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生命保険会社が契約者に約束した運用利回り(予定利率)を破綻前に引き下げる問題で、金融庁は、引き下げを申請した生保経営陣の退任を求め、出資銀行にも債権放棄をさせる方針を固めた。契約者の不満を抑えることが狙いだが、納得が得られるかは不透明だ。
過去に契約した高利回り商品に、実際の運用実績が追いつかない「逆ザヤ」が、生保各社に大きな問題となっているのはご存じの通り。
このため金融庁は、破綻前の利率引き下げを認める保険業法改正案を今国会に提出し、新年度からの実施を目指しているのだが、問題はその方法だ。
自民党の一部には、金融庁が生保に個別に引き下げを勧告し、半強制的に引き下げるべきという意見もあるが、金融庁案は、利率下げの申請を生保各社の経営判断に委ねるとした。
同時に利率の引き下げ限度の設定や、生保の事業計画を第三者がチェックする仕組みも検討しているが、契約者への保険金支払いを一方的に減らすことに強い反感を買うことが予想される。
そこで、利率下げを申請した生保の経営者を退陣させることで、契約者を納得させようというわけだ。竹中平蔵金融・経済財政担当相の金融再生プログラムでは、公的資金を受けた銀行の経営者責任の明確化が盛り込まれたが、その“生保版”ともいえる内容だ。
もっとも、生保各社にとって、利率引き下げ申請は、経営悪化を認めることになるため、容易に自分から手を挙げるとは思えない。金融庁案で、利率下げを行う際、解約を一時的に停止して手続きを進めることが検討されるのも、解約ラッシュによる資金流出を恐れていることの裏返しだ。
一方、生保に対し、高金利だが返済順位の低い劣後ローンや、基金拠出などの形で出資している銀行の対応も焦点となっている。
生保が更生特例法を申請して経営破綻した場合、予定利率を引き下げることは現行法でも可能だが、その際に銀行の基金や劣後ローンは原則として債務の返済にあてられる。
しかし、破綻前の利率下げでは、銀行の基金や劣後ローンが温存されるため、「銀行救済ではないか」と問題視されていた。こうした批判を避けるため、金融庁は銀行に債権放棄させる形で一定の責任を取らせる方針を打ち出したとみられる。
メガバンク4行の主力生保10社に対する出資は、基金と劣後ローン合わせて総額2兆円にも達する。一方、生保側も銀行の大株主となっていたり劣後ローンを拠出するなど両者は「持ち合い」の関係にある。
一般企業との株式持ち合いは解消が進んでいるが、みずほホールディングスが、生保が劣後ローンの形で拠出している資金を優先株に切り替える形で増資を目指すなど、銀行と生保の親密度は深まるばかりだ。
生保、銀行の一方の経営に問題が起きれば、もう一方に与えるダメージは深刻で、国民に与える影響も大きい。銀行と生保は一蓮托生(いちれんたくしょう)の関係で生き残りを図ることになりそうだ。