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※紙面抜粋
※2023年4月3日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
財務省のカイライ(岸田首相=央)/(C)日刊ゲンダイ
新年度に合わせ、4月1日に「こども家庭庁」が発足。3月31日には政府が“異次元の少子化対策”の「たたき台」とやらを発表するなど、岸田政権は子ども・子育て政策への取り組みをアピールしている。
たたき台は「少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンス」と強調し、総花的なメニューがズラリ並んだ。
児童手当の所得制限撤廃や高校卒業までの支給期間延長、多子世帯への支給増額、育児休業給付率の引き上げ、出産費用の保険適用、学校給食の無償化、高等教育費の授業料後払い制度、保育サービスの利用拡大……。あれもこれもと列記してはいるが、果たしてこれのどこが“異次元”なのだろうか。
「所得制限の撤廃や給食費無償化など、ほとんど野党が訴えてきた政策ばかりです。それを今ごろ出してくるなんて、民主党政権を潰してから自民党政権が少子化対策を10年間も停滞させてきたと言える。そもそも少子化問題は30年前から指摘されていました。それを放置してきたのが歴代自民党政権です。その結果、少子化問題はどうにもならない崖っぷちまで追い込まれてしまった。今回の『たたき台』で示されたような小手先の対症療法では、もはや回避することはできません」(法政大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)
岸田首相は、「たたき台」の発表を受けて、自身を議長とする「こども未来戦略会議」の設置を表明。関係閣僚や有識者、子育ての当事者などをメンバーにして、政策の優先順位などについて検討を進めるという。6月の「骨太の方針」閣議決定までに「将来的な子育て予算倍増の大枠を示したい」と語ったが、その財源はまったく不明だ。
増税か、社会保険料に上乗せか
「たたき台」に並んだメニューをすべて実現するには、年間6兆〜8兆円程度の経費が必要になるとされる。岸田政権は、それらをどうやって賄うつもりなのか。
岸田が防衛費の大幅増も決めたため、財政的な余力は残っていない。防衛費倍増、子育て予算も倍増するには増税か、社会福祉費を削るしかないのが実情だ。
今年1月の施政方針演説で、岸田は少子化対策について「社会保障全体のなかで考えていく」と言ってたから、年金の支給額を減らしたり、納付期間を延長する可能性もある。公的な保険料に上乗せするプランも有力視されている。
「増税すれば、この先もしばらく経済成長は望めません。保険料への上乗せにしても、手取り額が減ることに変わりなく、かえって少子化が進みかねない。経済的理由から結婚や子どもを諦めている若年層はますます結婚から遠ざかってしまいます。普通に働いていれば、希望する誰もが結婚して子どもを持つことができる社会をどうやってつくるかという根本的な課題に目が向けられていない。『たたき台』のメニューは、すでに子どもがいる夫婦への支援策が主で、若者がこれから結婚して子どもを持ちたいと思えるような政策はないし、シングルマザー、シングルファーザー、保育現場など本当に困っている人への手当てもほとんどない。子育て世帯に少し支給を増やせば文句はないだろうという態度は、それが財務省の許容範囲だからでしょう。財務省の言いなりである限り異次元の対策は出てこないし、少子化対策にもならない。わずかばかりの給付金で子どもが増えると本気で考えているとしたら、あまりに国民をバカにしています」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)
選挙目当てのバラマキに騙されたら少子化は進む一方
奨学金で多額の債務を背負っていたり、不安定な非正規雇用で収入が低かったり、経済的な問題を理由に結婚しない人は少なくない。出産してから支援するというのでは、結局これまでの子育て予算の使い方はそのまま。多少は拡充するというだけの話で、少子化問題は国民に丸投げだ。
ハッキリ言って「たたき台」は少子化対策ではなく子育て対策だし、こんなもの「たたき台」とも呼べない代物なのである。
出産費用の保険適用にしても、3割負担が生じるわけで、バーターで出産一時金が廃止になれば、これまでより負担額が増えるケースも考えられる。
「ツギハギの対応に終始しているから、各所に矛盾が生じてしまう。国家的な政策ビジョンが感じられません。結局、自民党には少子化対策を本気でやる気がないということでしょう。公営住宅の畳を新しくして子育て世帯の入居を優先するなんて案も自民党から出ましたが、少子化対策ではなく空き家対策ですよね。都市部と地方など地域によっても課題が違うし、出産費用や子育ての具体策は、各自治体の方が先行して、知恵を出してやっています。国がやるべきことは大きな社会ビジョンを示すことでしょう。LGBTQの問題も含め、自民党のオジサンたちが考えることは、現実社会の実態とズレています」(政治ジャーナリスト・角谷浩一氏)
結婚して子どもを産み、家庭で子育てするという伝統的な家族観を自民党は重視する。それは悪いことではないが、そこからあぶれてしまった人への支援は薄い。
地方では今でもシングルマザーが差別的な扱いを受けることがある。同性婚カップルが子育てを頑張っているケースもある。
意識改革が最も必要なのが自民党
子どもを社会全体で育てるとは、どういうことなのか。真剣に考える必要があるが、社会を変える政策の総動員が必要なのだが、家父長制や男尊女卑の枠組みで政策を考えてきた自民党には、時代の変化に応じたドラスチックな少子化対策など期待のしようがない。
「古くさい家族観、ジェンダー観、差別主義、そして利権まみれの自民党政権では、少子化問題は解決できないでしょう。女性活躍だってお題目で、統一地方選での女性候補擁立は自民党が際立って低く、10%にも満たない。1日に発足した『こども家庭庁』にしても、当初は『こども庁』になるはずだったのに、旧統一教会など宗教右派の影響なのか、後から“家庭”の文字が入った。子どもの問題は家庭に委ねるということで、女性に負担を押し付けることになりかねない。岸田政権の少子化対策は異次元でも何でもないし、従来策に少し色をつけただけの“やってるフリ”です。統一地方選向けのバラマキでしかない。国難の少子化より、目先の選挙が大事なのです。こんな自民党政権に任せていたら、少子化はますます進んで徴税が厳しくなり、国が滅んでしまいますよ。意識変革が最も必要なのが自民党議員なのです。統一地方選では、少しでも痛い目を見せなければなりません」(五十嵐仁氏=前出)
岸田政権は少子化対策の「たたき台」で2024年度から3年間を「集中取り組み期間」と位置づけたが、詳細な制度設計は先送り。優先事項として現金給付の強化を掲げた。笑ってしまうほど、ロコツな選挙向けのバラマキ政策なのである。
そんなまき餌に騙されて、統一地方選で自民党を勝たせたら、岸田自民も財務省も調子に乗るだけだ。国民はさらなる負担を押し付けられ、少子化が加速することは目に見えている。それでも自民党に投票するのか? 有権者にとって、この統一地方選は「ラストチャンス」かもしれないということを肝に銘じるべきだ。
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