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汚染水放出は経済敗戦…岸田政権は「技術後進国」の汚名を歴史に刻んだ 金子勝の「天下の逆襲」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/328264
2023/08/29 日刊ゲンダイ ※後段文字起こし
ゾンビ企業の東電に事後処理能力はない(東京電力福島第1原発の処理水放出の操作や監視をする遠隔操作室を公開)/(C)共同通信社
岸田政権と東京電力が福島第1原発で発生した汚染水の海洋放出を強行した。反発する中国は水産物の全面禁輸に踏み切り、韓国でも抗議デモが活発化している。一部メディアはそうした動きを風評被害と報じる。水俣病の時と同じだ。
汚染水の放出は原発敗戦、経済敗戦の象徴だ。先の大戦で将校らは作戦失敗を繰り返しても責任を取らず、多数の兵隊を死なせた。同じように原発関連死は約2300人になるのに、廃炉のメドは示せないままである。
原発事故をめぐる作戦失敗の第1は立地ミスだ。3.11で被災したものの、かろうじて重大事故を免れた東北電力の女川原発は、津波被害を想定して高台に建てられた。福島第1は海水くみ上げコスト削減のために高台を掘り、沿岸に建設。湾に位置させたため、津波が双方から押し寄せて14メートルに達した。原石山を切り開いたがために、メルトダウン(炉心溶融)した原子炉に地下水が強い圧力で押し寄せ、大量の汚染水を生み出すことになった。
第2の失敗は、原発事故でゾンビ企業になり果てた東電に事後処理を任せたことだ。東電は事実上の倒産企業ゆえに、あらゆる対策が安物買いの銭失いばかりになってしまった。凍土遮水壁という臨時工法を用いたために、当初は水がダダ漏れ。老朽化が早く、頻繁に故障している。いずれ建て直さなければならなくなる。
汚染水を浄化処理するというALPS(多核種除去設備)も、放射性物質をすべて取り除けるわけではなく、ストロンチウムなどの処理は残り、2次処理が必要な状態だ。しかも、きちんとした関連データは公表されていない。問題になっているトリチウムの半減期は12年なので、36年間で8分の1になるが、タンクを入れ替えるとすれば、使用済みの汚染タンクの処理費用にカネがかさむ。要するに、ゾンビ企業の東電に汚染水の処理コストを負う能力はない。だからこそ、海洋放出をせざるを得なくなったのが事の本質である。
近隣諸国の反発に批判の声が上がっているが、立場を変えてみたらいい。中韓が原発事故で発生した汚染水を海に垂れ流すとしたら、日本の世論も許さないだろう。周辺国をモニターに参加させ、安心させることもできていない。
もはや日本は、環境に優しい精巧な製品をつくる「工業先進国ニッポン」の看板を下ろさざるを得ない。環境汚染国、あるいは技術後進国として歴史に汚名を残すことになった。これは第2の経済敗戦だと言うほかない。
金子勝 淑徳大客員教授
1952年6月、東京都生まれ。東京大学経済学部卒業、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。法政大学経済学部教授、慶應義塾大学経済学部教授などを経て現職。慶応義塾大学名誉教授。文化放送「大竹まことゴールデンラジオ」などにレギュラー出演中。近著「平成経済 衰退の本質」など著書多数。新聞、雑誌、ネットメディアにも多数寄稿している。
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