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“遺骨による”辺野古埋め立ては本土決戦を引き延ばす捨て石にされた沖縄県民の気持ちを逆なでする行為だ ラサール石井 東憤西笑
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/285946
2021/03/04 日刊ゲンダイ
辺野古への土砂投入は2年前から続いている(C)日刊ゲンダイ
沖縄・那覇市の県庁前広場で今月1日からハンストが始まっている。中心になっているのは沖縄戦の遺骨収集ボランティアを20代から40年近く続けている具志堅隆松さんだ。
辺野古への土砂投入は2年前から行われている。毎日2回、何十台ものトラックによって運び込まれる土砂を阻止するべく、座り込みをしては排除される反対住民のニュースはご覧になったことがあるだろう。
埋め立て土砂の総量は、2017万6000立方メートルで、東京ドームの約16・3個分に相当する。これまではその7割を県外の土砂で調達していた。県議会はそれを阻止すべく外来種の侵入で自然が破壊されることを理由に、県外土砂規制条例を可決した。すると国は、それを回避するために県内での土砂調達の範囲を広げようと計画している。その候補地にこれまでの北部地域に加え、地上戦の激戦区であった南部の糸満市などを候補に加えたのだ。
南部では軍民一体となって犠牲者が多く、75年経った現在でもいまだ見つからぬ遺骨が多く眠っている。具志堅さんは先日も、ガマと呼ばれる洞窟内で米軍からの手榴弾でやられた民間人の骨や遺留品を見つけている。
「沖縄戦戦没者が眠る土を軍事基地建設に使うことは人道上間違っている。戦没者への冒涜だ」というハンストの理由は至極もっともだ。国は「沖縄に寄り添う」と言っておきながら、遺族の気持ちを、沖縄県民の気持ちを逆なでしている。「戦没者は二度殺されることになる」と嘆くのも無理はない。しかしニュースに連なるコメント欄にはネトウヨたちの目を覆うような中傷が寄せられていて驚く。
「沖縄のどこを掘っても遺骨が出てくる。なんの工事もやるなというのか」「沖縄空港の工事にも反対しろよ」「お前が埋め立てられろ」「戦没者は骨土になってもまた県民を守っているのだ」等々。「戦没者を反対運動に利用するな」という訳のわからぬ意見もある。
2016年に戦没者遺骨収集推進法ができた。今回の申請はこの法律に抵触する可能性もある。いまだ2000柱を超える遺骨が沖縄に眠っている。「沖縄のどこを掘っても遺骨が出てくる」のは、それだけ広範囲の地上戦が行われたからではないか。
本土決戦を引き延ばすために捨て石にされた沖縄の悲惨、そしてその後の基地問題を押し付けられた住民の気持ちに、なぜ思いを馳せないのか。
もしネトウヨの諸君が日本を愛すると言うなら、1人でも多くの遺骨が弔われ家族のもとに帰ることを願うのが真の愛国なのではないのか。
ラサール石井 タレント
1955年、大阪市出身。本名・石井章雄(いしい・あきお)。鹿児島ラ・サール高校から早大に進学。在学中に劇団テアトル・エコー養成所で一期下だった渡辺正行、小宮孝泰と共にコント赤信号を結成し、数多くのバラエティー番組に出演。またアニメの声優や舞台・演劇活動にも力を入れ、俳優としての出演に留まらず、脚本・演出も数多く手がけている。石井光三オフィス所属。
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