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最後の瞬間まで、人は生きる 脳腫瘍で闘病中の作家・佐々涼子さん (毎日) 
http://www.asyura2.com/24/iryo13/msg/103.html
投稿者 魑魅魍魎男 日時 2024 年 9 月 03 日 10:41:31: FpBksTgsjX9Gw 6bOWo@mx6bKSag
 

(回答先: 佐々涼子さん死去 ノンフィクション作家「エンジェルフライト」 (朝日)  投稿者 魑魅魍魎男 日時 2024 年 9 月 03 日 09:15:01)

「最後の瞬間まで、人は生きる 脳腫瘍で闘病中の作家・佐々涼子さん」
(毎日 2023/8/26)
https://mainichi.jp/articles/20230826/k00/00m/040/115000c

 がん患者との交流や在宅医療の現場など「死」をテーマに取材、執筆してきたノンフィクション作家の佐々涼子さん(55)は今、闘病生活を送っている。2022年11月に悪性の脳腫瘍と診断されたのだ。体調が安定している時に、ジャーナリストの池上彰さんと対談し「命」を見つめてきた体験で感じたことや、これからも作品を発表する意欲を示した。【構成・瀬尾忠義】

 池上 11年3月11日に発生した東日本大震災の大津波で被災した宮城県石巻市の日本製紙石巻工場の絶望から復興までを取材した佐々さんのノンフィクション「紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている」の解説を私が執筆しましたが、このようにお話しするのは初めてですね。闘病中とお伺いし、驚いています。

 佐々 悪性の脳腫瘍と診断され、抗がん剤治療を続けています。この病気の平均余命は2年に満たないと言われています。22年11月ごろから頭痛がひどくなり、市販薬を飲んでいたのですが、あまりの痛みに耐えられず病院に行きました。そうしたら医師から「悪性の腫瘍があります。残念です」と診断結果を伝えられました。さらに「すぐに手術を」と告げられたのです。

 池上 大変な状態だったのですね。

 佐々 開頭手術など3回の手術を受けました。入退院は半年で7回に。入院中はほとんど体を動かすことができなかった時期もありました。オムツをあててもらって寝たきりでした。

 退院後は、訪問介護を受けたり、リハビリを続けたりの生活で。そしてどうにか、つえをついて歩けるようになったのです。私のその姿を見た医師らは「(アニメ「アルプスの少女ハイジ」の登場人物で歩けるようになった)クララのようだ!」と、泣かんばかりに喜んでくれまして……。この時、私は恵まれているな、と実感しました。

■ ミカンの甘さに涙した日

 池上 大きな手術を経験して「この世に戻ってきた」という感覚になると、突然、普段の景色がとてつもなく美しく感じるようになったりします。

 佐々 入院中に他の患者さんと夜空を見て「月がきれいだね」と話したことがありました。忙しい日々を過ごし、悩みを抱えながら暮らしていると「世界の美しさに気が付かない」と改めて思ったものです。

 実は、毎週のように行った検査の結果がいいと喜んだり、反対に具合が悪い時は「長く生かしてください」と頼みごとばかりしていたり。でも、お正月でしたね。富士山の雄大な姿を見て感動したのと、口にしたミカンの甘さ……。なぜだか涙が止まらなくなってしまって。もうお願いごとをするのはよそう、と。今日も生かしていただいて、ありがとう。そう思うようになったのです。

 池上 日々を生きるありがたさを改めて実感したのですね。

 佐々 発病前に「横浜こどもホスピス うみとそらのおうち」を取材していますが、代表理事の田川尚登さんの言葉が忘れられなくて。「ここに来る子どもたちは分かっていて『今日は楽しかった』とよく口にしますが、次の約束をしないで帰ります」と。「今度はいつ会える?」などとは言わずに「今日はいい日だった」「今日は楽しかった」と、そう言って子どもたちはホスピスを後にするのです。

 私も先のことをあれこれ考えるよりも、今日を大事にしようと思いながら生きていこうと決めました。私の寿命は、もしかしたら長くなるかもしれませんし、ひょっとしたら短くなってしまうかもしれません。たとえどちらになっても「今日は楽しかった」と言えるように日々を過ごしています。

■ 「死んでいる暇がなかった」

池上 病気が判明した時は、とてつもない衝撃を受けたとお察しします。

 佐々 5年生存率は16%ぐらいだと医師から告げられました。最初は、絶望が来ました。開頭手術の後は自分の顔が変わったと感じてあぜんとしましたし、抗がん剤治療の副作用で髪の毛が全て抜けてしまいました。絶望と衝撃が同時に来た感覚です。だからこそ、立ち直るのも早かったという感じがしています。それは「死んでいる暇がない」と言っていいのかもしれません。「少しでも長く生きたい」とあえいでいる場合ではないという心境に至ったのです。

 池上 終末期のがん患者との日々をつづった「エンド・オブ・ライフ」は「死」を扱っていますが、読めば読むほど、生きている素晴らしさが伝わってきます。死ぬまで私たちは生きている。生きている時間を一生懸命生きようというメッセージが伝わってきます。

(以下有料記事)

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