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政府備蓄米放出でもコメ高騰が止まらない! 消費者の「コシヒカリ」信仰も一因か
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/368449
2025/03/04 日刊ゲンダイ
やっぱり「新潟県産コシヒカリ」が人気?(C)共同通信社
備蓄米放出の「口先介入」は不発。コメの値上がりが止まらない。総務省が2月28日発表した小売物価統計(東京都区部)によると、コシヒカリ(5キロ)の価格は4363円。前月よりも178円高く、前年同月の2441円から1922円も高騰し、実に1.8倍に跳ね上がっている。
調査は2月12〜14日の小売店価格を基に実施。農水省が備蓄米21万トンの市場放出を表明した7日から数日後にあたる。しかし期待に反し、逆に価格は上昇の一途。家計の圧迫感は増すばかりだ。
放出される備蓄米は、3月末からスーパーなどの店頭に並び始める見込み。実際に備蓄米が流通すれば、コメの価格上昇は落ち着くのか。懸念材料がいくつもある。
放出するのは2024年産米が中心。政府の備蓄米買い入れの落札結果を見ると、産地別の数量は@福島(2万6313トン)A新潟(2万4499トン)B青森(2万4416トン)C山形(2万195トン)D秋田(1万4512トン)ーーと上位5県だけで全体(17万2016トン)の6割強を占める。
コメの収穫量ランキング(23年産)は上から新潟、北海道、秋田、山形、宮城の順。「ななつぼし」が人気の北海道や「ひとめぼれ」で知られる宮城の備蓄米は、それぞれ9位(4686トン)、6位(1万1276トン)にとどまる。
圧倒的人気の「コシヒカリ」が少ない!
ブランド米にこだわらなければ…(C)共同通信社
消費者目線で気になるのは備蓄されたコメのブランド(品種)だが、農水省は「把握はしているが、公表していない。放出の入札時まで公開できない」(農産局貿易業務課)と答えた。
そこで落札数量の上位5県の作付け品種(23年産)を調べると、米どころの新潟は「コシヒカリ」の割合が70.7%。トップの福島もコシヒカリ(51.7%)が多いものの、「天のつぶ」(23.3%)と「ひとめぼれ」(18.1%)が計4割強に上る。3位青森は「まっしぐら」(79.8%)が、4位山形は「はえぬき」(61.6%)と「つや姫」(16.9%)が圧倒し、5位秋田はやはり「あきたこまち」(77.5%)が断トツだ。3位以下の県は、どこもコシヒカリの名がトップ3に出てこない。
全国の作付けシェアはコシヒカリが33.1%と2位のひとめぼれ(8.3%)を大きく引き離している。だが、備蓄米に限れば「信仰」と呼ばれるほど、ズバぬけた人気を誇るコシヒカリの量が決して多くはないのだ。
価格が下がるのは、なじみの薄い品種のみ
問題は、備蓄米を売り渡す入札方法だ。農水省は「○○県産の××品種と産地・品種ワンセットで入札にかける」(農産局貿易業務課)という。
「『新潟県産コシヒカリ』のような店頭で人気のコメに集中し、結局は高値で落札されれば価格の下落効果は薄れる。結局、値が下がるのは、消費者にとってなじみのない品種だけ。その多くは外食・中食に回り、店頭に並ぶ人気のコメの値段はそれほど下がらないのではないか」(小売業界関係者)
消費者がコシヒカリ信仰から抜け出せば、知名度は劣っても安くておいしいコメを食べられるチャンスとは言える。
◇ ◇ ◇
政府備蓄米の放出は、コメ価格の高騰に政府がようやく重い腰を上げたようにみえるが、視線の先に消費者はいない。備蓄米放出の狙いはズバリ、夏の参院選対策だ。●関連記事【もっと読む】『備蓄米21t放出“真の狙い”は自民党の大票田「JA」救済…夏の参院選を意識した一時しのぎの姑息』で詳報している。
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