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2024年4月3日 15時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/319048
石川県穴水町梶の元中学校教諭、滝井元之さん(79)が編集し、能登半島地震後「休刊」が続いていた手書き印刷の新聞「紡ぐ」が4月に入り、発行を再開した。地元のちょっとした話題から町の課題まで幅広く取り上げ、4月がちょうど創刊4年の節目。滝井さんは再開に「被災者が前を向ける情報を届けたい」と気持ちを新たにしている。(小林大晃)
◆2007年の地震後、被災者に配った「たより」がきっかけ
私たちは生きています 少しずつでも前に進みませんか―。再開第1号は「能登半島地震特別号」となる通算第72号。自宅前のクロッカスのつぼみの写真を添えた見出しが、再開に込めた滝井さんの思いを代弁している。「亡くなった人もたくさんいるが、自分たちは生きている。前に進む責任がある」と力を込める。
滝井さんは穴水、能登町の中学校で数学教諭として勤め、退職後、いじめや不登校といった悩みの相談に応じる団体「教育相談室『あした塾』」を設立。災害支援にも積極的に関わり、2007年の能登半島地震の際は、町内の仮設住宅を回り、話し相手となって被災者を励まし続けた。
手書き新聞の製作を始めたのは09年。災害公営住宅に移った被災者向けに、地域の話題などを伝える「『あした塾』だより」を月1回、見守りも兼ねて手渡した。「気持ちが伝わるから」と手書きにこだわり、20年3月まで約11年間にわたり無料で届けた。
紡ぐは「あした塾」だよりにひと区切りつけ「みんなで町のことを考える」新たな新聞として20年4月に創刊。A4判1枚の両面カラーで月1、2回発行し、季節の話題や地域の出来事、議会情報、町の課題まで硬軟幅広く扱う。希望者に郵送で届け、町内に限らず愛読者も多い。
町ボランティア連絡協議会長も務める滝井さんは、今回の地震でも発生翌日にボランティアを始め、困りごとの聞き取りや災害ごみの片付けなどに取り組んでいる。「ボランティアは全く足りていない」といい、製作に手が回らなかったり、自身も被災して気持ちが追いつかなかったりして、昨年12月15日の第71号を最後に発行できずにいた。
◆「紙1枚だけど、復興を後押ししたい」
地震から3カ月。被災地が徐々に落ち着きを見せ「復興へ前を向いていいかな」とようやく思えるようになった。3月22日に編集に取りかかり「思いを書き始めると、載せきれないから」と、創刊してから最も多い14枚の写真を掲載した特別号を完成させた。
正月飾りが残った倒壊家屋、土砂に押し流された車、崩れた文化財…。地震の実相を後世に残すため、裏面には被害の写真もあえて載せた。表面には復興への歩みを示そうと、建設が進む仮設住宅の写真を掲載した。
地震前は約500部発行していたが、利用する印刷所が地震で休業しているため、自宅のプリンターで150部刷った。2日に町内の避難所や仮設住宅団地の談話室、公民館、商店などを回って届けた。「紙1枚だけど、この新聞を楽しみにして、元気をもらったと言ってくれる人がいる。復興を後押しする存在になれば」と願う。
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