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マイナ保険証で「質の高い医療」は“大ウソ”! データ閲覧可能が「40日後」のポンコツぶり
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/326197
2023/07/19 日刊ゲンダイ
集中企画・マイナ狂騒(21)
彼らに医療のデジタル化は無理(加藤厚労相と河野デジタル相)(C)日刊ゲンダイ
「本人の受診履歴に基づく質の高い医療を実現する」──。マイナ保険証のメリットについて、岸田首相はそう説明してきたが、“大ウソ”だった。現実は質の向上どころか、ほとんど診療に役に立たないことが分かってきた。ポンコツの極み。頼みの電子処方箋も暗雲が漂う。
◇ ◇ ◇
マイナ保険証の最大のセールスポイントは、受診履歴や処方された薬剤情報が閲覧できるということだ。ところが、医療関係者は「情報が古すぎて診察ではとても使い物にならない」とこう続ける。
「患者さんの医療情報は、レセプト(診療報酬明細書)のデータがもとになっています。医療機関はデータを月末で締め、翌月10日に健保組合などに提出する。例えば、7月1日に受けた受診情報は8月10日にマイナ保険証のデータに反映される。40日後にやっと閲覧できるのです。これでは参考情報にしかなりません」
開業医らでつくる埼玉県保険医協会(以下、埼玉協会)が実施したアンケート(5月16〜19日)でも〈情報が遅い〉〈直近の情報を取得できるわけではないのであまり意味がない〉〈お薬手帳で十分〉といった声が寄せられた。
これなら「お薬手帳」で十分
「保険証廃止」反対派7割超(C)日刊ゲンダイ
こうした状況を打開すべく、厚労省が期待する“切り札”が電子処方箋だ。埼玉協会の担当者は「厚労省は電子処方箋に移行すれば、医療情報のうち薬剤情報については、リアルタイムに閲覧できると説明してきました」と語る。
電子処方箋は今年1月26日に運用が開始された。医療機関・薬局は全国に約23万あり、厚労省は2025年3月までに「ほぼ全施設に導入」という目標を掲げている。ところが、7月9日時点で導入しているのはわずか2.1%(4870施設)にとどまる。厚労省は「高い目標だが、まだ1年8カ月はある。導入した施設でのメリットなど紹介しながら進めていきたい」(医薬局総務課)と答えたが、目標達成は不可能に近い。
「電子処方箋は薬剤情報に限られ、レセプトより範囲が狭く、しかも全体の2割で行われている院内処方(調剤薬局ではなく、受診した医療機関で薬を受け取ること)は対象外です。情報として不十分なのです。電子処方箋導入に対して補助金が出るとはいえ、病院の経費負担も小さくない。そして何より、マイナ保険証の相次ぐトラブルを目の当たりにした医療関係者は、厚労省が進めるシステム導入に強い不信感を抱いている。電子処方箋の導入は任意でもあり、多くの医療機関は導入に前向きになれないようです」(厚労省担当記者)
医療情報の閲覧には最長40日のタイムラグがある上、電子処方箋も普及率2%。これでは「質の高い医療」は絵に描いた餅だ。
「電子処方箋の普及は想定以上に低迷しており、見通しも立たない状況です。岸田政権が掲げる、マイナ保険証による『質の高い医療』の達成は全くメドが立っていないと言っていいでしょう」(前出の埼玉協会の担当者)
マイナ保険証を柱にした“医療のデジタル化”は破綻も同然。それでも岸田政権はゴリ押しするつもりなのか。
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