<■484行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可> 主張 性別変更 社会の不安招かぬ対応を 2023/10/26 5:00 https://www.sankei.com/article/20231026-WPBHCKJ6B5MB3P4E6DXCRU45AA/ 性同一性障害を巡り戸籍上の性別を変更する場合、生殖能力をなくす手術を必要とする法律の規定について、最高裁は 「違憲」 との初判断を示した。 4年前の2019年に最高裁は 「合憲」 としており、性別変更要件を緩和する転換である。 今後の家事審判や法改正など影響は大きく、社会不安や混乱を招かぬよう対応すべきだ。 戸籍上は男性でホルモン治療などを行い、女性として暮らす人が性別変更を求めていた。 性同一性障害特例法では複数の医師の診断を必要とし、未成年の子がいないことなど5つの要件を満たせば家事審判を経て性別を変更できる。 1、2審は生殖能力喪失の要件を理由に性別変更を認めなかった。 最高裁は精巣や卵巣をなくす手術は憲法13条が保障する 「身体への強度の侵襲を受けない自由」 を制約するなどとして違憲と判断した。 性同一性障害の場合、元の生殖機能で子が生まれる状況は極めてまれで、混乱は限定的と見た。 個人の人権をより重く考えた判断だが、社会生活を営む上で周囲の理解は欠かせない。 決定の補足意見には、生殖能力喪失に代わる要件を設けることを含め、立法府の裁量に委ねるとの言及もあった。 法改正に当たっては多くの理解を得られるよう検討を重ねてほしい。 最高裁は変更後の性別の性器に似た外観を備える要件については高裁に審理を差し戻した。 この問題は終わっていない。 LGBTなど性的少数者への理解増進法が成立したが、女性と自称する男性が女性専用スペースに入ることを正当化しかねないとの不安は拭えぬままだ。 厚生労働省が公衆浴場で 「身体的特徴」 で男女を取り扱うことを確認する通知を出したのは、この不安の表れだ。 女性らの権利を守る団体など7団体は手術要件を外せば 「社会的にも法的にも大変な秩序の混乱が起きる」 とし、合憲判断を求める要請書を出していた。 耳を傾ける必要がある。 自己申告による性自認と、医学的見地からの性同一性障害は明確に線引きし考える必要があることも改めて指摘したい。 今回の 「違憲」 判断が強調されるあまり、 「性別は自分で決められる」 といった誤った認識や行き過ぎた性差否定教育に繋げてはならない。保守派が強いアメリカのフロリダ州等では、 「法令上の性別」 は出生時の生物学的特徴によって定まり、以後、性転換手術を受けようが受けまいが変えられないとの立場を州法で成文化した。 手術で法的な性を変更できるとすると、性別違和を感じる若年者が手術を急ぎ、後に激しく後悔する、取り返しのつかない事態を招きかねないからである。 本人がトランスジェンダーを主張し、周りがそう遇するのは自由だが、 「法令上の性別」 は変えられない、となれば手術を急ぐ理由は少なくとも法的にはなくなる。 日本のように、手術を要件とした 「特例法」 を作ると、必ず次の段階として、肉体的、経済的に負担の大きい手術を強いるのは人権侵害だとする今回のような訴訟が起こされる。 特例法を廃止し、 「法令上の性別」 変更は不可とした上で雇用差別を禁じるなどの措置を講じるのが正解ではないか。 医学・社会の変化対応 性別変更要件、手術必要の「制約」判断変える 2023/10/25 20:36 https://www.sankei.com/article/20231025-QKT7DJVHPFPIXB2FHCFJRISTLU/ 性同一性障害者の性別変更を巡る手術要件について、最高裁大法廷が2023年10月25日、 「違憲」 の判断を示した。 前回の 「合憲」 判断から4年。 手術を望まない当事者にも体に強い負担を強いる 「制約」 と生殖機能が温存されることで生じる 「混乱」 を比較し、医学面や社会的な変化も考慮して変更した形だ。 ■「必要性は低下」 性同一性障害特例法が定める性別変更要件のうち、手術が必要とされるのは生殖能力をなくす 「生殖不能要件」 と性器の見た目を近づける 「外観要件」 の2つ。 今回、最高裁が違憲としたのは生殖不能要件だった。 設けられた大きな理由は、変更前の性別の生殖機能により子が生まれるなどした場合、親子関係などの問題が生じ、社会に混乱を生じさせかねない−という 「配慮」 だった。 この日の家事審判の決定で大法廷は、実際に問題が生じることは極めて稀で、 「必要性は低下している」 と指摘。 医療の進展もあり生殖不能要件を課すこと自体が 「医学的に見て合理的関連性を欠くに至った」 とも言及し、要件による制約は 「必要かつ合理的なものということはできない」 とした。 性同一性障害の人のうち、戸籍上は女性で性自認が男性の人は、男性ホルモンの投与で外性器が男性器の形状になり、外観要件を満たすケースが多いとされる。 今回の最高裁決定で、こうした人が手術をせずに、性別変更ができる可能性が高まったと言える。 ただ、戸籍上男性の人は女性ホルモンを投与しても外性器が 「似た外観」 になるとまで言えるかどうかは難しく、依然手術が必要になる余地も指摘される。 ■「外観要件」は差し戻しも また決定では、家事審判の1、2審段階で判断の対象外となっていた外観要件について、15人の裁判官のうち12人が 「審理が尽くされていない」 と判断、高裁に差し戻した。 だが、3人の裁判官は外観要件についても 「違憲だ」 と踏み込み、反対意見を付けた。 三浦守裁判官(検察官出身)は 「規定がなかったとしても公衆浴場の風紀は事業者によって維持されており、混乱が生じることは極めて稀だ」 と指摘。 草野耕一裁判官(弁護士出身)は、外観要件が違憲とされる社会は 「憲法が体現する理念に照らし、合憲とされる社会より善い社会と言える」 とした。 宇賀克也裁判官(学者出身)は 「生殖能力要件と同様、過酷な二者択一を迫る規定だ」 と指摘した。 一方、岡正晶裁判官(弁護士出身)は12人の多数意見に賛同した上で、どんな法改正をするかは 「国会の裁量に委ねられている」 と補足意見を付けた。 性別変更の家事審判は争う相手方がいないため、高裁に差し戻された今回の家事審判は外観要件が違憲と判断されれば、そのまま確定する。 ただその場合、最高裁で審理されないため効果は申立人に限られる。 もし合憲とされ、申立人が特別抗告すれば最高裁が改めて憲法判断を示すことになり、結論は当事者全体に及ぶ見込みだ。 自民議連幹部「困った判決」 性別変更を巡る最高裁決定で 2023/10/25 20:28 https://www.sankei.com/article/20231025-6UTCMWTJ7JMITKHNCEUDOKGO6Y/ 性同一性障害の人が戸籍上の性別を変更する際に生殖能力をなくす手術が必要だとする性同一性障害特例法の規定について、最高裁が2023年10月25日、 「違憲」 と判断したことを巡り、自民党内から今後の影響を懸念する声が上がった。 安易な性別変更などに繋がれば、社会が混乱しかねないためだ。 「手術要件」 の堅持を訴えてきた自民有志の議員連盟などは慎重に対応を検討する構えだ。 「困った判決だ」 「戸籍そのものが壊される恐れがある」。 自民党の議員グループ 「日本の尊厳と国益を護る会」 の代表を務める青山繁晴参院議員は2023年10月25日、産経新聞の取材にこう述べ、危機感を隠さなかった。 自民有志で作る 「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」 の共同代表を務める片山さつき元地方創生担当相は2023年10月25日、記者団に対し、 「他の共同代表と相談した上で今後の対応を考えたい」 と述べるにとどめた。 議連は2023年9月、斎藤健法相(当時)に対し、 「手術要件が違憲になれば、(戸籍上)男性になった後に生物学的な母であり得たりと、大きな混乱が生じる」 とする声明を提出した。 議連のヒアリングでは、母親団体の代表者が 「手術することなく戸籍を変更すると、体が男性のままの母親≠ェ生まれてしまう」 として、授乳室を元男性と共有する事態などを懸念。 性別適合手術を経て戸籍上の女性になった性同一性障害の人たちも 「手術要件」 の維持を訴えていた。 そもそも、同法は2003(平成15)年に自民議員が立法化を主導した。 党内の慎重論を抑えるため、手術要件などを盛り込んだ経緯がある。 自民若手は最高裁の決定について 「社会の理解が追い付いていない」 「女性や子供の安全を確保するための対応を考える」 と強調した。 2023年6月に施行されたLGBTなど性的少数者への理解増進法の法案作成に自民特命委員会のアドバイザーなどとして携わった一般社団法人 「LGBT理解増進会」 の繁内幸治代表理事は、産経新聞の取材に 「増進法はゆっくり、じっくりとLGBTへの理解を広げるためだ」 「国民的な議論が不十分なまま、性別という社会倫理を覆すような判決は増進法の理念に合わない」 と指摘した。 「15人で国の根幹変えてよいのか」ジャーナリストの櫻井よしこ氏、性別変更手術要件の違憲決定に 2023/10/25 20:05 https://www.sankei.com/article/20231025-NQVS2A2S6JMJNCKNLNQTMACDU4/ 性別変更に生殖機能をなくす手術が必要だとする性同一性障害特例法の規定を最高裁が2023年10月25日の決定で違憲としたのは、要件を外すことに反対する性同一性障害当事者の多くの意見が無視されたものだ。 強い違和感と危惧を覚える。 決定の多数意見には 「(特例法施行後)これまでに1万人を超える者が性別変更審判を受けるに至っている中で、性同一性障害を有する者に関する理解が広まりつつあり」 とある。 だが、自らも手術を受けて性別を男性から女性に変更した 「性同一性障害特例法を守る会」 の美山みどり代表らは、1万人以上が手術を受け、手術要件が社会制度として定着しているにもかかわらず、手術をせずに男性の姿のままで女性であるということが通じるのは良くないと主張してきた。 美山氏らは、手術要件が違憲となれば 「女性専用スペースに男性器のある女性が入ることが可能になったり、出産する男性が出てきたりして社会が混乱する」 とも訴えてきた。 多数意見は 「手術を受けずに性別変更審判を受けた者が子をもうけることにより親子関係等に関わる問題が生ずることは、極めて稀」 としているが、 「混乱は限定的だから無視してもいい」 という理屈は成り立たない。 15人の最高裁裁判官が幾百世代も繋がって来た日本の価値観や社会の根幹を変えようとしている。 たった15人の判断でこんなに大事なことを変えていいのだろうか。 日本では最高裁の裁判官について1人1人のキャリアや考え方など詳細な情報はほとんど知られていない。 指名・任命権は内閣にあるが、弁護士会枠や外務省枠などがあるのが実態だ。 法律は日本国民の望む方向に社会を作っていくためのものだ。 何故こんなに多くの国民が不安を感じ、多くの女性が信頼できないと思っているような方向に社会を変えていくのか、理解できない。 最高裁の裁判官は国会同意人事にすべきだ。 「手術は唯一の客観的基準」 手術で性別変更の女性、最高裁決定に憤り 2023/10/25 18:49 https://www.sankei.com/article/20231025-SCSXJVEAIZKYDEW5IQSMYJI6FA/ 「性同一性障害特例法の規定は私たちと社会との『約束』」 「それを覆す判断は認められない」。 性別適合手術を経て女性に性別変更した当事者で 「性同一性障害特例法を守る会」 代表の美山みどりさん(61)は、生殖不能要件を 「違憲」 とした2023年10月25日の最高裁決定に憤りを露わにした。 「私たちは手術を受けることで社会に受け入れられてきた」 とする美山さんらは2023年8月以降、最高裁に生殖不能要件をはじめとした手術要件を違憲としないよう求めて署名活動を行ってきた。 性同一性障害の当事者を含め、2万筆を超える賛同が集まったという。 美山さんは多様な生き方を尊重しつつも 「手術は、客観的に性別変更の証明が可能なほぼ唯一の手段」 「それが社会の判断の根底に置かれるべきだ」 と説明。 今後、生殖不能要件が撤廃されれば 「当事者が警戒の目で見られ、差別が一層深まることも考えられる」 と懸念する。 海外でも性自認を巡って社会の分断が生じており、 「社会全体で丁寧な議論を積み重ねていくことが重要だ」 と訴えた。 手術要件の条文削除など法改正へ 性同一性障害特例法 2023/10/25 18:31 https://www.sankei.com/article/20231025-QAT2SHYDNFKFVLE7ERNFHZCFA4/ 性別変更に生殖機能をなくす手術が必要だとする性同一性障害特例法の規定が2023年10月25日の最高裁決定で違憲で無効とされたことで、政府は特例法の改正を目指すことになる。 平成16年に施行された特例法は、戸籍上の性別が性自認の不一致から公的手続きなどで生じる障害を取り除くのが目的。 複数の医師から性同一性障害の診断を受けた上で、 @18歳以上 A結婚していない B未成年の子がいない C生殖腺がないか生殖機能を永続的に欠く状態 D変更後の性別の性器に似た外観を備えている の要件を全て満たせば、家事審判を経て性別変更できると定める。 Bは当初、単に 「子がいないこと」 とされていたが、平成20年に要件が緩和された。 @についても、民法改正による成人年齢の引き下げに伴い、2022年4月から性別変更可能な年齢が20歳から引き下げられた。 今回の最高裁決定を受けて、政府は法務省を中心に、Cの規定を条文から削除するか、文言を変更するなどして特例法の改正案をまとめ、国会に提出することが求められる。 一方、決定ではDの要件についての憲法適合性は判断されなかったが、審理が差し戻された高裁での判断や国会などの議論の行方次第では、この要件についても改正の対象になる可能性があり、幅広い検討を迫られそうだ。 戸籍上の性別変更、認められたのは20年間で1万人超 2023/10/25 18:11 https://www.sankei.com/article/20231025-YEXLYKD7KRJOZCRTDGEYATQBXQ/ 戸籍上の性別を変更する際に生殖能力をなくす手術が必要だとする性同一性障害特例法の規定について、最高裁は2023年10月25日、規定を 「違憲」 と判断した。 自認する性別が出生時と異なるトランスジェンダーの人が同法に基づき戸籍上の性別を変更するケースは、年々増加している。 最高裁によると、全国の家庭裁判所などで性別変更が認められたのは特例法の施行翌年の平成17年には229人だったが、令和元年は過去最多の9480人に。 その後も年間600〜800人台で推移し、令和4年までの累計で1万1919人にのぼっている。 一方、生殖機能をなくす手術要件を巡っては、2014(平成26)年に世界保健機関(WHO)などが手術の強要は人権侵害で、自己決定や人間の尊厳の尊重に反するとして廃絶を求める共同声明を発表。 海外では要件としない国も増えている。 森屋官房副長官「関係省庁で精査し適切に対応」 性別変更を巡る最高裁決定 2023/10/25 17:21 https://www.sankei.com/article/20231025-LL3AO4NPV5JWRDST7LJM7TN5RM/ 森屋宏官房副長官は2023年10月25日の記者会見で、性同一性障害の人が戸籍上の性別変更を行うのに生殖能力喪失を要件とした特例法の規定を違憲とした最高裁決定に関し、 「関係省庁で決定内容を精査の上、適切に対応をしていく」 と述べた。 生殖不能手術要件は「違憲」 性別変更規定巡り最高裁が初判断、4年前から変更 2023/10/25 15:16 https://www.sankei.com/article/20231025-PHRZXWXMHBPZTB3MDTZENUM3CE/ 性同一性障害の人が戸籍上の性別を変更する際に生殖能力をなくす手術が必要だとする法律の規定の合憲性が争われた家事審判の特別抗告審で、最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)は2023年10月25日、規定を 「違憲」 と判断した。 裁判官15人全員一致の結論。 4年前の2019年に 「合憲」 とした最高裁判断を変更。 国は規定の見直しを迫られることになる。 最高裁が法令を違憲としたのは12例目。 性同一性障害特例法は、複数の医師から性同一性障害の診断を受けた上で、 @18歳以上 A結婚していない B未成年の子がいない C生殖腺がないか生殖機能を永続的に欠く状態 D変更後の性別の性器に似た外観を備えている の5つの要件を全て満たせば、性別変更できると定めている。 Cを満たすには精巣や卵巣を摘出して生殖能力をなくす手術が欠かせず、Dについても外観の手術が必要となるケースが多いとされる。 家事審判の申し立て人は、戸籍上は男性だが性自認は女性の社会人。 手術は心身や経済的な負担が大きく、ホルモン治療などにより手術なしでも要件を満たしていると訴えた。 1、2審段階ではCの規定を理由に性別変更を認めず、Dについては判断していなかった。 大法廷は2023年10月25日付の決定で、Cの規定について違憲と判断。 Dについては憲法適合性を判断せず、審理を2審に差し戻した。 Cの規定を巡っては、最高裁第2小法廷が平成31年1月、手術せずに性別変更前の生殖機能で子が生まれると 「社会に混乱を生じさせかねない」 として 「現時点では合憲」 と指摘。 ただ 「社会の変化などに応じ変わりうる」 としていた。 2023年10月に入り、女性から男性への性別変更を求めた別の家事審判で静岡家裁浜松支部がCの規定を違憲とする初の司法判断を出していたが、下級審への拘束力はなく、15人の裁判官全員で審理する最高裁大法廷の判断が注目されていた。 性別変更要件 決定要旨 2023年10月26日 産経新聞 性同一性障害特例法の規定を違憲とした2023年10月25日の最高裁大法廷の決定要旨は次の通り。 【多数意見】 特例法は性別変更の要件として 「生殖腺がない、または生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること」 と規定し、該当するには原則、生殖腺除去手術を受ける必要がある。 規程は、治療としては手術を要しない性同一性障害者に対し、性自認に従った法令上の性別の取扱いを受けるという、個人の人格的利益を実現するために、手術を受けることを余儀なくさせる。 この制約は、憲法13条が保障する 「身体への侵襲を受けない自由」 の重要性に照らし、必要かつ合理的と言えない限りは許されない。 合理的かどうかは、規定の目的のために制約が必要とされる程度と、制約される自由の内容、性質、具体的な制約の態様などを衡量して判断すべきだ。 規定の目的は、性別変更審判を受けた人が変更前の性別の生殖機能により子が生まれることがあれば、親子関係の問題が生じかねないなどの配慮に基づくと解される。 しかし、規定がなかったとしても問題が生じることは極めて稀だ。 法律上の親子関係は、法令解釈、立法措置により解決を図ることができる。 加えて、特例法施行から約19年が経過し、1万人超が性別変更審判を受けた中で、性同一性障害への理解は広まりつつある。 制約の必要性は、前提となる諸事情の変化により低減している。 特例法の制定当時は、性別適合手術は段階的治療の最終段階として位置付けられていた。 生殖腺除去手術を受けたことを前提とする要件を課すことは医学的にも合理的関連性があった。 しかし、特例法制定後、段階的治療という考え方が採られなくなり、このような要件は合理的関連性を欠くに至った。 規定は、治療としては手術を要しない性同一性障害者に対し、強度な身体的侵襲である手術を受けることを甘受するか、または性自認に従った取り扱いを受けるという重要な法的利益を放棄して性別変更審判を断念するかという過酷な二者択一を迫るものになった。 生殖能力の喪失を性別変更の要件としない国が増えていることも考慮すると、制約の程度は重大だ。 以上を踏まえると、規定による制約は、現時点で必要かつ合理的ではなく、憲法13条に違反する。 これと異なる平成31年の最高裁決定は変更する。 申し立てを却下した高裁決定は破棄を免れず、高裁で判断していない特例法3条1項5号の 「性別変更後の性器に近似した外観を備えていること」(外観要件) に関する主張について、更に審理を尽くすため、高裁に差し戻す。 【三浦守裁判官の反対意見】 外観要件に該当するには、外性器の除去や形成術、または相応のホルモン治療を受ける必要があり、同様に身体への侵襲を受けない自由を制約する。 公衆浴場など社会生活上の混乱を考慮したと考えられるが、性同一性障害者が公衆浴場などを利用して混乱が生じることは極めて稀だと考える。 外観要件による制約の必要性は相当に低い。 他方、憲法13条に反する。 申立人の性別を変更する決定をすべきだ。 【草野耕一裁判官の反対意見】 公衆浴場などで 「自己の意思に反して異性の性器を見せられて羞恥心や嫌悪感を抱くことのない利益」 が損なわれる事態を懸念する人がいることは理解できる。 ただ性同一性障害者の全人口に占める割合の低さなどを考えれば、利益が損なわれる可能性は低い。 外観要件も違憲だ。 【宇賀克也裁判官の反対意見】 外観要件も過酷な二者択一を迫り、違憲だ。 申し立てを認めるべきだ。 性別変更には手術を…は違憲か 25日に最高裁大法廷が判断 2023/10/23 16:36 https://www.sankei.com/article/20231023-H65BJQF72FN3VCD2U3QFKJUVCI/ 性同一性障害の人が戸籍上の性別を変更する場合、生殖能力をなくす手術は必要か−。 こんな争点の家事審判で最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)が2023年10月25日に決定を出す。 4年前の2019(平成31)年1月に最高裁で 「合憲」 とされたが、2023年10月に入り家裁で 「違憲」 とする初の司法判断が出た。 社会情勢の変化などを踏まえ、最高裁がどう判断するか注目される。 性同一性障害特例法は、複数の医師から性同一性障害の診断を受けた上で @18歳以上 A結婚していない B未成年の子がいない C生殖腺がないか、生殖機能を永続的に欠く状態 D変更後の性別の性器に似た外観を備えている を全て満たせば、家事審判を経て性別を変更できると定める。 Cを満たすには男性は精巣、女性なら卵巣の除去手術などが必須。 Dについても、特に男性から女性への性別変更では手術が必要な場合が多い。 今回、家事審判を申し立てたのは戸籍上は男性で性自認が女性の社会人。 手術は心身への負荷や経済的な負担が大きく、ホルモン治療で生殖機能も減退しているなどと訴えた。 1、2審はCの規定を理由に性別変更を認めず、Dについては判断を示さなかった。 Cの規定を巡っては最高裁第2小法廷が2019(平成31)年1月、手術せずに性別変更前の生殖機能で子が生まれると 「社会に混乱を生じさせかねない」 として 「現時点では合憲」 と指摘。 ただ 「社会の変化などに応じ変わり得る」 とも言及していた。 一方、女性から男性への性別変更を求めた別の家事審判で静岡家裁浜松支部が2023年10月11日付で出した決定では、2019(平成31)年の最高裁決定を踏まえ、生殖腺除去手術を受ける場合のリスクと社会への影響を検討。 ▽性別変更後の出産は稀で、混乱も限られる ▽国際的に手術要件は廃止される傾向にある ▽性的少数者への理解増進法が今年施行されるなど社会情勢の変化がある などとして規定を違憲として性別変更を認めた。 今回、最高裁がCを違憲と判断すれば、特例法の要件自体を見直す必要が生じ、手術を受けずに性別変更を望む当事者全体に影響する。 判断されていないDについて、どの程度踏み込むかもポイントとなる。 性別変更「手術要件」堅持を 女性団体、最高裁に要請 2023/10/19 22:17 https://www.sankei.com/article/20231019-LC5UOI3XKVJNVELVOVCJCBFOTQ/ 性同一性障害の人が戸籍上の性別を変更する場合、性別適合手術を要件とする現行法の規定の合憲性が争われている家事審判を巡り、女性有志の市民団体 「女性の定義を守る会」 は2023年10月19日、最高裁判所に要件の堅持を求める要請書を提出した。 家事審判は2023年10月25日に最高裁大法廷が決定を出す。 2004(平成16)年施行の性同一性障害特例法は、性別変更の審判を受ける要件に 「18歳以上」 「未婚」 などに加え、 「生殖腺の機能を永続的に欠く状態にある」 と定めている。 特例法で性別を変更するには、性別適合手術を受けた場合がほとんどだ。 同会は要請書で、法的な性別変更を可能にした特例法そのものが 「女性の尊厳を著しく侵害している」 と主張。 「性別の在り方を自分で決められる権利は他者の人格を侵害する」 と訴え、家事審判について合憲判決を求めた。 同会の青谷ゆかり共同代表は産経新聞の取材に、要件緩和の流れについて懸念を示し、 「(性犯罪目的の男が制度を悪用し)性犯罪が今よりも起こりやすい環境になってしまう」 「(自らの性を自身で決める性自認で法的な性別の変更を可能とする)『ジェンダー・セルフID』の制度化に繋がりかねない」 と語った。 「手術要件」 を巡っては、2023年10月11日に静岡家裁浜松支部が、別の家事審判で 「違憲」 とする初の司法判断を出している。 性別変更の手術要件、25日に再び判断 最高裁大法廷 2023/10/18 17:44 https://www.sankei.com/article/20231018-6JUWKZPBBVM35ARNRN5EBG2MNY/ 性同一性障害のある人が戸籍上の性別を変える場合、生殖能力をなくす手術が必要とする法律の規定が合憲かどうかが争われた家事審判で、最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)は2023年10月18日、決定を2023年10月25日に出すと当事者側に通知した。 規定を巡っては最高裁が4年前の2019年1月に 「現時点では合憲」 とする初判断を示しており、改めて判断される。 この規定を巡っては、2023年10月に入り静岡家裁浜松支部が、別の家事審判で 「違憲」 とする初の司法判断を出し、確定。 ただ他の裁判所を拘束する効力はなく、社会情勢の変化などを踏まえて最高裁が再び出す結論に注目が集まる。 性同一性障害特例法は、複数の医師から性同一性障害の診断を受けた上で、 @18歳以上 A結婚していない B未成年の子がいない C生殖腺がないか機能を永続的に欠いている D変更後の性別の性器に似た外見を備えている の要件を全て満たせば、家事審判を経て性別変更できると定める。 今回、最高裁で審理されている家事審判を申し立てたのは、戸籍が男性で性自認が女性の社会人。 長年のホルモン治療で生殖能力は減退しており、手術しなくても要件を満たしていると訴えている。 最高裁第2小法廷は2019(平成31)年1月、Cの規定について、親子関係や社会の混乱への配慮に基づいており 「現時点では合憲」 としつつ 「社会の変化に伴い継続的な検討が必要」 とする判断を示していた。 今回の家事審判は最高裁の裁判官15人全員で審理する大法廷に回付され、2023年9月に当事者側の訴えを聞く弁論や、当事者が非公開で陳述する審尋が開かれていた。 性別変更時の手術要件は「違憲」 静岡家裁浜松支部が初判断、当事者の申し立て認める 2023/10/12 20:36 https://www.sankei.com/article/20231012-XBK4I5HQLRL5TB5RB4MTKFIAAE/ 性同一性障害の診断を受け、戸籍上は女性で性自認が男性の鈴木げんさん(48)が生殖機能をなくす性別適合手術をしないまま、戸籍上の性別変更を求めた静岡家裁浜松支部への申し立てについて、同支部は2023年10月12日までに、性別変更に手術を求める現行法の規定は 「憲法違反で無効」 との判断を示し性別変更を認めた。 2023年10月11日付。 弁護団によると、初の司法判断。 鈴木さんは、幼少期から女性として扱われることに違和感があり、40歳で性同一性障害の診断を受けた。 2021(令和3)年10月に家裁に申し立てた。 正論 最高裁のあり方根本的見直しを 福井県立大学名誉教授・島田洋一 2023/10/9 8:00 https://www.sankei.com/article/20231009-RWMFL5NWYFM65L2RBJ2QQVDQCY/ ■米最高裁人事を巡る闘争 民主国家においては、最高裁人事は最高度の政治闘争である。 米国では良くも悪くもその意識が徹底している。 議会の上下両院が通し大統領が署名して成立した法律を、連邦最高裁(定数9人)はその多数決で、即ち僅か5人の判断で無効化できる。 あるいは議会全体として合意が得られない、ないし議会は通過したが大統領が拒否権を発動して成立に至らない問題についても、国民の選挙を経ていない 「5人の法官」 が判断を下し得る。 その決定は往々にして、米国社会を根底から揺るがす。 特に保守派が 「判事席からの立法行為」 と批判する営為である。 最高裁人事が政治闘争の最激戦地と見なされるのは当然だろう。 よく 「大統領を獲るのは2権を獲ること」 と言われる。 上院の承認という関門が待つものの、最高裁に空席が生まれた時、後任を指名する権限を持つのは大統領である。 行政の頂点であるホワイトハウスの鍵を摑むことが、同時に司法の最高機関の構成を左右することに繫がる。 現在、米最高裁の勢力図は、保守派6人対左派3人だが、2016年の大統領選で民主党のヒラリー氏がトランプ氏に勝っていれば、全く逆の構図になっていただろう。 左派が好む判決が次々出されたはずである。 分断が先鋭化する米国で、大統領選がますます 「仁義なき戦い」 の様相を呈する大きな理由の1つがここにある。 ■日本の最高裁はどうか 翻って日本の状況はどうか。 現行憲法は 「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である」 と規定する(第81条)。 日本の最高裁は法文上、米最高裁以上に強大な権限を有する(米国憲法は裁判所の違憲立法審査権を明文化しておらず、最高裁が判例を通じて自己付与してきた)。 ところがその極めて重大な最高裁の人事に関して日本社会は、余りに無防備であり続けている。 長官、判事合わせて15人の思想傾向はおろか経歴や名前すら知る国民はほとんどいないだろう。 上院の承認が必要な米国と違い、日本では事実上、内閣総理大臣(および側近数名)の一存で判事人事が行われる。 現在、会計検査院はじめ39機関の委員等のポジションが、衆参両院の承認を要する 「国会同意人事」 となっている。 ところが、それらより遥かに重要な最高裁人事に国会は全く関与できない。 「こんなバカな話があるか」 「憲法を改正して国会の同意人事とし、首相が指名した候補者に公開で質疑応答を行い、個々の議員の賛否を明らかにする透明性ある形に変えるべきだ」 との声が、当事者たる国会議員の間から当然上がるべきだと思うが、なぜか全く上がらない。 そのため、各種利益集団による密室談合の結果を首相が惰性で追認する不適材不適所人事が後を絶たない。 還(かえ)ってきた5人の拉致被害者を北朝鮮に送り返すよう主張した外務事務次官や、平和安全法制に反対した内閣法制局長官を 「論功行賞」 で最高裁判事に任用した例など正に言語道断だろう(詳細は拙著『腹黒い世界の常識』参照)。 その最高裁が2023年9月27日、生殖能力をなくす手術を性別変更の要件とした現行の 「性同一性障害特例法」 は差別的で違憲とする申立人の弁論を聞き、即日結審した。 かつて合憲判断を示した最高裁が改めて大法廷で審理する以上、判例を覆し、手術なしで性別変更可能とする方向で決定を下すのではないかと見られている。 ■憲法改正すべきだ ちなみにトランスジェンダー問題について米最高裁は、雇用差別は許されないとした以外は、多数を占める保守派判事が、連邦議会や各州の動きを見守る 「抑制的司法」 の姿勢を堅持しているため、何らの判断も下していない。 そうした状況下、保守派が強いフロリダ州等では、 「法令上の性別」 は出生時の生物学的特徴によって定まり、以後、性転換手術を受けようが受けまいが変えられないとの立場を州法で成文化した。 手術で法的な性を変更できるとすると、性別違和を感じる若年者が手術を急ぎ、後に激しく後悔する、取り返しのつかない事態を招きかねないからである。 本人がトランスジェンダーを主張し、周りがそう遇するのは自由だが、 「法令上の性別」 は変えられない、となれば手術を急ぐ理由は少なくとも法的にはなくなる。 日本のように、手術を要件とした 「特例法」 を作ると、必ず次の段階として、肉体的、経済的に負担の大きい手術を強いるのは人権侵害だとする今回のような訴訟が起こされる。 特例法を廃止し、 「法令上の性別」 変更は不可とした上で雇用差別を禁じるなどの措置を講じるのが正解ではないか。 最後に繰り返せば、最高裁判事は 「内閣が指名し国会が承認する」 と憲法改正すべきである。 まさか反対する国会議員はいないだろう。
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