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備蓄米放出でもコメ価格は高止まり…怪しくなってきた農水省の「実態把握」 話題の焦点
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/368751
2025/03/09 日刊ゲンダイ
米騒動の収束見えず(提供写真)
米価高騰に歯止めがかからない中、ようやく放出の運びとなった政府備蓄米をめぐり、農水省は応札を10日に締め切り、12日までに落札業者を決める予定だ。3月下旬にはコメが店頭に出回る見通しではある。が、価格の下落に専門家は否定的だ。
「一時的に米価が落ち着いても、政府は放出後1年以内に同量を買い戻します。今年、農家に前払いするJAの概算金は昨年より高くなる見通しのため、安く買い戻されることはないはずで、相場が大幅に下がるとは考えにくいのです」(米流通評論家・常本泰志氏)
さらに、令和5(2023)年産、6(24)年産の作況指数はともに101と「平年並み」にもかかわらず、昨夏来の米騒動が収束していないことから、農水省算出の作況指数に疑問の声が上がっているというのだ。
「作況指数は全国8000カ所の水田10アールあたりの平年収穫量を100とし、1.7ミリ以上の粒厚のコメを基準にしています。しかし、玄米をふるいにかける際、これだと白濁したコメ、未熟粒や虫食いのコメも含まれてきます。昨今の農家は少なくとも1.85ミリ以上、良質なブランド米になると1.9〜2.2ミリのコメを製品として出荷しているため、現場感覚は97、98といったところ。作況指数と大きく乖離しているのです」(常本氏)
作況指数の2、3ポイントの差で、コメの全生産量およそ680万トンに対して14万〜21万トンほどの誤差が生じるという。
さらに、コメの生産量は10アールあたりの収穫量に作付面積125.9万ヘクタールを掛けたもので算出されるが、作付面積自体の誤差も指摘されている。
「農水省は令和6年の作付面積は前年比1.7万ヘクタール増と発表しています。ところが、その数字に、高齢化による中小農家の離農や稲作以外の作物への変更が反映されていないといわれています。作付面積に1〜3ポイントの差異が生じるだけで、収穫量は6.8万〜20.4万トンほど変わってきます。仮に作況指数と作付面積が誤っていたとしたら、コメの全量は発表されている数字より20万〜60万トンほど少ない可能性があるのです」(常本氏)
1995年の食糧管理法廃止で、政府はそもそも実際の流通量を把握しきれなくなっているとのこと。今回の備蓄米放出でスポット価格が下がらなかった場合、農水省の推定生産量そのものが間違っている可能性が高いと常本氏は話す。
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