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米政府はクラスター弾に続き劣化ウラン弾をウクライナへ供給、環境汚染は不可避
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202309110000/
2023.09.11 櫻井ジャーナル
アメリカのジョー・バイデン政権は9月6日、ウクライナに対する最大で1億7500万ドルに相当する「安全保障」に関する追加支援を発表した。その中にはM1A1エイブラムス戦車用の120mm劣化ウラン弾が含まれている。ウクライナに引き渡されるエイブラムス戦車は31両だという。クラスター爆弾に続く問題兵器の支援だ。
劣化ウラン弾は1991年の対イラク攻撃でアメリカ主導軍によって使われている。メディアにリークされたイギリス原子力庁の秘密報告書によると、戦争中、約40トンの劣化ウラン弾が散布されたと推定されている。戦争後に増加した小児がんや謎の腹部腫脹は、少なくとも放射性砲弾が原因の一部であるとされている。
1999年3月にアメリカ/NATO軍はユーゴスラビアを先制攻撃しているが、その際にも劣化ウラン弾が使われた。ユーゴスラビア攻撃はネオコンが1992年2月に作成した世界制覇プランの幕開けだ。
1991年12月にはソ連が消滅、アメリカの国務省、国防総省、CIAなどを支配していたネオコンは世界制覇プロジェクトを始動させた。彼らはアメリカが唯一の超大国になったと認識、好き勝手なことができると考えたのである。
その世界制覇プランは1992年2月にDPG(国防計画指針)草案という形で作成された。この指針は国防次官だったポール・ウォルフォウィッツを中心に書き上げられたことからウォルフォウィッツ・ドクトリンとも呼ばれている。
ドクトリンの目的としてまず挙げているのは新たなライバルの出現を防ぐこと。警戒する地域には旧ソ連圏、西ヨーロッパ、東アジア、西南アジアが含まれる。そしてドイツと日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に組み入れ、「民主的な平和地域」を創設するともしている。ドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込むということだ。
しかし、日本側はそうしたプランに抵抗、細川護煕政権は国連中心主義を掲げたが、1994年4月に倒されてしまう。そして1995年2月、ジョセイフ・ナイは「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表。この報告書を受け入れた段階で日本はアメリカの戦争マシーンに組み込まれた。この年、日本では衝撃的な出来事が続いた。
アメリカのビル・クリントン政権は当初、旧ソ連圏で戦争を始めることに抵抗していたが、スキャンダル攻勢でホワイトハウスは麻痺状態になる。状況が落ち着くのは、1997年1月に国務長官がウォーレン・クリストファーからマデリーン・オルブライトへ交代する頃から。
1998年4月にアメリカ上院はソ連との約束を無視してNATOの拡大を承認、その年の秋にオルブライト国務長官はユーゴスラビア空爆を支持すると表明し、有力メディアは攻撃を正当化するために偽情報を広めていた。
ユーゴスラビアに対する先制攻撃ではスロボダン・ミロシェヴィッチ大統領の自宅を破壊するだけでなく、中国大使館を爆撃している。大使館を空爆したのはB2ステルス爆撃機で、目標を設定したのはCIA。アメリカ政府は「誤爆」だと弁明しているが、3機のミサイルが別々の方向から大使館の主要部分に直撃していることもあり、中国側は「計画的な爆撃」だと主張している。
アメリカやイギリスがウクライナへ劣化ウラン弾やクラスター爆弾を供給する理由のひとつは、兵器庫に通常の武器弾薬がなくなったからだとも言われている。戦争を推進してきたアメリカやイギリスの政府にとって絶望的な状況なのだが、敗北を認めるわけにはいかない。かれらは「ルビコン」を渡ってしまったのだ。敗北は破滅を意味する。
劣化ウラン弾で戦況が変わる可能性はないが、使われれば住民の健康に深刻な影響が現れ、穀倉地帯が汚染で使えなくなる。アメリカ政府はウクライナ人やロシア人を殺すだけでなく、生態系を破壊しようとしている。
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