審判させてくれ』と思っていますよ」
盗人が居直る政治だからカネがかかる
「萩生田百合子」にも鉄槌を(C)日刊ゲンダイ
20日は東京都知事選挙が告示された(来月7日投開票)。岸田の政権運営に与える影響を考えると、この選挙も重要だ。「#萩生田百合子」を勝たせたら、自民党はますます反省せず、我が物顔で裏金をつくり続けるに違いない。
姑息な現職の小池百合子陣営は徹底した自民隠し。第一声はわずかの支援者を集めただけの狭い室内で行い、赤ん坊を抱っこした母親たちを招いて「チルドレンファースト」をアピール。さらに驚いたのが、立候補届け出直後の午前10時ごろに小池の公式Xに投稿された次の文言だ。
〈今回も政党の推薦は受けず、完全無所属での立候補です〉
ア然ボー然。何が「完全無所属」だ。小池のバックに自公がいることを、有権者はみな知っている。
小池と戦う蓮舫前参院議員の応援弁士として街宣車で演説した立憲の辻元清美参院議員が、「萩生田さんも小池さんの横に立って応援演説したらどうか」とズバリ核心を突いていたが、決して2人が並ぶことはないだろう。それでも自民は「勝てば官軍」。衆院3補欠選挙や地方選挙での連敗を吹っ飛ばせると期待している。それが“小池抱きつき”の理由だ。だから「#萩生田百合子」を勝たせちゃいけない。
「公認候補も推薦候補も立てられず、小池氏に便乗してステルスで支援。政権政党がそこまで芝居がかったやり方をするとは、それほど追い詰められている証左です。しかし、世論は甘くない。裏金問題で深まった自民党への不信感は簡単には消えません」(野上忠興氏=前出)
自民は下野すべし
これ以上、自民党が政権に居座れば、裏金温存、カネ集め至上主義の政治が続く。「民主主義にはコストがかかる」という岸田や麻生副総裁の戯言がまかり通る。しかし、繰り返すが、政治にカネがかかるのではなく、自民党は政治にカネをかけているのだ。
企業・団体献金をたっぷりもらって、企業・団体に便宜を図り、自分もいい思いをする。パー券で裏金、政党支部への脱法寄付で税優遇。盗人が居直る政治だからカネがかかる。
昔ながらの金権・利権政治が当たり前に横行する自民党に今、問われているのは、カネの力で政治が左右される弊害だ。カネによって政策が歪められることが問題なのである。
本物の改革により、カネのかかる腐敗政治から脱却するためには、都知事選でも、どんな選挙でも、反自民のマトモな政党を勝たせることが極めて重要なのである。
立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)が言う。
「裏金事件を受けた今国会の審議で分かったのは、自民党にとって『企業・団体献金』『政治資金パーティー』『政策活動費』が権力維持の源だということ。だから、どんな法改正をしようが、この3つを廃止できない。廃止するには自民党を下野させるしかなく、そのためには、この先のあらゆる選挙で自民を敗北させることです。地方選で連敗が続けば、『国政選挙で自分たちも同じ目に遭う』と今以上に震え上がるでしょう。有権者はとにかく、あらゆる選挙で投票に行って、自民を政権から引きずり降ろす意思表示をすべきです」
不信任案を採決した、20日の衆院本会議直前の自民党の代議士会で、岸田(総裁)がいないことに腹を立てた議員が「総裁がこの場で挨拶すべきだ」と批判、他の議員からも拍手が起きたと話題になっている。代議士会は騒然とし、「政権末期だ」との声が漏れたとも。
もはや岸田政権は持たないし、自民も下野した方がいい。岸田にそれを分からせるために必要なのは、この先のあらゆる選挙で自民に鉄槌を下すことだ。
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