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※2023年10月21日 日刊ゲンダイ2面 紙面クリック拡大
※紙面抜粋
※文字起こし
打つ手がない(C)日刊ゲンダイ
自民VS野党の一騎打ちとなった「衆参ダブル補欠選挙」は、いよいよ、22日投開票される。いま頃、自民党は真っ青になっているのではないか。
補欠選挙が行われている参院徳島・高知と、衆院長崎4区は、もともと2つとも自民党が持っていた議席だけに、当初は「自民2勝」と予測されていた。ところが「自民2敗」という大波乱もあり得る状況となっているのだ。
大手メディアなどの情勢調査によると、参院徳島・高知は野党系候補がリードし、すでに自民党には諦めムードが広がっている。
一方、衆院長崎4区は、大接戦。野党候補が猛追し、自民候補は予想外の苦戦を強いられている状況だ。
長崎での苦戦は、自民党には大誤算だろう。保守の地盤が強いだけでなく、弔い合戦であり、しかも世襲である自民候補は親から盤石な地盤を引き継いだ。通常なら絶対に負けない選挙である。
ここまで自民党が苦戦をしているのは、岸田政権に対する有権者の“不満”と“怒り”が渦巻いているからだ。岸田首相が徳島で応援演説した時は、「増税メガネ」とヤジが飛んだ。ジャーナリストの鈴木哲夫氏はこう言う。
「内閣支持率が過去最低を更新しているように、有権者の間に“岸田嫌い”が急速に広がっています。大きいのは国民生活に対して無関心だということでしょう。国民が物価高に苦しんでいるのに手を打とうとしない。国民はモノを買うたびに鬱憤をため込んでいるはずです。しかも、感覚が国民とズレまくっている。夏休みには、夫人と一緒に三越百貨店で食材を買い、その姿をメディアに公開しています。果たして高級店で食材を買える国民がどれほどいるでしょうか。かと思うと、先日は、わざとらしくスーパーの野菜売り場を視察し、『たしかに高くなっている』とシタリ顔でコメントしている。岸田首相にイライラしている国民は相当いるはずです」
「減税」で有権者を釣る
さらに、ダメ押しになりそうなのが、投票日の直前に打ち出した「所得税減税」である。
なんとしても補欠選挙を「1勝1敗」で乗り切りたい岸田は、20日、自民党と公明党の幹部に「所得税減税」を検討するように指示している。
「物価高に苦しむ国民を支援したい」などとしているが、誰がどう見ても、選挙対策なのはミエミエだけに、さすがに自民党からも「補欠選挙を前に減税をアピールしたいってことだろう」「だれがこんな知恵を首相につけているんだ」と怒りの声が上がっている。
「投票日の2日前に減税を打ち出すのは、さすがに逆効果でしょう。有権者だって選挙対策だと見抜きますよ。しかも、岸田首相は防衛費増税を宣言している。片方で増税を唱えながら、減税を掲げるのはつじつまが合わない。真剣に政策を考えているのでしょうか。これでは有権者から不信を買うだけです」(鈴木哲夫氏=前出)
しかも、この「所得税減税」は、期限付きになりそうだから、経済効果はほとんど期待ができない。
1年や2年、わずかな額を減税されても貯蓄に回るだけだろう。それに、実際に減税が実施されるのは、早くても来年6月以降だ。足元の物価高にはまったく間に合わない。
岸田政権が発足してからの2年間で暮らし向きが「良くなった」は、わずか3%しかなく、「悪くなった」は60%に達している。多くの有権者が怒りの一票を投じても不思議はない。
だかりこの男は嫌われる
10.22補欠選挙で自民党が2敗したら、さすがに岸田はアウトだ。
党内から「選挙の顔にならない」という声が噴出し、自民党の水面下で「岸田降ろし」が動き出すのは間違いない。
2021年の衆参3補選で全敗した菅前首相も、解散を打てないまま退陣に追い込まれている。あの時の二の舞いである。
なにしろ、岸田の嫌われっぷりはハンパではない。内閣支持率は、朝日、読売、毎日と軒並み過去最低を更新している。岸田内閣の特徴は「支持しない」が異常に多いことだ。毎日新聞の9月の調査では、「(岸田に)早く辞めてほしい」が51%に達している。
自民党の閣僚経験者も「増税と言ってみたり、減税と言ってみたり。地元を回ると面白いほど批判される」と突き放していた。
岸田がここまで嫌われる理由はハッキリしている。2年経っても何がしたいのかよく分からず、国民に向き合っているようには見えないことだ。
毎日新聞(20日付)のインタビューで上西充子法政大教授が岸田の本質を突く発言をしていた。
〈こだわりや信念があって言っていることなのか。それとも、そうではないのか。岸田首相の言葉を聞く度に私が感じる疑問です〉〈子ども予算の「倍増」を打ち出しておきながら、予算や財源の問題が取り沙汰されると、「数字ありきではない」と発言を修正しました。「倍増」と言ったのは何だったのでしょうか。一度示した方針を、言ったそばから全く別の言葉で塗り替えていく。そんなパターンが目立ちます〉〈岸田首相を見ていると、誰に向かってしゃべっているのだろうと思う時があります〉
なにをやりたいのかもハッキリせず、仕事もしない、そのくせ見え透いた人気取りだけはしてくる──。これでは国民の支持を失うのは当然だ。
小細工人事も水の泡
国民の支持を失った政権が力を失っていくのは、あっという間だ。世論調査なら「一喜一憂しない」などと強弁できるだろうが、選挙で「0勝2敗」の審判を下されたら、さすがに尊重せざるを得ないだろう。
岸田政権がキツイのは、支持率を回復させるカードがほとんど残っていないことだ。
「支持率をアップさせるために、女性閣僚を5人も登用し、ガソリン補助金も延長した。旧統一教会の解散命令請求も提出した。なのに支持率は上がらず、逆に過去最低を更新してしまった。所得税減税を打ち出しても国民から支持されないとなると、もう岸田政権には打つ手がない。非常に厳しい状況です」(自民党関係者)
「政局」に絶対の自信を持っている岸田は、来年秋の総裁選で再選されるために、ライバルになりそうな政治家を、ことごとく潰している。
総裁選に出馬できないように茂木幹事長を留任させ、河野デジタル相と高市経済安保相も閣内に取り込んで封印。最大派閥の安倍派が反乱しないように、森元首相の覚えがめでたい「5人衆」も全員留任させている。
しかし、補選2連敗となったら、そんな戦略はすべて吹き飛んでしまうのではないか。政治評論家の本澤二郎氏はこう言う。
「首相になってやりたいことを問われ『人事』と言っていましたが、ある意味、正直だったということでしょう。岸田首相本人は、人事で足元を固め、次期総裁選は盤石と思っているのかもしれませんが、衆参2補選で『NO』を突きつけられたら、さすがに党内で『反岸田』の動きが出てくるでしょう。来年秋の総裁選の前に、イチかバチか解散総選挙に打って出ることも考えられますが、岸田首相のカオで果たして勝てるのか。今後は求心力を失って“野垂れ死に”ではないか」
「10.22」は岸田政権の終戦記念日になるだろう。
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