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安倍晋三氏“右翼ぶりっ子”の浅知恵。林外相を忌み嫌う男の幼稚な悪あがき
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2022.02.09 高野孟『高野孟のTHE JOURNAL』 まぐまぐニュース
昨年10月に誕生したばかりの岸田政権ですが、自民党内では早くも後継者を巡る攻防戦が激化しているようです。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』では著者でジャーナリストの高野孟さんが、与党内で繰り広げられている暗闘とも言うべき駆け引きが「3つの次元」で進行しているとした上で、それぞれについて詳細に解説。各所でキングメーカー気取りと報じられている安倍晋三氏に対しては、外交を内政の駆け引きの道具として弄ぶ姿勢を厳しく批判しています。
※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2022年2月7日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:高野孟(たかの・はじめ)
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。
岸田政治の退屈の陰で安倍の右翼ぶりっ子の悪足掻き/複雑化する自民党内のモザイク模様の軋み
国会は開かれているのを忘れてしまうほどの静けさで、それはひたすら低姿勢に徹する岸田文雄首相の低空飛行路線と、それを掻き乱す方策を持たない立憲民主党はじめ野党のだらしなさに起因するところが大きい。とはいえ、水面下での与党内の、ポスト岸田への思惑と路線問題とが絡んだ「暗闘」とも言うべき駆け引きはむしろ激しさを増しており、それは
1.岸田・林・茂木の「新角福連携」vs安倍・高市の「右翼ぶりっ子連盟」
2.それを睨んだ二階を中心とする菅義偉・石破・森山ら「中間派」の動き
3.自公連立のヒビ割れ
――の3つの次元で進行している。
林を忌み嫌う安倍の悪足掻き
安倍晋三元首相の林芳正外相への反感は、ほとんど恐怖に近いもので、それは中選挙区時代の旧山口1区での安倍晋太郎元外相と林義郎元蔵相との確執に由来する。晋太郎は1958年初当選、67年に3回目当選を果たして以後は9回連続でトップ当選を続け、まさに「安倍王国」を築き、それを93年に晋三に受け渡した。その間、ほぼ常に2番手につけていた宿敵が林義郎で、93年を最後に小選挙区制が導入されて旧1区が新4区に再編された際に林が比例単独候補に転出、03年に引退。息子の芳正は95年以後、参院からの立候補を余儀なくされてきた。昨秋の衆院選で山口3区で河村建夫元官房長官を押し退ける格好で衆議院初当選、たちまち外相に任命された。
同じ山口4区と言っても、安倍家は日本海に面した人口3万余の長門市(という名の寒村=旧日置村)の出であるのに対し、林家は瀬戸内海に面した県下最大の大都会=下関市が地盤で、宇部興産創業者にも直結する家柄。東京生まれ・東京育ちのボンボンという以外に見るべきキャリアのない晋三に対して、芳正は東大法から米ハーバード大ケネディスクール修了、三井物産、父=蔵相の秘書官という申し分のない歩み。晋太郎はもちろん岸信介〜福田赳夫の親台湾派「清和会」の系統であるのに対し、父は田中派から宮澤派を経た親中国派で、日中友好議連会長、日中友好会館会長も務めた……という具合に、何から何まで対照的。すでに農水、文科など閣僚経験も積んできている芳正がこのままポスト岸田のホープとして躍り出ることになれば、次期衆院選での山口県での1区減による選挙区事情の変動とも絡んで、「安倍家存続の危機」が現出することすらありうる。
そこで、何としても林に一太刀も二太刀も浴びせたいと思うのだけれども右翼ぶりっ子程度の知恵しか湧かないのが安倍で、
1.「台湾有事は日本有事」と煽って日中関係改善を阻害し
2.北京五輪開幕直前に衆議院で「対中非難決議」が採択されるよう段取りし
3.さらに韓国が嫌がる「佐渡金山」の世界遺産登録申請をわざとこの時期に閣議決定させる
など、ジタバタ行動を続けている。外交を国益観念から考えることができず内政の道具として弄ぶいつもながらの浅知恵である。
茂木を怒らせた高市の振る舞い
この安倍の反中国・韓国=反岸田・林工作の先兵となることでポスト岸田への切符を手にしたいと目論むのが高市早苗政調会長で、彼女は昨年12月の臨時国会中に「対中非難決議」を実現すべく働いたが茂木敏充幹事長に阻止され、そのため1月半ばには茂木の頭越しに岸田との会食の場で何とかゴーサインを得た。こんな場で、日中国交50年の記念すべき今年をどうデザインするのかの考慮もなしにこれを受け入れたのは、岸田の優柔不断の現れ以外の何物でもないが、激怒したのは茂木で、「高市はこんな無理筋を通して倒閣運動をするつもりか」とまで言い放ったと言う。
実際、この決議そのものは「新疆ウイグル等における深刻な人権状況に対する決議」と題し、新疆ウイグル、チベット、南モンゴル、香港などでの信教の自由への侵害や深刻な人権状況への懸念を表したものだが、自公間の調整の過程で右翼ぶりっ子たちが狙った挑発的な文言はだいぶ削られたとかで、ずれにせよ日中関係や国際政治の行方に影響を与えるようなものとはならなかった。それは当たり前で、元々が安倍の反林感情に発していることが見え見えであるものを、自民党議員といえども真面目に取り扱うわけがない。
茂木は単なる日和見主義者で何の定見も持ち合わせてはいないが、平成研究会の会長の座を手に入れてからは政権戦略を真剣に考えるようになっていて、その基本はどうも、田中角栄から竹下登、橋本龍太郎、小渕恵三まで繋がって後は断たれている田中派路線を復活させ、岸田=林の宏池会路線との戦略的同盟関係を編もうとしているのだと言われる。
二階は林を「後継指名」?
さて、そこで注目されるのが二階俊博前幹事長の動向である。二階は長く自民党幹事長として君臨し、先の衆院選で13回目の当選を果たしたものの、今年2月で83歳になる超高齢で、昨年9月の自民党総裁選でも結局何をどうしたいのかはっきりさせて派と党を導くことができないボケ状態を演じた。しかし、習近平主席との個人的な信頼関係を軸とした日中間のパイプ役として役割は依然として重要で、本人も日中関係をこのままの状態で後世に残すわけにいかないとの強い自覚を持っていると言われる。
二階と親しい田原総一朗は、『サンデー毎日』1月30日号の林芳正インタビューの中で、「習近平が最も信頼する政治家は二階俊博だ。二階は自らの対中人脈の後継者を林にした。岸田首相はそれを百も承知のうえで、安倍らの反対を押し切って、林を外相にした」と語っている。
これはもっと注目されてしかるべき重要な指摘で、これがもし本当なら、岸田が「対中非難決議」などで右翼ぶりっ子に妥協的な態度をとっているのは面従腹背で、今はまだ安倍らと全面対決の段階ではないと計算づくで考えているが、いずれ日中関係打開を軸に思い切った動きをする可能性があるということになる。この点について田原は、今年前半の「二階訪中」の動きに注意すべきことを本誌に示唆した。
こうした流れを派閥力学的な観点から捉えると、二階派の中心幹部=林幹雄前幹事長代理と武田良太前総務相の動きから目が離せない。この2人は、昨年末には菅義偉前首相、石破茂元幹事長、森山裕総務会長代行という何とも微妙な面々で会食しており、マスコミ的には岸田政権の冷や飯組の慰め合いの会であるかに言われたが、事情通に言わせると必ずしもそうではなく、近く二階派を引き継いで岸田と連携しポスト岸田争いにノミネートしたい武田が仕掛けた舞台装置だという評価もある。武田は、一般には知名度はないが、亀井静香の秘書から上がって来た苦労人で、大平正芳元首相の側近=田中六助元幹事長の甥という血筋からしても宏池会への親和性がある。
菅が今何を考えているのかは見えないが、このようないわゆる中間派全体に影響力を拡大して「菅派」を立ち上げたいのかもしれない。いつの間にかの安倍包囲網に直面しつつある安倍=高市連合は、あれほどコケにした菅に再接近して「菅派」立ち上げを助け、反岸田陣営を拡張したい思惑だが、菅に今更安倍に頼るつもりがあるのかどうか。
自公連立はどうなるのか?
以上のような、自民党の水面下でのモザイク模様の軋みに、意外に大きなインパクトを与えるかもしれないのが、自公選挙協力の不調である。公明党の山口那津男代表は2月4日収録のBSテレ東の番組で「夏の参院選では自民党との相互推薦がない前提で、自力で勝てるようにやらざるを得ない」と改めて表明した。昨年12月段階で相互推薦を打ち出すよう求めて来たが、自民党が調整に手間取っているため、ついに最後通牒を突きつけた形である。
「相互推薦」とは、公明党が参院選の改選定数3以上の「複数区」のうち埼玉、東京、神奈川、愛知、大阪、兵庫、福岡で候補者を擁立するのに対し、東京・大阪を除く5選挙区で自民党が公明党を推薦して支援。その見返りに、全部で32ある「1人区」で公明党が自民党候補を支援するというもの。1人区で野党の候補者一本化が実現した場合、自民にとっては自公協力は不可欠であるはずだが、それが難航するのは特に関西で維新の脅威があるからで、例えば自民党本部と現地がモメている典型である定数3の兵庫選挙区では、前回2019年には、
1位 維新 57万,3427票 2位 公明 50万3,790票 3位 自民 46万6,161票 4位 立憲 43万4,846票 5位 共産 16万6,183票 |
という結果で、維新がこれだけの集票力を発揮すると、すでにそれだけで自公が共に議席を得られるかどうか怪しくなり、ましてや立共が一本化で臨んで来ればそれと維新が1、2位を競う形になって自民は公明に票を分けるなどとんでもないということになる。首都圏でも、国民と小池百合子が組んだ場合に全く同様のことが起き得るだろう。つまり、自民党の衰弱を創価学会の1選挙区当たり数万と言われる票が付きさえすれば救えたという時代が、自民党の支持基盤の軟化だけでなく学会の組織減退と超高齢化で、もはや成り立たなくなりつつあることの現れである。
以上のようなことが進んでも参院選で自民党は決して負けないはずで、それは主として立憲が野党第一党の体をなしていないことによる。それについては機会を改めて論じることとする。
(メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2022年2月7日号より一部抜粋・文中敬称略。全文はメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』を購読するとお読みいただけます)
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早稲田大学文学部卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。現在は半農半ジャーナリストとしてとして活動中。メルマガを読めば日本の置かれている立場が一目瞭然、今なすべきことが見えてくる。
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