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2024年3月24日 03時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/316629
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件の実態解明のため、衆参両院で開かれた政治倫理審査会(政倫審)。出席した安倍派幹部らは「知らぬ存ぜぬ」を繰り返した。
Q.政倫審に出席した議員は説明責任を果たしたと思いますか?
東京新聞「ニュースあなた発」が、LINEでつながる読者らにアンケートを行ったところ、大半の人が「説明責任を全く果たしていない」と不満の声を寄せた。「裏金」議員に議員辞職を求める意見も。
怒りの声であふれたアンケート結果からは、政治家と国民の感覚のズレが浮き彫りになった。(デジタル編集部)
アンケートは3月19〜21日、無料通信アプリLINEでつながる読者らに実施。10代〜70歳以上の男女401人から回答が寄せられた。
◆97%が「説明責任果たしてない」
「説明責任を果たしたか」の質問に対し、94%(378人)が「全く果たしていない」と回答。「あまり果たしていない」(14人)も加えると97%だった。
アンケートでは、政倫審に出席した各議員に厳しい声が寄せられた。
「本質的なことは何も話していない。小中学生の万引きの言い訳よりもひどい」(埼玉県10代男性)
「言い逃ればかりの茶番劇だ」(兵庫県60代男性)
「知らぬ存ぜぬの口裏合わせ。真実を述べる意思が全く感じられない」(静岡県70歳以上男性)
「質問に対して答えていない。国語のテストなら0点」(愛知県40代女性)
「予想通り『知らない』『わからない』『関与していない』のオンパレードで何ひとつ疑惑に答える気がないのがミエミエ」(千葉県70歳以上男性)
「虚偽発言ばかりで聞くに耐えない。政治家としての倫理観な欠ける行為をしておきながら弁解ばかりをして、しかもそれで通ると思っている傲慢さが透けて見える」(神奈川県60代女性)
「誠意をもって正直に答えようとする人間が1人もいないことに、人としての良心すら欠落した議員が跋扈(ばっこ)していることへの怒りと失望です」(東京都50代女性)
「平然と嘘をつきまくりな人ばかり。国民をあからさまにバカにしている」(福島県60代女性)
「政治家って一体なんなんでしょうか? お金稼ぐ為の手段として政治家になったのでしょうか?そうとしか思えません」(神奈川県60代女性)
政倫審では、キックバックの仕組みを誰が考え、いつから始まったのかについて、出席した安倍派幹部らは「知らない」「分からない」と繰り返した。
焦点となった安倍派でのキックバック廃止決定と、その後の復活の経緯については、幹部らの間で証言が食い違い、真相解明は不発に終わった。
政倫審に出席した議員らは「正直に話している」「偽証はしていない」と訴えていたが、アンケートに答えた人たちの目には、そうとは映らなかったようだ。
◆「幕引きは絶対に許さない」
自民党としては、政倫審で「説明責任を果たした」という体裁を取ることで、裏金事件の幕引きを図りたいという狙いがあった。
アンケートの回答を見ると、かえって政倫審が火に油を注いだ格好だ。
「うわべだけの幕引きは許せません」(東京都60代女性)
「政治倫理からは程遠い会、議員として自らの行動を反省して責任(辞職)をとる者は一人もいない。幕引きは絶対に許されない」(神奈川県70歳以上男性)
「政権は国民をナメてる。これからはAI政党に任せたいです」(東京都70歳以上男性)といった皮肉を込めた意見もあった。
一方、「説明責任をある程度果たした」と答えた人が3人、「どちらとも言えない」と答えた人は6人いた。
「本当かどうかは本人しか知らず、信用するならその事は述べ尽くした感はある」(埼玉県60代男性)
「答えている側としては聞かれていることに対しての責任は果たしていると思うが、国民としては理解できるかと言われれば理解出来る内容では無い」(東京都50代男性)
◆自民党支持者も「厳しい処分を」
回答した401人のうち、自民党支持者は2%の8人だった。
8人のうち6人が「説明責任を果たしていない」と回答。身内である支持者からも厳しい声が寄せられた。
「分からない、覚えていない、秘書がやった、これでは政倫審の意味がない、岸田首相に厳しい処分をして欲しい」(広島県70歳以上男性)
「秘書任せ、知らなかった。予想通りかな。国会解散して国民の声判断仰いでほしい」(新潟県60代男性)
◆「うやむやにしない」94%が証人喚問要求
政倫審では、ウソをついても罪に問われない。
政倫審では裏金づくりの実態は解明に至らなかったことから、野党は、偽証すれば刑罰の対象になる証人喚問を自民党に求めている。
アンケートでは、「証人喚問を行うべきか」の質問に対して「行うべきだ」が94%(378人)に上った。
「何も回答してないに等しいし、アリバイづくりのつもりで出てきた感が強い。証人喚問するべき」(東京都40代男性)
「今回の問題を、決してうやむやにしてしまわないことが、まず何より1番大事だと思います。証人喚問をすべきです。過ちを繰り返さない1番大事なことは、事実の洗い出しと責任の所在を明らかにすること反省する(罪を償う)こと、そしてしっかり客観的に検証すること」(東京都50代女性)
◆「除名や離党では済まぬ」議員辞職を
裏金事件に関わった議員の処分については、「除名や離党勧告が必要だ」との回答が89%(359人)を占めた。
政党にできる処分では、党の所属から外す「除名」が最も重く、党が強制的に議員を辞めさせる権限はない。
それでもアンケートでは、除名や離党勧告では不十分だとして、質問項目にはなかった「議員辞職」を求める声が相次いだ。
「秘書がやっており、自分は知らなかったとはふざけた言い訳にしかならない。国民をなめている。即刻、議員辞職するべきである」(神奈川県50代女性)
「そもそも収支報告書に記載されるべきお金が記載されていない事実が判明した時点で、追徴課税を払って議員を辞職するべき。 それをあーだこーだとゴネて議員の椅子にしがみつくあの神経が分からん」(東京都50代男性)
「国会議員は潔く、辞めて頂きたい。辞職して補欠選挙が行われる場合、その選挙の費用を、辞職者本人が払ってほしい」(東京都60代女性)
「一般の会社で同じ事をやって、懲戒解雇にならずに済むのか」(埼玉県50代男性)
「誰一人も会議の重要な内容を覚えていない、忘れたなど…一般会社では勤まらないのに国民代表の国会議員なんだから、話の内容を忘れてしまうようでは、議員を辞めてもらうしかない」(東京都50代男性)
「除名・離党だけでは済まない。真面目に働いて多額の税金を納めている国民として納得できない。国民の精神の荒廃も招いており、非常に罪深い」(東京都50代女性)
アンケートの設問では「何らかの処分が必要」と答えたのは31人、「処分は必要ない」は2人、「分からない」は9人だった。
◆「政治歪める」企業献金に拒否感
「政治とカネ」の問題を繰り返さないために、政府や国会、各政党に求めることを尋ねると、連座制の導入や企業団体献金の廃止を求める声が目立った。
「連座制の導入や政治資金規制法、企業献金などについて第三者委員会を立ち上げるなどして改正に向け議論をすべき」(茨城県40代女性)
「パーティー収入などやれば企業との癒着となる。既得権益が起きる。それは政治を歪(ゆが)める」(神奈川県70歳以上男性)
「一切の献金を禁止する。さもなくば政党助成金を廃止する」(埼玉県70歳以上男性)
◆「政治家こそインボイスを」
派閥からキックバックを受けていた議員たちは、口々に「政治活動に使っていた」「不正な支出はない」と弁明した。ただし、その根拠が不明だったり、使い道が分かっていなかったりするケースもあった。
アンケートでは、政治資金の透明化を望む声も多数寄せられた。
「政治に関する金はすべて公表。電子データ化。『不明』だなんてことは許されないようにする」(東京都60代女性)
「第三者機関が介入し、きちんと国民に可視化すべき。日が当たらないから腐っていく」(東京都40代男性)
「政治資金は入も出も1円から領収証をつける。すぐに公開できない場合も、何年後かは公開するルールを作る」(神奈川県70歳以上女性)
「全ての政治資金の透明化。一般社会や個人と同等レベルのもの。特別扱いをしなければ、政治が出来ないなどは詭弁(きべん)でしかない」(神奈川県50代男性)
「政治家だけが法律の目をかい潜り、懐を肥やす。政治家こそインボイス制度を活用したらどうか?」(神奈川県50代女性)
◆金権政治に「ノー」
裏金事件を巡っては、キックバックを受け取っていた議員から「政治にはカネがかかる」といった声もあった。
アンケートでは、こうした自民党の金権政治に「ノー」を突きつける声もあった。
「政治を私腹を肥やす手段にしないで頂きたい。『政治をするには金が要る』と言い放った自民党議員がいたが、その人は政治家ではなく金儲けに走る『政治屋』です」(東京都70歳以上男性)
「お金がないと当選しない議員は不要」(神奈川県50代男性)
「政治には金がかかるということ自体が、一般人の政治参加を妨げて、世襲議員を産む原因。金のかからない選挙の実現」(兵庫県60代男性)
「地方の町議会議員を10年勤めた」という埼玉県の60代男性からは、「お金の使い方は一番に気をつけて活動した。町議会では政務調査費もなく大変な中、大いに活動できた。キックバックを受けたものは、それはまずいなぁと感じていたはずだ。小さい議会から国へ登った人なら尚更(なおさら)感じるはずだ」との意見があった。
◆われわれ有権者も…
「政治とカネ」の問題を繰り返さないために、有権者の立場から政治を正そうと訴える意見もあった。
「一番大事なのは、私たちがしっかり選挙に行く、大勢の意見に惑わされない。自分の意見を持つ。政治は生活なのだと自覚する。そしてそのような国民を作る教育が大切だと思います」(東京都70歳以上女性)
「国民の意識を変えないと、実現不能。もっと、真剣に政治に関心を持ち、投票をしないと」(東京都60代女性)
「無党派層が、きちんと毎回投票に行く事。政治に関心を持つこと!」(東京都60代男性)
「政府や国会、各政党に求めてる次元じゃありません。有権者の意識をどう変え、選挙を棄権するとどうなるかを市民に問うべきです」(東京都50代男性)
「選ぶ国民がもっと選別眼を養わなければ」(東京都70歳以上女性)
実態がうやむやのまま、問題の幕引きを図っていいのだろうか。私たち有権者一人一人も問われている。
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衆参両院で開かれた政治倫理審査会 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡り、今年2月以降、衆院で3回、参院で1回の計4回開催。衆院では岸田文雄首相のほか、二階派の武田良太元総務相、安倍派の西村康稔前経済産業相、松野博一前官房長官、塩谷立元文部科学相、高木毅前国会対策委員長、下村博文元文科相が、参院では安倍派の世耕弘成前参院幹事長、西田昌司氏、橋本聖子元五輪担当相が出席し、それぞれ弁明と質疑が行われた。
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