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韓国の大統領選挙の結果にはびっくり
投稿者 TORA 日時 2003 年 1 月 03 日 20:17:26:

(回答先: Re: テレビ朝日の新春番組「朝まで生テレビ!恒例激論元旦スペシャル 「西尾幹二」 投稿者 TORA 日時 2003 年 1 月 03 日 20:05:18)

韓国の大統領選挙の結果にはびっくりし、日本の外交の未来にとっては厄介な荷重で憂鬱だが、北の核施設封印撤去など、その後につづく対米瀬戸際外交は韓国民が盧武鉉を選んだことの直接的反応であり、当然予想され得る範囲内で、もはや驚きはない。

 韓国は大陸国家を望むのか、海洋国家を望むのかの二者択一だと前に私は書いたが(『正論』12月号)、結局中露になびく大陸国家の道を選んだ。南北鉄道連結やシベリア天然ガス開発などに未来があるとの論調だが、韓国の繁栄は大陸から北朝鮮にさえぎられた地理的隔離、一種の島国化、海洋国家化に由来していたのではなかったか。長い目でみて韓国は繁栄の条件を失うことになろう。

 アメリカは盧を信用せず、次第に韓国の立場に配慮しなくなるだろう。韓国でも分っている人は憂慮している。申志鎬氏(韓国開発研究院)が「盧氏自身が在韓米軍撤収論を唱えるようなら、米国の方でも現実に撤収を検討する事態が起こりうる。米国としてはむしろ、在韓米軍がいない方が北朝鮮からの反撃を恐れずに、北朝鮮の核施設への空爆に踏み切ることができる。」(『読売』12月20日、ソウル発談話)

 ソウルは「火の海」になるかもしれない。韓国国民がそういう道を選択したのである。北朝鮮のあの状況が分っていて、世界中が「イラクより危険」と言っている最中に、一時の反米感情から盧武鉉を大統領にえらんだあの国民はやっぱり理解を絶している。前にも言ったが、今の大抵の日本人の目には南北両朝鮮はまったく同じ体質であると見えるのではないだろうか。

 当然の話だが、韓国が北に寄っていけば、日米対韓国という図式になり、韓国の反日感情も噴出し、自由貿易協定にまでひびいてくるだろう。申志鎬氏もそう言って心配している。しかしもしもそうなったらなったで、日本人はむしろ肝を据えて、韓国を冷ややかに突き離して見ていかなければならない。さもないと日本が危うい。

 一月にも想定されるイラク攻撃を前に、北朝鮮は米国の「二正面作戦」を不可能と見て、賭けに出ていると各紙はしきりに伝えているが、果たしてそうだろうか。ラムズフェルト米国防長官は23日、米国はイラクと北朝鮮の二カ国に対する軍事行動に同時に対応できると述べた。「海外での二つの大きな戦争を遂行することは可能だ。一方を決定的に打ち破り、その後すぐに他をも破ることができる。」(『産経』12月24日)

 北朝鮮は金正日体制の保証をアメリカに求め、「不可侵条約」締結などと生意気なことを言っているのも、要するに身の保全、今の独裁体制を維持したいというただそれだけの動機だといわれているが、果たしてそうだろうか。少なくとも核開発は体制維持の手段にすぎないのだろうか。「実は北朝鮮は、米国との話し合いより核保有を優先しているのではないか」(防衛研究所・武貞秀士主任研究官『産経』12月24日)。この同じ問題指摘は、森本敏氏によって「朝まで生TV」(『日録』11月10日)の発言の中でなされていた。

 体制維持か核保有か――どちらが北の最終目的か。私の考えでは、多分後者であろうと思う。後者によってのみ前者を可能にできると金正日は思いこんでいる。両手に花である。前者のために後者を捨てるという考えではない。というより、すでに核爆弾は最低5発保有し、日本全土はそのネットの中に入っていて、やがてアメリカ本土に届く弾道ミサイルの成功ももう間もない、といわれる。(西岡力「北朝鮮の核恫喝と日米同盟崩壊」)

 ブッシュ政権がこれを黙過するとは思えない。アメリカ本土が「悪の枢軸」の核ミサイルの射程内に入るのを、韓国と日本への被害を恐れる余り、指をくわえて見ているだろうか。2003年、日本もまた然るべき試練の局面を迎えそうである。

(西尾幹二のインターネット日録)
http://nitiroku.hp.infoseek.co.jp/

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