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※紙面抜粋
※2023年8月21日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
THE パフォーマンス(米キャンプデービッドで共同会見をする左から韓国の尹錫悦大統領、バイデン米大統領、岸田首相)(C)ロイター
「歴史的」の言葉だけが先走っていた。米ワシントン郊外の大統領専用山荘「キャンプデービッド」で18日昼(日本時間19日未明)に行われた日米韓首脳会談。共同記者会見で3首脳は「歴史的会談」を強調してみせた。
バイデン米大統領が「歴史的な場での会談、歴史的な瞬間だ。日米韓協力の新たな時代だ」と高揚しきって口火を切ると、韓国の尹錫悦大統領は「歴史的な場として記憶にとどまるだろう」と続けた。岸田首相も「歴史に新たな一ページを刻むことを光栄に思う」と同調した。
しかし、ランチミーティングはたったの2時間。54分間も続いた共同記者会見を含めても3時間足らずだ。2013年6月、就任間もない中国の習近平国家主席が訪米。当時のオバマ大統領と「西のキャンプデービッド」と呼ばれる南カリフォルニア・サニーランズの別荘で会談した際は2日間、計8時間に及んだ。
今年3月、激しく対立してきたサウジアラビアとイランが国交正常化で合意したサプライズ会談に使うなら、いざ知らず。3首脳は「歴史的」を安売りしすぎではないか。
日米韓首脳会談が国際会議以外の独立した日程で開かれるのは今回が初めて。場所は数々の歴史的な会談が行われてきたキャンプデービッド。形式は整っているが、「歴史的」と言えるかどうかは会談の成果次第である。
その肝心の成果として3首脳が口をそろえたのは、安全保障分野での連携強化だ。岸田は「日米韓3カ国の安全保障協力を新たな高みに引き上げる」と得意顔だったが、それが持続できるのかは非常に心もとない。
日米韓の連携強化は砂上の楼閣
首脳や外務、防衛担当の閣僚らが少なくとも年1回会談することを確認。自衛隊と米韓両軍による共同演習の定例化。北朝鮮のミサイル発射情報を即時共有するシステム運用の年内開始。緊急事態発生時には速やかに協議することを約束──。連携強化を記す共同声明には幅広いメニューが出そろったが、実際に具体化できるかどうかは別問題だ。国際ジャーナリストの春名幹男氏がこう言う。
「共同声明は連携強化に関する今後の運用方針を決めただけ。有事の際の日米韓の協議も単なる『約束』に過ぎず、法的拘束力を伴っていません。そもそも日米、米韓はそれぞれ同盟関係にありますが、日韓には条約で裏づけられた同盟関係はない。バイデン政権は各国の政権が代わっても今回の制度化は不変である旨を強調しましたが、裏を返せば制度のもろさを自覚している証拠です。韓国は頻繁に政権が交代し、最大野党の『共に民主党』は今回の合意内容を批判。『国益にどんな役に立つのか、明確に説明せよ』と尹政権に訴えています。大体、来年11月の米大統領選で、多国間の枠組みを軽視するトランプ前大統領が返り咲けば、合意内容を白紙に戻しかねない。3カ国の連携強化は、砂上の楼閣に過ぎないのです」
3首脳がまとめた「キャンプデービッド原則」には「力による一方的な現状変更の試みに強く反対」し、「台湾海峡の平和と安定の重要性を再確認した」と明記された。名指しこそは避けたものの、中国を念頭に置いているのは明らかだ。
これまで日米韓首脳会談は北朝鮮の核開発への対応や日韓関係の改善が主眼だった。今回はそこから大きく飛び越え、中国を念頭にインド太平洋地域全体の安全保障まで3カ国の役割を一気に拡大させた。背景には会談を呼びかけたバイデンの焦りが、にじみ出ている。
後世に汚点を残す意味では「歴史的」
ロシアのウクライナ侵攻から間もなく1年半。停戦の兆しは見えず、バイデン政権は当面、対ロ政策に力を割かざるを得ない。この間、北朝鮮は弾道ミサイル発射を繰り返し、中国はロシアとの軍事協力を強化してきた。
「東アジア情勢にまで目を配るのが困難な米国は、日韓両国にその役割を負担させるしかない。中東情勢を巡っても、覇権を争う中国がサウジとイランの国交正常化を仲介するなど、米国は後塵を拝しています。来年の大統領選を前にバイデン氏は目ぼしい外交成果を欲しがり、焦燥感を強めていた。そこで徴用工問題の政治決着を機に日韓関係が劇的に改善したのをチャンスと捉え、日米韓の安全保障強化のアピールにこぎつけたのです。今回の会談は対抗する中国に一泡吹かせたい思惑と、大統領選に向けた実績を狙ったバイデン氏によるパフォーマンスの意味合いが強い」(春名幹男氏=前出)
恐らくキャンプデービッド史上、最も中身がなかったのが今回の日米韓首脳会談ではないか。バイデンの中ロ朝への薄っぺらなパフォーマンスに付き合わされた岸田も「ご苦労さん」だ。17日夕に政府専用機で羽田を発ち、時差ボケを解消する間もなく、日米韓首脳会談に臨み、協力の強化、確認だけで19日夜には日本にトンボ返り。この間、ほとんど機中で過ごす強行軍だった。
バイデンに「カモン!」と命じられれば岸田はシッポを振り、ムチャなスケジュールにも耐えて米国に見参する。キャンプデービッドといえば、01年に当時の小泉純一郎首相がブッシュ大統領(子)と初会談した場所だ。2人はキャッチボールに興じ、親密関係を演出したことが思い出される。
別に小泉を褒めるつもりはないが、いかに岸田がバイデンになめられているかが、よく分かる。いまやポチ以下だ。
隣国への対立一辺倒は「いつか来た道」
岸田の情けない姿が象徴的で、これが「歴史的会談」とは恐れ入る。3首脳の演出の言葉を真に受け、タレ流すだけの大メディアにも仰天だ。
日米韓の首脳会談に先立ち、岸田はバイデンと個別で会談。北朝鮮や中国、ロシアが開発を進める極超音速兵器を迎撃するため、新型ミサイルを共同開発する方針で合意してしまった。
迎撃ミサイルの日米共同開発は、06年から開発を始めた「SM3ブロック2A」以来、2例目だ。ブロック2Aの開発費は31億ドル(約4495億円)。共同で開発したのに、なぜか米国から購入し、その額は73発で計32億9500万ドル(約4778億円)と、1発あたり約65億円も支払うハメとなった。
ましてや、極超音速ミサイルはマッハ5以上で飛行し、レーダー探知や迎撃は困難。着弾直前に複雑な軌道を取るのが特徴で、その動きを比較的捉えやすい遠方での滑空段階で迎撃するというから、ブロック2Aよりもバカ高い値段になるのは必至だろう。
一体いくらかかるのか、本当にできるのかを知りたいものだ。この怪しいミサイル共同開発で日本からカネを巻き上げるのが、バイデンが招待した今回の会談の真の狙いではないかとさえ思えてくる。立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう言った。
「米国は常に緊張の演出が飯の種のような国です。その米国の軍事戦略が『錦の御旗』と言わんばかりに、岸田政権は唯々諾々と従うのみ。その結果、昨年末には防衛費倍増や敵基地攻撃能力の保有を柱とした安保関連3文書を閣議決定。殺傷能力のある武器の輸出まで検討し、平和憲法の精神を次々と蹂躙しています。あらゆる国際会議や外交文書で米国と共に中国非難を繰り返し、今回の日米韓の連携強化も中国への挑発でしかない。まるで戦前の『日独伊3国同盟』をほうふつさせます。岸田首相は『中国との対話』を口にしますが、バイデン氏とは10回以上も会談しているのに、習近平氏との対面会談は1回きり。隣国への対立一辺倒は『いつか来た道』の危うさを感じます」
今回の会談を後世に汚点を残すという意味で「歴史的」にしてはいけない。
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