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チュルク軍事同盟、あるいはアンカラはなぜカザフスタンを占領したとロシアを非難するのか?
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2022年1月24日 マスコミに載らない海外記事
2022年1月17日
ウラジーミル・ダニーロフ
New Eastern Outlook
一月のカザフスタンでの出来事とCSTOの対応は、現代におけるロシアと地域における勢力バランスに対する多くの国々の姿勢に関する本物のリトマス試験であることが証明された。
ロシアと中央アジアの国々に対する積極的な「友好関係の誠実な発展」保証の背後に何があったかを示したトルコも例外ではなかった。
一月、カザフスタンでの出来事の始まりから、それはトルコの綿密な精査の焦点だった。トルコでは、この出来事の解釈に関する、いくつか重要なものを含め、多くのトルコ政治家による声明や広範なトルコ・メディアの政治論争が現れた。
ナゴルノ-カラバフ紛争におけるトルコの積極的関与の後、チュルク統合という要因と、それに対するカザフスタンの立場を考えれば、アンカラの多くの人々にとって、似たような事態が中央アジアでもあり得るように思われた。だが国際平和維持軍を導入するというCSTOの迅速な決定で状況は変化した。この文脈で、カザフスタンでのCSTO軍の派遣に対する一部のトルコ政治家によるロシアへの批判と「もしカザフスタンが要求すれば、アンカラはカザフスタンにどんな援助や支援でも提供する準備ができている」というトルコのフルシ・アカル防衛大臣による予想外の声明も理解が可能になる。
Turkiye紙は、とりわけ「クリミア半島を飲み込み、ドンバスで緊張を燃え上がらせたモスクワは「内政騒動の解決を支援する」口実でカザフスタンにも介入し」「プーチンが乗っ取った」という題の記事を発表した。明らかにロシアとカザフスタンの出来事に対する彼らの態度を非公認に伝えるトルコ当局の試みを反映して、多くの他のトルコ・メディアが類似の感情を表明する記事を掲載した。
同時に、エルドアン大統領の最高顧問イフサン・シェネルは、テュルク評議会(OTS)で、カザフスタンを占拠したと言ってロシアを露骨に非難した。「国を占領するため」ロシアがカザフスタンでの混乱に関係していたという一部のトルコ幹部当局者による主張は、モスクワとアンカラ関係への打撃だと、ロシアに対する「エルドアン宮殿」の調子に憤激してトルコのジュムフリエト紙が書いた。この記事は、この挑発的声明の背後にアメリカがいると確信している。「OTSとロシアのカザフスタン占領とされていることに対する作戦の大統領官邸から発せられる意見は、アメリカが望んでいるのと全く同様、トルコ-ロシア関係にくさびを打ち込むのに役立つ。」
OTSは、CSTOが軍隊を送るのを阻止するため先制的に動くことが必要だったし、カザフスタン自身、CSTOに頼るべきではなかったとアフメト・ダウトオール前首相は言った。
にもかかわらず、十分に思慮深くしなければ、中央アジアのアンサンブルから外れてしまうことに明らかに気付いて、公式アンカラは、用心深い様子見態度をとると決め、できる限り中立的な言説に限定している。
ロシアとの対決で、特にウクライナや、トランスコーカサス、ソ連後の中央アジア地域で「トルコ・カード」をワシントンが積極的に使おうとしているのは良く知られている。旧ソ連のチュルク語を話す共和国やカザフスタンに対するトルコの影響力の普及は特に新しいことではない。この地域において、ロシアだけではなく、中国やイランの広がる影響力に対する拮抗勢力と見ているアメリカの承認を得て、1992年に、アンカラは戦略として公式にこれを宣言した。だが、最初の20年間、トルコの影響は、主に経済や文化部門や、多数のトルコ語の学校や大学開設によって広がった。
ワシントンによるアンカラの「能力」利用増加問題は、アメリカとトルコ間の時折の摩擦にもかかわらず、外交官、軍隊や両国諜報機関代表者間の様々な「協議」の主題だ。それで、ジェイク・サリバンアメリカ国家安全保障担当補佐官とトルコ大統領報道官イブラヒム・カリン間のカザフスタン状況の議論が、1月10日発表された国務省声明で言及された。これには実際「カザフスタンの状況を解決する」上で、より積極的な役割を果たすトルコの用意に関するトルコのフルシ・アカル防衛大臣声明が続いた。
カザフスタンに関して、まさにこの国が、いわゆる「チュルク勢力連合」のけん引役の一人にされたのはワシントンとアンカラの構想だったことを念頭に置いて頂きたい。ナザルバーエフ前大統領の下、連合の多くの組織の仕事が強化され、モスクが建設され、カザフスタンの様々な政治、教育機関や、科学プロジェクトが近年、これの全てにトルコが固執して増大した。ソビエト社会主義共和国連邦崩壊後にできた空白を埋めようとして、カザフスタンをそのイデオロギー的、政治的な思惑に引き込むためアンカラは莫大なエネルギーと資金を投入した。ナザルバーエフ自身、大トゥランという概念の展開に関与した。実際、カザフスタンはこの組織を政治化するため、できる限りのことをした。
そのために、トルコは、アンカラで、モスクワと結び付けられているトカエフが登場するカザフスタン政権交代には余り満足していなかった。この点に関し、アンカラはカザフスタン状況を自分に有利なように変えることに明確な関心を持っており、起きたことに対して、欧米に加えて、トルコの「能力」が積極的に関与していた可能性もあり得る。The Economic Times (ET)が書いているように、トルコは、他の二つの国、パキスタンとアフガニスタンでと同様、カザフスタンにも活発に取り組んでおり、この点に関し、この新聞は、情報源を引用して、アフガンの経験を持った「よく訓練された過激派」が積極にカザフスタン不穏状態に関与していたと強調している。だからアンカラとイスラマバードは隣接するキルギスタンを含め、「好ましい環境」を彼らの侵略の準備に関与していた可能性がある。この点を強調するため、ETは(ロシアで禁止されている運動)タブリーグ・ジャマートのパキスタン支部メンバーが不穏状態で重大な役割を演じたと指摘している。
最近、アンカラは、積極的にチュルク統合を追求して、カザフスタンではモスクワを明らかに出し抜いていた。アンカラの特定勢力が「カザフスタンはウクライナのように終わる」、そこで彼らが、テュルク評議会経由でぇヌルサルタンとアルマアタという二つの「センター」間を調停できると信じていたとトルコの出版物ジュムフリエトが報じている。だがトルコは、この地域でその意欲的プロジェクトを推進するため、資源が、実際、時間が足りなかった。「チュルク世界」という考えは、歴史的に中央アジアとオスマン帝国の一部ではなかったから、カザフ人にそれほどなじみ深くなかったことも覚えおくべきだ。カザフスタンがCSTO加盟国のロシアとキルギスタンの助けを借りて混乱を鎮圧した後、トルコは、その考えを実行する機会を殆ど失った。さらにカザフスタンに兵隊を導入するというアンカラが示した自発的意志にもかかわらず、そうする法的権限を持っていなかった。加えて、地理的に遠く、独力で軍隊を迅速にそこに動かす十分な輸送手段の欠如も忘れてはならない。
このような状況下で、カザフスタンの出来事後に続く、チュルク諸国が即座に共通軍を確立するべきだとアンカラが強調するのは理解できる。これは、アゼルバイジャン、カザフスタン、キルギスタン、トルコとウズベキスタンや、オブザーバー資格のハンガリーとトルクメニスタンを含むテュルク評議会に呼びかけた元駐アゼルバイジャン・トルコ大使館員で元陸軍准将のユセル・カラウスが述べている。同じく「組織の初会合で合同軍の創造に関連する法的措置が採択され、実際の措置がなされるべきだという彼の強調の説明がある。もし我々が遅すぎれば、我々は修復不能な損害を受けかねない。今カザフスタンで起きていることは他の兄弟共和国でも起きかねない。」
だが、アンカラ直接指導下の新しい地域軍事同盟の形成は近い将来ありそうもない。アンカラが、この問題で当てにしている「チュルク諸国」の大部分は、内外の脅迫から地域の保護者として、今その本当の強さと能力を示したはトルコではなくCSTOだ。だからトルコは今ただ、カザフスタンが危機から回復するのを助けることで、影響力を強化することを期待できるだけだ。だが、ジョージア、ウクライナやモルドバの経験から学んだロシアは、過去の失敗を繰り返すことはありそうもなく、カザフスタンを失わないようにしようとするだろう。長期的に、ロシアがカザフスタンと地域全体において、軍事的-戦略的優位を持つ可能性が高い。そしてこれは理解できる。カザフスタンは、トルコとではなく、ロシアと、何千キロメートルもの国境を接している。貿易と投資プロジェクトに関しては、その国家主義の目標と、ワシントンの指令のために、反ロシアのベクトルを強化しない限り、トルコはそのニッチを維持できる。
ウラジーミル・ダニーロフは政治評論家、オンライン誌「New Eastern Outlook」独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2022/01/17/the-turkic-military-alliance-or-why-has-ankara-accused-russia-of-occupying-kazakhstan/
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