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自民派閥“パー券裏金疑惑”を岸田首相ノンキに傍観…自分も告発対象なのに危機感ゼロの裏事情
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/332950
2023/12/05 日刊ゲンダイ
「遺憾」といいながらまるで他人事(自民党役員会での岸田首相=4日)/(C)共同通信社
自民党の各派閥がパーティー券収入の一部を政治資金収支報告書に記載せず、せっせと裏金づくりに励んでいた疑惑は、この週末に報道が一気に進んだ。
最大派閥の安倍派は、直近5年間で不記載が数億円に上る可能性があり、東京地検特捜部が政治資金規正法違反容疑での立件も視野に調べている。
二階派も所属議員がノルマを超えて販売した分を派閥の収支報告書に記載しないまま、議員側にキックバックしていた疑いがあるという。不記載の総額は5年間で1億円を超えるとみられる。
「安倍派では1000万円超のキックバックを受けていた所属議員が複数いるらしく、13日に臨時国会が閉会したら、特捜部が議員の事情聴取を本格化させるといわれている。過去のリクルート疑獄のように、特捜部に何十人も呼ばれるようなことになれば自民党は大混乱です。万が一、派閥幹部などの大物議員が逮捕でもされたら政権が持ちませんよ」(自民党ベテラン議員)
逮捕者が続出すれば永田町は紛糾、世論の猛反発も必至なのだが、岸田首相は例によって「国民から疑念を持たれるとすれば大変遺憾」とか言うだけで、他人事のような態度を取り続けてきた。
4日の自民党役員会では、事態の深刻さに気づいた岸田首相から各派閥に向けて、何らかの具体的な指示があるのではないかと注目されたのだが、「遺憾であり、状況を把握しながら党としても対応を考えていく」と相変わらずだった。党総裁としての指示はなく、派閥任せのままだ。
ターゲットは安倍派と二階派
最大派閥の安倍派のほかに、“政敵”菅前首相(右)と気脈を通じる二階派(二階俊博議員=左)が自滅すれば…(C)日刊ゲンダイ
パー券裏金疑惑では、政治資金に詳しい神戸学院大学の上脇博之教授が派閥の会長や会計責任者を刑事告発。慣例に反して、首相に就任しても派閥会長を続けている岸田首相本人も告発の対象になっているのに、岸田首相はまるで危機感がないように見える。
「岸田政権を支える主流派は麻生派、茂木派、岸田派です。一方、特捜部のターゲットは主に安倍派と二階派とされている。総理はこの状況を“ラッキー”と考えているフシがあります。非主流派の二階派と安倍派が身動きを取れなくなれば、岸田降ろしも仕掛けられないからです。2派閥がガタガタになって弱体化すれば、総理にとっては、むしろ好都合なのかもしれません」(官邸関係者)
長期政権を築く野望のために、党内の派閥に過剰なほど目配りしてきたのが岸田首相だ。内閣支持率がこれだけ低迷していても、最大派閥の安倍派と、“政敵”の菅前首相と気脈を通じる二階派が自滅すれば、主流3派に支えられた岸田首相が来年の総裁選でまさかの再選というシナリオもあり得なくはない。
「党内派閥のバランスを重視して、国民の方を見ようとしないのが岸田首相の政権運営ですが、世論を軽んじていたら自民党自体が瓦解しかねません。派閥の裏金問題は、国民から見れば、どこの派閥が悪いというより自民党全体の問題なのです。自民党総裁として指導力を発揮することなく、派閥任せにしている首相の態度は到底、理解されません。来年の通常国会は間違いなく『政治とカネ国会』になる。岸田首相が対応を誤れば、支持率下落に歯止めがかからず、党内政局ではなく国民の怒りの声で退陣に追い込まれる可能性もあります」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)
国民の信頼を失った自民党は次の総選挙で下野まで行ってもおかしくない。自分の保身延命で頭がいっぱいで世論が読めない岸田首相はあまりに能天気すぎる。
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