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※紙面抜粋
※2023年2月24日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
私もウクライナへ行きたい…(岸田首相=左、ウクライナを電撃訪問したバイデン米大統領と歓迎するゼレンスキー大統領=右)/(C)日刊ゲンダイ
ロシアがウクライナに軍事侵攻を開始してから、24日で丸1年。岸田首相が焦燥感を募らせている。バイデン米大統領が20日にウクライナを電撃訪問。主要7カ国(G7)のうち、首脳が未訪問なのは日本のみとなってしまったからだ。
ウクライナ訪問どころか、岸田はゼレンスキー大統領と対面で会談できていない。岸田は今年、G7議長として5月に地元・広島でサミットを開き、侵攻を巡る議論をリードする立場。他国の首脳たちが次々と戦地を訪れ、世界に連帯を示す中、完全に取り残されて「G7議長の面目が立たない」と岸田も官邸も焦りまくっているようだ。
バイデンの電撃訪問も寝耳に水だった。ホワイトハウスはバイデンが20〜22日にウクライナの隣国ポーランドを訪問する日程を事前発表。21日の毎日新聞は〈政府関係者は「ウクライナに行くのではないかという話は上がっていた」と語るが、首相周辺は「報道で初めて知った」と明かした〉と報じていた。
同盟国のメンツは丸潰れ。日本政府も随分と軽く見られたわけだが、同盟関係なんてしょせん、こんなもの。電撃訪問のタイミングも悪すぎた。一報が流れた20日夕、岸田は都内のシンポジウムで、ウクライナに55億ドル(約7370億円)の追加財政支援を実施すると表明。侵攻開始1年に合わせ、ウクライナとの連携をアピールするはずが、バイデンに全ての話題を持っていかれ、すっかりかすんでしまった。
つくづく間の悪い男である。
実現を阻む幾多の壁
G7議長のメンツを守るため、岸田もウクライナにできるなら行きたいのだろう。先月の電話会談でゼレンスキーから首都キーウ訪問の招待も受けている。この1年の間に政府内では水面下で何度も実現を模索してきたようだが、戦後、日本の首相が戦地に赴いた例はない。極秘訪問には、いくつもの障壁を乗り越えなければならない。
最初の難関は、激しい戦闘が続く現地での安全確保だ。欧米各国では自国の軍隊や特殊機関などが首脳の身を守るが、自衛隊にはできない。浜田防衛相は「日本の要人警護のみを目的に海外に派遣する明示的な規定はない」と国会で説明した。
日程調整も難しい。首相の海外出張にはさまざまな手続きが必要だ。その1つが国会への報告。通常国会の会期は6月21日まで。広島サミットが開幕する5月19日までにウクライナ訪問を実現させるには国会報告が欠かせない。開会中に首相が海外に行くには衆参の議院運営委員会の理事会から了承を得なければならないためだ。
議運委の理事会は原則非公開とはいえ、与野党の複数の理事の前で政府が説明すれば情報管理にも限界がある。情報が外部に漏れれば、岸田の命にかかわる問題となる。ましてや、岸田官邸の情報管理はお世辞にも上手とは言えない。危機管理上、最も高いハードルが岸田の長男で首相秘書官の翔太郎氏の存在である。
最大のハードルは長男の機密情報管理
〈首相キーウ訪問検討〉
読売新聞が1面大見出しにそう掲げたのは1月22日。記事の冒頭には〈複数の日本政府関係者が明らかにした〉とあり、〈2月中の訪問を目指しており〉〈今月23日に通常国会が開会するため、審議への影響が出ないよう週末を活用する方向〉と日程まで書かれていた。
即座に官邸では極秘情報をリークした犯人捜しが始まり、やがて疑いの目は翔太郎氏に向かったという。日程が事前に漏れれば岸田が攻撃されるリスクは高まる。こんなシャレにならない話を記者に漏らすのは、官僚でも政治家でもないズブの素人、つまり官邸幹部で最も政治経験の浅い翔太郎氏しか考えられない──というのが理由のようだ。
月刊誌「FACTA」は昨年12月〈「官邸極秘情報ダダ漏れ」 情報源は首相長男・岸田翔太郎氏か〉と報じていた。もし文字通り「身内」が機密情報をペラペラと漏らしているのだとしたら岸田も災難だが、そもそも政治経験がゼロに等しい30代の若造に政務秘書官を任せること自体に無理がある。
政務秘書官の仕事は霞が関に睨みを利かせ、自民党幹部と連絡を密にして国会日程を回し、時にはメディアを懐柔するといった水面下での調整力が問われる。親バカの情実人事が許されるようなポストではない。
閣僚の辞任ドミノなど、これまでも岸田政権は危機管理能力のなさを露呈してきたが、翔太郎氏が官邸に居座る限り、岸田が戦地を訪れるのは危なっかしすぎる。絶対に無理だ。それでも広島サミット前の訪問を探るなら、まず岸田は家族との関係を見つめ直した方がいい。
大体、何もできないくせに日本の首相が出遅れに焦り、ウクライナ訪問に前のめりになる必要はあるのだろうか。
シャカリキになるほど米国の「カモ」
「広島サミットはウクライナ支援が大きなテーマとなり、議長が現場を踏んでいなければ議論をリードするには頼りない。ただ、そのメンツだけで戦地に来られてもゼレンスキー氏は、いい迷惑でしょう」と言うのは、高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)だ。こう続ける。
「日本は他の6カ国と違い、NATOに加盟しておらず、唯一アジアの一員です。むしろ、独自外交を歩む道を模索すべきではないか。何よりもサミットの大事な議題はロシアによる国際法違反の侵略を止めること。その調停を担うことが議長国の首脳の務めです。岸田首相は外相時代、プーチン大統領と27回会談した『安倍外交』に長期間携わっていた。当時の外交ルートを生かしてロシアとウクライナの仲介役を申し出た方が、国際社会における日本のプレゼンスは確実に上がります。その検討すらせず、サミットはもちろん、国内の統一地方選や低迷する支持率回復のためにウクライナ訪問を利用する気なら、戦火に生きる現地の人々に大変、失礼です」
ただのメンツで戦地でのパフォーマンスをもくろむ岸田の軽さ、危うさ、愚かさ。この調子だと、バイデン政権にいいように利用されかねない。米国のウクライナへの軍事支援の総額は、この1年で約298億ドル(約4兆円)に上る。膨らむ一方の軍事支援に世論もうんざりしており、1月のAP通信とシカゴ大の調査では財政支援に反対(38%)が賛成(37%)を上回った。
しかも、バイデン電撃訪問の20日は初代大統領ワシントンの誕生日を祝う「大統領の日」で、米国は祝日だった。ある共和党議員は「大統領の日にアメリカを捨てて、ウクライナを選んだ」と語り、国内問題を無視しているとバイデンを批判。来年の大統領選に向け、トランプ前大統領は「私はプーチンと非常に良い関係を築いていた。私が大統領だったら、ウクライナに入らなかっただろう」とアピールしている。これ以上の巨額支援には困難がつきまとう。
「岸田首相がキーウ訪問にシャカリキとなり、ウクライナ支援に肩入れするほど、バイデン政権には『いいカモ』です。巨額の援助を肩代わりさせられるのは目に見えています。もっと言えば、米国の軍事支援は自国の軍需産業を儲けさせる側面がある。それが途絶えてしまえば、新たなサイフとして日本にさらなる兵器の爆買いを押し付けてきそうです」(政治評論家・本澤二郎氏)
財源は全て国民の血税だ。それにしても、この首相のタイミングで広島サミットを開催するとは、日本国民は「運の尽き」を感じざるを得ない。
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