須田慎一郎氏：生保、“逆ざや”負担で限界近い！？　平均株価８０００円割れでクラッシュも… 　［株ＺＡＫＺＡＫ］

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須田慎一郎氏：生保、“逆ざや”負担で限界近い！？　平均株価８０００円割れでクラッシュも… 　［株ＺＡＫＺＡＫ］
投稿者あっしら日時 2003 年 1 月 30 日 18:40:16:

　「３月末時点で日経平均株価が８０００円のラインを割り込んでしまったなら、一部生保は極めて危険な経営状態に追い込まれることになる。はっきりと言ってしまえば、債務超過に陥る生保が出てくるということに他ならない」

　大手銀行の生保担当者がこう指摘してみせる。

　ちなみに昨日（１月２９日）の日経平均株価は、前日比１９４．３１円安の８３３１円（終値ベース）。前述のコメントを前提とするならば、株価は“生保クラッシュ”まであとわずか３３１円の水準にまで落ち込んでしまったのである。

　改めて説明するまでもなく、生保業界をここまで追い込んでしまった最大の要因は何と言っても、“逆ざや問題”だと言っていいだろう。

　ちなみにこの“逆ざや問題”とは、保険契約者に約束した予定利率に実際の運用実績が及ばないために発生する損失によって生保の経営が追い込まれていく状況のことをさす。

　「大部分の生保はリストラ等を強力に推し進めることによって、何とかこの“逆ざや問題”を克服しようと必死の努力を重ねている最中ですが、それももはや限界が近づいてきた。一部の生保では逆ざやによって生じる損失が、本来契約者に回すべき配当原資にまで食い込み始めているのが実情です。とはいえこの問題は、生保業界が収益の内訳を公表していないため、現段階では表面化していません。しかし仮にこの問題が発覚してしまったなら、大変なことになるのは目に見えています。だから、監督官庁の金融庁は、焦りに焦っているのです」（大手生保役員）

　もし仮にこうした指摘が事実だとしたならば、これは大変なことだ、それというのも、生保や自らの経営失敗のツケを、保険契約者に押しつけていることになるからだ。

　生保各社は早急に、これまでかたくなに拒否してきた収益の内訳－－つまり、“三利源”の公表に応じるべきであろう。

　ところがその一方で、金融庁はこの問題が発覚することを恐れて、予定利率に関して事実上の強制引き下げに向けて動き始めた、とみていいだろう。

　金融庁は昨日（２９日）、生保各社の運用利回り（予定利率）を、その経営破綻前に引き下げることを可能とするために、保険業法改正に向けての論点を明らかにした。

　金融庁は今日（３０日）、この“論点”を自民党サイドに提案。保険業法改正に向けて具体的な作業に着手。

　「自民党サイドも、経営破綻前の予定利率引き下げの仕組みを整備することについては大筋で合意しており、大きな懸案材料はない。今国会で保険業法改正案の成立を目指す」（金融庁幹部）

　しかし、自民党サイドには、「生保の経営実態を明らかにしないままでは、この件に関する議論などできない。金融庁は生保各社の経営実態を個別に、そして早急に明らかにすべきだ」（自民党閣僚経験者）

　という指摘が出ていることも事実。

　「金融行政の失敗のツケを、政治の側に持ってこられても困る」（前述同）

　まさに正論だ。

　「本音を言えば、個別生保の経営実態が今の段階で明らかになれば大変なことになる」（金融庁幹部）

　金融庁、生保業界はまさに正念場を迎えつつある。