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https://dot.asahi.com/aera/2023071800018.html?page=1
「福島第一原発処理水の海洋放出が迫っている。」
という文章から始まる、批評家東浩紀氏の「AERA」巻頭エッセイ「eyes」
「科学的」議論と判断が求められている福島第一原発処理水の海洋放出問題に対して、残念ながら、「批評家」では荷が重すぎたのでは、という印象しか残らない。
知らないで書いているとすれば、「批評家」としては、あまりにも勉強不足ということになるし、知っていて読者を誤誘導する意識が働いているとすれば、「批評家」の風上にも置けない、政府御用達の人と言うことになろうか。
以下に記事の抜粋を記す。
福島第一原発処理水の海洋放出が迫っている。
原発事故から12年、跡地では冷却水と地下水が入り混じり毎日膨大な量の汚染水が発生し続けてきた。それを特殊な装置で浄化したのがいわゆる処理水で、微量のトリチウム(三重水素)が含まれる。トリチウムの放出自体は世界中で行われており、政府は健康への危険はないと判断している。・・・
それがここにきて外交問題になり始めた。中国は反対を表明。11日には香港政府が日本産海産物の禁輸を仄めかした。
韓国政府は理解を示しているが、野党主導による世論の反発が激しい。・・・呼応して日本国内でも反対論が高まっている。政府は地元の理解が必須とするが、福島県漁連が反対を表明するなど先行きが読めない。
とはいえ、日本には他の選択肢がない。・・・汚染水は溜まり続けている。敷地内はタンクで一杯で廃炉作業に支障が出ている。永遠に保存し続けるのは無理だ。だとすればいつかは海に流すほかない。・・・国際的な安全基準を満たすところまで浄化できたのであれば、よしとするべきではなかろうか。
むろん地元民には不安が残るだろう。・・・けれども事故処理を進めるとすれば、この痛みは潜り抜けるしかない。・・・政府による十分な補償を前提に、なんとか合意を作れないものか。
中韓はこの問題を政争の具にしている。彼らにとって原発事故は他国の出来事だ。だからいくらでも不安を煽ることができる。しかし日本にとってはそうではない。多少の不安はあっても廃炉は進めねばならないし、福島は復興せねばならない。日本の政治家やマスコミにはせめてその軸だけは見失わないでほしいと願う。
記事の抜粋は以上。
東浩紀氏の「非科学的な指摘」を論う(あげつらう)ことが目的ではないが、読者が誤解をしないように、間違いは間違いとして、指摘すべきは指摘しておかなければならない。
「・・・それを特殊な装置で浄化したのがいわゆる処理水で、・・・」
ALPSを通した、「不完全浄化処理水」と言うのが正しい。
「・・・微量のトリチウム(三重水素)が含まれる。・・・」
微量とはこれまた「微妙な」表現だこと・・・。
2020年12月の衆院東日本大震災復興特別委員会の質疑から拾う。
立憲民主党の玄葉光一郎議員(59)は「ALPS(多核種除去設備)処理水というのは、他の原発から出ているトリチウムと同列に論じていいのかどうか」と質問。これに対し、当時の江島潔経産副大臣(66=自民党)は、ALPS処理水について、「溶融した核燃料に直接触れている水が由来であります。従いまして、核分裂で生じた核種を含んでいるということは事実」とした上で、「(核燃料の)再処理工場というものから出てくる排水には、同じく核分裂で生じた核種が含まれている」「トリチウムに加えまして、セシウム、放射性ヨウ素、それからカーボン14等々、福島第一原発のALPS処理水に含まれる核種と同じものが確認をされている」と答弁。
同委員会に出席していた東電副社長も、「損傷した燃料に触れた水という点では、通常の原子力発電所で発生いたします液体廃棄物に含まれない放射性物質が含まれております」と説明していた。
また、東京新聞によれば、今年の3月に採水したタンク群の分析結果は6月22日に判明。
浄化設備で除去できないトリチウムの濃度は1リットル当たり14万ベクレル。政府方針の基準では、放出できるトリチウム濃度は同1500ベクレルで、海水を混ぜて約93倍に薄める必要がある。
「・・・微量のトリチウム(三重水素)が含まれる。・・・」
と言うのが、大きな誤りであることが分かろうというものだ。
「・・・トリチウムの放出自体は世界中で行われており・・・」
と言うのも、
同じく、2020年12月の衆院東日本大震災復興特別委員会の質疑の中で、
日本共産党の高橋千鶴子議員(63)は、処理タンクで液漏れやさび、硫化水素の発生などのトラブルが続いた事実を挙げ、「事故炉を通した水であること、トリチウム以外に62種の放射性物質があり、濃度や組成はタンクによって均一ではないこと、タンクの中で有機結合型トリチウムの発生も確認されていること、こうしたことから、通常運転時に放出されるトリチウムと同一視することはできない」と断言。さらに「そもそも、基準、基準と言いますけれども、事故炉に対して総量規制を取っ払ってしまっていること、再処理工場はもっと高いからという何かすごい答弁がございましたけれども、数万倍も高い濃度のトリチウムを放出すると言われている再処理工場には、濃度基準さえない」と指摘していた。
との指摘を前にしては、何の説得力も持たない。
しかも、政府の言う「処理水」も海洋放出するにあたっては、さらに「海水で100倍に薄める」必要があるという。
正常に運転されている原発からの排水を、排水する前に海水で薄めている例などあるのだろうか。
福島の「汚染水」の海洋放出にあたっては、「処理水」を海水で希釈して、それを1kmという目と鼻の先の海底から海洋に放出するということになっている。
そんな無駄で非科学的なことをやっている原発など福島以外には無い。
しかし、そうしなければならないということが、正常に運転されている原発からの排水と同列に語ることができない「代物」であることの証左だろう。
「・・・政府は健康への危険はないと判断している。・・・」
と言うに至っては、政府の雇われ者の言でしかない。
「・・・政府は地元の理解が必須とするが・・・」
今、ここが怪しくなってきている。
松野博一官房長官の11日午前の記者会見で、
「・・・「関係者の理解」について、「何をもって理解を得たかということについては、特定の指標によって理解の度合いを判断することは難しい」と指摘。・・・」
したとある。
自分達が「証文」を出しておいて、他人事のように、「関係者の理解」の曖昧さ、意味不明さを今になって、「明かし」、
判断が難しいので「無視」すると宣言したに等しい。
東浩紀氏の一番問題な文章は、
「・・・とはいえ、日本には他の選択肢がない。・・・」
と、何の前触れも無く、また根拠を示さず、「汚染水の海洋放出しか選択肢はない」と、結論じみたことを言っているところだろう。
日本国民は勿論、近隣諸国も、国際社会も、納得しいていないのは、まさにこの点だ。
日本政府が「汚染水の海洋放出」という対処法が、科学的に検討した結果、「取りうる唯一の方法」であると、国民に向かって、さらには国際社会に向かって説明したとは、寡聞にして存じ上げない。
「・・・永遠に保存し続けるのは無理だ。・・・」
と言うなら、「永遠に海洋に放出し続けるのも、同様に無理だ」と言わねばなるまい。
さらに
「・・・政府による十分な補償を前提に・・・」
と言うに至っては、「処理水」という名の「汚染水」は、海洋に放出することは「安全ではなく「問題あり」と言っているに等しい。
中国政府の言ではないが、「飲めるし、泳げるような水の放出なら、「補償」など必要ないではないか。」・・・ということになる。
「・・・廃炉は進めねばならないし、福島は復興せねばならない。・・・」
このくだりは、ここで東浩紀氏の書いていることは、「政府のこれまでの言い分をそのままなぞってきた」に過ぎないことを、如実に表している。
政府は「福島原発の廃炉」と「福島の復興」を人質にとって、「汚染水」の海洋放出を強行しようとしているが、「汚染水」の海洋放出の是非を科学的に議論することと、「福島原発の廃炉」と「福島の復興」を進めることとの間には、何の関連もないのは自明ではないか。
国民を脅してどうする・・・。
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