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銀行のインチキ増資をモニタリングしよう
http://www.asyura.com/2003/hasan22/msg/511.html
投稿者   日時 2003 年 2 月 25 日 13:21:38:

☆どうも最近は、木村氏を筆頭に日経はつまらんコラムが多い。しかしダメがバンクに外資からの増資が増えている状況で破綻させたらさぞ面白かろうね。まあ政治的に無理だろうが。。


リスク戦略の発想法
第37回「銀行のインチキ増資をモニタリングしよう」

(KFi〔KPMGフィナンシャル〕代表 木村 剛氏)

最終更新日時: 2003/02/25
 2月21日、金融庁は第三者割当増資に関するガイドラインを公表した。もともとは、2001年12月に破綻した石川銀行が直前に第三者割当増資を繰り返したことによって、被害者が増えたことに対する措置であるが、このところ話題になっているメガバンクの第三者割当増資にも備えたものなのだろう。

 二度と許されない石川銀の事例

 何と言っても、石川銀行の事件はひどかった。株など買ったこともないようなご老人や拒否できない弱い立場にいる債務者に増資を引き受けさせて、自己資本比率の維持に邁進したのだ。わが国では「生き残りに必死だった」といえば何でも許される雰囲気があるが、石川銀行の経営者がやっていたことは、ヒドイ財務状況を隠しながら、株式を売りつける詐欺に過ぎない。二度と許されざる悪行だ。

 そういう意味で、石川銀行事件に学んだ金融庁が、自ら「第三者割当増資ガイドライン」を公表したことは高く評価してよいだろう。というのも、内容がそれなりにつまっている本格派のガイドラインだからだ。

    第三者割当増資については、預金及び貸出等の業務を営む銀行が取引先等に対し直接に割当てを行うので、例えば「資本充実の原則」との関係や「優越的地位の濫用」の防止等、法令等遵守に係る内部管理態勢の確立について、健全性や誠実さ等の観点から、特に十分な経営努力が払われる必要がある。


 当たり前のことなのだが、このガイドラインは、上記のように、「資本充実の原則」との関係や「優越的地位の濫用」の防止を謳っている。極めて正しい視座である。この二つの観点が貫徹されていたならば、石川銀行の犠牲者はもっと少なくて済んだはずだ。実際問題として、自ら迂回融資をさせて株を買わせ「資本充実の原則」を踏みにじり、他に借りる宛てのない債務者に株を引受けさせて「優越的地位の濫用」をする銀行が後をたたない。

 竹中大臣が唱える「3つのS」のうち、健全性(Sound)と誠実さ(Sincere)の観点から言っても、ここは厳しく目を光らせてもらいたいところだ。

 このガイドラインの優れたところは、第三者割当増資を行う銀行に対して、商法、独占禁止法及び証券取引法等の諸法令にしたがって適切に実施するために講じる内部管理態勢全般について、網羅的な報告を求めている点にある。報告には、(1)基本的な経営姿勢、(2)資本充実の原則の遵守等、(3)優越的地位の濫用等不公正な取引の防止、(4)商品性の適切な説明、(5)適正なディスクロージャーの確保、(6)遵守状況の事後的な点検体制の整備、を網羅させている。

 具体的に、留意すべき着眼点としてあげられているものとして、出色なのは、次の2項目だろう。

   ・ 財務の実態等を勘案すると、返済能力や意思のない先に、直接または迂回して融資等の信用供与を行い、その融資等の信用供与による資金で増資払込みを行わせる場合
   ・ 増資引受先の株式保有リスクを何らかの形で銀行(グループ)が肩代わりしている場合


 これで明らかなように、財務の実態等を勘案すると増資を引き受けることが不自然な先や、嫌がる取引先に引き受けさせるためにリスクを分担しているような先については、厳しいメスが入ることになる。実際、注意書きとして、「信用リスク管理の観点からは、経営改善支援に注力すべき融資取引先に増資払込みを行わせることのないよう、業況や財務内容等を十分見極める必要があることに留意する」として、「例えば、債務者区分が要管理先以下の債務者に対し、増資払込みを行わせることは、信用リスク管理の適正の観点から問題であることに留意する」と忠告していることに、各銀行は注意することが必要になろう。

 遵守できぬ銀行は厳しく処罰すべし

 また、証券取引法の遵守に関しては、下記のような表現が盛り込まれている。

    有価証券届出書及び目論見書の提出前における割当先名簿の作成は行内の準備作業であり、取得の申込みの勧誘は有価証券届出書が提出されていなければすることができないこと等、基本的な留意事項を行員に徹底することとしているか。


 これは、いわゆる「事前勧誘」の問題である。わが国の証券取引法においては、50人以上の多数に対して、有価証券である株式の引受けを募集する場合、説明資料として「有価証券届出書」を提出しないかぎり、申し込みの勧誘をしてはならないことになっている。したがって、第三者増資をするということを経営陣が決めただけでは、勧誘行為をしてはならないのである。

 しかも、勧誘の際の資料については、「財務内容について誤認を与えることの無い」ものとなっていなければならず、また、顧客への説明方法やその内容は、「民法、金融商品販売法等の観点から、適切なものとなっている」必要がある。

 指摘されてみれば、当たり前のことばかりなのだが、新鮮に心に響く。これまで、わが国の金融行政においては、あまりにも当たり前のことが当たり前に為されてこなかったからだ。だからこそ、このガイドラインを単なる念仏に終わらせてはならない。二度と石川銀行のような悲劇を、しかもそれを大きくしたような形で起こしてはならないからである。

 この程度のガイドラインを遵守できない先があるとは考えたくないが、万が一、そういう銀行があったとすれば、厳しく罰する必要があるだろう。実際、ガイドラインは、「重大な問題があると認められる場合には、法第26条に基づき業務改善命令を発出するものとする」としている。

 もっとも、マーケットでは、すでに「あそこの銀行は事前勧誘をしていた」とか、「目論見書を渡さずに申し込みの勧誘をしていた」とか、「金利条件まで提示して購入を要請していた」などと様々な噂が飛び交っている。ご丁寧にも、「第三者増資の決議を求める特別株主総会に社外取締役が欠席していたのは、コーポレートガバナンスの欠如だ」というテクニカルなものまで流布している。

 いずれにしても、そのような事実が実在するとすれば大問題だ。われわれは、そうした動きを注意深くモニタリングしていかねばならない。もし、読者が耳にした情報や目にした事実があれば、是非Eメールを送っていただきたい。これ以上、インチキ増資を認めることは国民の為にならないし、何よりもその銀行に働く銀行員にとってもプラスにならない。インチキ増資は、インチキ経営者を資するだけで、銀行自身にとっては将来に亘って余分な負担を背負い込むだけだからである。

第三者割当増資に関して、情報や意見をお持ちの方は、以下のアドレスまでメールをお寄せください。いただいたメールにつきましては、氏名及び所属を伏せた上で公表する場合がありますので予め御了承ください。
obanan@kpmg.or.jp
また、KFiは、代表の木村を総監督として、 ブロードバンド配信 NTT-BB “BROBA”(有料サイト)で下記のコンテンツを配信しています。
“徹底究明!!金融・経済大捜査線”
http://www.broba.cc/

■第36回「中小企業経営者の気概に学ぶ」
■第35回「大手行特別検査、竹中大臣のターゲットは外部監査人?」
■第34回「『デフレ』に動じない中小企業経営者に学べ」
■第33回「若手メガバンク行員Y氏から寄せられた公的資金注入論」
■第32回「竹中新3原則『3つのS』の読み方」
■第31回「メガバンク行員には世間の声を真摯に聞いてもらいたい」
■第30回「銀行内の『自称改革派』による支持と反論」
■第29回「頑張れ、『改革派』の銀行員たち!」
■第28回「『不良生徒』のメガバンク行員に対する反論を求む」
■第27回「銀行のリストラは本物なのか?」
■第26回「銀行の常識は他の業界の非常識?」
■第25回「問題企業の『典型例』これが内実だ」
■第24回「『抵抗勢力』の銀行員からの批判に答える」
■第23回「某メガバンク管理職のメールに答える」
■第22回「この『言いようのない不安感』の源は何処にある?」
■第21回「『竹中大臣VS銀行経営者』の攻防戦から何を読み取るか?」
■第20回「経営者たちと若手社員たちとの間を分かつものは何か?」
■第19回「『真っ当な銀行』を生かすためにこそ『普通でない銀行』を摘出する」
■第18回「銀行の不良債権処理は真っ当なのか?」
■第17回「トップの保身とわが身の出世か、それとも銀行の将来か?」
■第16回「中小企業経営者の魂の叫びを聞け」
■第15回「大切なのは銀行経営者か、それとも中小企業か?」
■第14回「金融問題を語るなら、まず、長銀事件の判決文を読め!」
■第13回「ペイオフ実質延期の背景にある現実を直視せよ!」
■第12回「新生銀行バッシングは何だったの?」
■第11回「誰のために金融庁はあるのか?」
■第10回「『内部統制システム』なき企業統治論の陥穽」
■第9回「柳沢大臣は約束を守ったか」
■第8回「不良債権処理問題、『お上』の危うい発想法」
■第7回「"3月危機の原因は空売り"の非常識」
■第6回「”アルゼンチン化”の危険はらむ日本経済」
■第5回「『特別検査』がもたらすクライマックス」
■第4回「『泥縄』の不作為から脱却せよ」
■第3回「『大手30社』は過小資本銀行のリトマス試験紙」
■第2回「『大手30社リスト』のナンセンス」
■第1回「”大手30社問題”とは何か?」

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