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HTS戦闘員がシリア人を処刑する映像が流れる一方、住民の抵抗運動が始まった(櫻井ジャーナル)
http://www.asyura2.com/23/warb25/msg/852.html
投稿者 赤かぶ 日時 2024 年 12 月 29 日 00:20:30: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

HTS戦闘員がシリア人を処刑する映像が流れる一方、住民の抵抗運動が始まった
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202412290000/
2024.12.29 櫻井ジャーナル

 シリアのダマスカスを制圧、バシャール・アル・アサド政権を倒したアル・カイダ系武装集団、ハヤト・タハリール・アル・シャム(HTS)の戦闘員がアラウィー派の人びとを拉致、処刑しはじめた。キリスト教徒も攻撃の対象になっていると伝えられている。

 こうした殺戮は「散発的」でなく、頻発しているようで、首を切る様子を撮影した映像など、殺戮の場面がインターネット上に流れ始めた。クリスマス・ツリーを焼き払う行為もキリスト教徒を怒らせる一因になっているようだ。

 アサド政権が自国民を殺害しているという偽情報の流布、繰り返された偽旗作戦などを利用してアメリカをはじめとする外国勢力は2011年春以来、シリアへ武装集団を送り込んできた。その実態は本ブログでも繰り返し書いてきたことだ。そしてアサド政権は倒された。

 西側諸国は自分たちが流してきた偽情報に合わせ、アサド政権を悪魔化して描く一方、HTSの指導者とされるアブ・ムハンマド・アル・ジュラニのイメージを良くしようと必死だ。事実の裏付けのない物語でアサド政権の打倒を正当化する一方、事実を無視してHTS支援を納得させようとしている。

 そうしたプロパガンダが展開される中、アメリカはジュラニにかけられた1000万ドルの懸賞金を取り消した。バラク・オバマ政権がアル・カイダ系武装集団を利用してシリアに対する軍事侵略を始めた直後に発覚した残虐行為を忘れた人が少なくないかもしれないが、この武装集団は今でも似たようなことを行なっている。

 イギリス人のダニー・デイエムが「現地の情報」として発信、西側の有力メディアが垂れ流していた作り話を忘れた人も少なくないだろう。彼や彼の仲間が「シリア軍の攻撃」を演出する様子を撮影した映像が2012年3月1日に流出、彼の「現地報告」がヤラセだということが発覚している。

 そこで登場してくるのは「化学兵器話」だ。そうした作り話を有力メディアへ発信する役割を演じることになった団体のひとつがSCD(シリア市民防衛)、通称「白いヘルメット」にほかならない。

 この団体は2013年3月にジェームズ・ル・ムズリエというイギリス人が編成、訓練してきた。シリアのアレッポで化学兵器が使われた頃だ。後にSCDの活動を紹介する映像が公開されるのだが、医療行為の訓練を受けていないことが指摘されている。

 ル・ムズリエはイギリスの対外情報機関MI6の「元」オフィサーだとされている。「退役」後、オリーブ・グループという傭兵組織の特別プロジェクトの幹部になるが、この組織は後にアカデミ(ブラックウォーターとして創設)に吸収されている。

 2008年に彼はここを離れてグッド・ハーバー・コンサルティングへ入り、アブダビを拠点として活動し始めるのだが、この段階でもイギリス軍の情報機関と緊密な関係を維持している。そしてSCDをトルコで創設したが、アメリカ国務省の副スポークスパーソンを務めていたマーク・トナーは2016年4月、SCDがUSAIDから2300万ドル受け取っていることを認めた。言うまでもなく、USAIDはCIAの資金を流すパイプのひとつ。そのほかジョージ・ソロス、あるいはオランダやイギリスの外務省も資金を提供していた。

 SCDはシリア政府軍が化学兵器を使ったとする話の発信源になったことでも知られている。そのSCDのメンバーがアル・カイダ系武装集団と重複していることを示す動画や写真の存在、被害者を救出している場面を演技者を使って撮影している様子、アル・カイダ系武装集団が撤退した後の建造物でSCDと隣り合わせで活動していたことを示す証拠などが確認されている。

 現地に入って地道な取材を続けているバネッサ・ビーリーやエバ・バートレットなどがこうした事実を明らかにしてきたが、ほかにも現地を取材していたジャーナリストがいる。そのひとりがイギリスで発行されているインディペンデント紙のロバート・フィスク特派員だ。

 フィスクは攻撃があったとされる地域へ入って治療に当たった医師らに取材、患者は毒ガスではなく粉塵による呼吸困難が原因で担ぎ込まれたという説明を受けている。毒ガス攻撃があったことを示す痕跡はないという。(Independent, 17 April 2018)​アメリカのケーブル・テレビ局、OANの記者も同じ内容の報告をしている​。

 ​2013年12月19日には調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュがイギリスの書評誌「ロンドン・レビュー・オブ・ブックス」に記事でも、オバマ政権が化学兵器に関する情報操作を行なったとする情報があるとしている​。

 国連の元兵器査察官のリチャード・ロイドとマサチューセッツ工科大学のセオドール・ポストル教授も化学兵器をシリア政府軍が発射したとするアメリカ政府の主張を否定する​報告書​を公表した。

 その一方、アル・カイダ系武装集団だけではシリア政府軍を倒せなかったアメリカのバラク・オバマ政権は軍事介入を正当化する口実作りを始めた。ダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)の編成だ。2014年から残虐さで売り出し、それを利用してアメリカ軍はシリアの施設を空爆で破壊しはじめている。

 しかし、その段階でも統合参謀本部はオバマが支援しているサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団を危険だと認識していた。そこで2015年2月に国防長官をチャック・ヘーゲルからアシュトン・カーターへ、同年9月には統合参謀本部議長をマーチン・デンプシーからジョセフ・ダンフォードへというように好戦派へ交代させている。

 ​アメリカ軍の情報機関DIA(国防情報局)もオバマ政権のジハード傭兵を利用した計画を危険だと考え、2012年に報告書を提出している​。反シリア政府軍の主力はAQIであり、その集団の中心はサラフィ主義者やムスリム同胞団だと指摘、さらにオバマ政権の政策はシリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配地域を作ることになると警告したのだ。その時にDIAを率いていた軍人がマイケル・フリン中将にほかならない。

 この警告通り、2014年には新たな武装集団ダーイッシュが登場、この集団はこの年の1月にイラクのファルージャで「イスラム首長国」の建国を宣言、6月にはモスルを制圧。その際にトヨタ製の真新しい小型トラック、ハイラックスを連ねてパレードし、その後、残虐さをアピールする。

 過去を人びとが忘れても、現実がプロパガンダの前に立ちはだかる。自分たちやその配下の人間が行った残虐行為を相手が行ったように宣伝するのはアメリカ支配層の「癖」らしく、それを西側の有力メディアが拡散するのだが、それでも現実は彼らを追い詰める。

 アサド政権の崩壊は政府軍の幹部将校たちが戦わずに逃走したところから始めるが、残された兵士たちはアサド政権の支持者が編成した部隊に加わり、ダマスカスの北部ではHTS体制に対する武装抵抗が始められたとも伝えられている。

 アサド政権は西側諸国による経済封鎖で人びとの生活は厳しく、政府軍兵士の給与はHTS戦闘員が得ている報酬の十数分の1だったと言われている。そうしたことも政府軍を弱体化させる一因だったようだが、これからは状況が変化するだろう。

 CIAが作り上げたアル・カイダと呼ばれる傭兵システムから派生したHTSは現在、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン政権が雇い主になっていると言われている。2015年9月末にアサド政権の要請で軍事介入したロシア軍がダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)を含むアル・カイダ系武装集団を一掃した後、アメリカはクルドを手先として利用し始めるが、エルドアン大統領はクルドを敵と認識している。こうした状況は今でも同じで、エルドアン大統領に近いトルコの政治家はBBCに対し、クルド人を根絶すると発言していた。クルド側はトルコと戦争する準備を進めていると伝えられている。

 HTSはアラウィー派、キリスト教徒、クルドを殺戮するだけでなく、アレッポにあるアラフィ派の聖地を冒涜したことで抗議行動を誘発することになった。アレッポにあるシェイク・アブ・アブドラ・アル・フセイン・アル・ハシビの聖堂内で火災が発生、武装集団が聖堂内へ侵入して警備員を殺害する様子を映した動画が流れた後、抗議活動が激化したと伝えられている。12月25日にはラタキア、タルトゥース、ホムス、ハマ、カルダハでは数万人が街頭でHTS側と衝突したという。

 抗議活動を激化させる切っ掛けになった映像は過去のものだとHTS側は主張しているが、アル・カイダ系武装集団やイスラエル軍は歴史的な建造物の破壊を繰り返してきたことは事実だ。欧米の私的権力はシリアの資源を略奪を推進するために新自由主義の導入を目論んでいるが、そのためにもHTS体制への抵抗を鎮静化させる必要がある。

 アメリカをはじめとする外国勢力に侵略される前のシリアでは医療が無料で、就学年齢に達した児童の推定97%が学校へ通い、識字率は男女とも90%を超え、中東地域で食糧生産を自給自足していた唯一の国でもあった。IMFの融資を拒否していたことも欧米諸国を怒らせただろう。

 そのシリアが軍事侵略によって破壊され、略奪されつつある。リビアと同じことがシリアでも引き起こされつつあるのだが、ユーゴスラビアも国が破壊された上で分割され、略奪されている。帝国主義国が行なってきたことが繰り返されようとしていると言えるかもしれない。

 そうした現実を隠蔽し、遂行するため、西側の有力メディアは荒唐無稽な話を、勿論根拠を示すことなく、盛んに流している。そうした話が有効な理由は、おそらく、そうした話を好む人が少なくないからだろう。そこに事実は存在しない。

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コメント
1. 赤かぶ[233610] kNSCqYLU 2024年12月29日 00:31:21 : IvD8SHFNnE : MFVDdUVtdUFlT1U=[1708] 報告

2. 赤かぶ[233611] kNSCqYLU 2024年12月29日 00:32:29 : IvD8SHFNnE : MFVDdUVtdUFlT1U=[1709] 報告

3. 赤かぶ[233612] kNSCqYLU 2024年12月29日 00:34:14 : IvD8SHFNnE : MFVDdUVtdUFlT1U=[1710] 報告

4. 赤かぶ[233613] kNSCqYLU 2024年12月29日 00:39:41 : IvD8SHFNnE : MFVDdUVtdUFlT1U=[1711] 報告



[スレ主【赤かぶ】による初期非表示理由]:その他(アラシや工作員コメントはスレ主が処理可能)ミスコメント。
5. 赤かぶ[233612] kNSCqYLU 2024年12月29日 00:42:57 : IvD8SHFNnE : MFVDdUVtdUFlT1U=[1710] 報告

6. 赤かぶ[233613] kNSCqYLU 2024年12月29日 00:43:52 : IvD8SHFNnE : MFVDdUVtdUFlT1U=[1711] 報告

7. 赤かぶ[233614] kNSCqYLU 2024年12月29日 00:44:36 : IvD8SHFNnE : MFVDdUVtdUFlT1U=[1712] 報告

8. 赤かぶ[233615] kNSCqYLU 2024年12月29日 00:49:27 : IvD8SHFNnE : MFVDdUVtdUFlT1U=[1713] 報告

9. 赤かぶ[233616] kNSCqYLU 2024年12月29日 00:49:52 : IvD8SHFNnE : MFVDdUVtdUFlT1U=[1714] 報告

10. 赤かぶ[233617] kNSCqYLU 2024年12月29日 00:50:47 : IvD8SHFNnE : MFVDdUVtdUFlT1U=[1715] 報告

11. 赤かぶ[233618] kNSCqYLU 2024年12月29日 00:55:15 : IvD8SHFNnE : MFVDdUVtdUFlT1U=[1716] 報告

12. 赤かぶ[233619] kNSCqYLU 2024年12月29日 00:55:36 : IvD8SHFNnE : MFVDdUVtdUFlT1U=[1717] 報告

13. 赤かぶ[233620] kNSCqYLU 2024年12月29日 00:57:10 : IvD8SHFNnE : MFVDdUVtdUFlT1U=[1718] 報告

14. 赤かぶ[233621] kNSCqYLU 2024年12月29日 00:58:54 : IvD8SHFNnE : MFVDdUVtdUFlT1U=[1719] 報告

15. 赤かぶ[233622] kNSCqYLU 2024年12月29日 01:04:40 : IvD8SHFNnE : MFVDdUVtdUFlT1U=[1720] 報告

16. 赤かぶ[233623] kNSCqYLU 2024年12月29日 01:06:47 : IvD8SHFNnE : MFVDdUVtdUFlT1U=[1721] 報告

17. 位置[1113] iMqSdQ 2024年12月29日 08:29:09 : io1eB6ivGQ : OG1hTUouRk9nYzY=[128] 報告
飛行機事故もロシアのせいだと果敢に云いだした。まあ、大韓航空にしても、冷戦時だったので、アメ公の自作自演じゃないかと睨んでるけどね。

アメ公がドンパチや事件を起こすのは、結局自作自演が殆どだし。

18. 楽老[5395] inmYVg 2024年12月29日 08:49:13 : 2hnfq1CUdI : TGJqZ2dodmFWNXc=[144] 報告
日本の当局は
ウクライナのアゾフ大隊をテロ組織と指定していたのにウク−露戦争で突如テロ組織ではないと言い出した。
シリアが崩壊すると、前政権の残酷場面を強調し、テロ組織を白馬の王子の如く持ち上げる。
全てはアメポチのなせる業だ。

ジャーナリズムもこれに右へ倣えと一方的なプロパガンダのみを流す。

    

19. カミー[1654] g0qDfoFb 2024年12月29日 10:04:09 : VD4ii5VLrc : LkNtNWhSVENTRS4=[2379] 報告
>>18
う〜ん、困ったもので日本のニュースは独自に収集したものはなくすべてロイター、共同通信がもとですから、自然一方的になります、そしてそれをテレビ新聞が国民に伝えるので、日本のテレビ新聞の伝える内容は一つです。だから日本人の認識も一つになります。最近ネットが発達して日本の新聞テレビ以外のニュースも伝わるようになりどうもおかしいと思っていた国民も真実を知ることができるようになりました。大変いい事ですが、ただ相変わらず国民はテレビ新聞に情報を頼っているので大半の国民は情弱です。しかし、その方たちが又、SNSやこんな投稿ネットに現れてご主張されるので滑稽なコメントが多くなります(笑)。時代の変わり目に来ていると信じています。
20. パックスブリターニア[472] g3CDYoNOg1iDdYOKg16BW4Nqg0E 2024年12月29日 20:45:50 : YwtFiKGHPg : VER1ejdrVWt1Y0E=[126] 報告
<■242行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
「マスコミに載らない海外記事」からだけど、参考になれば・・・・・・。

誰にも止められないワシントンの超兵器
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2024/12/post-281edf.html

Brian Berletic
2024年12月24日
New Eastern Outlook

 地政学的緊張が高まるにつれ、アメリカは最も強力な武器を振るっている。それは軍事力ではなく、自国の利益にかなうように国家や地域を再編する洗練された政治・情報統制ネットワークだ。

 誰にも止められないワシントンの超兵器

 ここ数カ月、欧米諸国のメディア全体で、ロシアと中国の優れた軍事力を認める声が高まっている。ロシアが初めて中距離弾道ミサイル「オレシニク」を使用したことで、ロシア(と、おそらく中国)が欧米諸国に現在欠如している強力な軍事力を有していることが認められた。

 NATOがウクライナに武器を供給し、訓練し、支援する共同の取り組みにもかかわらず、ロシア特別軍事作戦(SMO)が進行する中、戦線全体で、ウクライナ軍は加速度的後退を続けている。

 詳しく調べてみるとNEDや他のアメリカの取り組みは最も破壊的「大量破壊兵器」だ。

 だが、この新しいパラダイムが浸透する中、アメリカは依然強力で、比類のない、未だ対抗手段のない超兵器を保有していることを実証している。アメリカはそれを利用して、アラブ世界全体で、シリア経済とシリア・アラブ軍両方をゆっくり着実に空洞化させる状況を作り出し、国を制圧しようとするアメリカが支援するテロリストに何年も歯止めをかけた後、2024年12月中旬、両者の完全崩壊をもたらした。

 シリア経済や軍隊や政府が崩壊しただけでなく、国連リストに掲載されているテロ組織がダマスカスで権力を掌握し、シリアの街頭で民族的、宗教的、政治的反対派に公然と残虐行為を行っているのを世界中の多くの人々が歓喜している。

 これら全て、反撃しようのないワシントンの「超兵器」と世界中の情報と政治空間に対する支配力によるものだ。

 ワシントンの超兵器:政治干渉と攻略と支配

 オレシニク・ミサイルほど魅力的ではないが、ワシントンの超兵器は、実際は何倍も強力で、防御するのがより困難だ。

 アメリカ中央情報局(CIA)による政権転覆作戦として始まり、長年にわたって、現在では全米民主主義基金(NED*)として知られる組織へと変貌を遂げた。

 NEDは、世界中の居住可能な全大陸の何百もの組織やプロジェクトや反政府集団や政党に資金提供する子会社ネットワーク (フリーダム ハウス、国際共和党研究所 (IRI)、全米民主研究所 (NDI)) と関連政府組織 (USAID*) および民間財団 (オープン・ソサエティ、オミダイア・ネットワーク) を監督している。

 中東:イランとの戦争のため戦場設定

 近年、2011年の「アラブの春」の何年も前から、アメリカは扇動者の部隊を訓練し、彼らが母国に戻り、それぞれの政府を打倒するよう指導してきた。アメリカが支援するこれら扇動者が作り出した政治的混乱は、同様にアメリカが支援する武装過激派に利用され、政治的圧力に屈しない政府を暴力的に打倒した。

 「世界中で自由を推進する」とNEDウェブサイトは主張しているが、その政治的干渉は国家全体、更に世界中を不安定化させ、破壊し、数十万人の死者と数百万人の避難民をもたらしている。これらの国々に残されたものは、内部で争い続ける破綻国家や、標的となった国の最大の利益を犠牲にして、ワシントンの利益に完全に奉仕する従属政権に変貌し、時には、その両方が組み合わさった状態になっている。

 地域自体が、この地域におけるアメリカ覇権に対する抵抗の中心であるイランと同盟諸国を包囲し、孤立させ、最終的に標的にして打倒するのを目的とする非常に意図的な形をとっている。

 ヨーロッパにおけるNED:「民主的」ロシアの創造

 もう一つの例はウクライナだ。ガーディアン報道によると、独立中立のウクライナを打倒しようとするアメリカNED*の取り組みは2004年という早い時期に始まった。2014年にも同じ作戦が繰り返され、今回は成功した。この作戦にはNED*資金援助を受けた政治活動家だけでなく、ネオナチなどの武装過激派も参加し、キーウではアメリカ上院議員らが舞台上で彼らを応援した。

 NED*が資金提供する政治介入により標的国の政治的独立を損なう狙いは、その国自体を政治的に掌握するだけでなく、その国を地域内の他の掌握された国々とまとめて、ワシントンの主要敵国に対する統一戦線を形成することだ。

 ヨーロッパでは、敵は明らかにロシアだ。

 デイモン・ウィルソンは、NED*の社長兼CEOに就任する前は、アトランティック・カウンシル執行副社長を務めており、NATOとロシア間の「グレーゾーン」と呼ばれる場所の解消について語っていた。これら「グレーゾーン」とは、NATOとロシア間に緩衝地帯を提供する中立国に過ぎない。

 2018年に大西洋評議会で行った発言の中で、ウィルソンは次のように認めている。

 この戦略は、ヨーロッパに新たな分断線を作ることを意図したものではない。目的は、不安定で脆弱な地域を、安定し繁栄し自由なヨーロッパという確固たる基盤の中に固定することで、長期的に、この構想には民主的ロシアも含まれる。

 だが、モスクワ改革への道は、キーウ、キシナウ、エレバン、トビリシでなされる選択から始まるのかもしれない。

 これは意図を認めたものだ。ウクライナ、モルドバ、アルメニア、ジョージアの打倒と政治的掌握は、ロシアを更に包囲し孤立させ、NATOとロシア間の緩衝地帯を排除し、最終的にロシア自体を打倒し、政治的に掌握することを意図している。

 「民主的ロシア」とは、NED*が資金提供する組織やメディアや機関や政党に管理・運営され、アメリカとNATOが押し付ける「民主主義」に従属するロシアの婉曲表現だ。

 2018年にウィルソンが述べた発言は、ロシアに対するアメリカとNATOの政策だけでなく、ウィルソンが現在社長兼CEOを務めるNED*の行動にも反映されている。

 アジアにおけるNED:対中国統一戦線構築

 NED*の「アジア」ウェブページは、現在「透明性」という幻想を支えていた財務情報開示を全て削除し、16か国で338以上のプロジェクトが運営されており、2023年度だけで少なくとも5,170万ドルの資金が調達されていると自慢している。

 NEDは地域選挙への関与、反政府政党結成、更に分離主義推進を公然と認めている。

 このページは、国際法で中国の新疆ウイグル自治区として認められている地域を「東トルキスタン」と呼んでいるが、これはワシントンDCに設立され拠点を置く「東トルキスタン亡命政府」が主張している実在しない地域だ。

 国連憲章第2条の「全ての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全や政治的独立に対するものも、また国際連合の目的と矛盾する他のいかなる方法によるものも慎まなければならない」という規定に、アメリカ政府による中国分離主義支援は明らかに違反している。

 ワシントンDCに分離主義者をかくまっているだけでなく、NEDを通じて、アメリカ政府は公然と分離主義を追求する多くの組織に資金提供している。これにはアメリカNEDの助成金受給者である世界ウイグル会議(WUC)も含まれ、ウェブサイトで「WUCは東トルキスタンの中国占領に対する非暴力的かつ平和的な反対運動を宣言する」と同会議は公然と述べている。

 NEDを通じてアメリカ政府から資金提供を受けているWUCは、新疆を中国から分離させることを企て、国際法に違反する陰謀を公然と行っている。WUCはこれを「平和的反対運動」として行っていると主張しているが、それでも、その分離主義は、現在シリアに拠点を置く「東トルキスタン・イスラム運動」(ETIM)などの過激ウイグル分離主義者による暴力的テロ行為と合致しており、国連リストに掲載されているテロ組織ハヤト・タハリール・アル・シャム(別名ジャバト・アル・ヌスラ戦線)と長年共に戦い、今や中国を標的にすることを公然と誓っていると、テレグラフ紙が最近報じた。

 NEDの現在の「アジア」ウェブ・ページを見れば、取り組みがアジア全域個々の国の政治的掌握のみに焦点を当てるのではなく、中国に対抗する地域統一戦線の構築を目指しているのは十分明らかだ。

 「民主的統一促進」という婉曲表現でNED*は次のように宣言している。  
中国は地域および世界大国として台頭し、経済的影響力によって、この地域の政権にとって強力な支援者および影響力を持つようになった。中国は大きな経済力を利用して、民主主義と人権の尊重は、いかなる可能性がある提携相手にとって必須条件ではなく、望ましい特徴でもないことを示唆している。

 アジアの民主主義国は、民主主義の価値、法の支配、ルールに基づく制度を守り、維持し、地域で高まる非自由主義的傾向に効果的に対抗する必要性を認識し、国際的に認められた規範と価値の擁護と維持において協力し、より大きな責任を負う方法を模索している。
 また、次のようにも述べている。  
そのため、NED*は、アジアの民主主義国家間の民主的統一と協力の強化、および民主主義主体間の地域的連帯と協力の強化と拡大に焦点を当てた様々な取り組みを支援している。具体的には、NED*と中核機関は、対話を促進し、支援を構築し、民主主義の規範と価値観を守るためのリーダーシップ強化を促進するため、地域の主要民主主義国を支援している。また、メディアの自由、自由で公正な選挙、デジタル・セキュリティと保護、基本的人権などの主要な民主主義の問題に関し、民主的な声を増幅し、交流を促進し、地域の連帯を強化するために活動する民主主義と人権の活動家と擁護者の地域ネットワークを支援している。
 これら全て、アメリカNED*が、中国を標的としたアメリカ国務省の偽情報を熱心にオウム返しする地域的反中国運動を構築し、中国に対して地域住民に悪影響を与え、同時に、ヨーロッパでロシアに対して行ったのと同様に、中国周辺のアジア全土へのワシントンの影響力と支配を拡大しようとしていることを認めるくどい言い方だだ。

 BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)とSCO(上海協力機構)は、アメリカを本拠とするソーシャルメディアに代わる多極的プラットフォームを立ち上げる取り組みを主導し、アメリカや欧州の検閲や操作の及ばないところで世界の国々が情報を共有できるようにすることが可能だ。現在、ロシアと中国のソーシャルメディアは、国際的用途ではなく国内向けに最適化されている。

 最後に、地域および国家のNGO透明性法の促進や、この危険を暴露し、立法を通じてこれに対抗する行動をとる加盟国を支援するフォーラムの創設を通じて、BRICSは、アメリカ (および欧州) の干渉を暴露し、対峙する取り組みを主導することも可能だ。これには、アメリカの政治、情報支配に従わせることを目的とするアメリカによる脅迫や制裁や他の強制措置の標的となった国への保護提供が含まれる。

 これら全ての措置は、国連憲章の核心原則に沿って、多極化した世界における国家主権の強化と国家の自決権の維持を目的としている。アメリカの全米民主主義基金は、名目上でさえ、世界中で「民主主義」を推進していると見せかけているが、民主主義は自決権の手段で、全米民主主義基金が資金提供するものは全て、全米民主主義基金の資金が注がれる国々ではなく、ワシントンにより、ワシントンのために決定される。

 NEDはワシントン最大の「超兵器」だ。国家の政治、情報、学術の領域に侵入し、占領するその能力は、世界中でアメリカ覇権を阻む最大の通常軍さえも回避する。NEDは世界中の国家や地域の不安定化と破壊に関与し、ロシアが設計し配備できるいかなるミサイルより大きな被害をもたらしている。真に多極化した世界の未来は、ワシントンとウォール街の全ての兵器、特に最も広範囲で効果的な兵器から身を守ることにかかっている。

 アメリカNEDがどのようにこれを行っているかの一例は、2020年10月にタイの視聴者を対象に開催された「Beyond Boundaries」Facebookライブ・イベントだ。この催しは「中国におけるウイグル人の状況と我々が彼らを助ける方法」と題され、元NED職員で現在NED*の助成金受給者「ウイグル人権プロジェクト対外関係担当部長」ルイーザ・グレーブが出演した。

 司会者には、タイ国内を狙ったNED資金による破壊活動に参加し、推進したとされる「民主化活動家」Netiwit Chotiphatphaisalが含まれていた。

 フェイスブック・ライブイベントの狙いは、中国がタイにとって最大の貿易相手国、投資国、観光地で、タイ初の高速鉄道建設を含むインフラ整備のパートナーであるにもかかわらず、中国に対して受容的なタイ国民を継続的に攻撃することだった。

 NED*が資金提供している野党集団も進行中のタイと中国の高速鉄道プロジェクトを含む、タイと中国の協力を完全に阻止することに重点を置いている。最も明白な例は、億万長者の野党指導者タナトーン・ジュアンルーンルアンキットがアメリカを訪問し、アメリカ国務省、NED*傘下のフリーダム・ハウス、アリゾナ州に拠点を置くハイパーループ・ワンの代表者と会談した後、タイに戻って中国が建設する高速鉄道プロジェクトを非難したことだ。

 その代わりに、タイは現在廃止されている「ハイパーループ技術」に投資すべきだとタナトーンは主張した。

 ある公開プレゼンテーションで「過去5年間、我々は中国を重視しすぎていたと思う。その重要性を減らし、欧州や日本やアメリカとの関係のバランスを取り戻したい」とタナトーンは主張した。

 2019年のタイ総選挙で敗北した後、タナトーンはタイの街頭でNEDが支援する抗議活動を率いた。その後、彼の政党は選挙でより良い成績を収めたが、これは保護されていないタイの情報空間全体にNEDが及ぼした腐食的影響によるものだ。

 現在、タイでも東南アジア全域でも、客観的に見て中国の方がより良い未来を提供しているにもかかわらず、NEDや破壊的な政治的反対派集団のネットワークやメディアや更にはアメリカが支配する政党により、依然不当な影響力をアメリカが行使しており、この地域の本来明るい未来は2014年以前のウクライナのように不安定な立場に置かれている。

 フィリピンは既にアメリカに完全占領され、中国と対峙し、対立するため利用されており、依然、台頭するアジアは欧州や中東同様、地域戦争に巻き込まれる可能性に直面している。

 ワシントンの超兵器に対する防衛

 ロシアと中国はともに、アメリカによる政治掌握という「超兵器」に対する有効な防衛策を考案した。

 両国は、海外から資金提供を受けているいわゆる「非政府組織」(NGO)に対して透明性を要求するか、あるいはそれらを全面的に禁止するか、いずれかを行っている。

 また両国はアメリカ国務省と連携して標的国の世論や国家アイデンティティを操作するアメリカを本拠とするソーシャルメディアを制限または禁止し、自国の国内ソーシャルメディアにより情報の流れを監視し、それぞれの情報空間を確保している。

 両国には、それぞれの価値観を推進する強力な国内メディア産業と自国の立場を世界中の視聴者に伝える国際メディアがある。

 だが両国がこれまでできなかったのは、この専門知識をパートナー諸国に広めることだ。

 既に両国は、空域、国境、海岸を含む伝統的な国家安全保障領域を防衛するため、パートナー諸国に幅広い防衛システムを販売している。だが、どちらの国も、これら輸出品に国家の情報空間を防衛する手段を組み込んでいない。実際、これまで、そもそも国家情報空間を防衛することが21世紀には極めて重要なことを両国は伝えられていない。

 ロシアと中国は、各国がそれぞれの情報空間に設置し、監視できるターンキー・ソーシャルメディアを輸出し、アメリカを拠点とするネットワークに取って代わり、自国国内の情報の流れに対する統制を再確立できる。これにより、シリコン・バレーやアメリカ国務省パートナーに委ねるのではなく、各国と国民が、どの情報を共有できるか、できないか決定できるようになる。

 同様のパッケージを提供して、各国がロシアのRTやスプートニクや中国のCGTNのような国際的メディアを立ち上げるのを支援するとともに、アメリカ国務省のフルブライトやヤング・リーダーシップ・イニシアチブなどのプログラムのようにワシントンやウォール街の利益ではなく、対象国の最善の利益を反映する現地ジャーナリストや教育者や将来の政治家や外交官を育成するための国内教育体制の構築支援もできるだろう。

 BRICS主要メンバーたるロシアと中国

 一見しただけでは、NEDや世界中の政治および情報空間を支配しようとするアメリカの他の取り組みは、全く「武器」には見えない。だが詳細に調べてみると、これらは21世紀に使用される最も破壊的「大量破壊兵器」だ。これらは世界の平和、安定、繁栄に対する深刻な脅威だ。同様に、これらを暴露し、防御するため真剣な努力を払う必要がある。

 Brian Berleticはバンコクを拠点とする地政学研究者、作家。

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2024/12/24/washingtons-unstoppable-superweapon/

21. 減らず口減らん坊[736] jLiC54K4jPuMuILngvGWVg 2024年12月30日 02:57:06 : gvDbl9whEg : ei5QbXluN21hMEU=[156] 報告
中東情勢など、日本には一切関わりない話なので、無視しておればよろしい
無論、イスラエルなどには一切味方する謂れは無い
他人の住んでいる土地に、後からのこのことやって来て、勝手なことを抜かすとか、侵略者以外の何物でもない
昔、日本が中国や朝鮮半島でやらかした事と、何ら変わるところが無い
国連は、かつての日本を戦犯だと判断しているのであるから、同じ事をしているイスラエルは悪の戦犯である
それ以上でも以下でもないな

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