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(回答先: 予定利率下げなら生保トップ退陣要請 金融庁方針【朝日新聞】 投稿者 ご破算に願いましては 日時 2003 年 1 月 30 日 19:51:11)
金融庁が生命保険会社の予定利率引き下げ制度の導入に向けて与党との調整を本格化させるのは、最近の株安による含み損の拡大が低金利に追い打ちをかけ、生保業界が窮地に追い込まれているからだ。予定利率引き下げは顧客に支払う保険金を削減し、財務内容の悪化した生保の破綻(はたん)を回避する救済策といえる。遺族への保障や年金額の削減に強い反対もあり、1社あたり数十万人から数百万人もいる契約者の同意をどう取りつけるかなど国会審議に向けて課題も多い。
●「3月危機」回避狙う
保有する債券の金利や株式の配当での運用利回りが、契約者に約束した予定利率に届かない逆ざや額は、主要生保の合計で年約1兆2000億円にのぼる。さらに、株式の含み益は02年度上半期だけで1兆6500億円減少し、ほとんどの主要生保が含み損を抱える。
金融庁にとって、予定利率の引き下げ問題は、かつて具体化しながら業界の反対により土壇場で覆された苦い経験がある。そのため庁内には「まずは業界がまとまるのが先」(幹部)と突き放す意見が強かった。
だが、最大手の日本生命を除き、引き下げに反対を続けてきた生保業界も「株安で状況が変わってきた」(大手生保)と、支持に転じる声が出始め、法案提出への動きにつながった。
生保が経営破綻すると、大手行の融資によって生保の自己資本に勘定されている基金と劣後ローンが返済できなくなるため、危機が銀行にも波及し、株式市場でささやかれ始めた「3月危機」が現実化する恐れがある。大手行から主要生保への拠出額は計2兆円、利率引き下げには銀行救済という狙いもある。
●契約者への説明、課題に
引き下げは、90年代半ばまでの高金利下で契約した養老保険など貯蓄性の高い保険や年金が対象となる。養老保険の一例では、予定利率は加入時期によって90〜92年度が5.5%、93年度が4.75%、94、95年度が3.75%。経営破綻後に予定利率を引き下げた旧東京生命の例では、6.0%だった一時払い養老保険の予定利率が、加入後10年で2.6%に引き下げられた結果、保険金額が6割以上削減されている。
金融庁は保険金の削減率を抑えるため、利率を引き下げても3%程度までとする考えだが、それでも数十%の削減となる例も出るため、業界には信用失墜を懸念する声もまだ根強い。「憲法で保障された契約者の財産権に抵触しかねず、議論すること自体が生保離れを招く」(横山進一・生保協会長=住友生命保険社長)との主張だ。更生特例法による法的整理の手続きがあれば十分、との指摘もある。
このため政府・与党は今後、「早期に更生特例法の適用申請で破綻させる場合より負担が軽く済むことを契約者にどう理解してもらうか」(大手生保幹部)という課題に直面しそうだ。
●リストラ・賃下げ… 経営見直しも条件?
金融庁内には、経営難の保険会社に利率引き下げを申請させるとともに、経営者の辞任を求める考えもあるが、「経営責任を問われるようでは、申請を思いとどまり業界の財務改善にならない」(別の大手幹部)との指摘もある。自ら辞任すれば賠償責任を問わないなど「罪を一等減じる」手だても求められそうだ。
顧客に負担を強いる分、生保会社のリストラや人事待遇の見直しも条件となりうる。相互会社である大手生保は株式会社に比べて市場の厳しい評価にさらされない分、経費削減の甘さから「大幅な賃金カットをすれば、利率引き下げに近い効果が出る」(首脳)。引き下げ論議が具体化すれば、経営情報公開の徹底も求められるのは確実だ。経営難と契約者保護のバランスをどうとるか、法改正には難しい調整が待ち受けている。