日本 - クラシック音楽 一口感想メモ https://classic.wiki.fc2.com/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC 山田 耕筰(やまだ こうさく、1886 - 1965) 日本クラシック音楽のパイオニア。後の作曲家達の音空間に共通するある種の日本人作曲家の共通点を既に見せている。
交響曲ヘ長調『かちどきと平和』 2.0点 日本最初の交響曲として名前は有名。ドイツロマン派のようであり、20世紀に書かれた交響曲としては非常に保守的な内容である。管弦楽の扱いはぎこちなくて、平板。曲として面白い場面はない。ドイツロマン派のよくある場面を真似しながらつなぎ合わせたかのような、学生の練習作品のような習作レベルであり、個人的にはガッカリした。しかし、パイオニアというのはこのような所から出発して、高みを目指して研鑽していくもの。日本人クラシック作曲者の原点の記録としてはやはり感慨深い。 長唄交響曲「鶴亀」 1点 長唄が好きな人なら面白いかもしれないが、そうではない自分にはオケと競演して何かが産み出されたように聞こえなかったし、何も楽しくなかった。 橋本 國彦(はしもと くにひこ、1904 - 1949) 交響曲第1番ニ調(1940年) 2.5点 2楽章が面白い。うーんと引き込まれる。他の楽章もわかりやすさの中に凡庸を拒否しており、はしばしにセンスの良さを感じる。 交響曲第2番ヘ調(1947年) 3.3点 2楽章制。1楽章はかなり気に入った。淀みなく進行する音楽がなんとも気持ちいい。品格があり、シベリウスのような豊かな自然と戦争が終わった人類の過去の歴史と未来を思料するような大いなる気分が混ざっていて、胸がいっぱいになるものがある。旋律の一つ一つは平凡だが、交響曲として複雑に組み上げられた結果として意味のあるパーツになっている。20分の大曲だが、もっと聴いていたいくらいだ。2楽章は残念ながらあまりいい曲とは思えない。ピンとこないまま曲が終わってしまう。1楽章がリバイバルするような最後の場面だけ気に入った。 3つの和讃 2.8点 和の心と祈りを多分に含みつつ、マーラー的なしなやかな情感を持った曲。切れ味がよくないのは気になるものの、真摯さと明確な作曲意図があり好意的に聴ける。しかし、一流の音楽というには平凡であることも否めない。 諸井 三郎(もろい さぶろう、1903 - 1977) 交響曲 交響曲第1番ハ短調Op.8(1934年) 交響曲第2番Op.16(1938年) 交響曲第3番Op.25(1944年) 3.0点 1楽章は骨太でドイツ的な堅い音楽。突き抜ける感じはないが、音の感じややろうとしていることはとても好みだ。2楽章は息抜き。3楽章が一番良い。何箇所か非常に感動する場面がある。ブルックナーのようにこころが膨らむ壮大さと心がどっぷりと音楽に包まれて魂を音楽に委ねる感じは、あまり日本人の曲では経験がない。全体的によいのだがしかし、常に最高に素晴らしいわけではなく、著名作品のような隙のない天才性の横溢という感じが残念ながら無い。感動を思い出しつつ、物足りなさが消えないもどかしさも感じながら聞き終わった。 交響曲第4番Op.27(1951年) 2.5点 ドイツ的な構築性とロシア的な大河性を具有している本格派の作曲家ならではの大作。ピアノが活躍する。しかし、何かショスタコはじめ何人かの作曲家が突破できた壁の手前にいるようなもどかしさを感じてしまうのである。 交響曲第5番「大学祝典交響曲」Op.29(1970年) シンフォニエッタ 2.5点 頑張っているのは感じるが発想にそれほど輝きを感じなかった。 大澤 壽人(おおさわ ひさと、1906 - 1953) 交響曲 交響曲第1番 イ調 交響曲第2番 変ロ調 2.8点 日本人らしい芋くささがない。ロマン派の残骸の響きがなく、完全に現代的な音の世界を作っている。その点では天才的である。しかし、音の感覚の鋭さを活かして、もう一つ高い次元の構築物として昇華できている感じではない。その意味では平板でありドラマがなさ過ぎる。部分を聴くと内容に不足感はあまりないのだが、やはり物足りない。最後にちゃんと終わらない不満もある。 交響曲第3番 3.0点 2番よりもオーケストラの扱いがこなれている印象である。ここまで見事に管弦楽法で非凡なプロフェッショナルさを感じる日本人作曲家はあまりない気がする。完全に近代的な作品だ。欧米のどこかの国に似ている印象はなく、かなり中立的で無国籍である。それらは良いのだが、交響曲として盛り上がりが欠けており、熱くなれない物足りなさは大きい。規模は大きいが、あまり交響曲らしくない。とはいえ4楽章は最終楽章らしいダイナミックさがあり、全体としては満足感をもって締めくくられる。 交響曲第4番 交響曲第5番 交響曲第6番「HIROSHIMA」(エドマンド・チャールズ・ブランデン) 交響曲第7番「邪宗門」(未完) 協奏曲 ピアノ協奏曲2番 3.0点 ピアノの使い方のセンスの良さには驚愕する。これが戦前の作品とは。同年の作品として、音楽の芯がどこか分かりにくい交響曲2番より、こちらの方が良いと思う。近代的で知性を感じさせながらも、新鮮な感性の輝きもみせる音楽である。ピアノの使い方は垢抜けていて音に対するセンスの高さが素晴らしい。ピアニステイツクさも、この時代の日本としては十分な高レベルに感じる。とはいえ、捉えどころが分かりにくい欠点はやはりある。予兆なしに突然終わるのもダメ。 ピアノ協奏曲3番 3.0点 1楽章は明確な躍動感があるが、分かりやすすぎるゆえに映画音楽のようになってじったきらいもある。2楽章のサックスの登場は驚いた。そして2番も3番も2楽章はラヴェルのピアノ協奏曲を連想する。お洒落さと叙情性が合わさった不思議な楽章。3楽章も近代的だが、ラヴェル的なお洒落さ強い気がする。前進する推進力や飛行機の登場する宮崎駿アニメのような躍動感はなかなか楽しい。日本人らしからぬ海外のどこに出しても恥ずかしくないセンスの塊の音楽はすごい。 伊福部 昭(いふくべ あきら、1914 - 2006) リズムや節回しが独特で分かりやすい音楽を書いた作曲家。エンターテイント作品として楽しめる。 シンフォニア・タプカーラ (1954年 / 1979年) 3.0点 わかりやすい個性とフレーズで楽しく聞ける曲。交響曲らしい総合性はあるし、聴いて損はない。 ピアノと管絃楽のためのリトミカ・オスティナータ (1961年、2台ピアノ版あり) 別宮 貞雄(べっく さだお、1922 - 2012) 交響曲 交響曲第1番(1961年) 交響曲第2番(1975年 - 1977年、1978年・2004年改訂) 交響曲第3番「春」(1981年 - 1984年) 2.5点 作曲者の感性を個性として楽しめる曲。しかし、ブルックナーとマーラーの間くらいのような時代を感じてしまう和声やフレーズは古臭すぎると感じてしまう。ただしゲルマン的な暑苦しさはあまりなく、フランス的な優雅で軽い印象を受けた。 交響曲第4番「夏1945年」(1986年 - 1989年) 交響曲第5番「人間」(1997年 - 1999年、2001年改訂) 團 伊玖磨(だん いくま、1924 - 2001) 交響曲1番 2.5点 23分の単一楽章。聴きやすくて、様々な音の印象の移り変わりをそれなりに楽しめる。しかし、多くの作曲家の影響が見え隠れするし、大胆に自分ならではのオリジナリティの世界に踏み込みきれていない感じを受けるので、聴後感が物足りない。 交響曲2番 2.5点 3楽章構成の力作であり、交響曲らしさを目指して努力していることが伝わってくる。様々な所に作意や意志を感じる。音楽としてはスケール感もあり聴きやすい。しかし、いかにも20世紀のマイナー交響曲といいたくなってしまう、オケの表現能力に頼っただけの精神的な密度の薄さが気になる。自然界を表現したとすれば、いささか矮小だ。1番より進歩しているが、努力された跡が分かるという程度と思う。 交響曲3番 2.8点 前衛を取り入れた音作りにより、作曲者が自分の芸術に確信を持っているのがわかる。聴き映えの良さが上がっている。二楽章形式のためもあり、鋭くある断片を切り取ったような印象がある。芸術的な深みを指向している点では交響曲として受け止められる。しかし、素材の数が少なすぎて繰り返しばかりであり、聴いているうちに飽きてきてしまう。突いている所は良いのだが、広がりが足りない。 交響曲4番 2.8点 3番と作曲時期が近いため音楽は似ている。4楽章あるため、3番よりも総合性を持っている。音の聴き映えはよい。しかしながら、作り上げた音の世界が主張や精神性を持つに至らず、音のまま終わってしまう。終わった後にもう一度聴きたい何かを生み出せていないと思う。楽章の長さが短いためなおさらそう感じる。 交響曲5番 3.3点 非常に進歩しており、巨匠らしい音楽的な説得力と精神性を持った充実した交響曲となっている。聴いていて魅力に引き込まれる場面がかなりある。前衛的ではあるが、無理なく聴ける分かりやすさとバランスがあることが良い。日本を代表する作曲家のひとりと呼ぶに相応しい作品。 交響曲6番 3.0点 長尺を生かした時間の使い方で書かれている。前衛性が後退し、密度がやや薄いためもあり、歳をとったことを感じてしまう。内容的には「達筆」という言葉を連想する。音のぶつかり合いや雅楽的な要素を柔軟に活用しつつ、機能和声の音楽の範囲で書かれている。刹那的な流れは縦横無尽で優れているが、全体的な構築感が薄くて物足りない。歌は短い時間であり、あくまで一時的な効果に留まっている。 芥川 也寸志(あくたがわ やすし、1925 - 1989) エローラ交響曲 2.0点 作曲の経緯を知ってから聴いたのでその部分は楽しめたが、音楽の内容は、ある一つの雰囲気を音楽で作ったという以上のものを感じなかった。 松村 禎三(まつむら ていぞう、1929 - 2007) 交響曲 交響曲1番 2点 なかなか内容がある現代音楽の交響曲。厳しく鋭く意味を持った音楽性がありいい演奏に出会ったら感動する可能性があると感じた。
黛 敏郎(まゆずみ としろう、1929 - 1997) 2曲の交響曲は、現代音楽を利用した強靭な創造性が心を打つ傑作。聴いている間、天才的な作品という賛辞が頭を離れなかった。 涅槃交響曲(1958) 3.3点 仏教をテーマにし、読経のような男性ボーカルを使った見事な音空間を造詣している。鐘の音を分析したそうで、どのように生かされているのか興味深く聴いた。この造形力はかなりのもので、天才的と言っていいと思う。 曼荼羅交響曲(1960) 3.5点 涅槃交響曲の半分の長さの姉妹編であるが、自分にはずっと深化した強烈な世界を造形することに成功した驚くべき傑作に聞こえた。超常的なエネルギーが渦巻く彼方の世界を圧倒的な量感で描いている。現代音楽でありメロディーは無いが、これなら問題なし。なお余談だが、スクリャービンがあと20年生きたらこんな音楽を書いていたかもしれないと感じた。法悦の詩に似ている。 矢代 秋雄(やしろ あきお、1929 - 1976) 寡作の天才であり、日本を代表する作品を多く作った作曲家とされている。確かに切れ味が鋭く、精神性が高く、時間をかけて磨き上げられた感じがする。そして、日本人にありがちな、音楽的なある種の平板さや予想の範囲内という感じがこの人にはあまりない。自分は以前は寡作の作曲家の悪い面を持っていると思っていたが、今は日本を代表する素晴らしい作曲家と考えている。 弦楽四重奏曲(1955年) 交響曲(1958年) 3.3点 4楽章作品であるだけでなく、主張の感じられる音の使い方であることが、交響曲らしさをみせている。しかしながら、基本的に音が薄く、楽器を分厚く重ねていなくてオーケストラの能力をフル活用していない点ではあまり一般的な交響曲のイメージと合わない。場面は刻々と移っていき、その推移を愉しめるが、構築的とかストーリー展開の印象ではない。3楽章の和風な打楽器の使い方の醸し出す虚無感とか空白の利用による日本的な美の表現にはしびれた。安易に勢いに頼らないで、調性音楽でありながら武満徹のような音空間を構築し、音感センスで表現する彼ならではの作品。だが、交響曲としては少しパワーが無さすぎで期待値に届いておらず、物足りない。一応最終楽章ではショスタコーヴィチのようなテンションを見せるけれども。 チェロ協奏曲(1960年) ピアノ・ソナタ(1961年) ピアノ協奏曲(1967年) 3.5点 日本人の作曲した曲においていつも気になる、ある種の平板さがこの曲にはない。ピアノパートは超絶技巧が要求されているとともに非常に音感が優れており、あるべき場所に音がある納得感がある。アイデア豊富で、立体的である。音の厚みではなく、センスで音の世界を作っている。通俗的ではないし、音の主義主張がはっきりしているわけではないが、聞きやすさはある。これは世界にも通用するレベルの協奏曲だと思う。 武満 徹(たけみつ とおる、1930 - 1996) 日本人作曲家の中ではダントツに有名。現代音楽だが、聴きやすいため普通のクラシックファンでも良さはすぐに分かると思う。海外の現代音楽よりも日本人の感性によく合っていて、音からイメージされるものが明確というのもあり、すぐに入り込めると思う。 管弦楽曲 弦楽のためのレクイエム 1957 弦楽 黒い絵画 レオノーレ・フィニによせて 1958 Orch 樹の曲 1961 Orch 環礁 1962 S,Orch 弦楽器のためのコロナII 1962 弦楽 地平線のドーリア 1964 Orch グリーン 1967 Orch 冬 1971 Orch マージナリア 1976 Orch 鳥は星形の庭に降りる 1977 Orch ア・ウェイ・ア・ローンII 1981 弦楽 夢の時 1981 Orch 雨ぞふる 1982 Orch 星・島(スター・アイル) 1982 Orch 夢窓 1985 Orch トゥイル・バイ・トワイライト ―モートン・フェルドマンの追憶に― 1988 Orch トゥリー・ライン 1988 Orch ヴィジョンズ(I神秘 II閉じた眼) 1990 Orch マイ・ウェイ・オブ・ライフ ―マイケル・ヴァイナーの追憶に― 1990 Br,cho,Orch ハウ・スロー・ザ・ウィンド 1991 Orch 系図 ―若い人たちのための音楽詩― 1992 ナレーター,Orch 群島S. 1993 Orch 精霊の庭 1994 Orch 協奏的作品 シーン 1959 vc,弦楽
弧(アーク) 1963-76 pf,Orch テクスチュアズ 1964 pf,Orch ノヴェンバー・ステップス 1967 琵琶,尺八,Orch アステリズム 1968 pf,Orch クロッシング 1969 cho,gt,hp,vib,pf,Orch ユーカリプスI 1970 fl,ob,hp,弦楽 カシオペア 1971 perc,Orch ジェモー 1971-86 ob,tbe,Orch 秋 1973 琵琶,尺八,Orch ジティマルヤ 1974 mar,Orch カトレーン 1975 cl,vn,vc,pf,Orch 遠い呼び声の彼方へ! 1980 vn,Orch 海へII 1981 fl,hp,弦楽 夢の縁へ 1983 gt,Orch 虹へ向かって、パルマ 1984 ob-d'amore,gt,Orch オリオンとプレアデス(犂と昴) 1984 vc,Orch リヴァラン 1984 pf,Orch ウォーター・ドリーミング 1987 fl,Orch ノスタルジア ―アンドレイ・タルコフスキーの追憶に― 1987 vn,弦楽 ア・ストリング・アラウンド・オータム 1989 va,Orch フロム・ミー・フローズ・ホワット・ユー・コール・タイム 1990 perc,Orch ファンタズマ/カントス 1991 cl,Orch 夢の引用 ―Say sea,take me!― 1991 2pf,Orch セレモニアル ―An Autumn Ode― 1992 笙,Orch ファンタズマ/カントスII 1994 tbe,Orch スペクトラル・カンティクル 1995 vn,gt,Orch 邦楽曲 蝕(エクリプス) 琵琶,尺八 1966
室内楽曲 弦楽四重奏のための作品 ランドスケープ 1960 SQ
ア・ウェイ・ア・ローン 1980 SQ その他 オリオン(犂) 1984 vc,pf そして、それが風であることを知った 1992 fl,hp,va 一柳 慧(いちやなぎ とし、1933- ) どうも日本人作曲家の第一集団から半歩後ろの扱いのようだが、ベルリン連詩を聴く限りではなかなか優れた作曲家だと思う。オノ・ヨーコの元夫というのはそれだけでポイント高い。ジョン・レノンに間接的に大きな影響を与えたことになる。
交響曲 ベルリン連詩 3.0 調性感は薄いがかなり聴きやすい。マーラー的な悠久的時間をキャンバスに、水彩画のような淡さを基調に音楽が展開。曲想の展開が面白い。内容が充実していて満足できる。 原 博(はら ひろし、1933 - 2002) 交響曲 3点 シリアスな調性音楽である。20世紀後半らしさをきちんと持ちつつ、19世紀的ながっちりとした総合性を交響曲として作り上げている点がかなり好感が持てる。精神力の強さに感服させられ、素晴らしい音楽だと思える場面は多い。
池辺 晋一郎(いけべ しんいちろう 1943 - ) 池辺さんの語りは面白いし、本も面白い。独眼流正宗のテーマ曲も良かった。しかし、彼が本気で書いた現代音楽は自分には今のところまったく理解できない。
交響曲第1番 交響曲第2番「トライアス」(日本フィルハーモニー交響楽団委嘱作品) 交響曲第3番「エゴ・パノ」 1点 ところどころの運動性の高まる雰囲気に「おっいいかも」となることはあったが、現代音楽だし全体的に何がしたかったのかさっぱり理解できなかった。 交響曲第4番 交響曲第5番「シンプレックス」 1点 分かりやすさを重視したらしく、現代音楽的でないフレーズは多いものの、やはり何をしたいのか、何を感じればいいのか分からないところばかり。 交響曲第6番「個の座標の上で」 交響曲第7番「一滴の共感へ」 交響曲第8番「大地/祈り」 吉松 隆(よしまつ たかし、1953 - ) 交響曲 どの曲も壮大、変幻自在、幻想的、叙情的、奇想天外な吉松ワールド全開の力作。 前提知識無しで一回聴いて、「そんな気がした」程度の感想を書いておく。 カムイチカプ交響曲(交響曲第1番) Op.40(1990年) 3点 長いしちょっと支離滅裂過ぎるなような 交響曲第2番「地球にて」 Op.43(1991年) 3点 暗いが感動的 交響曲第3番 Op.75(1998年) 3点 形式的になっていて少し冒険が足らないというか完成されてしまった残念さを感じた 交響曲第4番 Op.82(オランダ語版) Op.82(2000年) 3点 印象が薄い。5番と大きくは変わらないのだが。 交響曲第5番 Op.87(2001年) 3点 良く出来ている力作と感じた その他作品 朱鷺に寄せる哀歌 3点 吉松流の弦楽主体のエレジーはなかなか感動的だった。 佐村河内守(さむらごうち まもる、1963 - ) 私は彼の曲はゴーストの新垣氏による作曲であることが発覚してから聴いた。このため、全て新垣氏が実際の作曲者である前提で感想を書いている。曲はやはり全体的に二流であり、音が聴こえない作曲家という前提でなければ魅力が半減であると言わざるをえない。 交響曲1番 HIROSHIMA 2.3点 1楽章は起伏があり使い古された語法とはいえ聴きやすく楽しめる。2楽章は長くて平板でありかなり苦行である。どちらも長い曲にも関わらず構成感が希薄で、語法は古くて過去の遺産を繋げた感じ。深刻さと、時々見せる美しさがいいセンをいっている瞬間は多くあるのだが、それが積み重ならない。3楽章は派手で聞きやすいが、そのぶん二流さが表面に出てしまう。ただ、最後の締め括りの場面は素直に聴けばそれなりに感動出来るものがある。この巨大で壮大なコンセプトの曲を発表出来たこと自体は素晴らしい。しかし全聾の作曲家の世界苦を頭の中で鳴り響く音を書き留めることで表現したという設定があるからこそ、所々の瞬間的な魅力が意味を持って胸を打つものに聞こえるのは否めない。それなしに新垣氏の作品として客観的に聴くと、現代日本人の作曲家の作品の中においても、一流とまでは言えないだろう。50分に纏まっていたらもう少し評価出来るかもしれない。80分は長すぎる。 ピアノソナタ1番 2.5点 スクリャービン的な洗練されたピアニズムと、プロコフィエフ的な即物的なモダニズムとピアノの表現の幅が基本線。 長い曲だが、結構聴かせる場面は多い。とはいえ、全体としてはやはりまとまりが悪い点で天才性に欠けており、長さを十分に使えておらず二流の感がある。とはいえ、交響曲のような長さであり、秀逸な現代的なピアノ書法でたっぷり楽しめるし、前衛的な刺激はあるため、わりと楽しめる曲である。新垣氏もけっこうなやりがいを感じて楽しんで書いたに違いない。 ピアノソナタ2番 2.5点 1楽章は、シューマンやショパンのような19世紀前半のロマン派の世界であり、これでもかという程に甘いロマンチックなメロディーを17分にわたり積み重ねる曲である。 わざと素人くさく書いたのかもしれないが、非常にわかりやすくて雰囲気にゆっくりと浸ることが出来る。名作とは言うつもりは無いが、一定の需要があり、鑑賞の楽しみを感じられる曲だろう。 2楽章と3楽章はムソルグスキーのような間を活用した渋い曲であり、あまり印象に残らない。 ドレンテ 2.8点 アニメ映画の挿入曲のような雰囲気である。芸術音楽としてのクラシック音楽の範囲には入らないと思う。しかし、映画音楽やヒーリング音楽としては、ピアノ書法の良さもあって、透明感や回想的な雰囲気はなかなか素敵な、秀逸な曲である。何度も聴いてしまった。 シャコンヌ 2.8点 無伴奏ヴァイオリンのための悲劇的な短調の大作シャコンヌ。バッハの作品の現代風パロディーといってもよかろう。前半は、変奏が面白くないし、サスペンスドラマの音楽のような野暮さがところどころに現れるなど、発想が貧弱な三流の音楽である。しかしながら、後半は無伴奏ヴァイオリン曲らしい自由な思索の冒険となり、迫力のある音楽となっていく。後半だけならばなかなかの聴き応えであり、満足感があった。 ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ 2.3点 モダンさはほとんどなく、明確な調性に基づいている。小さくまとまった中に、若干のスケール感と展開と、そこそこ分かり易いメロディーがある点で、大河ドラマの主題曲を連想してしまった。完全な駄作とはいえないまでも、この人は「曲が長い」という特徴がないとつまらないな、と思った。 弦楽四重奏曲1番 2.3点 バルトークやショスタコーヴィチ程度に調性感が薄く、不協和音満載の音楽。雰囲気はもう少し現代音楽に近いだろうか。響きは刺激的であるが、あまりストーリーを感じず、内容豊富な感じがしない。悪い意味でも現代音楽風になってしまっている。 弦楽四重奏曲2番 2.5点 1番よりも調性的な曲。2楽章や3楽章のお涙頂戴的な悲歌の部分が印象に残った。根暗さにショスタコーヴィチを感じる。とはいえ、全体のインパクトが足らず、後に残る感激がない。1流の真似をしている2.5流の曲という感じが否めない。 https://classic.wiki.fc2.com/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC
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