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米国債・ドル・株が同時下落…「米国一人負け」のシナリオは現実味を帯びるのか?【マネックス証券チーフ・ストラテジストが解説】/
THE GOLD ONLINE によるストーリー
https://www.msn.com/ja-jp/money/other/%E7%B1%B3%E5%9B%BD%E5%82%B5-%E3%83%89%E3%83%AB-%E6%A0%AA%E3%81%8C%E5%90%8C%E6%99%82%E4%B8%8B%E8%90%BD-%E7%B1%B3%E5%9B%BD%E4%B8%80%E4%BA%BA%E8%B2%A0%E3%81%91-%E3%81%AE%E3%82%B7%E3%83%8A%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%81%AF%E7%8F%BE%E5%AE%9F%E5%91%B3%E3%82%92%E5%B8%AF%E3%81%B3%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%8B-%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9%E8%A8%BC%E5%88%B8%E3%83%81%E3%83%BC%E3%83%95-%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%86%E3%82%B8%E3%82%B9%E3%83%88%E3%81%8C%E8%A7%A3%E8%AA%AC/ar-AA1CZxxF?ocid=msedgdhp&pc=U531&cvid=b1125e84296744809e506a5a2ced0087&ei=36
本記事のポイント
・市場の動揺は続く
・債券・通貨・株式のトリプル安が示したリスク 米国は一人負けか
・新たな秩序の不透明さが市場を揺らす
市場の動揺は続く
日米とも株価は記録的な値幅で乱高下が続いている。トランプ米大統領は9日、同日発動したばかりの相互関税の上乗せ部分について、一部の国・地域に90日間の一時停止を許可すると発表した。
これを好感して米国市場ではダウ平均が過去最大の上げ幅を記録。それを受けた日経平均株価も過去2番目となる大幅高で反発し、3万4,000円台を回復した。しかし、昨日の米国市場では再び株価は大幅安となった。今日(2025年4月11日)の東京市場で日経平均も一時1,900円安まで反落した。市場の動揺は収まっていない。根本的な問題がなにも変わっていないからである。
相互関税の上乗せ部分については90日間の一時停止だが、10%の一律関税は維持される。関税政策を撤回したわけではないのである。まして、中国との関税合戦はエスカレートしている。中国に対しては125%の追加関税だと思われていたが、3月までに課した20%の追加関税と合わせて税率が145%になるという。
市場が懸念するのは米中という世界の2大経済大国による貿易戦争で世界景気が不況に陥ることである。状況がますます深刻化しているのだから、市場の不安が収まらないのは当然だ。
債券・通貨・株式のトリプル安が示したリスク 米国は一人負けか
米国が相互関税を発動したのは日本時間9日の13時1分。その前後、昼の時間帯のマーケットでは米国の債券・通貨・株式(先物)が同時に売られる「トリプル安」となった。
市場が示した反応は「米国売り」。関税発動は米国が一人負けとなることを示唆したともいえるだろう。
[図表]米10年国債金利(白)・米ドル(赤)・米株式先物(紫)の推移 出所:Bloomberg
今朝の日経新聞が朝刊1面で掲載しているように、この「トリプル安」がトランプ氏に翻意を促したのは明白だろう。特に重要なのは、記事も指摘するように貿易戦争が金融戦争へと発展するリスクである。外国による米国債保有額が日本に次いで世界2位の中国が米国債を売りに出せば、米国が単に高金利に苦しむだけでなく、多くの金融機関のポジションに打撃を与え、金融危機にまで発展する恐れがある。
金融危機に至らないとしても、中国が米国債を売却すれば、米中対立は、単なる世界景気の減速にとどまらず、世界景気が減速するなかで米国金利が上昇するという状況を作り出すリスクを内包する。
さらに世界的なインフレ再燃の懸念も台頭するだろう。なぜなら米国が志向する保護主義は、新たな貿易システムやサプライチェーンの構築を目指すものだが、端的にはグローバライゼーションの否定であり、ディスインフレ時代との決別となるからだ。
単なる関税の上乗せによる物価上昇だけでなく、サプライチェーンの再構築に伴うコストや非効率な生産拠点や物流網の選択を迫られることにより、どう考えても世界がこれまで享受してきたグローバル化による物価の低位安定を放棄しなくてはならない(中国はじめ低廉労働力を行使する国からのデフレの輸入とどちらがよいか、という問題はある。米国はそれに耐えられず保護主義を選んだわけではある)。
つまり、米国で懸念されているスタグフレーション的な環境は世界に波及するリスクがあるということだ。
そうならない希望もある。最近、トランプ政策は中国を利することになるとの論調が目立ってきた。The Economistは「How America could end up making China great again」という論考を掲載した。記事は以下のように述べている。
「習近平は2012年に中国の指導者となって以来、今日の混沌とした世界に備えてきた。経済と技術の自給自足を促してきた。中国は、制裁や輸出規制といったアメリカの締め付けに対する脆弱性を減らしてきた。銀行は依然としてドルへのアクセスを必要としているが、現在では銀行以外のほとんどの国際決済を人民元で行っている。
中国の国内経済には認識されていない強みがある。電気自動車からドローンや空飛ぶタクシーを意味する「低高度経済」まで、競争とテクノロジーの受容によって、中国の工業企業は欧米のライバルを圧倒している。中国から見れば、トランプ氏の関税はデトロイトを1970年代のような時代遅れにするものであり、大学に対する十字軍がイノベーションを後退させるのと同じである。
中国の期待の一例として、ディープシークが挙げられる。ディープシークは、アメリカの半導体禁輸を回避してイノベーションを起こせることを示すものとして受け止められている。
習近平政権は自国産のAIを快く受け入れており、これによって技術が西側諸国よりも早く中国に普及し、生産性が向上する可能性がある。このことと、習近平氏が起業家に対して寛容になった可能性があることが、アメリカ株が下落した2025年にもかかわらず、中国株のMSCI指数が15%も上昇した理由の一助となっている」
日経新聞も、トランプ氏による同盟国も対象とした高関税政策は、米中対立の最前線であるアジアで米国離れを助長しかねないと警鐘を鳴らす。米国の保護主義が、かえって中国とアジアの結びつきを強化するという。それはアジアだけでなく、インドも欧州も、であろう。
米国という世界最大の市場を失うのはどの国にとっても耐え難い。しかし、米国が世界最大の市場であるのは、「単一の市場」としては、という意味だ。
米国の輸入額は約3兆ドルで世界最大だが、第二位の中国は2.5兆ドルでほぼ匹敵する。三位はドイツで1.5兆ドルだが、EU(欧州連合)全体でみれば、その貿易額は、輸出が6.7兆ユーロ、輸入が6.5兆ユーロである。米国抜きでも、中国・EU・アジアだけで巨大な貿易圏ができあがる。米国はすべての国を敵に回しているが、中国・EU・アジアはどの国とも取引できるのである。
つまり、世界経済はそれほどひどいことにならない可能性もあるということだ。相対的に見れば、やはり米国の一人負けのリスクがある。足元の市場の動き、すなわち米国債・ドル・米国株のトリプル安は、それを示唆している。
新たな秩序の不透明さが市場を揺らす
真の問題は、トランプ氏もベッセント氏も、そして多くのトランプ政権の関係者も、それをおそらく理解しているにも関わらず、政策を転換できないことにある。
なぜなら「トランプ政権」の政策の方向性は、「トランプ大統領」が決めているのではないからである。「トランプ大統領」を生んだ社会・経済の構造問題が、大きな背景としてあるからだ。
つまり歴史の要請が「トランプ政権」とその政策を生んだに過ぎない。今回はたまたまドナルド・トランプがその役回りについただけで、時代が違えばJ.D.バンスだったかもしれない。名前と顔はどうでもいいのである。「トランプ的な誰か」がそのトリックスターとしての役に就くだけなのである。誰がその役に就いても、米国はこのタイミングで同じ政策を打ち出していただろう。だから、ここでの方向転換は歴史と時代に抗うようなもので、相当なパワーが必要である。
いずれにせよ、世界は新たな秩序の構築に向かわざるを得ないのだろう。その、とてつもない不透明さ・不確実さに市場が竦み、怖気づき、身震いをしているのだ。その震えの大きさが、記録的な値幅の振幅に表れている。
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