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3月危機回避へ、小手先の銀行救済策
「3月金融危機」回避を目指した株価維持策が、永田町周辺で動き始めた。自民党の金融再生特別委員会(太田誠一委員長)が平成16年とされる銀行保有株式額の上限設定時期の延長を検討しているのだ。巨額の株式含み損を抱え、国有化回避の持ち合い株解消に躍起となる大手銀行などの売却を抑制し、「負のスパイラル」状態の株価下落を防ぐ考え。だが、実体経済の回復をないがしろにする「小手先の銀行救済だ」との批判は免れそうにない。
銀行は「銀行株式保有制限法」により、16年9月までに、保有する株式を中核的自己資本より少なくするよう定められている。
株価下落により、銀行の自己資本が目減りするリスクを減らすことが目的で、大手銀行は規制実施までに約5兆円の株式を売却しなければならない見通しだ。
だが、これほど大規模に株式が売却されることが分かっていると、株価水準がさらに下落することは避けられない。
そうなれば、銀行以外の企業が保有する株式の価値が下落することは確実。特に、銀行株の持ち合いを中心に、大量に株式を保有する生命保険会社の資本(基金)が目減りすれば、経営危機に陥り、銀行経営にも影響しかねない。
「生保や銀行の決算期である3月末に株価が今より下落しているようでは、生保を発端とした金融危機が起こりかねない」(金融アナリスト)との懸念が広がる。
このため、特別委員会は、16年9月とされる株式保有規制の開始時期を延期することを検討している。延期時期は、国際決済銀行(BIS)が新たな自己資本比率規制を導入する18年以降が有力となっている。
銀行の保有株売却が株価下落につながらないようにする試みは、これまでも行われてきた。
政府は、銀行が売却する株式が市場の株価に影響を与えないように、株式買い取りの受け皿となる「銀行等保有株式取得機構」を設立した。
日銀も銀行から直接、株式を買い取るという中央銀行としては異例の試みを始めており、3月危機の回避に向けた動きを加速させている。
ただ、株式取得機構は、買い取った株式の株価が下落して損失が生じた場合に備えるため、銀行から株式売却額の8%を受け取る仕組みになっている。
銀行にとっては「コストが高過ぎる」(大手銀幹部)ため、なかなか活用が進まないのが現状だ。日銀も株価下落による資産の劣化が大規模になることを避けるため、買い取り額上限を2兆円と定めており、「銀行の株式売却の受け皿としては小さすぎる」(証券関係者)と指摘される。
特別委員会が規制を延期しようとするのは、政府や日銀の試みが成功せず、「銀行が保有株を売却する」という観測が株価下落圧力になり続けていることに、強い危機感を抱いているからだ。
だが、規制を延期した結果、銀行が株式を売却しなくなれば、銀行はいつまでも株価下落で経営が悪化するリスクにさらされることになる。
また、「株価を上げるには、効果的な景気対策を打ち出して、実体経済を上向かせることが王道。株価が上がれば、銀行も保有株式を売りやすくなる」(大手銀行)との指摘も多い。
昨年の3月危機は、2月上旬、塩川正十郎財務相の主導で空売り規制を実施。9600円台だった平均株価を、3月末には1万1000円台まで押し上げた。
自民党は、今年も新たな株価維持策で3月危機を回避する考えだが、危機の先送りばかりを考えているようでは、来年も3月危機がささやかれることになりそうだ。