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元記事https://www.data-max.co.jp/article/62246
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1985年の日本航空ジャンボ墜落「事故」の遺族が同社にボイスレコーダーなど開示を求めた控訴審の第1回口頭弁論が21日、東京高等裁判所808号法廷(土田昭彦裁判長)で開かれ、夫の吉備雅男さんを亡くした原告の素子さん(80)が「なぜ日本航空は遺族に事故原因を全く説明してこなかったのか」と責任を問うとともに、代理人の三宅弘・主任弁護士は「垂直尾翼に誤って模擬ミサイルが当たった可能性は考えられないことではない」と提起し、再調査の契機になる開示を求めた。
動画URL: https://www.bitchute.com/video/9xM5ZlI7Q7oy/
囲み後、マスコミ記者に頼まれてやらせ入廷を演じる吉備さん(中央)ら(2023.2.21筆者撮影)
この訴訟が同便のボイスレコーダーとフライトレコーダーの開示を求める根拠とするのは、@憲法13条に基づく人格権(プライバシー権)と個人情報保護法第28条1項に基づく個人情報開示請求権A同社国内旅客運送約款に基づく安全配慮義務に伴う信義則上の情報提供義務履行請求権による。2022年3月に東京地裁に提訴し、同年10月に棄却されている。
吉備さんは股関節を痛め、手術などのため1審はビデオと書面でメッセージを伝えていたが、今回、つえを片手に初めて出廷した。代理人弁護士は原告側4人、被告側3人が出廷。日航社員とクラブ記者を含め24人が傍聴し、25分で閉廷した。
準備書面の確認の後、吉備さんが意見陳述した。「雅男は123便に客として乗り、バラバラになりました。私が見付けたのは、右手と背中の一部、足首のみ。38年たち、なぜ夫がこのようになったか疑問です。なぜ、日本航空は遺族に事故原因を全く説明しなかったのか」と責任を問うた。
吉備さんは、事故調査報告書が修理ミスによる圧力隔壁の破壊が原因と「推定される」と記述される一方、その後、同便をファントム2機が追尾していたとの多くの目撃情報や、13年に運輸安全委員会ホームページで提示された同報告書の付録には垂直尾翼に11トンもの外力が作用したとする「異常外力の着力点」の記述があったこと、相模湾に垂直尾翼の残骸があるなどの新証言に言及。
その上で、「事故当時は半官半民の国策会社だった。今は民間だから再調査に協力しないと言うのか。公共交通機関として、遺族に誠実に事実を教えてほしい」と訴えた。
三宅弁護士は被告の日航側が、「遺族と和解」などを報じる新聞記事しか答弁書として提出していないことを指弾し、反論のための新たな期日を設けることを要求。事故調査報告書の発表から26年たって出てきた「異常外力の着力点」の記述に触れ、「極めて重大なこと。正面からやり直すべき」と主張するとともに、遺品のカメラから出てきた写真には酸素マスクが落下している中、半袖姿の乗客が1人ひとり落ち着いてる様子が写っていることを挙げ、「後部圧力隔壁が崩壊してたら考えられない。後部座席の人が飛んでしまう」と指摘した。
さらに三宅弁護士は、窓の外に黒い点を捉えた写真もあり、拡大するとオレンジと朱色の円筒状の飛行物体がこちらに向かっていると説明。「異常外力の着力点と結びつく。垂直尾翼に誤って(爆薬なしの)模擬ミサイルが当たった可能性は、考えられないことではない」と問題提起し、再調査の必要性を強調。原状のままのボイスレコーダーなどの開示を求めた。
裁判長に意見を求められた被告は、「いや、全て出し尽くしている。これで結審してもらいたい」と主張した。日程調整のためおよそ3分間の休憩を挟み、4月11日16時にもう1期日入れて結審することが決まった。原告側は3月31日までに準備書面を提出する。
原告弁護団は当初、2カ月の猶予を求めた。その意図は、和解の効力を論じるために学者の意見を取り入れようと考えたからだ。和解は圧力隔壁説を前提に結ばれたが、多数の新証拠によって事情が変わっている。ただし、この「事故」の和解条項には、「原告らは本件事故に関し、今後、いかなる事情が生じても、被告(ボーイング社)および利害関係人(日航)に対し、一切の異議を述べず、また何らの請求をしないものとする」との記述がある。
三宅弁護士は、「事故を隠してこういう和解条件で一切何も言えなくしてたとしたら、信義にもとる」と述べ、絶対ではないとの見方をした。
同便のボイスレコーダー音声は現在、本の付録CDやウェブサイトに上に多く流通しているが、いずれも部分をつないであるか、肝心な場面で雑音が入る加工がされている。原告は日航オペレーションセンターとのカンパニーラジオを含む全編の元データの開示を求めている。
ボイスレコーダーとフライトレコーダーの所在については、運輸安全委員会が事故調査終了後、日本航空に返却したと文書(令和元年11月22日付運委総第230号行政文書開示決定通知書の変更通知書)で回答している。内閣府の公文書管理委員会などで長く委員も務めてきた三宅弁護士は、「こうした重要な資料は本来、国立公文書館に保管しなければならない。そのために寄付制度もある」と公的な所有を主張する。(後)に続く
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