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※紙面抜粋
※2022年4月14日 日刊ゲンダイ2面
【殺戮実況報道をどう見るか】
— 笑い茸 (@gnXrZU3AtDTzsZo) April 14, 2022
すべてが怪しい戦争報道 NHKも憶測タレ流し
日刊ゲンダイ pic.twitter.com/sdKN0C6KIz
※文字起こし
「ジェノサイド(集団殺害)だ」
ロシア軍のウクライナ侵攻について、12日、こう怒りの声を上げたバイデン米大統領。バイデンはこれまで、記者団から、ウクライナの首都キーウ(キエフ)近郊ブチャなどで多数の民間人の遺体が発見されたことへの受け止めを問われた際、「戦争犯罪だ」との認識は示しつつも、「証拠を収集しなければならない」と慎重に言葉を選んでいた。
それだけに、バイデンが今回、「ジェノサイド」という厳しい表現を使って踏み込んだ発言をした意味は決して軽くなく、米国務省なども今後、あらためてロシア軍の行為が国際法上のジェノサイドに当たるかどうかについての認定作業を進めるとみられる。
バイデンはまた、ロシアのプーチン大統領にも言及。「『ウクライナ人』が存在し得るという考えすら一掃しようとしていることが、より明確になっている」と強く非難するとともに、「ロシアはまさに恐ろしいことを行った。惨状はさらに明らかになるだろう」と強調した。
激しい情報戦を繰り広げるロシアとウクライナ
終わりが見えず、泥沼化する一方のウクライナ紛争。2月24日のロシア軍侵攻後、いったんはロシア、ウクライナ両政府代表団による停戦交渉に進展がみられた時期もあったが、ブチャなどでのロシア軍による民間人大量虐殺が明らかになったことを受け、ウクライナ側の態度は硬化。停戦交渉は白紙に戻ったと言っていい。
ウクライナのゼレンスキー大統領は12日、プーチンと親密な関係にある野党幹部メドベチュク氏をウクライナ保安局(SBU)が拘束したとインスタグラムで公表。メドベチュク氏と捕虜になったウクライナ兵士との交換を呼び掛けるなど、両国の対立は深まるばかりで、ウクライナ国防省は近く、ロシア軍がウクライナ東部地域に戦力を集中させ、大規模な攻撃を始めるとして警戒感を強めている。
そんな中、世界中に新たな衝撃が走ったのが、ロシア軍の化学兵器使用の可能性を伝える報道だ。
SNSなどで拡散した情報によると、ウクライナ南東部の要衝マリウポリを包囲しているロシア軍が、市民やウクライナ兵に対し、<強い症状を引き起こす化学物質を混入した催涙ガスを含め、暴動鎮圧用のさまざまな薬剤を使用した>というのだ。
これが事実であれば、バイデンが指摘している通り、プーチンはウクライナ人の存在そのものを消し去ろうと考えているーーと、言わざるを得ない。
非人道的行為はもちろん、明らかな国際法違反であり、まさにジェノサイドそのものだが、ロシアは本当に化学兵器を使ったのだろうか。
なぜなら、戦争に勝つためなら何でもありのプーチンとはいえ、化学兵器を使用すれば、今以上に国際社会の批判が高まり、さらなる孤立化が避けられないことぐらい理解しているはずだからだ。
軍事ジャーナリストの世良光弘氏がこう言う。
「確定的なことはいえませんが、被害を訴える兵士の映像があること、破壊されたロシア戦車内から防毒マスクが見つかっている状況を見る限り、化学兵器が使用された可能性は高いと見ています。ただ、ロシア、ウクライナともに、どちらか一方の情報が絶対的に正しいわけではありません。両国はリアルの戦闘とともに激しい情報戦も繰り広げていることを忘れてはいけないのです」
SNSに振り回されるテレビメディア
「我々はロシア軍がマリウポリで化学兵器の可能性があるものを使用したとするソーシャルメディア上の報告を承知しているが、現時点では確認できず、引き続き、状況を注視する」
ロシアの化学兵器使用について、米国防総省のカービー報道官はこう説明していたが、驚いたのは米国ですら確認が取れていない話を、NHKなど日本のテレビメディアがガンガン流していることだ。
とりわけNHKはこうした情報を報じる場合はより慎重だったはず。しかも、今回のロシアの化学兵器使用の疑い−−という初報の発信源はSNSなのだから、いつものNHKであれば「臆測」扱いで取り上げることさえ躊躇していただろう。SNSで盛んに発信されていたミャンマー国軍による市民への無差別銃撃でさえも、扱いはチョボチョボだったではないか。それがなぜか、今はほぼ“垂れ流し”状態で報じているのだから唖然としてしまう。
今回のウクライナ紛争は、指摘されている通り、前時代的な「20世紀型」の戦争だ。
しかし、その一方で「21世紀型」に大きく変わったとみられるのが報道の手法だろう。これまでの戦争は記者やカメラマン、フリーのジャーナリストが前線に赴き、命を賭して従軍しながら戦況を報じるのがほとんどだった。
ところが、今や戦闘の様子はSNSを使ってリアルタイムで流れ、既存メディアの多くは、こうしたSNS映像の真偽を判別することもなく流している。
だが、SNSの映像は受け取る側の視点や思惑によって、いくらでも加工したり、編集できたりするわけで、事が重大になるほど、とりわけ戦争であればなおさら、SNSの扱いは冷静かつ慎重を期すべきだろう。つまり、そう考えれば、ロシアの化学兵器使用だって、現時点で何も分からないと言っていいのだ。
戦況よりも戦争に至った背景を報じるべき
テレビメディアで言えば、プーチンに関する報道もあやふやな内容が目立つ。あるメディアは、長期戦にいらだつプーチンが「焦りを感じている」とし、閣僚、側近のプーチン離れが加速する、と報道。弾丸や燃料などの戦費が兵士1人当たり1日1000ドルと仮定した場合、1日に1.5億〜2億ドルの支出が続くことから、戦費負担がかさんでプーチン政権は持たないーーと分析するメディアもあったが、12日に公の場に現れたプーチンの姿は、がん説も吹き飛ばす悪ぶり。
ベラルーシのルカシェンコ大統領との共同会見で、ウクライナ侵攻に触れたプーチンは「(合意に達しない限り)最初に設定された目的が完遂されるまで軍事作戦を継続する」と強気の姿勢を崩さず、民間人殺害についても「フェイク(偽情報)」と切り捨てていた。欧米による厳しい経済制裁が効果を示し、憔悴しているのではないかーーとも言われていたが、そんな様子はみじんも感じられず、むしろ「やれるもんならやってみな」と言わんばかりだった。
プーチンと会談したオーストリアのカール・ネハンマー首相が「(プーチンは)戦争の論理に強く没入していた」「(停戦は)極めて悲観的」と語っていた状況から見ても、ロシアが欧米の経済制裁で追い込まれ、プーチンが音を上げる状況にあるとは到底思えない。
こうなると、テレビメディアで報じられているような「反転攻勢に転じたウクライナが欧米の武器供与を受けて戦況を押し返す」「ロシアが5月9日の対独戦勝記念日に向けて停戦交渉に応じるのではないか」ーーといった楽観的な見通しは全くあてにならないと言っていいだろう。
詰まるところ、これ以上、日本のテレビメディアを見ていても無駄ではないかとさえ思えてくる。
元NHK政治部記者で、ボン支局長を務めた川崎泰資氏は「今のテレビメディアの戦争報道は、SNSに振り回されているだけ」と言い、こう続ける。
「何が真実なのかも分からないSNSの映像を通じて連日、戦況を報じるよりも、日本メディアとしてやるべきことがあります。それは、なぜ、プーチンが戦争を仕掛けたのかということ。ロシア、ウクライナ、ベラルーシの歴史的関係、欧州国民のロシアに対する見方など、丁寧に掘り下げることがあるはずです。そして、それができる膨大な資料を持っているのが公共放送のNHKでしょう。なぜ、民放と同じような臆測報道ばかりしているのか。全く情けない」
テレビメディアは先の大政翼賛報道の反省から何も学んでいないのではないか。
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