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内憂外患――2003年3月の日本の姿だ。内憂とは平均株価8000円割れに象徴される経済危機の深刻化。外患とは米軍のイラク攻撃と国連の危機、および北朝鮮の瀬戸際政策の展開による極東の危機。今まさに政府の出番だが、情けないことに小泉内閣は無為無策の状態にある。危機管理は政府の仕事。政府が危機に直面して立ちすくんでいるような状況は放置できない。立て直しが急務である。
とくに深刻なのが国内経済危機だ。日本経済内部崩壊のおそれが出てきた。最大の原因が小泉内閣の経済失政にあることは明らかだ。自民党内では、今日の経済危機の最大の原因は小泉政権の誤った経済政策にあり、小泉首相は直ちに政策の転換を宣言すべきだとの主張が広がっている。遅すぎたとはいえ、当然のことだ。自民党国会議員の八割以上が政策転換を求めている。今、小泉首相に求められているのは冷静な判断力と柔軟な対応能力だが、小泉首相はかたくなに政策転換を拒否している。
政策転換を求める自民党内小泉批判派の矛先は竹中金融・経済財政担当相に向かっている。竹中大臣の解任を求める声の拡大は当然のことだ。これももっと早く行うべきことだった。竹中金融行政は日本の金融と経済を混乱させただけだった。
経済危機を乗り切るためになすべきことは小泉経済政策の大転換である。具体的には第一に、政府・金融庁による日本の銀行へのいじめ政策を直ちに止めること。金融庁が金融機関に不良債権処理を無理矢理に急がせ、厳しすぎる検査で締め上げることは、日本経済にとって百害あって一利なしである。むしろ政府は金融機関を積極的に支援し、資金を必要としている企業に融資できるようにすべきである。金融が正常化すれば経済危機を乗り切ることは可能になる。これを実行する上での最大の障害が竹中金融相の存在だ。更迭しなければならない。
第二に、無謀な財政再建重点主義を改め、経済危機克服のための財政出動に踏み切ること。とくに必要なことは小泉政権の福祉切り捨て政策を改め、福祉充実に重点を置く大型補正予算を直ちに編成し、実行することである。これも直ちに着手すべきだ。
第三に、大胆な金融政策を展開すること。私は数日前、著名な財界人から日本経済を救うための大胆な金融政策についての提案を受けた。その骨子は、@100兆円規模のドル買いを行う。これによりドル安・円高の流れを止め、円安を進める。円安は日本経済を救う。Aこれにより得たドルで米国債を購入する。これは米国経済の安定に役立つ。B日銀がすべての金融機関の株を買い取る。必要な資金は約25兆円。これにより銀行は株安の不安から解放され、正常な機能を回復する。
政府はこの提案を直ちに実行すべきだ。
小泉首相が今すぐなすべきことは政策転換の宣言と竹中大臣の更迭である。問題は小泉首相が政策転換を拒否し、かたくなに抵抗しつづけるおそれが強いことである。このとき自民党と自公保連立政権の真価が問われる。
自公保連立与党には三つの道がある。一つはいままでのように衆院解散を恐れて小泉首相の不況促進策を容認し追従をつづけること。二つは小泉首相に退陣要求を突きつけ、解散・総選挙を恐れず小泉政策ストップのための戦いに決起すること。三つは曖昧な妥協により中途半端な名ばかりの政策転換を行うこと。第二の道が最良である。
政策転換待ったなしの時が到来した。小泉首相が政策転換を拒否するなら政局転換に進む以外に道はない。決めるのは小泉首相自身だ。もし頑迷固陋な態度を取りつづけるなら、小泉政権そのものを除去する決断が必要だ。その前に竹中氏を更迭しなければならない。
「一利を興すは一害を除くに若(し)かず」――中国元王朝の名臣・耶律楚材の言葉。竹中金融・経済財政担当相の更迭と亀井静香氏らの景気重視派の起用により、日本経済再生の一歩を踏み出すことができるだろう。
【3月15日付け四国新聞に「森田実の政局観測」として掲載された小論です】