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※紙面抜粋
※2023年8月28日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
週末に飛んだ沖縄での車座対話は基地問題スルー(岸田首相=右写真の左)、迫る3万円割れキシダメノミクス(C)日刊ゲンダイ
いまだ姿形が見えない岸田首相の金看板「新しい資本主義」は、この国の経済をズタボロにすることが狙いなのかと勘繰りたくもなる。岸田政権の発足から1年10カ月あまり、日本経済は地盤沈下の一途だ。輸入物価高に拍車をかける円安が進んでいる。先週末の米ニューヨーク外為市場の円相場は一時、1ドル=146円60銭台まで値下がり。今年の最安値を更新した。日米金利差の拡大がまたも意識されたからだ。
きっかけは、米国の通貨の番人であるFRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長が25日(現地時間)のジャクソンホール会議で行った講演だ。米国のインフレ率について「依然として高すぎる」「目標の2%まで引き下げることがFRBの仕事だ」とし、「持続的に減速していると確信できるまで」金融引き締めを継続すると強調。コロナ禍の出口に向かう過程で米国を襲った高インフレを退治するため、FRBは昨年3月に政策金利の引き上げへと舵を切った。昨年6月に9.1%まで高まった消費者物価指数(CPI)の上昇率は、今年7月に3.2%まで低下。市場では利上げの打ち止めや、年明け早々の利下げへの期待が高まっていたところに冷や水を浴びせた格好だ。政策金利は5.25〜5.50%で維持される見通しだ。
米国と産業界の利益が最優先
米国の高金利によるダメージを食らうのは、ほかでもない日本である。アベノミクスの異次元緩和は10年超にわたり、首相が交代しても、日銀総裁が代わっても、世界で唯一マイナス金利政策を続けている。安倍元首相と手を取り合って安いニッポンを定着させた黒田前総裁の後継に就いた植田総裁は、7月末の金融政策決定会合でYCC(イールドカーブ・コントロール)を修正。低く抑え込んでいる長期金利の上限を1.0%へ事実上引き上げたが、円高に振れたのはホンの一瞬だけ。市場はすぐに円売りに転じた。
そうして、先週の円相場は1ドル=145円台後半まで下落。昨年9月に政府と日銀が24年ぶりに円買い・ドル売りの為替介入をした水準に達したが、当局に目立った動きはない。物価高騰に直結する円安をこのまま放置する気なのか。
7月の消費者物価指数は、変動の大きい生鮮食品を除くコアCPIが前年同月比で3.1%上昇。上昇率3%超は11カ月連続だ。全国の物価の先行指標となる東京都区部の8月のコアCPI(中旬速報)は前年同月比2.8%上昇。前年同月を上回るのは24カ月連続である。
経済評論家の斎藤満氏はこう言う。
「経済安定の肝はバランスです。円安で輸出企業などがいくら儲けても、生活を圧迫される個人が貧しくなっていけば、経済の血液であるカネは循環しない。消費は着実に冷え込んでいます。4〜6月期の実質GDP(国内総生産)で、その過半を占める個人消費は前期比0.5%減。3四半期ぶりのマイナスになった。歴代の自民党政権はお墨付きを与えてくれる米国と、資金面で支えてくれる産業界の利益を優先してきましたが、岸田政権はその傾向が顕著。5年間で43兆円に膨張させる防衛費は、武器爆買いや兵器の共同開発費として米国に差し出される。企業にはコスト上昇分の価格転嫁を奨励し、利益を確保させる。加速するインフレ対策としてガソリンや電気・ガス代に補助金をつけ、10月以降の延長が検討されていますが、どれもこれも原資は血税。岸田政権の政策は個人に多大な犠牲を強いているのです」
投資家が逃げ出す通貨安の止まらない国
アベノミクスが演出してきた円安株高は頭打ちの様相だ。7月上旬にバブル後最高値の3万3753円33銭まで上昇した日経平均株価は、先週末25日に大幅反落。今年2番目の下げ幅となった前日比662円93銭安の3万1624円28銭で取引を終えた。市場では3万円割れする可能性が指摘され始めた。
「4月以降の急ピッチな株価上昇を主導した海外投資家が手を引き始めています。日本企業は円安で利益を上げても設備投資などに積極的に回さず、内部留保として抱え込んでしまう。政府は米国の言いなりで、最大の輸出相手国である中国との関係を悪化させ、現地に進出した企業の足を引っ張り、貿易も縮小する懸念がある。経済政策も外交も心もとない日本には、安心して投資できません。円安バーゲンで仕入れた株をだらだらと持ち続ければ、保有資産が目減りしてしまう。通貨の価値が上がる国に資金を投じるのが、投資の原則です」(斎藤満氏=前出)
岸田は自民党総裁選で掲げた「令和版所得倍増計画」を姑息に修正し、「資産所得倍増計画」にすり替え。年明けに始まる新NISA(少額投資非課税制度)のメリットを喧伝し、盛んに投資を煽っているが、為替も異常なら、株価もジリジリ下げ続け、天井知らずの物価高で庶民の暮らしは疲弊し、経済は停滞するばかり。アベノミクスはアホノミクスと揶揄されたものだが、その路線をまるっと引き継いだキシダノミクスがキシダメノミクスであることが、いよいよ鮮明である。実質賃金は15カ月連続でマイナス。ただでさえ生活はカツカツなのに、こんな市況で庶民が投資などできるものか。
中国は非関税障壁として利用
東京電力福島第1原発でたまり続ける汚染水の海洋放出をめぐるハレーションも深刻だ。
猛反発していた中国の反応は速かった。垂れ流しが始まった24日に日本からの水産物の輸入を全面的に停止する強硬措置を発表。香港も規制を強化し、東京、福島、千葉、栃木、茨城、群馬、宮城、新潟、長野、埼玉の10都県からの輸入禁止措置を始めた。日本の2022年の農林水産物・食品の輸出額は1兆4148億円で、過去最高を更新。中国向けは最多の2783億円、香港が2086億円で続いた。水産物は総額3873億円で、中国871億円、香港755億円がワン・ツー。およそ4割を占める上客を失ったことになる。与党の一角を占める公明党の山口代表の訪中はドタキャンされた。
高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。
「原発事故後、日本産食品に対する輸入規制はすさまじかった。一時は55カ国・地域に広がったものの、徐々に撤廃が進み、継続する中国やロシアなど7カ国・地域でも産地は限定されていた。中国の措置を受けて野村農相が〈全く想定していなかった〉と言っていましたが、素人考えにもほどがある。これを機に中国依存から脱却しようとか、国内消費でカバーしようなんていう声も聞かれますが、のんきすぎる。ヘタをすれば、政府が設けた漁業者を支援する800億円の基金はアッという間に吹っ飛んでしまいます。経済安全保障と密接に関わる半導体関連製品とは異なり、水産物は輸出リスクがないのに、中国に日本の脆弱性だと認識されてしまった。非関税障壁としてとことん利用されかねません」
政府は農林水産物・食品の輸出額を25年までに2兆円、30年までに5兆円に増やすとブチ上げていたが、これでパー。GDPを押し上げるインバウンド消費にしたって中国頼み。これも蛇口を閉められる可能性がある。岸田政権が続く限り、お先真っ暗。それが世間のコンセンサスだ。毎日新聞の世論調査(26、27日実施)で、内閣支持率は前回7月調査から2ポイント下落し、26%に落ち込んだ。長引く物価高については、「大いに」「ある程度」を合わせて92%が「影響している」と回答している。先送りできない課題はインチキ少子化対策や軍拡、汚染水放出ではなく、国民の生活苦の解消なのは明らかである。
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