http://www.asyura2.com/24/senkyo293/msg/671.html
Tweet |
※紙面抜粋
※2024年3月19日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
結局、何も語らず(衆院政倫審に出席した下村博文元文科相)/(C)共同通信社
自民党安倍派のパーティー券収入の裏金化を始めたのは、森喜朗元首相なのか──。
下村博文元文科相が自ら手を挙げて出席した18日の衆院政治倫理審査会では、森との不仲が指摘される下村が「全てブチまけるのでは」(永田町関係者)という見方があった。
しかし、フタをあけてみれば「知らぬ存ぜぬ」の連続。これまで安倍派幹部が政倫審で行ってきた説明とほとんど変わらず、大茶番もいいところだった。
結局、いつから、誰が、どんな理由で裏金化を始めたのか、といった実態解明は進まずじまい。下村は一体何のために出てきたのか。納得した国民はほぼいないはずだ。
安倍派の裏金化の開始時期は十数年前からとも、20年以上前からともいわれている。森が派閥会長を務めていた時期からの「慣例」という説が根強い。1996年に初当選した下村は、裏金化スキームを知り得る立場にあるキーマンというわけだ。
ところが、立憲民主党の寺田学議員が「(森が安倍派会長だった)99年の政治資金規正法改正を機にキックバックが始まったのではないか」と聞くと、下村は「2018年まで還付を受けておらず、そもそも、そういうことがあったことも承知していなかった」とし、「確定的にいつから始まったのか分からない」と否定した。
「森元首相が派閥運営に大きな影響力を持っていたんじゃないか」という裏金事件とは直接関係ない質問に対してですら「全く承知していない」とスットボケ。昨年9月のネット番組で、森とその意を受けた安倍派「5人衆」に派閥の運営から外された経緯について「ここまで邪魔されるとは思わなかった。政界引退した森氏に影響力が残っているのは残念だ」とまで発言していたのに、随分としおらしい。森を守っているかのような態度だった。
やっぱり出た「記憶にない」
一度決まった「キックバック中止」が、後に継続となった経緯を巡っても、下村は曖昧答弁を連発。
キックバック中止は、22年5月の安倍派パーティー直前の4月、安倍元首相と下村、西村康稔前経産相、世耕弘成前参院幹事長、塩谷立元文科相、会計責任者だった松本淳一郎事務局長が集まった協議の場で決まった。安倍が「不透明なことはやめよう」と、中止を指示したのだった。ところが、安倍の死後の同年8月5日、安倍を除くメンバーが揃った協議で、キックバックの継続について話し合われていたことが分かっている。
下村は今年1月下旬の会見で「(22年8月5日の協議で)ある人から、還付分は各議員個人のパーティーに上乗せし、収支報告書で合法的な形で出すという案が示された」と説明。「合法的な」との言葉が出たということは、発案者が当時の資金処理について違法性の認識を持っていた可能性がある。「ある人とは誰なのか」が焦点になっていた。
そんな「ある人」の正体について、政倫審で問われた下村だったが、今度はナント「記憶にない」とのたまった。会見では発案者が誰なのかを念頭に置いたような言いぶりだったが「誰かを特定していたわけではない」とシラを切ったのだ。
これまでの政倫審で、西村も塩谷も世耕も個人パーティー上乗せ案について「発案していない」「案に賛同しただけ」などと否定。ならば、安倍の意に反する「キックバック継続」を、国会議員でもない事務局長が決めたとでも言うのか。結局、何も明らかにならず、謎が深まるだけだった。
高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。
「下村氏が自ら手を挙げて政倫審に出てきたのは、説明責任を求める声が党内外で強まったから、アリバイ的に出てきたということでしょう。森元首相に言及しなかったのは、口にしてしまえば自民党全体にダメージがはね返ると恐れたからではないか。曖昧答弁に終始していましたが、ひとつだけ分かったことがある。下村氏にはまだ後ろめたいことがあるということです。野党議員に、ウソをつけば偽証罪に問われかねない証人喚問に出るかと問われると『いま、政倫審で説明をしている』と、後ろ向きでした。証人喚問だと、自らや他の安倍派幹部のウソが明らかになってしまうから、拒否するしかなかったのでしょう。政倫審だけで済ませてはいけません」
大メディアは政倫審の直前「下村の乱」などと妙に煽っていたが、見当外れもいいところ。こんな面の皮の厚い男に「乱」や「暴露」など期待してもムダということだ。
処分も党改革も全て“やってるフリ”
岸田首相が拳を振り上げた、裏金議員の処分も甘々に終わりそうだ。
自民党は安倍、二階両派の議員計80人規模を4月上旬にも一斉処分する方向で調整に入った。党の処分で最も重い「除名」と、それに次ぐ「離党勧告」は見送るという。派閥幹部には「党員資格停止」や「選挙での非公認」と厳しめの処分を科す案が浮上している。
80人となれば、05年の郵政民営化関連法案に反対した50人を上回る大量処分となる。とはいえ、当時、郵政造反組に下した除名、離党勧告といった厳重処分は、今回はナシ。党内融和を優先して、事件の幕引きを図る狙いがあるのは明白だ。
岸田は17日の自民党大会で、裏金議員の処分について「厳しく対応していく」と明言。茂木幹事長も「早期に厳正な対応をとっていきたい」「一律、全員同じということにはならない」「上に甘く、下に厳しい組織であってはならない」と言っていたが、上も下も甘々処分で終わるのではないか。
党大会では、裏金事件を受けた党則改正などが採択されたが、こちらも中身スカスカである。
会計責任者の有罪判決が確定した場合、議員本人に離党勧告や除名処分を下すことができるとしたが、「議員も関与するなど政治不信を招く、政治的・道義的責任があると認められる時」との一文が入った。これでは、「知らぬ存ぜぬ」で議員本人がおとがめなしとなりかねない。
それに、エラソーに掲げた改正だが、今回の裏金議員には適用されない。まるで意味をなさないシロモノだ。
実態解明には政権交代しかない
結局、肝心の実態解明を脇に置き、処分は甘々、ユルユルの党則改正をやってシャンシャン──、岸田はこんな絵を描いているのだろう。こんな連中に真相解明も党改革もどだい無理な話だ。
下村を含む安倍派幹部にしたって、「表に出たんだからもういいだろ」という感覚に違いない。
ところが、そうは問屋が卸さない。野党は「真相解明に程遠い」(立憲・安住淳国対委員長)と猛反発。共産党の小池晃書記局長は18日、関係者の証人喚問を求め、日本維新の会の遠藤敬国対委員長も「このままではダメだと思っている自民議員に出てきてもらう方法を考える」と言った。19日、野党間で対応を協議する方針だ。もちろん、早期幕引きなど国民も許さないだろう。
立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)が言う。
「岸田首相としては、党則改正も政倫審も“やってるフリ”。とりあえず、やれることはやったと体裁だけ整え、時間が経てば国民は忘れると思っているに違いありません。口先では『火の玉になって信頼回復に取り組む』と言いながら、腹では国民をバカにしているということです。しかし、国会で与党が多数を占める中、証人喚問を実現させるハードルは高い。実態解明を進めるには、政権交代しかありません。国民の手で裏金自民を下野させる必要があります」
くしくも、16、17日に行われたANNの世論調査では、次の衆院選で「政権交代を期待する」(46%)が「自公政権の継続を期待する」(38%)を上回った。それほど国民の怒りは激しいということ。裏金事件の実態解明には、国民の「乱」こそが必要だ。
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK293掲示板 次へ 前へ
最新投稿・コメント全文リスト コメント投稿はメルマガで即時配信 スレ建て依頼スレ
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK293掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。