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野党が統一候補を立てれば自民に大打撃を与え得ることがますますはっきりした 永田町の裏を読む
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/331085
2023/10/25 日刊ゲンダイ ※後段文字起こし
1勝1敗引き分けどころか、重大な「後退」(衆院長崎4区補選で応援演説に入った岸田首相)/(C)共同通信社
22日に行われた衆院長崎4区と参院徳島・高知選挙区のダブル補選について、NHKなどは「自民1勝1敗で引き分け」というような言い方をしているが、それは違うだろう。両方とも自民が持っていた議席だったのに1つを失ったのだから、それだけですでに重大な「後退」である。
しかも中身を見ると、長崎では、勝った自公の金子容三は祖父の代からの強固な保守基盤を受け継ぎながら5万3915票しか得られず、立民+社民の元衆院議員に約7000票差まで迫られた。他方、徳島・高知では、立民・共産・国民・社民が支援した広田一=元参院議員が23万3250票を得て自公候補に9万票以上の大差をつけた。岸田文雄首相は危うく2敗を喫して、党内からも退陣を迫られかねないところだったが、何とか首の皮一枚でつながったというところなのだ。
加えて同日には、埼玉県所沢市の市長選挙があり、元民主党衆院議員の小野塚勝俊が5万7272票を取って自公の推す現職を1万5000票以上の差で破った。
これらの出来事の政局に与えるインパクトは大きくて、第1に、何とかして年内に解散・総選挙に持ち込んで来年秋の自民党総裁再選に向けて弾みをつけたいという岸田文雄首相の野望はほぼついえた。来年に入ればますます解散のタイミングを掴むのは難しく、政権のレームダック化が進むだろう。
第2に、「自公」という看板の色あせぶりがひどい。両党間の選挙協力をめぐるギクシャクは表向き修復されつつあるとはいうものの、特に公明党=創価学会の側で一度失せた「やる気」が旧に復することはないのではないか。
第3に、小沢一郎が繰り返し吠えているように、立憲が共産・社民としっかり組んで野党統一候補を押し立てれば自民に大打撃を与え得ることがますますはっきりした。立憲の右派や国民民主、その後ろにいる連合などが「共産党とは理念や基本政策が相いれない」などと言って野党共闘づくりを妨害しているのは政治的幼稚さの表れでしかない。理念や基本政策で一致するのなら一つの党になればいいわけで、そうでないいくつかの野党が「自民党政権を倒し、安倍亜流の大軍拡と経済格差拡大にともかくも歯止めをかける」という喫緊の課題で政権を取りに行くというのは極めて現実的な統一戦線戦術である。
幸いにして解散は来年になりそうなので、野党は急ぎ態勢づくりを進めるべきである。
高野孟 ジャーナリスト
1944年生まれ。「インサイダー」編集長、「ザ・ジャーナル」主幹。02年より早稲田大学客員教授。主な著書に「ジャーナリスティックな地図」(池上彰らと共著)、「沖縄に海兵隊は要らない!」、「いま、なぜ東アジア共同体なのか」(孫崎享らと共著」など。メルマガ「高野孟のザ・ジャーナル」を配信中。
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