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※紙面抜粋
※2024年1月17日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
東証一時3万6000円超え(C)共同通信社
2024年の干支に由来する相場格言は「辰巳天井」。竜が天に昇るように株価の上昇相場が続き、天井をつける縁起のよい年とされる。
その格言に当てはまるかのごとく、今年に入り、東京株式市場の日経平均株価が“不気味”な上昇を続けている。
東京株式市場の日経平均株価は11日の終値が1990年2月以来、約34年ぶりに3万5000円台を回復。バブル経済が崩壊して急落して以降の最高値を6営業日連続で更新し、株価は計2600円超も上昇した。
16日は7営業日ぶりに反落し、前日比で下げ幅が一時300円を超える場面があったものの、相場の過熱感は変わらず。根強い株価の先高観から買い戻しの動きが強まり、結局、終値は前日比282円61銭安の3万5619円18銭となった。
株価を押し上げている主な背景には、円安と新NISA(少額投資非課税制度)があるだろう。1日に発生した能登半島地震を受け、日本銀行が現在の大規模な金融緩和策を当面、維持するのではないかとの観測が広まり、円安が進行。
16日午前の東京外国為替市場の円相場も、1ドル=145円台後半に下落。円売り・ドル買いが優勢となり、円安で恩恵を受ける自動車などの輸送用機器、機械、電気機器など輸出関連業種の株価が堅調となっている。
儲かることよりも逃げ時を考えた方がいい
さらに1月から新NISAが始まり、市場では個人投資家の資金が流入するのではないかとの期待感も高まっている。
3万5000円台を回復した株高が個人投資家を呼び込み、株価上昇がさらなる個人投資家の追随買いを誘う──というサイクルも生まれつつあるようだ。まさに新NISAバブル株価とも言える状況だが、このまま青天井で上がり続けるとは考えにくい。今の株高をどう見ればいいのか。
現代ビジネスで「国や金融機関の思惑にダマされるな…新NISA『最後に大損する』のは国民だ 投資ブーム『そのあと』に備えよ」と題した記事を投稿した経済ジャーナリストの荻原博子氏はこう言う。
「国は“お墨付き”を与えるかのように全力で新NISAをアピールし、市場に個人投資家を呼び込もうと懸命になっています。そして投資家も『バスに乗り遅れるな』とばかり、新規参入し始めていて、その様子はさながら(1600年代にオランダで起きた)チューリップ・バブルのよう。しかし、投資には損もあるということを忘れてはなりません」
「実際、日銀の植田総裁が昨12月に金融緩和を縮小するようなニュアンスの発言をしただけで、円相場は約10円も円高に振れ、日経平均株価は600円超も下がりました。株式投資はいつ、どうなるのか誰も分からないのです。タダでさえ日銀が買っているETF(上場投資信託)は約60兆円にも達し、東証プライムでは日銀が10%以上の株を持つ大株主の企業が30社近くもある異常事態。今後、日銀が正常化に向けて軌道修正を始めた途端、株価が急落する可能性があるでしょう」
「そうなれば、今の株高を支えている外国人投資家らは一気に手を引く。プロは逃げ足が速いのです。うがった見方かもしれませんが、その最悪の事態に備え、国は新NISAを宣伝し、個人投資家を市場に呼び込もうとしているのではないでしょうか。株高だからといって浮かれるのではなく今こそ冷静に考えるべき。仮に投資するのであれば儲かることよりも逃げ時を考えた方がいい」
終わってみれば「竜頭蛇尾」の年という可能性も
「投資するのであれば儲かることよりも逃げ時を考えた方がいい」。前出の荻原氏が強く警鐘を鳴らしていたのも当然だろう。
日経平均は急上昇しているとはいえ、国内外の政治情勢によっては一気に急落しても不思議ではないからだ。とりわけ辰年は「政変の年」と言われる。1976年のロッキード事件や、88年のリクルート事件をはじめ、2012年は自民党が民主党から政権を奪還した年だった。
世界でも、ロシア大統領選(3月)や韓国総選挙(4月)に続き、11月には世界が注目する米大統領選を控えている。いずれも、その結果次第では当然、株価に影響を及ぼすことが考えられるだろう。
「令和のリクルート事件」と呼ばれる自民党の派閥パーティーをめぐる裏金事件も今後、どうなるか分からず、9月に自民党総裁選を控えた岸田首相の解散、総選挙に向けた動きも大きな投資リスクと言っていい。
春闘で昨年を上回る賃上げが実現し、6月から始まる定額減税や給付金で消費が拡大すれば、「日経平均4万円も視野に入る」との声も市場で上がる中、支持率低迷にあえぐ岸田政権としては、空前の株高の中で解散に踏み切り、態勢立て直しを図りたい戦略を描いているに違いない。
昨年末に金融緩和縮小の方針に舵を切ろうとした日銀に待ったをかけつつ、あの手この手で新NISAをアピールしているのも、そのためだろう。
新NISAは損益通算ができない仕組み
経済評論家の斎藤満氏も、今の「NISAバブル」ともいえる株高にこう懸念を示す。
「株というのは安く買って高く売る。これが基本です。しかし、今は米国も日本もすでに株高。つまり、今以上に日米の株価が上がらないと意味がありません。さらに今、新NISAマネーが主に米国株を買い、これが円安を引き起こす一因となっているわけですが、米国が利下げに踏み切ったら株価はあっという間に急落するでしょう。日銀も春ぐらいには利上げするかもしれない。さまざまなリスクを抱えているわけです」
「しかも、新NISAは(利益と損失を相殺させる)損益通算ができない仕組みですから、気軽に株取引を始めた個人投資家らは大変なことになります。最悪、上がるまで株を保有し続ける必要が出てくるわけですが、高値で買った株なので、いったん下がれば上がるのは難しい。今は株高に浮かれているかもしれませんが、この先の危うさを感じています」
およそ20年前の日経平均株価は8000〜1万円台だった。そこから考えれば、今の3万5000円台というのは、すでに「天井」に届いたのかもしれない。
今年は「辰巳天井」などと喜んでいたら、終わってみれば「竜頭蛇尾」という可能性だってあるのだ。いずれにしても冷静な分析が必要だ。
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