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テレビ朝日の新春番組「朝まで生テレビ!恒例激論元旦スペシャル・戦後民主主義とナショナリズムの台頭」というのに出て、8時半ごろ帰宅した。午後2時ごろ目覚めて、ざっと年賀状だけ拝見して、今これを書き出している。
番組には私と八木秀次さんだけが「拉致被害者を救う会」に協賛の意を表して、ブルーリボンをつけて出た。始まる前に野坂昭如氏が「これをつけたまま出るのか」とやや意外、というか不満、批判めいた面持ちで私の胸を指さした。番組の中で司会の田原総一朗氏がやはりブルーリボンをみて「あなたたちのやっているのは運動だ」「最近はあなたたちが共産党みたいにみえる」などと言った。
私たちは「救う会」でも「拉致議連」でもないが、そういう方面に彼らが相当に偏見を抱いているのが分った。彼らの中の誰かが、「被害者のご家族は勿論お気の毒だが、彼ら5人を北朝鮮に約束どおり一度戻すという方法はあった。」「誰かがうしろで抑えて、5人の自由意志をしばっている。」などと言った。少なくとも二人以上がそういうことを言った。私は「そんなことをしたら彼らは日本にもう戻れなくなる。最初のうち5人がおどおどしていて、北へ戻されても安全な発言に気を配っていた。日本政府が永住を決めてからすっかり安心して本心を語りだしたではないか」などと抗弁したつもりだが、司会がさっと話題を変えた記憶がある。
いつもこの番組に出演するたびに感じる後味の悪さは今度も例外ではなかった。八木秀次氏のほかには私のほんとうの同盟者はいない。とても話がしにくい。野坂昭如氏と宮崎哲也氏とはまあまあ常識のある方といっていい。森本敏氏は私や八木氏と同じ立場にいるようでいて、微妙に違う。安全保障の専門家だが、客観的に語るだけで、責任をとるものの言い方はしない。
片岡都美(さとみ)さんという方にははじめて会った。ペルーのフジモリ元大統領が恋をして、求婚したという方らしい。番組でその紹介はもちろんなく、靖国護持など民族運動をしている方だと報告された。しかし番組に馴れてなく、余り発言されない。
司会が「西尾さんは左翼ということばを使ったが、今は左翼なんかいない」と言ったら、八木さんが私の隣席で、「目の前にいる人たちはみんな左翼じゃないか」と野次った。目の前にいる人たちとは、穀田恵二(日本共産党・衆議院議員)、吉田康彦(元IAEA広報部長・北朝鮮人道支援の会・代表)、姜尚中(東大教授)、天野礼子(アウトドアライター)、金子勝(慶大教授)、山田厚史(朝日新聞アジア総局)、宮崎学(作家)の面々である。
これらの人々とは殆どことばが通じないと思った。完全に反米であり、左翼であり、拉致解決よりも国交正常化を先行させるべきだという前提をまったく動かさない。韓国大統領選の結果を歓迎し、よかったと言っている。金大中の太陽政策はすばらしいと言う。次の盧武鉉大統領と小泉純一郎首相とは気が合う可能性が大きい。日韓が協力してアメリカを説得し、北朝鮮とアメリカとの間の仲立ちをすべきだという。
私は今こそ日米同盟の絆の重要性、日本の安全保障のきわどさを意識すべきとき、と何回かチャンスをつかんで語ったが、途中で司会から話を切られて、テレビの前の聴視者にどれくらい伝わったか分らない。私が何か言うと、「対米従属」と前の席の誰かがさわぐ。私が怒って「お前達こそ対中韓従属」と言ったこともある。
田原氏が人の話の腰を折る司会者であることは何度も経験しているが、今回は彼自身が今まで考えていないことをいわれると感情的拒否反応を示す場面に出会った。私が北朝鮮は日米同盟の分断をめざしていること、中国・ロシア・韓国・北朝鮮と日本・アメリカが対立している構図になっているのに、日本を前者にくり入れ、5ヶ国でアメリカと対決させようという狙いが金正日にはある。この5対1の構図に乗って、日本がほんの少しでも大陸に傾けば、日米同盟は意味を失い、崩壊すると私が言ったら、田原氏が手でさえぎり、前の席の左のメンバーも一勢にブーイングで拒否反応を示した。
私はまたこうも言った。北朝鮮が拉致を認めたのは経済協力への期待からでは必ずしもない。核武装して体制維持を図るための時間かせぎだ。北はアメリカ本土に届く核ミサイルをつくるために、イラク攻撃の直前というタイミングを見計らい、小泉訪朝を利用して核開発に走った、という意味のことを言ったら、田原氏は「西尾さんの言っているのは何のことか分らない」と話を強引に断ち切ろうとした。私は「アメリカと北朝鮮がチキンレースをしてあわやぶつかる寸前だとはあなた自身が言ったことではないか」とまぜっ返したが、どこまで通じたか。
アメリカのイラク攻撃については、ほぼ全員が反対だった。私はこういう場面ではあえて賛成の意思表示をした。ほんとうは微妙な表現で語るべきテーマだが、テレビ討論で微妙な表現は通らない。YESかNOかと問われて即答しなくてはならない。
しかしイラク攻撃自体に私は賛成も反対もない。問題はアメリカの対イラク戦の結果いかんが、北朝鮮問題の帰趨と密接に関係していることである。私はくりかえし何度もこの点を強調し、ヨーロッパはイラク攻撃に消極的(もしくは否定的)だが、ヨーロッパにもはや核脅威はなく、日本だけが中国と北朝鮮からの直接的核脅威の影響下にある、とこれも何度も語ったが、テレビ出演の面々はイラク問題を日本の安全保障から切り離して語りたがる。八木さんは勿論私に同調し、日本にはアメリカに協力する以外のいかなる選択肢もないと語っていた。
私は日本政府が政治的・外交的なアメリカ支持の声を上げるべきだ、と言ったところ、左隣の山本一太参議院議員(自民党)が大いに賛成し、なにかしきりにしゃべっていた。日本は軍事的に何も出来ないのである。やれるのは支持の声、ステートメントにすぎない。けれども、それでいいのである。北朝鮮という大きな問題を日本はかかえていることを忘れてはならない。
日本のアメリカからの解放(自立)は、アメリカへの協力と同調、アメリカの助力と援助の中からしか出てこないという、きわめて微妙な逆説がある。テレビではなかなか伝えられない。軍事技術ひとつとってもアメリカ抜きでは考えられない。
私はこうも言った。「日本人は国家を考えると矛盾にぶつかる。国家の源泉はパワーである。パワーはアメリカにある。国家を尊重する人ほどパワーを意識する。そうすると国家を尊重する人は、国家を考えられなくなる。これが敗戦国日本の悲劇だ。いくら問うても、必ずそこへ行き着く」
「昭和20年8月15日まで日本は自己責任をもつ国家だったのです。自分で考え、自分で判断し、自分で戦争し、そして自分で敗れた国でした。このように自分自身をもつということ、こういう国にもう一度立ち還らなくてはなりません。」
さいごの台詞は、青年の一人の質問に答えての、朝6:00をすぎてからの私の回答だった。前席の例の勢力は、私のことばにまた「イェ―」というような不満と嘲りのことばを浴びせた。
朝生TVは要するに愉快な体験ではない。ただ田原総一朗氏が番組が始まってすぐの最初に言ったことばは印象的だった。「2002年はあらゆる問題、安全保障も経済も、瀬戸際に立たされた一年であった。2003年はどうやらすべてが<決着>する一年になりそうだ。」まさにそうかもしれない。
だから私は、番組の冒頭で出した、今年一年で最も問題になることというテーマを掲げるボードに「マスコミの嘘があばかれる年」と書いた。自分の書いたテーマについて、全員が順次説明することになった。そのとき私はこう説明した。
W杯で日本が敗退してから日本のマスコミは韓国を応援せよと一斉にいいだした。韓国チームの不正や違反が目立っても日本のマスコミはそれを取り上げない。外国で韓国のアンフェアが問題になっても伝えない。ただ、日韓共催だから韓国応援でいけという。インターネットがものすごく反発し、かえって嫌韓感情を高めた。
マスコミが嘘でぬりかためた<大本営発表>をする。インターネットがそれをあばくという時代が来た。
11月11日田原さんの主催するサンデープロジェクトで石原都知事が、拉致家族の子供たちが危害を加えられたら日本は北朝鮮と戦争してもいい、と発言した。TBSラジオがアンケートでこの発言は行き過ぎだと思いますか?と問うたら、思う(11%)、思わない(84%)という最終結果がネット上に出た(11月12日20:00の最終結果)。しかし翌朝ラジオで結果が出たことだけを言って、84%を言わなかった。それどころか数字を改竄して、行き過ぎだと思う(58%)、思わない(36%)と、ラジオはインターネットと逆の発表をした。
日本のマスコミには進歩的左翼平和主義イデオロギーの薄いベールがかけられていて、真実が表に出ないように仕組まれている。マスコミによる<大本営発表>は今年はもう通じまい。現実がどんどん動いて、嘘をついてごまかしていられなくなる。そういう年になると思う、と私は語った。
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