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女性自殺者の急増を隠蔽する自公政権の姑息。80%超「増加」の真相
https://www.mag2.com/p/news/518109
2021.11.11 『きっこのメルマガ』 まぐまぐニュース
11月2日に厚労省により公表されるや、働く女性の自殺者数が15.4%もの増加を見たことが大々的に報じられた「令和3年版自殺対策白書」。しかしその発表時期と数字には、政権による「意図」が見え隠れしているようです。今回の『きっこのメルマガ』では人気ブロガーのきっこさんが、例年ならば3月下旬の同白書の発表がこの時期にずれ込んだ理由を暴くとともに、女性自殺者の「本来」の増加率を挙げ自民党政権の詐欺的体質を強く批判。さらに新型コロナの影響による女性の自殺者の急増という社会現象は現在も進行中であり、「国民の命と生活など二の次」の現政権下では彼女らが救われることはないと指摘しています。
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女性の自殺者急増を完全スルーの自公政権
11月2日に発表された政府(厚生労働省)の「自殺対策白書」によって、2020年の女性の自殺者数が大幅に増えたこと、特に働く女性の自殺者数が急増したことが分かったと、新聞各紙やテレビ各局の報道番組などが報じました。
ザックリと要点を挙げると、昨年2020年の自殺者数は2万1,081人となり、10年連続で減少していた自殺者数が11年ぶりに増加に転じた、という1点。そして、男性の自殺者数は前年より23人減の1万4,055人で「0.2%減」だが、女性の自殺者数は前年より935人増の7,026人で「15.4%増」、つまり、女性の自殺者の急増によって、全体の自殺者数が増加に転じてしまった、という1点。
そして、女性の自殺者の個々の環境や状況を見ると、「働く女性」「若い女性」「シングルマザー」などの増加が顕著であり、厚労省は「新型コロナ感染拡大による失職や収入減が背景にある」と指摘しています。新聞各紙やテレビ各局は、これらの点を大きく報じたわけですが、あたしは「はぁ?」と首を傾げてしまいました。つーか「今さら何を言う、早見優」と村上ショージさんの往年のギャグまで口にしそうになってしまいました。
だって、厚労省の自殺対策推進室は、毎月の全国の自殺者数と詳しい内容を、翌月に発表しているのですよ。つまり、2020年の女性の自殺者数の急増は、今年1月には分かっていたことなのです。今回、各メディアは、2020年の1年間のトータルとして「女性の自殺者は前年より935人増え、15.4%増となった」と報じました。でも、この「15.4%」という増加率って、1月から12月まで平均的に増加した場合の数字ですよね。ここに「落とし穴」というか、公文書の改竄など朝飯前の自民党政権による「印象操作」があるのです。
2020年の自殺者数の月毎のデータを見てみると、1月から6月までは前年同月とほとんど変わりません。しかし、新型コロナによる非正規労働者の解雇や雇い止めが増加し始めた7月から、自殺者数が急増しているのです。日本の自殺者数は、新型コロナの前までは、ここ数年、毎月1,500人から1,800人の間を推移して来ました。そして、新型コロナが始まった2020年2月以降も、6月までは1,400人から1,500人台を推移していて、過去5年間の水準を下回っていました。
しかし、当時の安倍晋三首相が「GoToトラベル」を前倒しで強行して行動制限を緩和した7月から1,800人超へと増加が始まり、次の菅義偉岸首相が「GoToイート」を強行した10月には、ついに2,000人を突破してしまったのです。2020年10月の自殺者数は2,153人ですが、2019年10月は1,539人だったので、前年同月比は「40%増」です。そして、この増加分の大半は女性なので、女性の自殺者数だけを前年同月と比較すると、なんと「80%超の増加」なのです。「80%超の増加」って、ちょっと盛れば、もはや「2倍」です。
政府は「7月〜12月の自殺者数の増加分」を「1年分」として計算し、女性の自殺者の増加率を「15.4%増」などと示しましたが、このように10月だけを比較すれば「80%超の増加」ですし、7月〜12月という下半期を比較すれば「40%増」なのです。前年より減少している上半期もまとめて計算することで、増加率を水で薄めてアベ政治の失敗を小さく見せようとする姑息な「印象操作」、さすがは改竄と捏造がお家芸の詐欺政権です。
それなのに、2020年当時の日本のメディアは自民党政権に忖度していたのか、連日のように「GoToトラベル」や「GoToイート」の成果を誇大報道するばかりで、新型コロナによる女性の自殺者の増加は、ほとんど報じませんでした。しかし、常に国民の側に立つ海外メディアは違います。アメリカの「CBS News」は、2020年11月13日付で「Suicide claimed more Japanese lives in October than 10 months of COVID」(新型コロナによる10カ月間の死者数よりも、10月1カ月の自殺のほうが多くの日本人の命を奪った)と報じました。以下、その記事の和訳です。
新型コロナそのものよりも、新型コロナの影響による経済的悪化が、遥かに多くの日本人の命を奪っている。 日本は新型コロナの流行を他の国よりもうまく管理しており、現在の死者数は全国で約2,000人ほどだ。しかし、政府の発表によると、新型コロナが原因と思われる自殺者は10月だけで2,153人に達し、4カ月連続で増加し続けている。日本の自殺者は10月までに1万7,000人を超えており、10月の自殺者数は前年比で600人も増加した。特に女性の自殺者は80%以上も急増した。日本の女性はもともと家事や育児などの負担が大きいが、現在はさらに新型コロナによる失業と不安の矢面に立たされている。また、男性がテレワークで自宅にいる時間が長くなったため、既婚女性は家庭内暴力を受けるリスクが高まっている。 |
あたしは、この「CBS News」の報道を受けて、ちょうど1年前、去年の11月25日配信の『きっこのメルマガ』第96号に「急増する新型コロナ自殺」というエントリーを掲載しました。そして、その中で「若い女性の自殺が急増している」ということを取り上げ、すぐに対策を行なわないと女性の自殺が増え続けるということを訴えました。バックナンバーを保存している人は、第96号の「前口上」を読み直してみてほしいのですが、今回、新聞各紙やテレビ各局が報じた内容は、あたしが1年前に、このメルマガで発表したエントリーとほぼ同じなのです。何なら、あたしのエントリーのほうが優れています。
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だから、あたしは、今回の報道を見て「はぁ?」と首を傾げ、「今ごろ何を言っているのか」と思ったのです。しかし、政府が2020年の「自殺対策白書」を発表したのが11月2日なのですから、その発表を受けて各メディアが報じるというのは普通の流れですよね。でも、それなら、どうして政府の発表がこれほど遅くなったのでしょうか?
先ほども書きましたが、厚労省の自殺対策推進室は、毎月の全国の自殺者数と詳しい内容を翌月に発表しています。ですから、2020年の1年間のデータは、今年1月末の時点で出揃っていました。これは厚労省のHPで誰でも閲覧できますので、当時、あたしも閲覧してデータをDLしましたし、貧困や自殺対策に取り組む複数の民間NGOなどが、このデータを元にして、今年の2月から3月にかけて「新型コロナの影響で女性の自殺が急増している」という問題をHP等で取り上げました。
そして、2020年11月にこの問題を取り上げたあたしは、政府が「自殺対策白書」を発表した時点で、もう一度、この問題を『きっこのメルマガ』で取り上げるつもりでした。しかし、今年は、例年「自殺対策白書」が発表される3月下旬の年度末を迎えても、いっこうに発表されないのです。そして、春が過ぎ、夏が過ぎ、秋を迎え、10月31日にバタバタと衆院選が行なわれ、大方の予想に反して自民党が安定多数を守り切ると、その2日後にシレッと「自殺対策白書」が発表されたのです。
あたしは「はは〜ん」と思いました。厚労省の「自殺対策白書」は、毎年、3月下旬の年度末に前年分が発表されており、たとえば、昨年2020年は、3月17日に前年2019年分が発表されています。これが通例です。しかし、その前年の2019年だけは違ったのです。この年は、3月が過ぎても発表されず、4月が過ぎても発表されず、5月が過ぎても発表されず、7月21日に参院選が行なわれ、自公が過半数の議席を確保すると、その翌日の7月22日にシレッと「自殺対策白書」が発表されたのです。
もはや説明の必要もないと思いますが、自民党政権下では、衆院選や参院選などの国政選挙が行なわれる年は、例年は3月下旬に発表する前年の「自殺対策白書」を先送りし、選挙が終わってから発表しているのです。第2次安倍政権が始まってからの約10年を見てみると、全体の自殺者数は少しずつ減少していた一方で、若年層の自殺は増加し続けて来ました。また、自殺者の自殺理由は様々ですが、この10年は、生活困窮者の自殺が増加し続けて来ました。これは、竹中平蔵の言いなりで進めた安倍政権の雇用政策によって、非正規雇用者や日雇い労働者が急増してしまったことが最大の原因です。
このように、毎年3月下旬に発表される厚労省の「自殺対策白書」は、現政権の「通信簿」の役割も果しているのです。特に今回の「自殺対策白書」には「10年連続で減少していた自殺者数が11年ぶりに増加に転じてしまった」「女性の自殺者が急増した」など、現政権にとって極めて都合の悪い内容でした。
それも「働く女性の自殺者数の急増」です。それまで真面目に働いて来た女性たちの多くが、長引く新型コロナ禍によって生活に困窮し、自ら命を断たなければならない状況にまで追い詰めれたのです。厚労省も「新型コロナ感染拡大による失職や収入減が(女性の自殺者急増の)背景にある」と結論づけていますか、これは完全に政治の責任です。
安倍晋三元首相も菅義偉岸前首相も口をひらけばバカのひとつ覚えのように「国民の命と生活を守るのが総理大臣としての責務」などと繰り返していましたが、当時の安倍政権と菅政権が国民の命など二の次、三の次で、自民党のスポンサー企業を優遇する利権まみれの政策ばかり続けて来た結果が、この「働く女性の自殺者数の急増」という悲しい現実なのです。
それなのに、こうした現実を受けて自民党政権が何をしたのかというと、「反省」でも「謝罪」でも「対策」でもなく、「自殺対策白書」の発表を衆院選後へ先送りするという「隠蔽」だったのです。テストで0点を採ったのび太が、お母さんから叱られるのが恐くて、空き地のどこかに答案用紙を隠すようなレベルです。皆さん、これ、どう思いますか?
ちなみに、今回発表されたのは2020年12月までの自殺者数ですが、今年になってからも、前年同月比で、1月は5%増、2月は15%増、3月は15%増、4月は23%増、5月は16%増、6月は16%増と増加が続いており、この増加分の大半が「女性の自殺者」なのです。そして、7月以降は、前年2020年も急増しているため、前年同月比で計算すると微増や微減になりますが、新型コロナ前の2019年の同月比で計算すると、1〜6月までと同様に15〜25%増が続いているのです。
つまり、この「新型コロナの影響による女性の自殺者の急増」という社会現象は「すでに終わった去年の出来事」などではなく、現在も進行中なのです。自民党と連立を組む公明党は、今、2兆円もの予算を使って、18歳以下の子どもに一律1人10万円(5万円の現金と5万円のクーポン券)というバラ撒き政策を進めています。しかし、出産どころか結婚する余裕もなく、生きるために安い賃金でも必死に働き続けて来た非正規労働の若い女性たちは、どんなに生活が困窮しても、何の公助も受けられないのです。少なくとも「国民の命と生活など二の次」の今の自公政権下では…。
(『きっこのメルマガ』2021年11月10日号より一部抜粋・文中敬称略)
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