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※2023年10月28日 日刊ゲンダイ2面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
※文字起こし
減税策がいかにデタラメか国民は見抜いている(岸田首相)/(C)日刊ゲンダイ
ここまで批判される減税も珍しいのではないか。
「成長の成果である税収増を国民に還元する」──と所信表明で演説した岸田首相は、27日も衆院予算委で「この2年間で3兆円を超える税収増があり、物価高の中で国民に頑張ってもらうために、分かりやすく所得税と住民税でお返しする」と“減税の岸田”を猛烈にアピールしていた。
1人当たり年4万円の「定額減税」を実施し、住民税の非課税世帯には7万円の現金を給付する方針だ。
しかし、制度がはじまる前から国民から批判が噴出。旧ツイッターでは<減税ウソメガネ>がトレンド入りするありさまである。この減税策が、いかにデタラメか、国民はとっくに見抜いているということだ。
そもそも、岸田本人は「成長の成果を還元」などと胸を張っているが、日本経済はほとんど成長していない。もし、還元するほど成長しているなら、とっくに国民は潤い、減税など必要ないはずである。
さらに所信表明では、国民への還元について支離滅裂なことを口にしている。片方で「物価高を乗り越える国民への還元」としながら、もう片方では「デフレ完全脱却のため」としているのだ。これは矛盾もいいところだろう。物価高なら、デフレではないはずだ。それに物価高なのに減税したら、さらに物価高が進んでしまうのではないか。「岸田減税」は、目的が意味不明なのだ。
しかも、まだ生煮えのためか、中身もヒドイ。子だくさんの非課税世帯は7万円しか支給されないのに、夫婦2人と子ども5人の裕福な世帯は28万円ももらえる。支援が必要な人ほど、恩恵が薄い制度となっているのだ。いくらなんでも、これはおかしいのではないか。
そのうえ減税は1回限りである。だから経済効果も薄く、GDPの押し上げ効果は、わずか0.12%だそうだ。これでは、国民が批判するのも当然である。
立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう言う。
「歓迎されるはずの減税が批判されるのは、岸田首相の邪な考えがバレているからです。国民のための減税ではなく、自分のための減税ということがミエミエですからね。人気取り、選挙目当てがあからさまです。しかも、1年限りの減税の後には防衛費増税が待っている。これでは歓迎するはずがない。岸田首相は、庶民の暮らしが分かっていないのだと思う。2年もつづく物価高に庶民は悲鳴をあげている。なにしろ1世帯、年間12万円の負担増です。たった1年間、4万円を減税されたからといって喜ぶはずがありません」
自民と五十歩百歩の最悪
人気取りの「減税ウソメガネ」の経済対策は話にならないが、野党もどうかしている。同じ土俵に乗っかって「給付だ」「手当だ」と訴えているのだからどうしようもない。
野党第1党の立憲民主党は、全世帯の6割を対象に3万円の「インフレ給付金」の配布を主張。泉代表は24日の代表質問で「給付、給付、給付」と岸田が所信表明でやった“経済三唱”をあてこすってみせたが、発想は岸田政権と全く同じだ。国民からすれば「定額減税」も「インフレ給付金」も、一時的なバラマキとしか映っていないのではないか。
しかも、立憲は「消費税の半分を還付」するという複雑な法案まで提出。中・低所得世帯を対象に、年間の消費税負担額の2分の1を、所得税の税額控除と給付によって還付されるようにするという。しかし、どうせ消費税を対象にするなら、「減税」や「廃止」を求めるべきだろう。国民に分かりづらい「還付」を打ち出すとは、あまりにセンスがないというものだ。
いまこそ、野党は岸田政権のデタラメなバラマキを追及すべきなのに、「野党は批判ばかり」「対案を出せ」という声にビビっているのか、自民党と一緒になってバラマキ合戦をしているのだから話にならない。
対案を出すにしても、自民党とはまったく違う発想のモノを出すべきなのではないか。自民党と同じ発想では意味がないだろう。この国の政治家には、バラマキしか知恵がないのか。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。
「政治の大きな役割は、国民から預かった税金をどう分配すれば、国民生活にとって一番いいのか、熟慮することです。教育なのか、経済なのか、社会保障なのか。それも、目先だけでなく、5年先、10年先、数十年先を見据えて分配を考えなければいけない。なのに、恒久減税ならまだしも、たった1年間の定額減税や給付金を訴えるなど、あまりにも情けない。野党は岸田政権のバラマキを追及すべきなのに『給付だ』『還付だ』と、同じレベルで議論を展開している。浅はかだと言わざるを得ません」
新自由主義からの大転換が必要
一時的なバラマキをやっても日本経済は回復しないし、国民が豊かになることも決してない。いま必要なのは、日本経済の停滞を打ち破るような抜本的な改革に手をつけることだ。
「失われた30年」を招いた最大の原因は、日本が新自由主義に突っ走ったことだ。とくにこの10年間のアベノミクスによって日本社会は本当に貧しくなってしまった。一握りの大企業と富裕層が潤う一方、非正規労働者が全体の4割にまで上り、格差が拡大。少子化だって、経済的な余裕がなく、結婚して子どもを持ちたくても持てない若年層が増えていたのが原因である。
ある意味、日本は、アメリカよりも新自由主義が進んでしまっている。たとえば、株の配当課税である。アメリカ(ニューヨーク市)の税率は約35%、英国は約40%だ。なのに日本は、消費税導入前の約35%から現在は約20%にまで下げられている。国際的に見ても日本の配当課税は低すぎる。
いまや、資本主義の権化であるアメリカでさえ、行き過ぎた新自由主義を見直すべきだ、という動きが出始めているくらいである。日本も、新自由主義を見直すべきではないのか。前出の五十嵐仁氏が言う。
「壮大な“社会実験”だったアベノミクスは、この10年間で失敗だったことは明らかになったはずです。2023年の日本の名目GDPはドイツに逆転される見通しで、平均年収も韓国に抜かれてしまった。円の実力は53年ぶりの低水準です。これからは、稼げない日本で働く外国人が減る一方、海外へ出稼ぎする日本人が増えていくでしょう。もともと、岸田首相は看板政策に『新しい資本主義』を掲げ、『分配』を重視したのに、結局、富を一極に集中させるアベノミクスを継続している。安倍シンパに気を使っているのでしょうが、このままでは日本は停滞から抜け出せないと思います」
野党はバラマキ合戦に付き合っている場合ではない。この国は、一時的なバラマキでは変わらない。アベノミクスとは、まったく違う政策が求められている。停滞を招いたA級戦犯の自民党を降ろさなければ、国民は絶望するしかない。
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