http://www.asyura2.com/22/senkyo289/msg/488.html
Tweet |
※紙面抜粋
※2023年3月8日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
どこまで切り込めるのか(「行政文書」を認め、会見する松本剛明総務相=6日)/(C)共同通信社
そりゃあそうだろう。文書の体裁や細かな質疑のやりとりが克明に記されている時点で、誰がどう見てもホンモノだった。
放送法が定めた番組の政治的公平性の解釈を巡り、安倍政権下の首相官邸と総務省とのやりとりを記した内部文書とされる資料について、松本総務相は7日の閣議後会見で、「総務省が取得または作成したと判断できる」と明言し、「全て総務省の行政文書であることが確認できた」と認めた。
同省が公開した資料は約80枚で、当時の安倍官邸がTBS系の情報番組などを取り上げ、出演していたコメンテーターが全員、同じ主張をしていたことなどを問題視。総務省に“圧力”をかけて放送法の政治的公平性の解釈変更を迫った──とされる経緯が記されている。
資料はもともと、立憲民主党の小西参院議員が2日、総務省職員から提供を受けたとして公表。政府は当初、「精査が必要」として行政文書かどうかを明言せず、岸田首相も「正確性や正当性が定かでない」「総務省で精査することが必要だ」と述べるにとどめていた。
松本は会見で、「記載内容の正確性が確認できないもの、作成の経緯が判明しないものがある」とも言っていたが、立憲は7日の参院予算委理事会で、「行政文書である以上、正確性は確保されているはずだ」と反論。安住国対委員長も「書かれていたことは事実だと認定したい。安倍政治の負の遺産のひとつで、報道介入だった」と強調した。
捏造や不正確なのは文書ではなく高市の発言
プロが見れば、一目でわかる行政文書に克明に描かれていた放送への言論弾圧の全経緯──。
自らの発言が含まれた文書を捏造と批判し、捏造でなければ議員辞職する考えを示していた高市経済安全保障担当相は7日の会見で、「内容が不正確」と改めて指摘。「辞職を迫るのであれば完全に正確なものであることを相手(小西氏)も立証しなければならない」とか言っていたが、何をかいわんや。
そもそも、「捏造」と「内容が不正確」では、言葉の意味が全く違う。高市は、文書の存在について「捏造」と断言。つまり、「でっち上げの作り話」と言い切っていたのだから、違ったのであれば大臣を辞めるのはもちろん、議員辞職が当然だろう。捏造や不正確なのは文書の中身ではなく、高市の発言の方ではないのか。
それに高市が今さら「知らぬ存ぜぬ」と言ったところで信じる国民がどれだけいるのか。なぜなら総務相時代、放送界に対して圧力とも受け取れる発言をしていた人物だからだ。
6日の参院予算委で、松本は「(総務省が)2015年ごろに(当時の)礒崎(元首相)補佐官に放送法の解釈の問い合わせを受け、これを契機として、解釈の補充的説明が示された」と説明していた。この流れに呼応するかのごとく、高市(総務相)は翌16年の国会で、放送局が政治的な公平性を欠く放送を繰り返したと判断した場合、時の政権が電波停止を命じることができる──との見解を示していたわけで、文書に記されていた解釈変更を受けた言動と言ってもいいだろう。
政治評論家の本澤二郎氏がこう言う。
「安倍元首相は第1次政権の失敗はメディア対策にあると考え、第2次政権ではメディア、とりわけ放送局に対する締め付けを厳しくした。NHK会長人事に口を出し、政権に批判的な民放番組にクレームを入れたのがその典型で、放送法の解釈変更もその流れでしょう。まさにやりたい放題だったわけで、その膿が今になって表面化していると言えます」
安倍菅政権が行っていた民主主義破壊工作
「報道の自由への介入などの指摘は当たらない」
文書で示された官邸と総務省とのやりとりについて、国会でこう答弁していた岸田だが、寝言を言うのもいい加減にしてほしいものだ。
言わずもがな、憲法は言論の自由を保障しており、誹謗中傷や名誉毀損といった違法行為の類いでない限り、番組でコメンテーターが何を主張しようが、放送局がどう編集、放送しようが自由だ。ところが、文書によると、安倍官邸は個別の番組ではなく、放送局の番組全体を見て判断する──とされてきた放送法の政治的公平性を巡る政府解釈を変更するよう迫り、「ひとつの番組でも判断し得るケースがある」とねじ曲げたのだ。
そして「停波」をチラつかせていた高市は、放送内容の政治的公平性を判断するのは「時の政権」との見解を示していたのだ。
そもそも、立場によっても解釈が変わる政治的公平性という曖昧な中身について、「時の政権」が判断するというのであれば、当然、権力者にとって都合のいい番組しか認められなくなるのは言うまでもないだろう。
そこに手を突っ込んでいたのが安倍政権であり、これが報道の自由への介入と言わず、一体、何だというのか。
他省庁でも安倍菅政権の悪事が出てくるか
それでなくても、第2次安倍政権以降の政権は放送界に対してやりたい放題。自民党の若手議員が勉強会で「マスコミを懲らしめる」と公然と言い、国谷裕子氏や古舘伊知郎氏、岸井成格氏(故人)といった「政権にモノ言う気骨のあるキャスター」は次々と番組から姿を消した。今回の行政文書は、そんな民主主義を歪めた安倍菅政権が水面下で行っていた“薄汚い民主主義破壊工作”が明らかになったのだ。
果たして岸田や松本は安倍菅政治の「負の遺産」の膿を出し切れるのか。それは安倍派一掃の気概があるかどうかにもかかっているわけだが、そのために絶対必要なのが、今回の問題で、総務官僚を“恫喝”していたとされる礒崎元首相補佐官や、文書に名前が出ていた省幹部の証人喚問だ。
渦中の礒崎は「首相官邸内で行われた各省庁との議論の内容が表に出るのは、決して望ましいことではない」とか言っているようだが、冗談ではない。国民や国益のために民主主義のルールに従ったまっとうな議論であればともかく、文書に記された内容は全く違う。
「自民党に歯向かうやつは許さない」「気に入らない番組は潰せ」と言わんばかりの党利党略、独裁政権のようなやりとりが議論であるはずがないだろう。だからこそ、礒崎や高市らを証人喚問で徹底追及するべきなのだ。
元NHK政治部記者の川崎泰資氏が言う。
「明らかになった総務省行政文書が示しているのは、安倍独裁政権という『虎の威』を『借る狐』の議員たちが省庁に跋扈していたということ。当時の状況を徹底的に解明するためにも、高市大臣や元首相補佐官ら関係者を証人喚問し、他にも同じような法解釈をねじ曲げる事例があったのかどうかを調べる必要があるでしょう」
総務省に続けとばかり、他省庁でも安倍菅政権の悪事が出てくるかもしれない。
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK289掲示板 次へ 前へ
最新投稿・コメント全文リスト コメント投稿はメルマガで即時配信 スレ建て依頼スレ
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK289掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。