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No. 2062 米国によるイムラン・カーンの転覆
投稿日時: 2024年2月16日
The US Toppling of Imran Khan
秘密の政権交代が再び起こった。今回はパキスタンで。
by Jeffrey D Sachs
アメリカの外交政策の主要な手段は、秘密裏の政権交代、つまり他国の政府を崩壊させるための米国政府による秘密行動である。アメリカの行動が、2022年4月にパキスタンのイムラン・カーン首相を罷免し、その後、汚職とスパイ容疑ででっち上げ逮捕し、今週、スパイ容疑で禁固10年の判決を下したのだと信じる強い理由がある。
政治的目的は、パキスタンで最も人気のある政治家を2月8日の選挙で政権に復帰するのを阻止することだ。
秘密工作の鍵はもちろん、秘密であるがゆえに米国政府が否定することである。内部告発やリークによって証拠が明るみに出ても米国政府はその信憑性を否定し、主流メディアは公式のシナリオと矛盾するため、その話を無視するのが一般的だ。なぜならこれらの主流メディアの編集者は「陰謀論」を売り込みたくない、あるいは単に公式の代弁者であることに満足しているため、、実際の政権転覆陰謀に対しては米国政府に非常に広い余地を与える。
米国による秘密の政権交代は驚くほど日常的である。ボストン大学のリンゼイ・オルーク教授による権威ある研究{1}では、冷戦期(1947年と1989年)に米国が行った秘密裏の政権交代作戦は64回にのぼり、その数は1つの国で繰り返し行われたものを1つのエピソードとしてカウントしているため、実際はそれよりはるかに多い。それ以来、米国の政権交代作戦は頻繁に行われている。例えば、バラック・オバマ大統領がシリアのバッシャール・アル=アサド大統領の打倒をCIAに命じた作戦(ティンバー・シカモア作戦{2})がそうだ。この極秘作戦は、作戦から数年後まで秘密裏に行われ、それ以降も主流メディアはほとんど取り上げなかった。
アメリカから見れば、「中立」は戦うための言葉なのだ。
これらのことからパキスタンに話を移そう。このケースもまた、米国主導の政権交代を強く示す証拠である。この場合、米国はパキスタンのカリスマ的な才能を持ち、絶大な人気を誇る指導者であるイムラン・カーン首相の政権を崩壊させようとした。彼の人気、独立性、そして巨大な才能は、米国の政策に従わない人気指導者を心配する米国の格好の標的となっている。
イムラン・カーンの “罪 “は、ロシアのプーチン大統領や中国の習近平国家主席に協力的すぎる一方で、米国との正常な関係を求めたことだ。米国の外交政策における偉大なマントラ、そしてCIAの活動原理は、外国の指導者は「われわれの味方か敵か」のどちらかであるということだ。米国は中立を認めないため、大国の中で中立であろうとする指導者は米国の扇動によってその地位を失い、命さえも奪われる危険性がある。パトリス・ルムンバ(ザイール)、ノロドム・シアヌーク(カンボジア)、ビクトル・ヤヌコビッチ(ウクライナ)など、中立を求める指導者たちは米国政府の目立たない手によって倒されてきた。
発展途上国の多くの指導者と同様、カーンもウクライナ戦争をめぐって米国ともロシアとも関係を壊したくない。事前のスケジュールで偶然にもロシアが特別軍事作戦を開始した日(2022年2月24日)にカーンはプーチンに会うためにモスクワにいた。カーンは当初から、ウクライナ紛争は戦場ではなく交渉の場で解決すべきだと主張していた。米国やEUは、カーンを含む外国の指導者たちに、プーチンに反旗を翻し、西側の対ロ制裁を支持するよう圧力をかけたがカーンは抵抗した。
カーンが彼の運命を決定づけたのは3月6日、パキスタン北部で大規模な集会を開いたときだった{3}。その集会で彼は、国連での投票でロシアを非難するよう圧力をかけた西側諸国、特に22人のEU大使を非難した。彼はまた、隣国アフガニスタンでのNATOの対テロ戦争がパキスタンに全く壊滅的な打撃を与え、パキスタンの苦しみに対する認識も敬意も感謝もなかったと憤慨した。
(カーンの)人気、独立性、巨大な才能は、米国の政策に従わない人気のある指導者を心配する米国の格好の標的になった。
カーンは彼に喝采を送る観衆にこう言った。「EUの大使たちはロシアを非難し、反対票を投じるよう私たちに手紙を送ってきた。私たちをどう思っているのか?私たちはあなたの奴隷なのか?あなたが言うことを我々がやるとでも?我々はロシアと友人であり、アメリカとも友人である。中国ともヨーロッパとも友人である。パキスタンはどこにも所属しない。中立を保ち、ウクライナの戦争を終わらせようとしている人たちと協力する」。
アメリカから見れば、”中立 “は戦うための言葉だ。カーンの厳しい追跡調査は2023年8月、インターセプト誌の調査記者たちによって明らかにされた{4}。カーンの集会のわずか1日後、ドナルド・ルー国務次官補(南・中央アジア担当)はワシントンでパキスタンのアサド・マジード・カーン駐米大使と会談した。会談後、カーン大使はイスラマバードに秘密電報(「サイファー」)を送り、それがパキスタン軍関係者によってインターセプトにリークされた。
その電報には、ルー次官補がカーン首相の中立的な姿勢を非難したことが記されている。電報はルー次官補が「パキスタンはなぜ(ウクライナに対して)このような積極的な中立の立場をとるのか、そのような立場が可能なのかどうか、米国やヨーロッパの人々はかなり懸念している。われわれには中立的な立場とは思えない」と言ったとされている。
ルーはカーン大使にこう伝えた。「首相に対する不信任投票が成功すれば、ロシア訪問は首相の決断とみなされるので、ワシントンではすべてが許されると思う。そうでなければ、この先は厳しいと思う」。
5週間後の4月10日、米国の露骨な脅しが強力なパキスタン軍を覆い、軍部がパキスタン議会を掌握する中、議会は不信任投票でカーンを追放した。数週間のうちに新政権はカーンを逮捕し、政権への復帰を阻止するため、汚職の罪を堂々とでっち上げた。カーンが自分の失脚に米国が関与したことを明らかにした外交公電の存在を公表すると、新政権はカーン{5}をスパイ罪で起訴した。 彼は現在、この罪で10年という不当な有罪判決を受けている。米国政府はこの暴挙に沈黙を守っている。
カーンの有罪判決について質問された米国務省は次のように答えた{6}。「パキスタンの裁判所の問題だ」。このような回答は米国主導の政権交代がどのように機能するかを示す鮮明な例である。国務省は、カーンが米国の行動を公に暴露したことで、カーンの投獄を支持している。
そのためパキスタンは最も人気のある民主的指導者が投獄され、カーンの政党が執拗な攻撃、政治的殺人、メディア封鎖、その他の強権的な弾圧を受けている状態で、2月8日に選挙が行われる。これらすべてにおいて、米国政府は完全に加担している。米国の「民主主義」の価値はどこへいったのか。米国政府は今のところ自らの意向を通し、人口2.4億人の核保有国をひどく不安定にさせた。カーンの刑務所からの解放と彼の次回選挙への参加のみが、安定を回復させられるだろう。
Links:
{1} https://academic.oup.com/cornell-scholarship-online/book/42677
{2} https://www.nytimes.com/2017/08/02/world/middleeast/cia-syria-rebel-arm-train-trump.html
{3} https://www.youtube.com/watch?v=voFkiKj3nIs
{4} https://theintercept.com/2023/08/09/imran-khan-pakistan-cypher-ukraine-russia/
{5} https://theintercept.com/2023/12/18/pakistan-cypher-imran-khan-charges/
{6} https://www.geo.tv/latest/529238-us-state-dept-avoids-detailed-comment-on-imran-khans-cipher-case-sentence
https://www.commondreams.org/opinion/us-ouster-of-imran-khan
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