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岸田内閣無為無策の2年
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2023年10月 4日 植草一秀の『知られざる真実』
今年も残すところ3ヵ月。
岸田内閣が発足して2年の時間が無為に経過した。
コロナ禍からようやく解放され、日本経済が飛躍できる環境だったが日中関係を著しく悪化させて経済浮上が遠のいた。
岸田内閣は福島原発の処理後汚染水の海洋投棄を強行した。
IAEAで中国だけが反対との報道がなされているが、9月22日の国連総会ではソロモン諸島のソガバレ首相が一般討論演説で演説し、福島第一原発の処理後汚染水の海洋投棄を批判し、即時停止を求めた。
日本国内でも多数の有識者、市民が処理後汚染水海洋投棄に反対している。
最大の理由は処理後汚染水海洋投棄を東京電力に丸投げしていること。
東電はこれまで原発関連のさまざまな不祥事を隠蔽してきた歴史を持つ。
処理後汚染水の海洋投棄という重大行為については、そのプロセスを外部から完全に監視できる体制を整えることが必要不可欠。
すべてを東電に丸投げし、問題なく実施すると説明されても、信用できないのがあたりまえ。
中国に対する事前の説明も不十分だった。
日本円が暴落しているいま、日本経済を支える唯一の望みの綱は外国人による日本国内での消費だ。
日中関係悪化は日本国内における外国人消費拡大の機会を逸失させるものだ。
日本円暴落で恩恵を得るのは輸出製造業だけだ。
消費者は暴騰する外国産製品の購入を強要され、一段と深刻な生活苦に追い込まれている。
岸田首相は昨年5月に英国を訪問して現地で講演した。
その際に、「日本経済はこれからも力強く成長を続ける」と述べた。
しかし、日本経済がこれまでに力強く成長した事実は存在しない。
このような、誰にでもわかるウソを海外に発信しては日本の信用がなくなる。
すでに信用されていないから変わりがないとの声もあるが、誠に残念なことだ。
ドル表示の日本の名目GDPは1995年水準を100としたときに2020年の水準は91である。
25年間の日本経済成長率はマイナスである。
同じ期間に中国のGDPは20倍に拡大した。
米国のGDPは約3倍に拡大した。
日本経済だけがまったく成長できない25年を経過した。
日本の衰退は著しい。
経済成長から完全に取り残された国。
これが日本の現実だが、そのなかでとりわけ深刻な状況に追い込まれたのが日本の労働者=生活者=消費者である。
日本の労働者一人当たりの実質賃金は1996年から2022年までの26年間に14.4%減少した。
GDPは横ばいだが労働者の実質賃金は14.4%減少した
日本は世界最悪の賃金減少国に転落したのである。
国税庁発表の民間給与実態調査によれば、1年を通じて勤務した給与所得者のうち、55%が年収400万円以下である。
21%が年収200万円以下。
圧倒的多数の労働者が下流へ下流へと押し流されてきた。
その一方で政府は金持ち優遇税制を温存し続けている。
所得税の負担率は所得が増大するに連れて上昇することとされている。
税を負担する能力の高い人に高い負担を、税を負担する能力の低い人には低い負担を求める。
所得税を中心とする「応能負担」が戦後日本税制の基本に置かれてきた。
ところが現実には所得税の税率構造に重大なゆがみがある。
年収が1億円を超えると所得税の税負担率が低下の一途を辿る。
富裕層の所得の中心が金融所得であり、金融所得に低率の分離課税税率が適用されているため、富裕層の税負担率は所得が増えるに連れて低下する。
また、所得税の場合、例えば夫婦子二人で片働きの世帯の場合、この年齢にもよるが年収が350万円以下の場合には所得税負担はゼロである。
所得税制度においては税負担能力の低い人の税負担を軽くする制度設計がなされている。
ところが、消費税は真逆だ。
年収が10億円の人も年収が100万円の人もまったく同じ税率で税金を取り立てる。
年収100万円の人は収入金額の全額を消費に充てるだろう。
年収10億円の人は年収の1割しか消費しないことも多い。
収入金額に対する消費税負担率は所得の少ない人は10%、富裕者は1%ということになる。
このような現状をもたらしている岸田内閣を日本の主権者は一刻も早く退場させるべきだと言える。
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