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※紙面抜粋
※2023年9月27日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
何がそんなに楽しいのか(閣議の岸田首相=中央)/(C)共同通信社
何の恩恵もない庶民は、もっと怒った方がいい。
25日夜に物価高対策や賃上げ支援などをうたう総合経済対策の柱を表明した岸田首相。最近お気に入りのモニターを使った説明で示したのは、以下の「5本柱」だ。
▽物価高から国民生活を守る
▽持続的賃上げ、所得向上と地方の成長
▽成長力につながる国内投資促進
▽人口減少を乗り越え、変化を力にする社会変革
▽国土強靱化など国民の安心・安全
26日の閣議では、これらの具体的な対策を10月末までに取りまとめるよう閣僚に指示したのだが、この経済対策の中身のなさには驚くほかない。一体、このメニューのどこが物価高対策なのか。
賃上げにしたって、賃上げを実現した企業に対して減税措置を行うというのは、これまでやってきた賃上げ税制の継続でしかない。そのやり方では物価上昇にとても追いつかず、実質賃金は16カ月連続のマイナスなのに、ナントカのひとつ覚えみたいに同じことを続けるというのだ。
岸田政権の無能無策を嘲笑うかのように、26日の日経平均株価は朝から売りが先行し、前日比363円57銭安の3万2315円05銭と大幅反落。約1カ月ぶりの安値水準となった。もともと、たいして期待はしていなかったにしても、予想をはるかに上回る経済無策ぶりで、マーケットからも完全に見放されてしまった。
緩和策をやめれば済む話
「岸田首相は『成長の成果である税収増を国民に適切に還元する』と言うのですが、高騰する電気・ガス料金やガソリン価格の負担軽減策は、相変わらず企業に対する補助金です。それで電力会社やガソリン元請け会社は黒字を計上している。国民ではなく、企業への還元なのです。物価高対策と言うのなら、まずは輸入物価を押し上げている円安を止めることを考えたらどうなのか。日銀の異次元緩和をやめさせれば済む話です」(経済評論家・斎藤満氏)
26日の東京外国為替市場でも円安は進み、円相場は一時1ドル=149円台をつけた。およそ11カ月ぶりの円安水準である。米国で長期金利が上昇していることを考えれば、1ドル=150円台を突破するのも時間の問題だろう。
これ以上の物価上昇は勘弁して欲しいというのが一般庶民の心の叫びだ。ところが、日銀の植田総裁は今も「2%の物価安定目標の達成は不確実性が大きい」とか言って、大規模緩和を継続する姿勢を強調している。安定的な物価高を目指すというのだ。誰も求めていない物価高を日銀は追求し続け、庶民生活がますます疲弊してもお構いなしだ。
岸田も経済対策の柱を発表した際、「新型コロナウイルス禍を乗り越え、経済状況は改善しつつある」と世まい言を言っていた。どこがどう改善しているというのか。物価高に苦しめられている庶民生活の実態がまったく分かっていないとしか思えない。恐るべき能天気ぶりである。だいたい、経済状況が改善しつつあるなら、大規模な経済対策も必要ないはずだ。
与党内からは、早くも「15兆〜20兆円が必要」(自民党の世耕弘成参院幹事長)などと規模ありきの話が出てきているが、一体、何のための対策なのか。年内の衆院解散も囁かれる中で、安直なバラマキの思惑しか感じられない。
国民負担で物価高のメリットを政府と企業が分け合う
「コロナ禍で常態化した巨額の補正予算を組む際に、政府・与党はGDPギャップのマイナスを理由にしてきた。だったら、プラスに転じた今は、その分だけ歳出を減らすのが筋でしょう。それなのに、なんだかんだと理屈をつけてバラまくのは、財政の私物化と言うほかない。それも、財政負担を国民に押し付けて、物価高のメリットを政府と企業が分け合う構図だから、あまりに醜悪です。20兆円も財政出動したところで、企業が甘い汁を吸うだけで、本当に困っている人を助ける施策はひとつもないのです。国民から搾取して自民党のお仲間企業を儲けさせる経済対策ならば、何もしない方がはるかにマシです」(斎藤満氏=前出)
20兆円も支出するなら、期間限定で消費税減税だってできるのに、恩恵を受けるのは一部の法人だけなのだ。その財源は税金で、われわれ国民が負担するのである。こんなアホらしい話はない。
閣議で経済対策の取りまとめを指示した岸田は「大切なのはスタートダッシュだ」とかほざいていたらしいが、発足から3年目に入る岸田政権は、いつまで経ってもダッシュする気配はない。
20兆円規模の対策が必要なほど経済状況が悪化しているという認識なら、さっさと国会を開いたらどうなのかと思うが、秋の臨時国会の召集日もまだ決まっていないし、やることなすこと遅すぎる。結局、経済対策なんて名ばかりで、国民生活を支援する目的ではないからだ。
総合経済対策は10月末をメドに取りまとめるというが、その裏付けとなる補正予算の提出時期は明言しない。通常、補正予算の編成には3週間程度かかるとされる。10月末に対策取りまとめなら、補正予算案の国会提出は11月中旬以降。審議に1週間かければもう年末で、予算の執行も来年になってしまう。
それで、自民党内からは補正予算案を年明けの通常国会に提出するプランまで出始めている。デタラメにも程があるというものだろう。通常国会で審議するなら、補正ではなく、来年度の当初予算でやればいい話ではないか。
都合よく使われる補正予算
岸田が示した経済対策「5本柱」を見ても、国土強靱化や「人口減少を乗り越え、変化を力にする社会変革」は緊急経済対策とは言えない内容だ。むしろ当初予算で手当てすべきで、年度途中に急いで補正予算を組む類いのものではない。
「補正予算の方が政治家も役人もやりやすいのです。当初予算に盛り込めなかったものも、補正予算ならアレコレ押し込める。今回の5本柱だって、お題目を並べただけで中身はないので、利権配分の格好のターゲットです。岸田政権は発足当初から『新しい資本主義』とか『デジタル田園都市構想』などのキャッチフレーズを打ち出してきましたが、どれひとつ形になっていない。
今回も官僚任せで5本柱の体裁を整えさせただけでしょう。家計支援ではなく、選挙を意識したバラマキ策に終わる可能性が高い。岸田首相は国民生活には関心がないのだと思う。政権維持だけが目的で、党内と、自分を支えてくれる官僚機構だけ見ていればいいと本気で考えているのでしょう」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)
「アベノミクス3本の矢」は結局、1本目の異次元緩和に頼り切り、3本の矢はついぞ放たれなかったが、岸田の「5本柱」は最初から1本も立たせる気がないようだ。経済対策なんて看板だけで、目的はお仲間企業や支持団体へのバラマキだということを隠そうともしない。経済対策をまとめ、大盤振る舞いをチラつかせて解散・総選挙に打って出るのか。補正予算を上げて選挙に臨むのか。
いずれにせよ、補正予算案の規模も、国会に提出するタイミングも、国民生活や経済状況は度外視で、選挙がらみで決まっていく。こんな亡国の経済対策は百害あって一利なしだ。
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