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私はこう考える]イラク問題とニッポン 福島章・上智大名誉教授(精神医学)
◇強さ誇示したがる米大統領
イラクを「悪の枢軸」と呼ぶブッシュ米大統領の演説や会見を聞いていると、善悪の論理が極めて単純で、歴代の米大統領と比べ人格的に未成熟な印象を受ける。イラク攻撃を急ぐのは、ブッシュ氏のこうした人格と無関係ではないと思う。
父親が大統領になるような名門の家系だが、事業に失敗した経歴などを見ると、期待に応えることができずに、父親への劣等感が生まれた可能性が強い。また、彼は、同世代の多くの男性が出征したベトナム戦争に行っていない。
ブッシュ氏はこれを克服するために、強大な権力を持つ大統領職を利用しようとしたのだろうが、同時テロが起きた。米大統領の力の源泉は米国の国力で、世界貿易センタービルは国力の象徴だったから、そのビルを壊されることは、個人的な自信を壊されたことになる。
戦いにおける勝利は男性的な強さを証明し、自信を回復するのに最も手っ取り早い手段だ。
劣等感を払拭(ふっしょく)するために人前で強さを誇示したがる性格と、再びテロに襲われるかもしれない不安から常に動き回る心理状態がこれに加わり、イラク攻撃の衝動が形成されたと思われる。
ブッシュ氏の心理は今の米国人の心理をある程度、代表しているかもしれない。米国は、武力行使してでも自分の考え方を世界へ広め、自己の正しさを確認することで安心を得たいという傾向が強い。
日本人は本来なら、こうした理由で始まる戦争に「ノー」と言うべきだと思うが、残念ながら日米関係は米欧関係と違って精神的に対等でなく、その意思表示は難しいだろう。
(2003年2月20日毎日新聞朝刊から)
http://www.mainichi.co.jp/news/article/200302/20m/062.html