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(回答先: 銀行のインチキ増資をモニタリングしよう 投稿者 日時 2003 年 2 月 25 日 13:21:38)
みずほホールディングスが国有化回避策でブチ上げた1兆円増資に、早くも「死角」が浮かび上がってきた。取引先は渋々、出資に応じざるを得ないが、自分の都合で無理を通そうとするやり口に反発は根強い。株式市場も株急落の「赤信号」を発し、金融庁も増資の乱用に指針を作って監視する。各支店は増資のノルマを達成しても、弱みがあって取引先の金利引き上げは難航が予想され、収益回復は難しい。年間200億円もの配当負担も重なり、みずほの経営改善策が立ち往生する危険なシナリオも残る。
「1兆円増資は必ず達成できる。ただ、問題なのは、増資後に利益を確保できるかどうかだ」
みずほ幹部の1人は、巨額増資に突き進むみずほが抱える課題を、こう分析してみせる。
みずほ銀行が3000億円、みずほコーポレート銀行が7000億円のノルマを課して、目下、取引先と出資交渉中である。
みずほ銀とみずほコーポレート銀の間にある対抗意識を利用して、1兆円増資を達成しようという戦略なのである。
中小・中堅企業を主な取引先とするみずほ銀にとって、3000億円という額は小さくはない。
「ノルマが達成できなかったと、コーポレート側に頭を下げるわけに行かない」(中堅行員)
というのも、みずほコーポレート銀の主体となった旧日本興業銀行に対して、旧第一勧銀、旧富士銀の行員たちの意地があるからだという。
「旧長銀(現新生銀行)や旧日債銀(現あおぞら銀行)と同様に、破綻(はたん)寸前だった旧興銀こそ、みずほの病巣だからだ」
みずほ銀は1000社以上もの取引先に対し、数億円単位の小口出資を頼み込んでいる。
支店ごとに最低1億円のノルマを課しているようで、取り組みが甘い支店には容赦なく目標設定額に上積みを迫る。
まさにスパルタ式の陣頭指揮で、何が何でも3000億円を調達しようと躍起になっている。
みずほコーポレート銀のほうは余裕がある。旧興銀時代から築いてきた大企業との関係を生かして、存在感を発揮する絶好の機会でもある。
一勧や富士と関係が深かった伊藤忠商事やキヤノンなどはもちろん、石川島播磨重工業やシャープなど三井住友フィナンシャルグループやUFJホールディングスなどとも関係が深い取引先に出資を依頼している。
3000億円の出資を見込む生保には、すでに拠出している劣後ローンを優先株に振り替えてもらうよう要請、目標額の達成に近づきたい考えだ。
みずほは系列外の企業に増資を持ち掛けるに際し、他のメガバンクに「そちらの親密企業に出資をお願いします」と頭を下げて回っている。
前田晃伸みずほホールディングス社長は2月上旬、西川善文・三井住友FG社長を訪問。西川社長から「ぜひ頑張ってください」と激励の言葉をかけられたという。
いずれにせよ、みずほのなりふり構わぬ増資交渉は7−8割方固まり、順調だとされる。
前田社長は増資を発表した1月21日の段階から、「親密取引先から熱い視線を頂いている」と説明し、1兆円の調達に自信をみせる。
「みずほが国有化や破綻の道をたどれば、取引先にとっても、融資縮小や引き上げのリスクが高まる。増資に応じる取引先は多いのではないか」(金融アナリスト)
ただ、金融庁は指針を作成して、取引先に融資の引き上げを示唆しながら出資を迫る優越的な地位利用の「出資強制」や、融資の見返りとして出資を求める「見せかけ増資」を厳重監視する。
さらに冒頭のみずほ幹部が指摘するように、問題は増資後に収益アップができるかどうかだ。
「増資で取引先に大きな借りを作ることになり、それが利上げ交渉を難航させ、収益力アップの足かせになる不安が残る」(金融庁関係者)
そもそも、みずほの取引先は迷惑をかけられっぱなしなのである。
昨年4月のシステム障害で送金や給与振り込みに混乱が起こったのをはじめ、みずほ株を保有する取引先に、長期の株価急落が含み損を与えている影響も大きい。
筆頭株主の第一生命保険をはじめ、生保各社は巨額の損失計上を強いられ、JR東日本や新日本製鉄などの優良取引先にも被害は及んでいる。
そのうえ、価値低下のリスクも残る優先株を低い配当利回りで引き受けさせられる。取引先の怒りは爆発寸前である。
「取引先を怒らせてしまったみずほは、金利や手数料の引き上げをめぐる交渉で強い立場をとれなくなる」(大手銀幹部)との観測が広がる。
倒産の増加が続き、不良債権の新規発生が止まらないなか、金融庁の特別検査で不良債権が増大する可能性もあり、銀行は今の業務を維持しているだけでは収益力の強化は望めない。
融資の金利引き上げや手数料収入の積み増しが重要な経営課題となるが、みずほの場合は、そうした収益力強化策を取りづらくなる。
優先株による増資を行えば、配当負担が増えることは確実である。みずほは市場実勢に近い2%程度の配当利回りを想定しており、年間200億円規模になる。
平成10年と11年に公的資金を受けており、政府保有の優先株への配当を合わせれば、400億円を超える負担になる。
ただ、これは、みずほが描く「青写真」の通りに事が運ぶと仮定した場合の数字である。
ネックとなりそうなのが、米証券大手ゴールドマン・サックスから出資を受けた三井住友FGが4.5%もの配当利回りを支払うことである。
みずほの取引先の不満と反発を考慮すれば、2%程度の金利では出資を引き受けてもらえない可能性もある。
取引先には「安易な出資で会社に不利益をもたらしたとして、経営陣が株主代表訴訟を起こされることもありうる」との不安も背景にある。
その場合、みずほは配当利回りの引き上げに応じざるを得ない。すると、優先株への配当負担が500億円、600億円と膨らむ可能性もある。
普通株で出資する既存株主にとって、「いつになったら適正配当を受け取ることができるんだ」と怒りを増幅させざるを得ない状況といえる。
経営改善への明確な見通しが示せないみずほ。投資先としての魅力を感じる投資家が少ないことは、発足以来の株価下落が示している通り。
みずほが1兆円増資を達成したとしても、それは取引先から温情出資を受けたに過ぎない。経営の自由度がさらに狭まることになる−との批判は免れない。
みずほが進もうとしている収益力回復への道は険しくなるばかり。
3行統合・合併というウルトラCで誕生した世界一の資産規模を誇る超巨大銀行は、自らの重みで動きが取れなくなる危険性をはらんでいる。